2007年02月26日

慢性関節リウマチの漢方薬および乳幼児の顔面湿疹の漢方薬

御質問者:東海地方・内科医師

 当地域は花粉の季ですが、村田さんはいかがでしょうか。ご自分で漢方薬を服用してコントロールなさってみえるでしょうか。それとも花粉とは無縁でしょうか。

 まずご報告から。先日ご相談した肝膿瘍のかたですが、入院先で系統的な抗生物質の点滴投与を受け、また、ご助言に従って補剤を内服してもらっています(抗生剤をシャ剤と見なしています)。お陰さまで解熱し、CT検査で膿瘍が縮小しつつあります。ありがとうございます。

 本日の本題は、30台前半のご婦人で、リウマチの罹病歴の長いかたについてです。ご本人の期待するところは、左股関節の痛みのコントロールとできれば関節炎の進行の遅延化にあるそうです。お元気ですが、歩行は制限があります。
 舌所見は、舌質は淡紅から紅で舌苔は薄い白色に多少黄色が加わった状態で、舌下に静脈の軽度怒張を認めます。
 お顔がやや浮腫気味で、トイレが近いそうです。ステロイドの内服を長期にわたり少量継続していることもあって、腎系は少なからず影響を受けているかもしれません。
 リウマチについては専門家にきちんと診てもらっているとのことです。
 とりあえず、温裏剤と六味丸系を処方したのですが、村田さんの経験からご助言に期待しています。

 もう一つ、乳児の顔面湿疹が激しい児にたいして、インチンコウトウ+チョレイトウの合包に41を処方したのですが、3日目に一旦ほとんど発疹が消えて、その後数日で再燃してしまったとのことです。1週目に来院されたときにオウギの影響を愚考して41を外して様子をみていますが、本日、初診から2週目にお父上が写真を持参されました。お顔は綺麗になっていましたので、胸を撫で下ろしているところです。解釈についてお教え願えれば幸いです。

ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 抗生物質の性質が中医学的に瀉剤と見なせば、多少とも遷延化した肝膿瘍では補剤の漢方処方の併用で、托裏消毒飲のような扶正去邪が行えるという解釈、なるほど!と何度もうなずいてしまいました。これまで、そのような発想をあまりしたことがありませんでしたので・・・!

 花粉症は身近な家族に関する限りは自分も含めてまったく無縁ですので大丈夫ですが、アトピーやその他の疾患に合併して花粉症がひどい方の御相談は当方でも日常茶飯事です。多くは体質改善三点セットで即効的に止まっているようですので、仕事上ではあまり苦労したことはありません。アトピーの漢方薬+自然療法

 ところで本題の慢性関節リウマチですが、わずかに黄苔がみられるということは、御本人が一番苦痛に思われている股関節には自覚的にも他覚的にも、その部分だけにほんの僅かでも熱感があるのではないでしょうか?
 当方では毎年何人ものリウマチの疼痛で悩まれる方が、いずれも直接何とか来局できるくらいで真の重症者は少ないかもしれませんが、多くの傾向として全身は冷え性で寒がりという部分が見えても、患部が多少とも熱感を帯びているタイプが非常に増えています。この場合は、以前であれば桂枝二越婢一湯加朮附湯の方意を得るために、桂枝加朮附湯製剤と越婢加朮湯製剤の併用でうまく行くことも多かったという印象が十年前々のことで、昨今では、この方剤が効いても一時に終わる例が目立ったいる為、某社の疎経活血湯を加減した便利な製剤に地竜を加えることでうまく行くケースが断然目立っています。

 関節リウマチの患者さんには不思議と六味丸を使用した経験はあまりありません。関節リウマチではない特定疾患の各種の「膠原病」に対しては六味丸を使用することも多く、リウマチ様の症状が合併している人に対しては、やはり特殊な「膠原病(全身性エリテマトーデスなど)」であっても、あくまで弁証論治で関節リウマチの人と同様な配合をお出しすることもあれば、先日遭遇した例では、まだ病名が確定していないながらも明らかな膠原病で、各所の筋肉痛と伴に結節性紅斑的な湿疹が併発して浮腫気味の人に、明らかな黄薄膩苔を目標に病名が確定するまで、茵蔯蒿湯だけをお出ししていたところ、10日も経たずして発疹様の皮膚症状は半減してしまいました。

 ここで茵蔯蒿湯の話を持ち出したのは、関節リウマチで、もしも患部だけに熱感があり、黄苔も伴う場合では、当方でしばしば行う祛風除湿の方剤に地竜を併用する方意と同様なことが、医療用漢方の範囲内で行う場合には、茵蔯蒿湯と疎経活血湯、あるいは桂枝加朮附湯などと併用することで可能かもしれない?と愚考したからです。
 茵蔯蒿(いんちんこう)自体は、当帰拈痛湯(とうきねんつうとう)などにも配合されていることもヒントになると思います。

 しかしながら、日本流の配合ではもしも患部に僅かな熱感や時に微熱を発するようなタイプでは、上述の桂枝二越婢一湯加朮附湯が多く用いられますので、この可能性もありかな?と思います。
(その点、やはり保険漢方における「エキス製剤」の範囲内での考察は、かなり手足が縛られている感じがしないでもありません。地竜のエキス剤や疎経活血湯を加減したユニークな製剤等の使用は不可能でしょうから・・・?)

 乳児の顔面湿疹の症例の方は、アトピー性皮膚炎ではなかったということでしょうか?
 乳幼児期のアトピー性皮膚炎の多くは食物アレルギーが主体となっているはずですので、多くの場合、補中益気湯証が並存していることが多いのですが、しかしながらこれはあくまで一般傾向という話だけですから、弁証論治の原則から言えば、補中益気湯を必要とする体質であれば、舌象に明らかな兆候が見えているはずです。

 舌質が少なくとも淡紅〜白で舌の弾力に勢いがないなど、どこかに明らかな気虚の証拠が出ているはずです。それゆえ、ご報告頂いた結果から解釈させて頂けば、虚証の兆候が一切なかった筈(笑)だから温補剤である41番の補中益気湯が清熱除湿目的の二方剤の効果を邪魔してしまっていたから、41番を中止することで、二方剤の清熱除湿効果がフルに発揮できて緩解したということでしょう。
 
 当方でも昨年暮れ、先生とは逆ではありますが類似した経験をしています。明らかな補中益気湯証の幼児のアトピー性皮膚炎で(舌質は白!)あるのに、補中益気湯が良く効いているようなので、うっかり微寒の性質のあることを忘れてシバシバ著効を奏する体質改善三点セットの量をこれまでより増やすように指示したところ、一気に逆戻りして面目まる潰れです。

 実熱の兆候がまったくないのに過剰に微寒の性質の生薬の量を増やした為に補中益気湯の効果を台無しにしたことは明白でした!

 直ぐにそれらを減量するよりも手っ取り早く中止してもらって現在も補中益気湯の煎じ薬だけで経過をみてもらっていますがまずまず順調で、舌にも次第に血色が出てきたとの報告が得られています。(しっかりと血色が回復して以後には、再度体質改善三点セットを使用する必要が出てくるかもません。)

 ところで、当方でも今年のアトピーの新人さんたちの半数近くが茵蔯蒿湯と猪苓湯を基本に運用して効果を得ています。もちろん大人のこじれたタイプばかりですので、この二方剤だけではやや弱い場合が多いのですが、それでも中心方剤として運用するケースが非常に増えているように思います。

 以上、散漫になりましたが、取り急ぎお返事まで。
                  頓首
        村田恭介拝


折り返し頂いたメール: 速やかにお返事くださいまして大変助かります。開業医としては何よりのヘルプで感謝しております。
 リウマチの処方ですが、インチンコウトウ、疎経活血湯、あるいは桂枝加朮附湯などとの併用、というアドバイスは大変興味深いです。患者さんの所見をきちんと把握したうえで、選択枝として活用させていただきます。


【編集後記】 そういえば乳幼児の湿疹で思い出した。
 十年以上も前のことだが、生後七ヶ月の赤ちゃんがアトピー性皮膚炎との診断で、全身ひどくて顔面は特に真っ赤な鬼瓦の様相を呈し、田舎のことだからこの子は今に死ぬのではないかと噂になっていたという。それほど重症のアトピー性皮膚炎だったが、舌先だけが赤いわりには舌質は淡紅〜白で精細がない。顔面の真っ赤な割にはやや疑問に思ったが、まずは炎症を取るべき黄連解毒湯単方を出したところ、一向に効果が見えない。
 さては〜〜と思って、これに補中益気湯を追加したところ、面白いように急転直下の速効を得て、数ヶ月もすると殆んど完治してしまった。
 こういう経験があるから、李東垣の「内外傷弁惑論」中の補中益気湯証につながる「陰火」の論を深く敬服しないわけには行かないのだった。

 ちなみに李東垣の言う「陰火」の解釈に定説はなく、現代中医学においても、もちろん日本国内においても、「内外傷弁惑論」中の陰火の論を誰もが理解できるようにスッキリと解読・説明された例はいまだに見当たらない。

posted by ヒゲジジイ at 00:33| 山口 ☀| 各種膠原病や関節リウマチやシェーグレン症候群など | 更新情報をチェックする

2007年02月25日

アトピー性皮膚炎の漢方治療

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
ご職業 : 自営業
簡単なご住所 : 関西地方
具体的な御職業 : 鍼灸師
お問い合わせ内容 : はじめまして!

 アトピーの患者のことでご相談があります。完治できるか自分ではわからないので、経験豊富な村田先生にアドバイスを頂けたらと思います。
 患者:男性 40歳 
 原因:過労で8年程前にいきなり発症。虚したところにおそらく外邪に襲われたと思います。
 アトピー症状:全身が乾燥性のアトピーで皮膚が赤く、粉状に皮膚が吹いています。ステロイド歴は8年ほどです。
 診断:脉は数脉。緩で脾虚あり。腎虚三焦実。寝汗が多い。寝付き難い。
 最初、消風散を飲んでいましたが、今ひとつ効果がなく、黄連解毒湯+六味丸に変えるとすぐに粉状の皮膚がなくなり、皮膚が潤ってきました。
 痒みも少しあるがステロイドがいらない程度になっております。
 しかし4ヶ月たった今も赤味が全身にあるままです。このまま飲み続けて完治できるのか不安になっています。
 脉では三焦の熱はとれてきていますが、皮膚の赤味というのは中々とれないものなのでしょうか?

