2007年05月16日

副鼻腔炎で荊芥連翹湯連用中の男性から折り返し頂いたメール(地元の漢方薬局遍歴史)

5月9日のブログ副鼻腔炎(蓄膿症)と胃弱 ━ 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)の効果と副作用? の続き。関東からお問合せされた男性からの折り返しのメール

 早速のお返事、また、ご教示まことにありがとうございました。
 調子の悪かった時により、思うままの乱文、推敲もせず失礼をいたしました。

 最近、荊芥連翹湯(エキス剤)の効きが甘くなってきており、また、毎年、梅雨の時期が一番調子が悪い(後鼻漏の量がひどい)し、昨年は、カビアレルギーを発症してしまいました。
 どうも、このまま荊芥連翹単方では、乗り切れそうもなく、ご相談さしあげた次第であります。

 ●●のこのあたりの大抵の漢方薬局は訪問しているのですが、村田さんのおっしゃる「常識」を持った「専門家」がいるのかどうか疑問なのです。

(1)単方のみ 最低1ヶ月単位でしか出さない店  荊芥連翹湯で効いていたのににきびが出る(正常な排膿作用?)というと、半夏瀉心湯単方1ヶ月に変えられ、ひどい胃痛・下痢。

(2)処方「名」を教えてくれと頼んで、やっと、生薬の羅列のみ教える秘密主義?の店

(3)他店の辛夷清肺湯を飲んでいるというのに、真武湯を処方され、ひどい下痢になった店

(4)花粉症だというと、全員に、「衛益+鼻淵丸」を処方して、星火健胃併用で飲み慣れてきたころに、五苓散(ごれいさん)に変えられ、手がしわしわ(正常なところから駆水?)になって、胃腸薬は必要だから、星火健胃or五苓散 どっちか好きな方飲んでと、それ以上微調整の提案がない店(この店は、市内の中医薬会員店では、一番期待していたのですが・・・・・・)

 このような感じで、この辺りの漢方薬局では、先行き不安なので、ご相談差し上げた次第です。

>  「荊芥連翹湯が一定レベル効果があるなら、それ相応の胃弱をカバーする方剤を併用すべきです。」

 こういうことを、わかっている「専門家」がいるかどうかということが、たとえ、●●近都県まで範囲を広げたとしても、見つかるか、ということが疑問だし、不安なのです。

 ただ、煎じ薬 なら自信を見せている店があるので、現状そこに賭けるしかないのかもしれません。煎じ薬 の効きを自分でも試したいと思っていたところです。
 当然、このあたりの「常識」では、「相応の胃弱をカバーする」合方はなく、単方になると思いますが。。

 ありがとうございました。
 今後ともよろしくお願いいたします。


【編集後記】=ヒゲジジイの感想文 (1)の方剤中、半夏瀉心湯の配合薬物中の乾姜には大いなる問題があり、
http://cyosyu.exblog.jp/i37 このページもあるように、正しい乾燥生姜を用いずに、ワイキョウやホウキョウもどきの飴色に蒸した乾燥生姜とは似て非なるものを使用する錯誤が常識化している日本国内の漢方製剤そのものに問題があり、これが原因による副作用ということも考えられなくはない。 

(4)のような薬局さんでも、服用者がもっと食い下がって熱意をみせれば様々な微調整をやってくれたかもしれない。もしかすると御本人の浮気性が半分は原因で、少しでも信頼出来そうな薬局さんで腰を据えようとされないことも問題なしとしない。
 現実にこのような渡り鳥の患者さんが回って来れられることが当方にもあるが、あまり定着できたケースは少ない。

 文字通り「石の上にも3年」というように、かなりこじれた一定レベル以上の慢性疾患が、真の意味の8割以上の緩解を得るまでには、村田漢方堂薬局では3年以上かかったことはザラにあるし、慎重な人達は、8割以上緩解の後でも3年以上あるいは5年以上も念を入れて続けた人もザラにある。
 このように慢性疾患の根本的な解決を行うには「石の上にも3年」という覚悟がない人は、真の意味の体質改善は行えないように思われる。(これを読んで落胆される人は、一定の経費を要する自費の漢方には手を出さないほうが良いだろう。
 もちろん軽症者の場合は、この限りではないが・・・

 とりわけ重要なことは、一定レベル以上の慢性疾患では、滅多なことでは単方(一つの漢方薬方剤)だけで8割以上の緩解あるいは治癒を得ることは、ホトンド不可能に近いということである。
 最低でも2〜3処方が必要である。
 その根拠は、
漢方と漢方薬の御案内 にあるように、
 『中医漢方薬学』では、病気を解決するための漢方薬の組み合わせの法則(配合法則)として、
 @病気の直接的な原因となっている「内外の病因」を除去する漢方薬。
 A五臓六腑の機能を調整する漢方薬。
 B体内に流通する気・血・水(津液)・精の疎通あるいは補充を行う漢方薬。

という三方面の漢方薬を配合することが鉄則となっています。

 一般的な病気では、この三方面の働きを2〜3種類くらいの漢方製剤でまかなえることが多いのですが、成人病や難病では内・外の病因が複雑化しており、五臓六腑の機能失調の状況や、体内を流通する気・血・津液・精の盈虚通滞(量的に過剰か不足か、流通が過剰が停滞かなど)における病理現象が複雑化していることが多いため、3種類以上の漢方製剤が必要となることがあります。もしも、この必要不可欠な配合を無理に節約すると、治せる病気も治せないことになります。
とある通りである。