2007年03月08日

葛根湯と鋏(はさみ)

 ハサミと葛根湯の関係は・・・ほかでもない「馬鹿と鋏は使いよう」と同様に「馬鹿と葛根湯は使いよう」で、つまるところ「葛根湯と鋏(はさみ)は使いよう」ということだ。

 ヒゲジジイの主催するサイトやブログの中では最も人気の高い(クリック数が多い) において、
葛根湯(カッコントウ) : 漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記  このページに葛根湯の応用方法を簡単に記しているが、本来なら葛根湯専用のサイトをオープンしても良いくらい、極めて応用範囲の広い方剤なのである。

 風邪やインフルエンザにはほとんど非力ではあっても、頚椎症をはじめ、様々な領域に広く応用が効くことは驚くばかりである。
 しかしながら、上記のブログ内 葛根湯(カッコントウ) : 漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記  に記している内容を再読してみて、重要なことを書き漏らしていることを発見した。だから、そこに追記すれば良いことだが、このブログに書く理由は、最近、立て続けに併用方剤として葛根湯系列の方剤を追加することで効果を上げている人が続いているからである。

 きっとその方たちも、このブログだけは目を通されていることと思われるが、いずれも服用してい頂いている葛根湯系列の方剤は、それぞれに明らかな特徴がある。

 しばしば病院から投与される医療用の葛根湯との違いは、配合成分中の葛根と麻黄の配合比率が明らかに異なっており、葛根と麻黄の比率が常に二倍以上、葛根が多い製剤を使用している。医療用のように葛根と麻黄がほとんど同比率のものは使用しない、ということである。

 また、実際には医療用には存在しないらしい独活葛根湯(どっかつかっこんとう)製剤を使用することが断然多く、この方剤では葛根が麻黄の2.5倍も多い。さらに地黄と独活が加わっている製剤である。

 このように葛根湯系列の方剤は、名前の如く「葛根」が主薬であるから、配合成分上は「葛根」こそもっとも多くなければならず、それゆえにこそ慢性疾患にも応用が利き、長期間の使用に耐えるのである。

 本年は、常に頭がボンヤリしているという悩みを抱えている何人ものかたに、また耳鳴り・頭痛・肩凝りが重度に合併している人、ふらつきと耳鳴りが合併している人など、独活葛根湯製剤が大活躍している。

 上記のような葛根と麻黄が同比率に近い製剤では、峻烈な性質のある麻黄が勝ち過ぎて、一時的に風邪の引きかけに使用したり頓服的に使用する外には、長期連用にはどうしても負担がかかり過ぎる恐れがある。

 とどのつまりは、葛根が麻黄よりも二倍以上に配合されたものでなければ、逆に言えば麻黄の配合量をセイブしたものでなければ、長期連用に耐えない可能性が高いのである。

posted by ヒゲジジイ at 01:20| 山口 ☔| 時代的な傾向や使用頻度が増加中の漢方薬方剤 | 更新情報をチェックする