 漢方の経験が浅い自分ですが、ぜひ治してあげたいのでお力お借りしたいです。情報が不足していれば、言って下さい。よろしくお願いいたします。


ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 黄連解毒湯+六味丸で一定レベルの緩解を得られているとのことですが、下記のかなり偏った当時の拙論、
アトピ−性皮膚炎の中医漢方薬学療法 
の一つのパターンにピッタリ該当している体質の患者さんのように思われます。
 ステロイドを8年も使用していたのが、あまり使用しないで済むようになったということは、十分な効果を示している証拠だと思われます。

 ただ、4ヶ月経っても全身の赤味が取れない、自覚症状は良いのに見た目の赤味が取れないという原因は、数種類の可能性が考えられます。
 まだ服用期間が短いために赤味がしっかり取れないのか?(この可能性も大きいと思います!)

 あるいは《素問・至真要大論》に言う「諸々の痛痒瘡は、皆心に属す」の中の心に直結する火の種類の問題。
 上記の拙論に、当時はまだアトピーに対して補中益気湯を使用した経験がない時代に論説した可能性として、
李東垣の「内外傷弁惑論」中の「陰火」の論が興味深い。「脾胃の気衰え元気不足すれば心火独り盛んなり。心火は陰火なり・・・・・・・・」とあり、これを例の《素問・至真要大論》の「諸の痛痒瘡は、皆心に属す」と結び付けることが出来る。心は火を主り、この火は何も「実火」に限らず、各種の「虚火」も含まれて当然である。アトピ−においては実火も虚火もあらゆる「火」は消し止めなければならないのである。
 と記しているように、その後実際に、黄連解毒湯のような三焦の実熱を除去する方剤のみならず甘温除熱の補中益気湯を併用する必要があった例も現実にあります。
脾肺病としてのアトピー性皮膚炎

 あるいは瘀血が並存している為の問題があるのかどうか?追加注記:ただし六味丸が適応している場合には、六味丸自体に含まれる地黄や牡丹皮のお陰でかなりなところ涼血と活血作用を期待できる。

 これらの可能性が考えられますが、ご報告のように明らかな脾虚があるのであれば、それを鍼灸師さん達の得意分野であられる脈診だけでは確証が得られないと思います。
舌象はどうなっているのでしょうか? 脈診は人によって主観が入りやすく相当な熟練が要ることと思いますが、舌象にはかなり客観的な体内の異変が視覚的に反映されるものと思います。
 つまり、この舌象も併せて考察すべきだと考えるわけですが、舌象に特徴的なことはないのでしょうか?
舌先の赤味の強さの問題、舌質の赤さの度合、舌全体の大きさと歯型が付いているかいないか?(これが顕著であれば補中益気湯証を合併しているかも知れない?)
舌の苔はどうか? などなど。
 もしかすると猪苓湯の配合が不足しているかもしれないなど?????

 ただし、もう一つの問題は、黄連解毒湯と六味丸が現在的確に合っているようでも、このまま使用し続けると、氷伏を生じる可能性もあるかもしれない。
 氷伏には広義の氷伏と、狭義の氷伏があると愚考していますが、広義の氷伏として、寒涼薬の過剰投与によって気血を凝滞させて様々な虚証を誘発するもの。
 狭義の氷伏は、寒涼薬の過剰投与によって熱邪を一部に閉じ込めてしまう。
 こうなるとこれまで順調に効果が得られたものが、突然のように効果を失って、前者の場合では、様々な変証が出現してしまう。後者の場合では、いくら継続服用してもまったく効果を示さずに次第に漢方薬服用以前の病状に戻っていってしまう。


 いずれも小生自身が過去、現実に経験したことをもとに、広義の氷伏と狭義の氷伏というのを今、即興的に記してみましたが、いずれも寒涼薬過剰投与による気血凝滞を引き起こしたことによる問題だと考えています。

 ということで、出来れば舌象のご報告が得られれば、と考えます。
 ご報告の内容で、やはり少し気になるのが「脾虚」の問題です。わずかな脾虚であれば、黄連解毒湯証では、往々にして見られる「胃強脾弱」の問題として、黄連解毒湯による湿熱除去効果によって脾弱の問題は解決されることが多いはずですが、これも程度問題で、明らかな脾虚が存在する場合は、李東垣の言う「陰火」が潜んでいる可能性も捨てきれなくなりますので・・・

以上、取り急ぎお返事まで。
                   頓首
村田漢方堂薬局 村田恭介拝
posted by ヒゲジジイ at 11:15| 山口 | アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2007年02月24日

膠原病の可能性が高いのに専門医に御紹介されない一般医院にかわって患者さんを専門医に紹介した2例

 一般病院や一般医院に長年留め置かれて、病名不明のまま症状の辛さと不安で村田漢方堂薬局を訪れた二名の方。明らかに特定疾患の兆候が顕著であるので、専門医に御高診を請うことになった。

特定疾患が疑われるのに専門医に紹介されようとされない開業医の先生方

 しなしながら、当方は医師ではないから医師同士が行うような紹介状を認めることはしない。紋切り型の紹介状の書き方を数十年前に呼吸器専門医の叔父に教わっていたが、なんだか薬局風情が格好を付けすぎに思われるようで、格式ばったことはしないことにしている。だから患者さんに口頭で、村田漢方堂薬局のヒゲジジイに指図されて、診察を御願いに参りました、と言ってもらうことにしている。
 
 上記のお二人とも予測どおり的中(膠原病)で、お一人の場合は既に必要最小限の漢方処方を一つお出ししていたから、複数ある辛い症状の一つは、10日間で半減した。
 お一人も明らかな診断が下ったので、数日前に病名報告に来られた時に二つの方剤をお渡ししておいた。

 一般医院や病院に留め置かれて病名不明のまま、患者さんが不安になって当方のところへ御相談に来られるケースは例年、かなり多い。
 なかには今回のように明らかにほどほど重大な特定疾患であるのに、かかりつけの病院や通院中の病院では、診断名があやふやなまま留め置かれ、その間に次第に病状が進行しいく例も珍しくない。そのようなケースでは決まってヒゲジジイからみても明らかに特定疾患と予測される事例ばかりなのである。

 とりわけ理解に困しむことは、同じ医師である一般病院クリニックの先生方が、それらの患者さんを専門医に回して診断を仰がれないまま放置していることである。

 西洋医学的にも対症療法以外には根治方法はなく、むしろ副作用のない漢方薬に向いた疾患であるから長期間の根気を要するものの三十数年間の経験例は豊富で、緩解例は枚挙に暇がない。

ラベル:特定疾患 膠原病
posted by ヒゲジジイ at 21:36| 山口 | 各種膠原病や関節リウマチやシェーグレン症候群など | 更新情報をチェックする

2007年02月23日

腰の捻挫によって生じた長年の腰痛に対する漢方薬

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : アメリカ合衆国
具体的な御職業 : 管理職
お問い合わせ内容 : メールにて失礼いたします。米国に駐在中の00歳(男)の会社員です。

 10年前に空手の練習中、腰と右足の付け根(太ももと腰の繋がる辺り)を酷くひねって(捻挫)以来坐骨神経痛のような痛みに苦しんでいます。
 昨年末に中華街の漢方薬屋で座骨神経痛には「独活寄生湯(エキス剤)」が良いと言われて服用しています。
 ただ気になっているのは先生のサイトでは「漢方薬はきちんと漢方医にかかって服用するもの」とありましたので、このまま服用しても問題が無いか心配しています。(今のところは特に副作用はありません)
 また、漢方薬で実際に私のような外傷性の坐骨神経痛に効果があるのか、そのような症例はあるのかが気になっています。
 お忙しい中を大変恐縮ではございますが、アドバイスを頂戴できれば幸いです。よろしくお願いいたします。


ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 漢方薬はどんなに優れた処方を用いても、その人の病状と体質にマッチしてなければ、まったくの暖簾に腕押しで、ほとんど効果を発揮しないものです。ですから、その漢方処方の効果・効能に、たとえピッタリの症状が書かれていたとしても、ぜんぜん効果がない、ということもシバシバ生じるのが漢方の微妙で繊細なところなのです。

 それゆえ、専門家に会って直接御相談して体質と病状にピッタリ合った方剤を調合してもらうなり選択してもらうなりしないことには、店頭で気軽に「これがいいですよ」くらいのことでは、適切な方剤が選ばれるとは限りません。
 たとえば貴方が現在服用中の「独活寄生湯」は、中医学的効能では、肝腎不足の風寒湿痺に対する方剤としてとても重宝な方剤です。
 ところが貴方の場合は、捻挫によって生じているだけに中医学的には跌打損傷によるオ血阻滞が直接的原因になっているわけですから、

http://blog.livedoor.jp/cyosyu1/archives/50581046.html (このページのFに該当)

 少なくとも貴方が服用中の独活寄生湯の中には跌打損傷によって生じた血瘀に対する薬味の配合があまりにも少ないので、ややピントがずれているように思われます。
 むしろ文面だけでは断定できないのですが、まったく日本ではありきたりな方剤、疎経活血湯 http://cyosyu.exblog.jp/i35 や 条件によっては
 桂枝茯苓丸料  などの方向に解決策があるはずですが、もちろん、このようなことは単なるメールのやり取りくらいでは、正確なことはいえるものではありません。
 
 近年、アメリカでは中医学熱が盛んで、日本では日本漢方やエビデンス漢方の総本山のようなメーカーさんですら、アメリカでは中医学専門の病院(医院?)をオープンしているとのきわめて矛盾した噂を聞いたりするほどです。
 そちらでも探せば、中医学や漢方専門のクリニックや薬局があれば直接、診断を仰ぐなり詳細な漢方相談をされるなりされて、ピッタリ合った処方を手に入れるべきだと思います。
 
 なお「漢方薬で実際に私のような外傷性の坐骨神経痛に効果があるのか」との御質問ですが、まったくもって日常茶飯事のご相談内容で、漢方薬の最も得意とする分野の一つでもあるわけです。西洋医学では手術以外に治療方法がないとて、手術を免れたい為に漢方治療を求めて来られた多くの男女を、村田漢方堂薬局の仕事だけでも三十数年間にどれだけの人が治っていかれたか、ややオーバーに言えば数限りがないほどです!

 以上、取り急ぎお返事まで。
                          頓首
村田漢方堂薬局 村田恭介拝


折り返し頂いたメール村田先生侍史

ありがとうございます。
早速、中華街にある中医学のクリニックに行こうと思います。
お忙しい中を貴重なアドバイスを頂戴し、ありがとうございました。

2007年02月21日

病院で投与されている30年来の慢性気管支炎に対する漢方薬

性別 : 女性
年齢 : 60歳〜69歳
ご職業 : 主婦
簡単なご住所 : 近畿地方
お問い合わせ内容 : 5ヶ月程医院で漢方薬を処方して頂いています。
 30年来慢性気管支炎があり2,3年まえからエアコンの風が当たると痛みを伴うようになり、一般病院では異常なしと診断され、本で紹介されていた病院(漢方薬を処方されます)で受診しております。
 頻尿もあり薬もそのように処方して頂いているはずです。
 小青竜湯、八味丸料、処方されています。改善されれば中断すべきでしょうか。


ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 こういう御質問のお返事が最も困難です。まったく雲を掴むような内容です。

 五ヶ月間、漢方薬の小青竜湯、八味丸を服用されて、調子は良いのか悪いのか、効いているのか効いていないのか? これらについての記載がないわけですから、ドウ判断してよいやら困惑するのみです。

 わずかな手がかりが「30年来慢性気管支炎があり2,3年まえからエアコンの風が当たると痛みを伴うようになり」ということですが、この疼痛を伴う気管支炎が中医学的に熱証や肺陰虚であった場合は、小青竜湯や八味丸など、とんでもないピンとはずれであり、却って悪化しても不思議ではない配合となります。

 ところが、それとは逆に中医学で言う「肺寒停飲」による気管支炎や気管支喘息であれば、大正解ということになります。(エアコンがこたえているところもみると、かなりフィットしている可能性も高い。)
 もしも大正解でピントが合っており、次第に調子が良いのであれば、三十年も続いていた気管支炎なら、今後も状況に応じたピントの合った適切な漢方薬を一生涯続けるべきだと思います。ご年齢のことを考えますと・・・ということです。

 つまり、三十年も続いた慢性疾患が真の意味で根治することは殆んどあり得ないからです。

 以上、簡単ながら取り急ぎお返事まで。


折り返し頂いたメール:早速お返事頂き有難うございます。本当は医者に相談すべき事なのですが、じっくり話がし難く困っておりました。貴重な助言を頂き感謝いたします。


【編集後記】 一般病院で異常無しと診断されても、呼吸器専門病院で診断してもらうと気管支喘息や気管支炎と診断された例は、数限りない。病気の受診はかならず専門医に見て貰っておくべきである。それから漢方治療を始めても遅くはない。
 お問い合わせの女性は、もしかすると小青竜湯と八味丸で効果がでており、止めるとしたらいつ頃止めるべきかまだ続けるべきか、それらの詳細を主治医に相談するタイミングや勇気?がないために、こちらに問合せがあったのかもしれない?
 世間にはザラにある奇妙な現象で、通院中の医師にまともな質問が出来ずに他に問い合わせる、という落語のネタになりそうな話が日本国中で日常茶飯事なのだからおかしいというよりも実に不気味である。
 患者さんが多くて質問を遠慮されるというケースが最も多いようだが、あの流れ作業のような大量の患者さんを短時間で診て、短時間で診断し治療薬を投与されるスーパーマン医師が日本国中に存在するということなのだろう?!

 今や医療用漢方でも上記のように同様な現象が起こっているらしい。
 漢方で流れ作業が通じるなんて、信じられない光景ではあるが怪訝なのを通り越して実に神業としか言いようがない??!
ラベル:慢性気管支炎

2007年02月20日

胸、背中内部の熱感に対する漢方薬

性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
ご職業 : 医療・福祉関係



簡単なご住所 : 関東地方
具体的な御職業 : 薬剤師(漢方相談)
お問い合わせ内容 : 村田漢方堂薬局 村田恭介先生 前文失礼しますはじめまして。
 私は●●在住の漢方相談薬局に勤める薬剤師です。漢方相談歴がまだ半年でして、まだまだ使いこなせる処方も少なく、毎日が勉強の生活を送ってます。
 村田先生のHPを拝読してはいるのですが、どうしても方向性が導かれず、行き詰っている方がおりまして、助言をいただきたく、メールいたしました。
 大変お忙しいところ、申し訳ないですが、宜しくお願い申し上げます。

 八十代前半の男性 ???cm ??kg がっちりとした体格。
 主訴: 体温は平熱(36度台)なのですが、3年位前から、上半身の特に胸、背中の内部に熱感をひどく感じ、燃えるような感じがおさまらない。午後以降がひどくなり、夜は眠れない。
 皮膚表面には熱はなく、むしろ手足は冷えている。内科受診し臓器的な問題はないとのこと。睡眠導入剤は服用中。喘息体質らしいですが、今は沈静しています。
 3年前に大腸ポリープ手術。嗜好品 酒・毎日コップ1杯ほど たばこ20本少し肌は乾燥気味で、のどの渇きもありますが、水を飲みたいほどではないです。
 白内障で眼圧も高い。最近は食欲があまりない。便秘気味で便は少し固め。排尿は1日10回(夜間2回)。
 舌質・紅暗 苔・白賦。

 加味逍遥散処方にて、夜中の熱が憎悪。
 来店時、風邪を引いていて鼻水が出るというので、+黄連・桂皮・桃仁を加味。しかし、まだ熱は抑えられないので、黄連解毒湯+石膏・牡丹皮 を処方。
 さらに憎悪したらしく、今は服薬後2時間すると、熱を感じ、口が渇き冷たいものを欲するようになった。
 尿などの症状は初めと変わらず、食欲もない。こめかみあたりも痛くなってきたとのこと。
 実熱ではなく虚熱であると考えて次回は滋陰清熱の処方を考えてはいますが、どうも落とし込める処方がありません。

 なにか助言いただけたらと思います。厚かましいお願いかとは存じますが、宜しくお願い申し上げます。


ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 読んだ瞬間に浮かぶ処方はまず、第一に小陥胸湯です。但し、この場合、白膩苔ではなく黄膩苔でなくてはなりません。もしも僅かでも苔に黄色味があれば、可能性は高いと思います。

 次に考えられるのは、釣藤散あるいは大柴胡湯、あるいは両者の合方です。
 苔の白膩に(みられる)明らかな痰湿の存在といい、眼圧が高いことといい、不眠症であり高齢であることから、釣藤散証がベースにあるようにも思われます。

 舌の紅暗は紫舌の別表現ですから、血瘀(けつお)の存在は明らかだと思われます。大黄には優れた活血化瘀作用がありますので、白膩苔に黄色味がわずかでもかかっているようなら、大柴胡湯証であることも十分に考えられます。便秘気味でもあることですし、大柴胡湯証の存在はないかを検討する余地があるかもしれません。

 また、釣藤散に地竜を加えるのも有効かもしれません。地竜には清熱熄風、鎮驚、清肺平喘、行経通絡、利水通淋など、釣藤散とはとても相性のよい薬味です。喘息体質にもマッチします。
 地竜単独でも有効かもしれませんが、白膩苔というのがちょっと気になるところです。

 以上の乱雑な書き殴りが少しでもヒントになればさいわいです。
                           頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝

【編集後記】 お問合せの文面に「実熱ではなく虚熱であると考えて次回は滋陰清熱の処方を考えてはいます」とあるが、あきらかな白膩苔があり食欲もあまりない人に、滋陰清熱を行うのは疑問である。


折り返し頂いたメール:昨日は突然のメールにも関わらず、早急にお返事いただいたこと大変感激しております。ありがとうございました。

 直前の処方で実熱は少しでもおさえられると思ったのに、全く
奏効せず、それどころか憎悪したので、虚熱と判断したのは浅
はかでした。
 もう一度、先生から頂いたヒントをもとに処方検討をして、症
状が改善するよう努めたいと思っております。

 お忙しい中、本当にありがとうございました。

ラベル:熱感
posted by ヒゲジジイ at 00:40| 山口 | 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

2007年02月19日

薬学部卒業後に漢方を専門に学ぶには?

性別: 女性
年齢: 20歳〜29歳
簡単な御住所 : 四国地方
具体的な御職業 : 薬学生
ご意見やご質問をどうぞ: お忙しいのに、お時間を取らせてしまってすみません。
 私は、現在薬学部3年生なのですが、漢方に興味があり、卒業後の進路の一つとして、漢方を専門的に学びたいと考えているのですが、そのような道に進むにはどうすればよいのか、分からなくて、助言をいただきたくて今回メールをさせていただきました。
 突然のメール、すみません。もし、御返事をいただけると幸せです。

ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
 漢方専門薬局で薬剤師募集があれば、そこに勤務されるのが一番早道のように思われます。仕事が即実践につながるぶん、薬局店頭での実践を繰り返しながら、毎日沢山の専門書を読む日々が続くことでしょうから、一番知識と実践力がつくように思います。
 保険のきかない自費の漢方専門薬局では、効果がなければ誰も来てくれなくなるはずですから、否応無しに勉強せざるを得ない状況に追い込まれます。

 あるいは、ある程度無謀を承知で自営の漢方専門薬局を開いて、漢方の勉強をしながら薬局経営を行うのも、必死で勉強せざるを得ないので知識と実践力が早くつくことでしょう。

 後者の方をやってしまったのが今お返事を書いているヒゲジジイのやり方でした。また、どの本を読んだらよいのだろうか、という御質問もシバシバ受けますが、初学者の時には、これはと思う本はすべて買い込んで、沢山の本を嫌になるほど読み込むことだと思います。
 但し、重要なことは学ぶ流派のことですが、日本漢方を学ぶと直ぐに漢方が使えるようになる反面、論理性に乏しく、医学薬学体系をなしておらず、中医学に比べれば余りにも没理論に過ぎますので、日本流の方証相対論やエビデンス漢方の道に踏み込むと、東洋医学的な論理に基づいた思考能力を養うことは出来ません。
 一方、陰陽五行学説を基礎として発展した中医学世界の方が、遙かに論理性に富んでいますので、最初はとっつきにくくとも、将来、必ずや論理的思考能力が養えて、自身による創造性を大いに発揮できる世界です。

http://www.cyuikanpo.com/cyuikan.html

 話が逸れましたが、やっぱり漢方専門薬局に就職されるのが一番だと思います。
 もしもヒゲジジイのように人に使われるのが大嫌いな人間は、早く自分の漢方専門薬局を持つことです。効果のある漢方薬を適切に販売できる能力がなければ、メシを食っていけなくなるので、必死で我武者羅に勉強せざるを得ないので、早く上達し、知識も増すことでしょう(笑)

以上、取り急ぎお返事まで。
                       頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝


折り返し頂いたメール:お返事ありがとうございます。

 漢方薬を専門に扱っていらっしゃる現場の意見を聞けて、とても参考になりました。
 学校の授業では教えてもらえないようなことも分かり、勇気を出してメールをして良かったなと思っています。
 改めてこれからも勉学に励み、将来の進路を切り開いていきたいと思いました。

 お忙しいのにお時間を取らせてしまってすみませんでした、そしてありがとうございました。
ラベル:漢方専門薬局
posted by ヒゲジジイ at 00:08| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2007年02月18日

芎帰調血飲と芎帰調血飲第一加減

性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
簡単なご住所 : 近畿地方
お問い合わせ内容 : 今授乳中で・・・。ストレス・疲労と困っています。
 キュウ帰調血飲が目に止まったのですが、産後のファーストチョイスなのですよねー。
 もしキュウ帰調血飲に+するなら何がいいですか?
 たぶんストレス症状が強いので、キュウ帰調血飲だけでは・・・。
 身長///p、//キロ(注記:痩せ型)で凄く手足冷えますが、夜・寝汗(下半身)が酷いです。
 酷い便秘症で硬く、コロコロしています。動悸も酷くて、寝付きも物凄く悪くて(不眠)、キーとなり辛いです。


お返事メール:拝復
 「キュウ帰調血飲」がよいとも限りません。これに更に様々な生薬を加えた「キュウ帰調血飲第一加減」という処方があるのです。産後の養生薬としてはむしろこちらのほうが一般的かもしれません。

 実際には貴女にどれが相応しいかは、お近くの漢方専門薬局でご相談して処方を選んでもらったほうが無難です。

 よくある産後の疲労症状のようですから、どこの漢方専門店でも御相談に慣れているはずです。処方を指名買いする前に、必ず直接出向いて御相談して下さい。そちらは大きな町ですので、漢方専門店は直ぐ近くにあるはずです。

 以上、取り急ぎお返事まで。


【編集後記】 芎帰調血飲の処方内容は、
 当帰 川芎 地黄 白朮 茯苓 陳皮 香附子 牡丹皮 大棗 乾姜 甘草 鳥薬 益母草
 芎帰調血飲第一加減は、上記にさらに白芍薬 桃仁 紅花 牛膝 枳殻 木香 延胡索 肉桂 が加わったものである。
 この2方剤の薬味を比べると、断然第一加減の方が多く、応用範囲がとても広くなっている。一般的な産後の血の道症にしばしば使用されるが、不妊症治療にも大活躍する。

 ヒゲジジイの経験では、内膜症が原因の不妊症で、地元の有名な不妊症外来でも治療方法がなく、日本全国でも有名な不妊治療病院に紹介されたが、詳細な検査によって治療方法がないと宣告され、当帰芍薬散などが投与されていた。

 当方では内膜症を治しつつ不妊症治療も狙って芎帰調血飲第一加減を服用してもらうこと六ヶ月で妊娠。ところが数ヵ月後に流産してしまった。今度は、妊娠したら直ぐに流産予防の方剤に切り替える約束で、再び芎帰調血飲第一加減を服用してもらったところ半年も経たずに妊娠された。今度は、流産予防に補中益気湯と芎帰膠艾湯を併用してもらった。安静にする必要があるので、しばらく某産婦人科に入院してもらって、入院中も上記の流産予防の方剤だけを服用してもらった。
 そのお陰で、無事出産し、その後もさらにお一人生まれて、めでたしメデタシの方剤であった。

蛇足ながら、芎帰調血飲第一加減 に丹参(たんじん)一味を加えただけで、ヒゲジジイが開発提案と指導を行って製品化が実現したウチダ和漢薬の生薬製剤二号方の成分がすべて含まれることになり、さらに応用範囲が広がるのである。

 さらにもっと蛇足ながら、生薬製剤二号方開発の経緯 の本当のところを将来もっと具体的詳細に公開することもあるだろうと思われる。

 もちろん知る人ぞ知る、本来、芎の薬味は基本的にはイスクラ製薬の「冠心二号方」と同じものである。
 また昨今、製品名は異なっても処方内容が同一なものが、各社から何種類も市販されるようになっている。

 ところが、日本国内での製造許可が取得できたのは唯一、ウチダ和漢薬の生薬製剤二号方であり、薬味一つ一つも日本人向けにヒゲジジイが特別に指定したものによって医薬品の製造許可が得られている。

 ちょうど各社の猪苓湯製剤に明らかな特徴や優劣?があるように、これら生薬製剤二号方や冠心二号方類についても、各社それぞれに現実に使用したときの優劣?あるいは特徴といったものが異なっている。

 いずれもっと裏話を書くことがあるかもしれない。

posted by ヒゲジジイ at 01:15| 山口 ☔| ウチダの生薬製剤二号方と丹心方 | 更新情報をチェックする

2007年02月17日

肝膿瘍の漢方薬(付録:慢性骨髄炎、肺膿瘍に対する漢方薬)

御質問者:東海地方の内科医師
いつもご助言ありがとうございます。
 ・・・・・件ですが、お教えください。
 下痢と発熱で発症し入院され、CTなどで肝膿瘍と診断されているそうです。
 抗生剤の点滴投与を受けているそうです。普段からかなり日常生活に無理のあるかたです。何か免疫抵抗力を高めれればと思っていますが、定番の十全代補湯とか補中益湯でよろしいでしょうか。
 ふと茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)も浮かびましたが、いかがなものでしょうか。
 体格的にはしっかりなさっていますが、かなりガタのきている状況にあるようです。
 情報量が少ないですが、お願い申し上げます。


お返事メール:拝復
 急性炎症期であれば傷寒論医学的の柴胡剤を主体に牛黄や白花蛇舌草を加えるなどが有効性が高いと思います。(文献的にはサフランが有効とも書かれていますが、使用経験はありません。)

 ところで、急性炎症期をやや脱している時期であれば、托裏消毒飲などが適当ではないかと考えます。
 現実に、肝膿瘍ではないのですが「肺膿瘍」で繰り返し再燃して、今度風邪を引くと敗血症を起こして命が危ないといわれた危機的な状況の・・・の方に、托裏消毒飲を煎じ薬で投与して完全治癒、以後20年近く予防的に続けられ、肺膿瘍には完璧な偉効を奏した経験を持っています。

托裏消毒飲 : 漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記

 ここでは托裏消毒飲の方意を模倣して慢性骨髄炎をほぼ完全緩解に近い状態を維持して現在も服薬継続中の方の例を記載しています。

 肺膿瘍も慢性骨髄炎も、御質問の肝膿瘍とは西洋医学的には無関係のように見えても、中医学的にはかなり共通性があると考えます。

 また問題の肝膿瘍の経験では、中国地方在住の女性で、肝膿瘍を再燃を繰り返す人が、・・・・
中国では医薬品ながら日本では健康食品扱いされる方法の為、公開不能。ちょっとおかしな日本ですよ)・・・を長期愛用され、結果的には再発しなくなった方がおられます。

 ところで、医療用漢方の範囲内で敢えて考えますと、上記の托裏消毒飲的な考えからすると、十味敗毒湯・補中益気湯・茵蔯蒿湯ですが、下痢症の様子如何だと思います。

 いずれの場合も中医学的には詳細な舌象によって臨機応変に弁証論治する必要があると思います。
 
 ところで、もしも現在急性炎症期が継続している場合であれば、ご指摘の「定番の十全代補湯とか補中益湯」につきましては、却って炎症を助長する場合があります。少なくとも去邪の生薬を十分に配合しなければなりません。

 急性期を脱している状態であれば、扶正と去邪を同時に行うべき時期に移行している筈ですので、遷延化する傾向が明らかであれば、托裏消毒飲などが適当ではないかと愚考するところです。その代用としては、医療用で行う場合に上記の「十味敗毒湯・補中益気湯・茵蔯蒿湯」三者合方などが考えられそうだ、というわけですが、やはり現実的な舌象および病期におけるタイミングの問題は重要だと思います。

 以上、取り急ぎお返事まで。
                         頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝


【編集後記】 上記の当方でご相談した人の相談カードを取り出してみると、過去に胆石を繰り返し、手術も繰り返し、肝膿瘍でも手術し、その後肝内結石を繰り返し、当方に訪れるまでに肝膿瘍を合計で3度繰り返していた。何度も肝膿瘍を繰り返すので、県外から訪れた人だった。平成1年から平成14年まで続けているが、その初期には肝膿瘍でもう一度入院されていたので、合計4回は繰り返していたことになる。

 また上記の肺膿瘍と診断されていた人は、シバシバ高熱を発し、抗生物質が殆んど効くものがなくなって、今度風邪を引くと敗血症の危険性が強く危惧されている段階で、托裏消毒飲が著効を奏し、当時このことで、京都で開業されご存命だった緒方玄芳先生とシバシバ情報交換をしていた。(托裏消毒飲は、緒方先生の東亜医学協会発行の月刊『漢方の臨床』誌などで発表された御研究により、日本の漢方界でより深く認識された方剤であった。)

2007年02月16日

胃弱など消化器系統の不定愁訴

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 医療・福祉関係
簡単なご住所 : 関東地方
具体的な御職業 : 薬剤師(漢方相談)
お問い合わせ内容 : いつも村田先生のHPにはお世話になっております。
 漢方相談を受けていますが、なかなかうまくいかない方があり、あつかましいお願いですが、アドバイスをいただきたくメール致しました。宜しくお願いいたします。

??才主婦 ???cm ??kg(注記:痩せ型
主訴:気持ち悪く、食欲が出ない。胃もたれは20才の頃からある。3年前に過敏性大腸症候群。2年前に胃炎をしてから特に調子悪い。
 はじめの頃は、胃痛、ゲップ、もたれが強かったが現在は、ゲップ、ガス、はりはたまに。
 でもぞおちが痞え、気持ち悪い症状がとれない。その他:不眠(心療内科でソラナックス服用)最近は急行に乗れない。胸のあたりにもやっとしたイヤな感じ(動悸のような)がある。
 胃下垂、疲れやすく、手足が冷える口渇なし。湯茶を5〜6杯/日トイレは近いほう(夜間0回、昼夜8〜10回)大便は1日2回(軟便〜下痢)数年前より、検査をすると血尿たちくらみあり生理の周期は25日、量が少ない。
 舌質暗、歯こんがいつもはっきりある、苔薄白。

 啓脾湯、帰脾湯など処方もかわり、香蘇散+半夏厚朴湯+四君子湯で一週間は吐気がおちついていましたが、効かなくなってしまいました。目の表情から、うつ的なつらさを感じます。
 お忙しいところ申し訳ありません。(もし、再録の場合は、ご本人が特定できないようご配慮お願いします。)


お返事メール:拝復
 ざっと読ませてもらって直ぐに思い浮かべる処方は、柴芍六君子湯ですが、もっと適切なのは漢方製剤を用いて、六君子湯を主体に四逆散を適量加えるほうがよいように感じます。
 四逆散は満量加えるのではなく、少量を加えるという意味です。
 現代社会において鬱的な要素をもたれている人には、四逆散の適量を加えることが効果的なケースが増えているように思います。

 あるいは潜血と立ちくらみにも配慮すれば(苓桂朮甘湯などではなく)、六君子湯を主体に補中益気湯あるいは帰脾湯を適量加える方法も、可能性を感じます。
 以上、取り急ぎお返事まで。
                       頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝


【編集後記】 お問合せの最後に「もし、再録の場合は、ご本人が特定できないようご配慮お願いします。」とあるが、再録の条件あってのお返事であり、また守秘義務は当然のことです。


折り返し頂いたメール:早速のメールどうもありがとうございました。
1年ほど前から相談を受けているかたで、主訴が、下痢→不眠→はきけと変化してきましたが、根っこに、先生のご指摘のようにうつ的なものがあります。
一度、六君子湯を主体に四逆散を少量で様子みてみます。
突然の質問にもかかわらず、丁寧に教えていただき感謝しています。

PS:村田漢方堂薬局さんのサイトのなかで、猫のサイトのファンです。
  更新楽しみにしています。

posted by ヒゲジジイ at 23:33| 山口 ☁| 更年期障害・自律神経失調症や不定愁訴症候群 | 更新情報をチェックする

2007年02月15日

逆流性食道炎に対する安上がりな漢方薬

 逆流性食道炎というありふれた病気の人がそれほど多く訪れるわけでもないが、それでも毎年数人以上の方が訪れては、比較的簡単な方剤で治っていかれる。もちろんいずれも一般の病院治療や漢方薬でも期待する効果がなかった人たちばかりである。

 たまたま以前、胆管手術後の中年以降の男性が、逆流性食道炎で病院治療に何年通っても治らないので当方に訪れた時、胆汁の分泌が悪い為に生じているのではないかと、中医学的発想をすることなく、牛の胆汁エキス製剤のオルスビー錠(剤盛堂薬品製)の錠剤だけを渡したところ、最初から一定の効果を得て、当分続けられて緩解された。一ヵ月分近く入った製品でも、二千円よりも遙かに安価である。

 次に遭遇したのが、胆石手術後の女性が重度の逆流性食道炎で、やはり病院治療で全く思わしくない。常連さんに紹介されて来られ、明らかな大柴胡湯証を呈していたので、これにオルスビー錠を加えて、期待通りの効果を得た。この方と同様なタイプはそ後も何人もいた。

 若い男性でもストレス性ということで、逆流性食道炎で病院治療は効果がないわけではないが、不十分な効き目で最近はあまり効かなくなったといってやはり人に紹介されて来られた。弁証論治によって大柴胡湯を服用してもらったが意外にまったく奏効しない。そこで安価なオルスビー錠に切り替えてみると、比較的速効に近い効果を得た。更にササヘルスも加えて継続服用中で寛解状態を維持している。

 逆流性食道炎の病名治療を提唱するのは、中医漢方薬学派らしくないが、この安価なオルスビーだけで治ることがあるなら、こんなに幸せなことはないし、確率としても5割近くの打率は得られるのではないかという感触がある。アトピー性皮膚炎や関節リウマチのように日常茶飯事のように御相談者が多い訳ではないので大きな事は言えないが、たとえピントがずれていても副作用などほとんどあり得ないオルスビーである。
 成分としては、
本剤6錠(1.2g)中
    カンゾウ末 150mg
    ショウキョウ末 50mg
    ケイヒ末  50mg
    牛胆汁エキス末 300mg

効能・効果は、消化促進、消化不良、食欲不振、食べ過ぎ、胃もたれ、胸つかえ、消化不良による胃部・腹部膨満感

用法・用量 大人(15歳以上)1回2錠
1日3回、食間にコップ半分以上のぬるま湯にて服用
食間とは食後2〜3時間を指します。
 と記載されている。
 このように一般的な消化剤、とりわけ油物の過食時にとても有効な生薬製剤なので、あまり体質を選ばずに使用できる。

 とつぜん、このような安価な方法をブログに書く気になったかと言えば、世の中には逆流性食道炎くらいの症状で、なかなか治らずに苦労されている人が多いらしく、漢方薬のところでも、そうとう高価な配合を出されてようやく治ったという話を聞いたからである。

 現実にこのオルスビー錠だけで逆流性食道炎を解決することが出来た人が年々増え続ける。
 といっても中には明らかな大柴胡湯証を合併していた人には、オルスビー錠だけでは効果はやや弱い傾向にあるようで、その場合は大柴胡湯とオルスビー錠の併用で的確な効果が得られている。
 それでも、これまでのところはオルスビー錠は全員に有効であったから、一つの提案として公表し、皆さんに試してもらいたいとおもったからである。
(その後、オルスビー錠だけではまったく無効例も出てきているので、やはり5割近くの有効性レベルかもしれない。)

 もしも運よくオルスビー錠だけで逆流性食道炎が治れば、月額に換算しても二千円以下の経費で済むのだから、こんなに商売にならない治療薬はないだろう(苦笑。

 オルスビーだけでは効果が弱かったり無効であれば、その場合は中医学的には昇降失調に関連した詳細な弁証論治に基づいた適切な方剤を見つける必要がある。
 この場合には専門家と直接面談による詳細な漢方相談が必須となるが、少しは効果があるケースでは必要な方剤にオルスビー錠を併用することは多くの場合、意義あることだと思われるのである。

【オルスビー錠関連記事】
オルスビー錠が逆流性食道炎に効果があったとのご報告と質問
逆流性食道炎の御質問
わざわざ関西からオルスビーのために来られた奇特な方
オルスビー錠:漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記
オルスビー錠が逆流性食道炎に効果を発揮しやすいタイプが判明したかも


2007年02月14日

アトピー性皮膚炎と慢性疲労症候群

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
簡単なご住所 : 近畿地方
お問い合わせ内容 : 村田漢方堂薬局 村田恭介先生 はじめまして。◎◎在住の●●と申します。
 ここ7〜8年ほど慢性疲労症候群(CFS)の症状とアトピー(幼少期から有り)で悩んでおります。主な症状は、1日動くと翌日は疲れて寝込んでしまう。疲労感が強くなるとアトピーがひどくなる。という感じです。疲労は、肩や首の凝りをともなっていて、凝りのひどい部位にアトピーの症状も強く出ています。集中力低下、思考力低下の症状もあります。1年前より、先生のブログを拝読していまして、記事の引用になりますが、
2006年03月22日 辛い症状に悩む大学生の方からの御相談
上の方の症状とよく似ているなと、自分自身では思っております。

 5年前に「慢性疲労症候群(第U群)」の確定診断を受け、現在某病院で定期的に診察を受けております(現在精神症状は落ち着いています)。と同時に、発症以来、漢方での治療をと考えて(それまでアトピーにステロイド軟膏という安易な対処をしてきた反省もありました)、身近な漢方薬局、自由診療の漢方クリニック、保険診療の漢方医院、とこれまで通ってきました。
 処方されたものは黄連解毒湯、補中益気湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、六味丸その他です。
 今のところ、漢方医院で柴胡桂枝湯+六君子湯の組み合わせを処方してもらって、以前より動けるようになっている感じはしています。ただ、依然として首周り及び顔のアトピーがしつこく、動けるようになっているとはいえ倦怠感は続き、フルタイムで働くには程遠い体調なので、困っております。

 村田先生がブログで「処方のピント合わせ」のお話しをよくされるので、現在の漢方医院には自分なりに頻繁に通って、その度に処方を工夫してもらってはいるのですが、このところ体調が一進一退でやや行き詰まりを感じている所です。
 医院の患者数が多く、2時間半待って5分ほどの診察なので、聞きたいことが聞けないことも残念に思う点です。是非、村田先生に診て頂きたいと、最近よく考えるようになりました。
 疲労感とアトピー、悩みの割合は半々ずつで、どちらも良くなりたいです。◎◎なので漢方薬局・漢方医院も多く、こちらで根気強く通ってみればと自問自答の毎日でしたが、このところ、診て頂きたい、そして継続して治療を受けてみたいとの気持ちが日増しに高まって、ついにメールを送らせて頂いた次第です。

 お忙しいかと存じますが、もしよろしければ3月上旬、あるいは中旬くらいに、下関に伺ってみたいと思っているのですが、いかがなものでしょうか。ご返信のほど、何卒、よろしくお願い申し上げます。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
 ご指摘のブログの人は、直接下関に来られ、アトピーの方はかなり即効的に回復しました。
   アトピー性皮膚炎患者に川芎と当帰の過剰投与によって悪化
 このような間違った漢方投与が行われていた関係で、即それらを中止してもらって当方のオリジナル体質改善三点セットで順調に回復し(追記:下関にいる間に顔面の紅潮がほぼ完全に消失!)、もちろん短期間ですから根治とは言えないのですが四ヶ月くらいで緩解してしまいました。
 慢性疲労のほうも同時に初期には順調だったのですが、大学生でもあり、実験そのほかの疲労と人間関係等の精神疲労から、漢方処方をもっと補強する必要があったのですが、残念ながら自費の漢方薬による経費的な問題から、慢性疲労症候群に関しては、漢方は使用しないけれども、ある有名な医療組織(追記:某大学病院の特定の科)を御紹介しました。

 貴方の場合も、当方の体質改善三点セットが噛み合うタイプであれば、アトピー性皮膚炎と同時に慢性疲労症候群にも一定レベルの効果が得られるかもしれません。但し、体質上の問題は、とても微妙ですので、当然のことながら直接お会いしないことにはもちろん現段階では?です。

 ところで、関東や関西から直接来られる人は相変わらずポツポツ続いていますが、それぞれ人によって当方の漢方に賭ける意欲と意識に違いがあり、運悪くピントが直ぐ直ぐ微妙なところで難航するような場合、たとえ難航してもこちらではかなり綿密な分析を行って、次第に範囲を狭める努力を怠らず、遅かれ早かれピントが合ってくるのは経験上かなり自信をもっているつもりですが、数ヶ月でアッサリ諦められる方も僅かながらおられます。

 御相談に乗るからには8割以上の緩解まで頑張ってほしいと思うのですが、ピントが漸く合ったと思って互いに喜んでいるところで、突然音信が途切れることもあります。(処方は大公開していますので、他所で手に入れている可能性も高いのですが・・・)

 多くの人は一回目から、まだ足らない処方があるにせよ、中心的な方剤は決まってしまうものですが、一部の少数の人には、直ぐ直ぐにピントがあうとは限りません。
 そのように一部の運の悪い方(あるいは当方の腕が直ぐ直ぐに到達しない場合)では10日毎の詳細な報告と連絡が継続してピントがシッカリ合うまで頑張れるかどうか、要は服用者の根気と努力の問題も絡んできて、それが十分に行えない人もあります。(もちろん既にしっかりピントが合っている人にはその必要はありません!)

 ありきたりな慢性疾患のように見えても、時に思いがけず中医学的な五臓六腑のヒズミ具合の詳細を、直ぐ直ぐには把握しきれないほど様々な要因が輻輳していることがあります。このため、しっかりとピントがあうまでには相当難航することは10人に1人くらいは必ず遭遇しています。

 ですから貴方が10人中の9人に入るか、一人に入るかは不明ですので、遠方であるだけにどうぞ、どうぞと言う気にはなれません。

 今日も長年の間、病院に何軒行っても症状のみならず検査上にも異常値が出ているにもかかわらず、診断がまったくアヤフヤでステロイド治療の限界を感じて漢方薬を求めてこられた医療関係者がおられました。
 当方では医療関係者が来られるケースも多いのですが、必要最小限の漢方薬をお出ししつつも、あきらかに膠原病が疑われるので信頼のおける専門医をご紹介して確実な診断名を貰って来るようにアドバイスしました。
 当方では、このように来られる人御自身、西洋医学や保険漢方では埒が明かなくなって自費の当方の漢方に本気で賭けて来られる訳ですから、真剣勝負の毎日です。

 要するに貴方のやる気次第、ということですが、上述のように常に10人にお一人くらいは直ぐ直ぐにピントが定まるとは限らず、なかでも常時3名くらいは禅の考案のように頭の中で常に気になって考え込むことが多いので、時々逃亡したくなる(笑)ほど、見かけによらず神経質なヒゲジジイです。

 以上、取り急ぎお返事まで。
                    頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝


【編集後記】 休み明けのこととて、一日中ほとんど途切れることなく漢方相談が続き、お一人に時間をなるべくたっぷりかける分、薬局を閉めるまでに朝食抜きで昼下がって小型ワンコソバ?を食べただけでぐったり。(もちろん哲学の煙だけは通常通りだが、柳沢大臣に対するマスコミや野党の日本的陰湿なイジメに腹を立てて以来、食欲が落ちている。)このため文章がやや支離滅裂加減のお返事となってしまった。


折り返し頂いたメール:●●です。即日、大変ご丁寧な返信を頂き感激しております。

 おっしゃるように8割の緩解をめざして、村田漢方堂薬局で治療を受けたいと考えております。

 自分のアトピーはけっして重症ではないのですが、悪化と緩解を繰り返しながら20数年続いているものなので、それなりに難治であろうことは覚悟しております。10人のうちの1人に入る可能性も当然あろうかと思いますが、特に漢方治療では先生によって治療効果が大きく変わることを経験し、かなり理解している
つもりなので、それ故、村田先生にお世話になろうと考えた次第です。

・・・・・・・・(中略)・・・・・・・

 もしかしたら、先生を悩ませ疲労困憊させる困った患者になるかもしれないですが、治療を粘り強く続けていく気力はありますので、何卒よろしくお願いいたします。

 勝手な予定なのですが、〇月・・・・・・日あたりで連続2〜3日、薬局へ伺って当面のベターな処方を頂けないかと思っています。そして、▲月初頭までにもう一度伺って、さらに調整して頂ければ、などとを考えております。もし差し支えなければ日程・日時調整その他ご連絡のお電話をさせて頂きたいと思うので
すがいかがでしょうか。お忙しいところ大変恐縮です。

 どうぞ宜しくお願いいたします。


折り返しヒゲジジイのお返事メール: 漢方は、実際のところ、その気でしっかり合わせていけば、たとえ運悪くすぐすぐにピントが合わずとも、諦めずに頑張りぬいた人に関してはほぼ全員、一定レベル以上の成果が出ています。
 過去数十年の間には、中途半端なピントのまま、少しの効果しか得られないので、こちらの方がネをあげかけたこともありましたが、ご相談者の不屈の忍耐と頑張りのお陰で、裏に隠れた重要な糸の縺れの状況がしっかり把握できて、長期の互いの苦労が次第に報われてきたり、あるいは途中から一気に効果が出てきたり、様々な経験をしています。

 運悪く10人のうちの1人に入った人でも、諦めずに頑張りぬいて下さった人こそ、真の漢方の実力と底力を理解され、漢方の価値を真に認めて下さっているようにさえ思えます。
 時には各地で難航した人でも、当方にやってきて意外にシンプルな方剤ですらすらと回復していかれる人もおられますが、そういう人こそ却って病気をあなどり甘く見て、再発率が高いように思えます。

 現在でも、若い人の中には数年以上、慢性疲労症候群や鬱病などと診断されながらも、各種の病院治療で効果がなく、結局は離職してしまった人でも、当方の漢方薬に出会って一定レベルの元気を保持出来るようになり再就職が可能となったものの、漢方薬がいつまでも手放せず、いつ漢方薬をやめることが出来るか不明な人も複数おられます。
 でも、皆さん一様に「漢方薬のお陰で人並みの社会生活が送れるのだからと観念」されておられますが、ピントの合った漢方薬は合成医薬品のような困った副作用もなく、長期続ければ続けるほど体質改善が実現出来ているのが現実です。

 つまり、一定レベル以上の慢性疾患ともなれば、効果が一定レベル得られても、短期間で服用を止めることは出来ず、何年にも亘って、あるいは無期限的に使用せざるを得ない人さえあるということなのです。
 理想通り100%ということは滅多にない事なので、やはり80%が得られれば上出来であるのが慢性疾患の宿命だと思ってます。(すべて100%が可能なら、人は永久に死なないことになることでしょう!)

 以上、余計なことを書いてしまいましたが、要するに現代社会における村田漢方堂薬局の役割(笑)は、西洋医学や保険漢方でも治らずにお困りの人で、真に意欲のある人に対してのみ、保険適応外の優れた漢方薬(医薬品)を用いて補完することにあると思っています。

 なお、下関に来られるのは、そちらのご都合で自由に日時を決められて構いません。お疲れのないよう、余裕を持って来られることを念じています。少なくとも2泊3日の予定で、連続3日間、直接御相談を受けられればさいわいです。
 中には関東から突然やって来て、当方に「宿を探してくれ」などとふざけた野郎(笑)もおられましたが、その方も悩みはアトピー性皮膚炎で、現在比較的順調に緩解しています。

 以上、取り急ぎお返事まで。
                     頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝
posted by ヒゲジジイ at 00:08| 山口 ☁| 慢性疲労症候群(CFS) | 更新情報をチェックする

2007年02月13日

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

簡単なご住所 : 近畿地方
お問い合わせ内容 : ・・・・・・と申します。夫の●●(◎◎◎◎人??歳)の相談です。
 2003年5月に筋萎縮性側索硬化症を発症し、あらゆる治療を試みましたが、現在は上下四肢の機能喪失、言語機能喪失状態です。呑み込みも不可能なため、栄養は胃楼より摂取しておりますし、自分の唾液を誤嚥し、むせることが多く、息苦しい様子もあります。
 なんとか少しでも改善出来ればと願っておりますが、このような末期になっても漢方で改善されることはありますでしょうか。村田先生は処方は実際に会ってからということで、私達もそれを願っておりますが、主人が九州まで出向くことは体力的に不可能かと思います。
 ご無理を承知で厚かましいことを伺いますが、こちらにお越しいただいて処方していただくことはできませんでしょうか。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
 村田漢方堂薬局は九州ではなく、本州の最西端です。
 それはともかく、お問合せの御主人様の御病状、大変デリケートな状態ですので、少しでもお近くの専門家で、しかも中医学に堪能な医師がおられればと存じます。
 当方がそちらへ出向くなどは到底不可能なことですので、下記に中医学に堪能で著書も多い医学部出身のれっきとしたお医者様、

●医院(漢方全般・▲▲▲)
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 この医院にお電話でもされて、往診は無理かどうか打診されてみては如何でしょうか?
往診が無理でも、適切な先生を御紹介下さるかもしれません。当たって砕けろで、是非、お問合せしてみて下さい。(その際に、下関市の村田漢方堂薬局の薬剤師・村田恭介に紹介されたと伝えたほうがよいかどうかは?ですが・・・そうお伝えしたほうが親身になって下さるような気もします?

 以上、取り急ぎお返事まで。
                     頓首


村田漢方堂薬局 村田恭介拝


折り返し頂いたメール:村田先生
早速のお返事ありがとうございます。
 ご紹介いただきました●●先生にご連絡しようかと思いつつまだ電話できていない状態です。
 確かに、村田先生のおっしゃるとおり、近くの専門家に定期的にかかるのが良いかとも思います。
 村田先生のご紹介ですので、きっとすばらしい先生なのだろうとも思います。ただ、私も主人もある意味で”気”ということを信じております。先生にお目にかかったこともないのにこんなことを言うのも変に思われるかもしれませんが、先生が選んで、煎じて下さる薬だからこそ効くのだと信じているのです。先生のサイトで先生の溢れんばかりのパワーを感じました。そして、そのエネルギーを分けていただきたいと思って問い合わせさせていただいたのです。

 主人が筋萎縮症側索硬化症(ALS)であると分かってから、私達は世界中を飛び回り可能な限りのことを試してまいりました。医療の先端であるアメリカ、ロサンゼルスのUCLAの附属病院のALS専科にかっかったり、中国で世界で唯一行われているOEC細胞移植手術を受けたり、ビタミン療法に、解毒療法、電気療法や漢方、実験薬に至るまで、ありとあらゆる方法を試してまいりました。毎回試しては落胆し、それでも希望を捨てずに頑張ってまいりました。
 とはいえ、実をいいますとこの半年は少し疲れて、新しいことを始めることができませんでした。でも、先生のサイトを拝見し、新たにチャレンジする意欲が湧いて来たのです。
 主人は、体は病気で大変な状態にはありますが、心は一切病気にかかっておりません。決して弱音を吐くことはなく、息苦しそうな時も大丈夫だと言っております。主人も先生の処方だからこそ、かけてみたいのだと申しており、単に薬というだけでなく、先生のエネルギーが患者の病気を治しているのだと信じております。先生がこちらに来られるのは無理なので、別の専門家をご紹介くださったことを伝えましたところ、どうしても先生に処方していただきたいので、無理を押してでもそちらまで行くと申しております。
 私としては、主人の病状を考えますと、体力の消耗になることは絶対に避けたいと思っておりますが、主人の希望を絶つことはできません。先生がお忙しいこと、他の患者様のことを思うと、自分勝手なことをばかり申し上げているということは重々承知で、重ねてお願いしますが、もちろんあらゆる費用はこちらで負担させていただくとして、ご無理にご無理を重ねてなんとかこちらにご訪問していただくことはできませんでしょうか。
 また、絶対に先生のご訪問が無理であれば、万一こちらが先生の所まで足を運びましたら、遠方の患者にはなりますが、処方していただけますでしょうか?これが、主人と私の最後の希望だと思っておりますので、失礼に失礼を重ねてお願いし、おすがりしております。どうぞ、ご無礼をお許しくだしませ。なんとか先生が私どもの希望の光となってくださいますよう心より願っております。
                  かしこ


とても辛いお返事:拝復
 小生のサイトやブログを御覧になってパワーを感じられるとしたら、それは大きな買い被りに過ぎません。日々、なかなか思うように配合が定まらずに悩みぬいている方を何人もかかえて不眠症気味の毎日です。ブログに八つ当たりしているような年甲斐もないワガママジジイです。
 御主人様のご病状から考えて、下関に来られるなんて、まったく無謀な行為です!

 過去にも十数年前だったか、ヒゲジジイを大いに買いかぶられて、肝臓ガン末期の腹水で食事も一切摂れない状態の若者が、最後の望みということで赤ん坊を連れた奥様に連れられて直接来局されたことがありました。
 しかしながら、その強行軍がたたって明くる日には病院でアッサリ亡くなられてしまいました。
 二度とあのときのような辛い思いはしたくありません。
 
 決して無謀なことはなさらず、まずは日本の中医学界の権威者であられる●●先生に御相談されるべきです。
 この見掛け倒しのヒゲジジイに「気」を感じられるなら、それ以上に●●先生には感じられることと信じます。
 以上、取り急ぎお返事まで。
                       頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝
posted by ヒゲジジイ at 09:52| 山口 ☀| 筋萎縮性側索硬化症(ALS) | 更新情報をチェックする

2007年02月12日

胆管癌の肝臓転移

御質問者:東海地方の内科医師

 いつも有益な助言をいただきまして、ありがとうございます。
 昨日、29歳のアトピー歴十数年の女性が再診されました。村田流にそった漢方薬をエキス製剤で処方しているかたですが、すっかり綺麗になっていまして、豊かな表情で「ありがとうございました」と言ってくださいました。
 当クリニックへ受診されるまえには、有名な漢方処方をする診療所や皮膚科を受診なさっていたそうです。
 個人的には難治性の患者さんにどの程度お役に立つのか正直いってプレッシャーを覚えていましたので、こちらこそ「ありがとうございました」という感じです。まずは、そのまま村田さんに感謝の言葉をメールさせて頂きます。

 さて、本日ご助言いただきたい患者さんは、50台後半の女性で胆管ガンで肝臓転移を指摘されたかたです。
 手術後、当クリニックを受診されたかたで、受診時には、肝臓内にやはり転移病巣を指摘されていましたが、一般的によく知られている定番の十全大補湯と補中益気湯でフォローしました。半年、1年後の病院での検査(CTなど)では、一旦転移病巣は縮小ないし消失していましたが、今回2年目の定期検査で転移病巣の悪化があったそうです。
 舌は中央に薄い白色苔があり、舌質は淡紅から紅で、胸脇苦満、臍下虚がある位です。最近は体調がよいためかなり忙しくお過ごしであったそうです。
 黄疸は勿論なく、食欲も良好で、排便も通常と伺っています。
 本来ですと直接村田さんに拝見していただいた方がよいと思いますが、村田さんの経験上何かご助言があれば幸いです。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
 アトピー性皮膚炎は、今年もかなり沢山の新人さんが来られ、皆さん全員比較的順調なのですが、ただ昨年初秋よりお一人だけ遠方から二度も泊りがけで来られた四十代のアトピー歴が四十年選手のかただけは、陰陽の閾値幅が大変狭く、心と胃・肝胆系は熱証で、脾陽虚と脾肺気虚を合併したとても複雑な方がおられます。肺気虚がありながら時々肺熱による辛夷清肺湯証を呈することもあるのです。ですから、黄連解毒湯などの清熱解毒剤を必要としながらも食積から生じた頑固な白粘膩苔が並存し、この食積によって生じた脾陽虚による脾湿の除去には藿香正気散(カッコウショウキサン)が必須であり、肺気虚にたいする黄耆も必要とするなど、相当にキメ細かな弁証論治による分析に苦労しました。(【メール後の追記】初期から折々に黄色粘膩苔を呈するため猪苓湯と茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の基礎の上にですから、とても複雑な配合です。)
 さいわいにも御本人がとても熱意と頑張りのある方で、毎日ほとんど欠かさずご連絡頂いて(舌の画像のメール添付等)、常に微調整を繰り返し行うこと4〜5ヶ月。毎晩の痒み発作もかなりな程度コントロールできるほどになっていますが、アトピー性皮膚炎の方の中には、稀には中医学的にかなり複雑な病態を呈する方もおられます。

 ところで本題の「胆管ガンで肝臓転移」の方は、「定番の十全大補湯と補中益気湯」これらだけで、結果的には一時「転移病巣は縮小ないし消失」されていたとは、とても素晴らしいことですね!
 長年こちらでは病院で投与される、とりわけ「定番の十全大補湯」による温補過剰による弊害ばかりが目に付くことが多かったのですが、補剤ばかりの投与でも、それほど有効な成果が得られることもあるわけですね。

 転移ガンの再発状況から、また御報告の舌象や胸脇苦満、臍下虚の存在を考慮すれば、漢方的な方証相対論では、柴胡桂枝乾姜湯がいかにも適応しそうに思えますがいかがでしょうか?
 ただ、西洋医学的な診断内容が明らかなだけに、当方のやり方ではクオリティー・オブ・ライフ向上の目的で牛黄製剤を主体にした、たとえば中国のヘンシコウ(片子広?)に似た成分を模倣したものをしっかりと加えることが多いものですが、残念ながら牛黄製剤や麝香製剤は保険適応にはなっていないように思います。

 とても微妙な段階のようですが、これらの方法でうまく行けば、相当に長い間、楽な生活が送れた経験をかなり持っています。(原発が膵臓か胆管か不明なほど周囲に浸潤していた例や、手術不能の膵臓がんで肺転移があった例でも、食べれなかったのが一気に食欲を回復して丸三年全く元気で、むしろ持病の肺繊維症が命取りになったなど)。
 どうしても病気の内容が内容だけに、当方のような自費の漢方では、経費がかかる保険適用外の高貴薬類(牛黄・麝香など)をかなり思う存分使用できることが多いので、個人差はもちろんあるものの、クオリティー・オブ・ライフ向上および元気なままでの長期生存には多かれ少なかれ貢献できていると思うのですが、保険適用範囲の方剤となると、この方の場合は、ご報告いただいた症候から分析できることは、柴胡桂枝乾姜湯が主体になるように感じた次第です。

以上、お役に立てずに恐縮ですが、取り急ぎお返事申し上げます。
                           頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝


【編集後記】 難治性となったアトピー性皮膚炎の例では、昨年暮れから来られている方の中に、病歴30年、IgEが3万〜1万五千という方でも、数度の微調整により、四逆散・黄連解毒湯・猪苓湯・茵蔯蒿湯にイオン化カルシウムなどで比較的順調に経過しており、配合比率の慎重な調整が今後も必要ではあるが、見通しはかなり明るい。
 頑固に慢性化した一定レベル以上のアトピー性皮膚炎であっても、中医学的な弁証が比較的スムーズに行えるケースも多い。このことから、やはり、アトピー性皮膚炎は多くの場合、漢方はかなり得意分野と言えそうに思う。
 
 またまたここでとんでもない蛇足ながら、様々な疼痛性疾患も漢方の得意とするところであるから、漢方以外の3番目の特技(2番目の特技は勿論チヌ釣り!)となったHTMLとCSS技術を駆使して「痛み」を主訴とする疼痛専門サイトを作ろうかな〜〜〜と考えているところである。
 たとえば、「慢性関節リウマチと腰痛」専門サイト。「生理痛・頭痛・肩こり・めまい」専門サイトなど、まだHP制作に厭きてないので・・・・・と言っている間に突然シラケてしまえば、再び孤独なチヌ釣りへと逃亡であるが・・・?


折り返し頂いたメール:いつも速やかにお返事くださいましてありがとうございます。
 柴胡桂枝乾姜湯という手はちょっと思いつきませんでした。選択枝として考慮してみます。

 四十年選手のアトピーの方の中医的病態は本当に複雑ですね。当クリニックへ通っておられる方の中で一進一退の方も見えますので、弁証論治を見直してみます。

 ところで、この複雑なかたは病態連鎖という視点ではどのように考察できるのでしょうか。


ヒゲジジイのお返事: そのアトピーの方はこのブログをよく御覧になるので、御自身のことが書かれていることを知ってどう思われるか、ちょっと申し訳なくてやや気が引けてしまいます。

 その方の場合、重症度というよりも中医学的な複雑さにおいては最高峰に位置するように思っています。たとえば蓄膿症も合併していたのですが、肺熱・肺陰虚・肺気虚があきらかに同居している珍しい例で、その三者が同時に顕著に出るときもあれば、辛夷清肺湯を一時期加えておれば直ぐに効果を発揮して、肺熱肺陰虚の病態は沈静化して肺気虚関連の黄耆の症状(掻くとサラサラした透明な汁か出るなど:追記=表衛の虚証)だけが持続して不変であり、そのことを最近発見したばかりで、この肺気虚関連には防已黄耆湯が今のところ効果を発揮しています。
 しかしながら一方では舌先が折々に赤く、御相談当初には強い黄色が顕著な苔があったことと言い、心・肝胆には実熱が多かれ少なかれ宿っているものの、よく効果を発揮している黄連解毒湯の分量を常に臨機応変に加減しなければ氷伏気味になるなど、大雑把に言えば陰陽の領域幅が極めて狭い体質で寒熱にぶれが生じたり逆転しやすい。さらに特徴的なことは食積による黄粘膩苔と白粘膩苔が交互に、最近は白粘膩苔が多く、これが一番のネックになっているものと考え、藿香正気散を加減しながら現在も毎日何度が往復メールで細かな検討を加えているところです。(過食が原因であるらしいことも最近発見。)
 幸いなことに、ご自身もよく漢方を勉強されておれら、小生のアトピー関連のHP上で公開しているものはすべて何度も繰り返し読まれておられますので、的確な情報を怠らずに送ってもらえています。
 少なくとも様々な要素が輻輳していますが、究極的には五行相関にもとづく五臓それぞれを頂点とした五角形にひずみが生じたときが病態であり、そのひずみが生じた五角形を正常な五角形に戻してあげれば、おのずと病態は改善されるというのは中医漢方薬学の原点でありますので、まだまだ互いに切磋琢磨している状況です。


折り返しのご連絡:デリケートな状況でしかも詳細な病態分析をお返事くださいましてまことに恐縮です。
 当クリニックに通院の患者さんに対しまして、詳細な中医的所見の把握、それを基盤としたきちんとした病態の分析を行い、できるだけ正確なピントの合った患者さんのお役にたつ処方をしてゆくよう、肝に命じたいと思い、大変参考となりました。
 重ねて深謝いたします。


【編集後記】 「肺熱・肺陰虚・肺気虚があきらかに同居している珍しい例」と書いてしまったが、肺の気陰両虚などは珍しくもなく、これに肺陰虚による虚熱ばかりでなく実熱も同居する例は、それほど珍しくもないな〜〜と過去の事例を思い出していると、これを見た愚妻(薬剤師)が、彼女自身が過去その体質だったし、現在もその傾向は明らかに残っていると言われたが、確かに愚妻も昔から陰と陽それぞれの領域幅がとても狭い体質で、このことは20年近く前、当時、本場中国で25年の中医師経験を持つ某氏に指摘されたことでもあった。

 なお、肺に停留する実熱の原因は、現代医学的に言えば蓄膿症や慢性の感染性気管支炎などの細菌感染が元凶である。


2007年02月11日

常備しておくべき漢方薬は天津感冒片だけでなく五苓散や猪苓湯など

1月5日の
 ピンとはずれの処方の判断ミスでゴメンネとあやまったこと2例 および
 1月13日の
 猪苓(チョレイ)における補益性の有無について および
 1月29日の
 猪苓湯を杞菊地黄丸に変えて の続編である。

 結論から先に言えば、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)などを既に服用中の上に猪苓湯製剤を追加したところ、利尿作用が効きすぎて中止せざるを得なかった東京の昔のお嬢様のお話。

 その猪苓湯製剤が同じこのお嬢様に今回は大活躍したお話である。
 先週の金曜日(3日)にニギリ寿司を食した後、激しい吐き下しをして動けず、直ぐには病院にも行けなかったが、病院の診断では腸のウイルス感染であろうとのこと。後で症状を聞けば、口渇が激しく、明らかに五苓散証の典型であったようだ。

 下痢は止まったものの、口渇と吐き気が続いて体力を喪失しているので、こちらからも漢方薬を送ることなり、五苓散製剤と藿香正気散(カッコウショウキサン)←分厚い白い苔が顕著ゆえ。さらに板藍茶(板藍根エキス)もお送りして、次第に調子がよいものの一日に2回しか排尿がなく、下腹部も張るとのことだった。

 当然、ここで以前中断して保存しておいた猪苓湯製剤の大活躍である。翌日には正常な排尿に戻ったということだから(昨日のこと)、やはりどこの家庭でも置いておくべき猪苓湯製剤や五苓散製剤である(笑)

 ところで一昨日、福島県からかかって来たお問合せの電話で、当方のブログを読んでいるとしばしば「常連さん」とあるが、この定義は如何にとの御質問。
 当方での常連さんは、年来の頑固な慢性疾患がかなり軽快して後、あるいは併行して大の漢方ファンとなり、急性疾患などアラユル状況に備えて各種の漢方薬を常備している人達である。それらの多くの人は、病院の合成医薬品に弱い!

 その常備薬の一端を少し書けば、銀翹散製剤(天津感冒片や涼解楽など)、参蘇飲製剤、葛根湯製剤、インチンコウトウ製剤、黄連解毒湯製剤、猪苓湯製剤、五苓散製剤、胃苓湯製剤、カッコウショウキサン製剤、牛黄製剤、さらには板藍茶、白花蛇舌草、田七人参などである。
 これら以外にも体質的な特徴から、小陥胸湯製剤や辛夷清肺湯製剤や大柴胡湯製剤や四逆散製剤を常備している人も多い。
posted by ヒゲジジイ at 02:04| 山口 ☀| 漢方常備薬および漢方薬長期連用による効用について | 更新情報をチェックする

2007年02月10日

漢方相談の予約制ありやなしや? という御質問が毎日続いているが・・・

 今に始まったことではないが、遠近様々なところから予約制ですかという御質問がここのところ毎日続いている。予約制ではありませんとお返事するばかりだが、これらの方は決まってネットサーフィンで村田漢方堂薬局サイトに寄り道した人達のようである。

 ところが、予約制でないのに安心したのか、落胆したのか、軽く見たのか、予約制の問合せをした人に限って、実際にはほとんど直接やって来られることがない。

 昨今の新人さんは不思議と予告なしに、お問合せなしに直接やって来られるひとばかりで、半数はネットサーフィンで村田漢方堂薬局を知ったという人達だが、半数は当方の漢方で治ったあるいは治りつつある人達によるご紹介である。
 
 だから昨今、お電話でお問合せするような方の場合、9割は実際には来ない人ということになる。まあ〜〜〜お電話でお問合せされると、どうしてもややお断り口調になるトウヘンボクなスタッフでありヒゲ薬剤師でもあるから、結果的に9割はお断りしている勘定となる。

 予約制にしない理由は数々あるが、もし予約制にした場合、第一に断りなしにすっぽかされたり、あるいは時間通り来られないとヒゲジジイの性格上、イライラする。

 第二に、お一人にかける時間はまちまちで、30分で終わる場合もあるが、初回の場合は多くは最低でも1時間、出来れば二時間くらいかけたいからである。二泊三日で来られた人の多くは、連日2〜3時間かけることはザラである。遠方から日帰りで来られた人には、数時間以上かける。
 遠方の人は再々は来られないのだから、十分に時間をかけて、その後はほどほどのピントがあうまで10日毎のメール相談や電話相談に切り替える。

 昨日みたいに五人が重なった時は、新人さんと3回目の人には待って頂いたが、常連さんは女性薬剤師が応対してヒゲジジイは先客の常連さん御夫婦の御相談に専念していた。
 
 このように重なった場合でも、かなり能率よく常連さんの場合は承知してくれている事態だから、多くは女性薬剤師の対応で可能である。
 新しい人やまだ回数が浅い人にこそヒゲジジイがない頭を振り絞ってみっちりと時間をかけている。

 要するに予約制が嫌いな理由は、もともと完全癖のある神経質なジジイであるから、予約時間を断りなしにすっぽかされたり遅れたりされると、リズムが大いに狂ってロクナことはないからである。 突然に新しい人が来られても、ご相談者が漢方に賭ける気持ちで本気である限りは、もともとこちらは「即興詩人」であるから決して困ることはない。

ラベル:予約制 迷惑電話

2007年02月09日

北アメリカに行くとアトピーが治まり、日本へ帰ると再発する事例

 本日のアトピー性皮膚炎の新人さんは、北米にいる間はアトピーが完全に治っていたが、日本に帰った途端、ひどく再発した事例である。たまらず通院しながらステロイド軟膏とプロトピック軟膏類を数ヶ月欠かさず毎日使用し続けている。
 今から腕によりをかけた中医漢方薬学療法が始まるのだひらめき

 ところで、10年以上前にも気管支喘息、アレルギー性鼻炎、ニキビの為に記憶では辛夷清肺湯と荊芥連翹湯などを併用してもらっていた関東地方の高校生が、北米に短期留学している間は、持参した漢方薬を服用しなくとも、完全にアレルギー反応が治っていた。ところが帰国した途端すべて再発したので、当方の漢方薬を再開せざるを得なかった。

 蛇足ながら、この男性は現在は西洋医学の医師になられており、医学生のハードな実習時にも村田漢方堂薬局オリジナルの体質改善三点セットや牛黄製剤を利用されていた。
 もちろん医師国家試験勉強時の体力維持目的でも牛黄製剤を大いに活用され、めでたく医師免許を取得したのだった(笑。

2007年02月08日

馴染みの医院で急に「〜〜様」と呼ばれて気味悪がるお馴染みさんの話から

 昨日聞いたばかりの中年前のお馴染みさんのお話から。
 かかりつけの近くの医院で、順番が来た時に近頃「〜〜様」と呼ばれるようになって薄気味悪いとしきりにこぼしていた。お医者様に治して頂くとこちらは思って通っているのに、これまで「〜〜さ〜ん」て呼ばれていたのが、どうしてこうも患者におもねるような呼び方が流行るんだろうね〜〜と腹立たしげである。
 患者さんもお医者さんも対等という考えはいかにも尤ものようだが、「〜〜様」と呼ばれるに到っては、対等どころかまったく転倒した関係の呼び方ではないか? 病院は商売に成り下がったのだろうかと些か辛辣である。

 確かに現代日本社会はどこかおかしい。柳沢大臣の失言問題にしても、あれは明らかに日本のイジメ社会を象徴するような出来事で、話下手な柳沢大臣の真意を慮ってあげれば、あのような集団リンチはあり得ないはずだ。
 これでもしも柳沢大臣が自殺でもされれば、人の揚げ足取りしか能のないマスコミや野党陣営は、どう言い訳するのだろうか?
 
 このような腐りきった日本社会だから、ヒゲジジイはますます臍を曲げて居直っている。

 話は昨日のブログの続きに近いが、25年前後前の頃だったか、夜間診療の当番とて、薬剤師の愚妻が調剤業務に出向いていたところ、急患の小児の喘息患者さんを連れてきた親御さんが、当番医に発作の処置(点滴治療)を施していただいている最中に、担当の看護婦さんに向かって「村田漢方堂薬局の漢方薬がよく効くて聞いたので、行ってみようと思います」などと言い始めたのだった。
 状況的な説明をすれば、夜間診療の当番は、医師も薬剤師も看護婦も、すべて初対面に近い布陣だから、互いに知らない同士の集団である。
 このような状況下で、村田漢方堂薬局の話を聞きつけたその看護婦は、ケンモホロロに「あんな薬局に行くなんてトンデモナイ!」と悪口雑言をまくしたて始めたのだった。
 聞くに耐えないと思ったか、俄か同僚の薬剤師(地元大病院の薬局部長さん)が盛んに愚妻に話し掛けるのだが、愚妻もさるもの、当番医のところへツカツカと行って、「従姉妹の結婚式の時にはまともなご挨拶もせず、失礼致しました」と、挨拶に出向いたのだった。
 これを聞いたとたん、周囲は突然シ〜〜〜と静まり返ったという。
 当番医の先生は「いえいえ、ところで、今どこにいらっしゃるんですか〜〜?」と、知っていながら時宜に適ったご挨拶である。
「彦島で漢方薬専門の薬局をやっています。」と互いに顔を見合わせて、してやったりという雰囲気である。

 村田漢方堂薬局の当時の評判の良さ?から思わず口走った患者さんの御家族は、先ほど喘息発作を止めて下さった医師に対してあまりに無頓着で失礼である。
 その患者さんの言い分に対して、村田漢方堂薬局の悪口雑言を吐き出した看護婦さんは、おそらく村田漢方堂薬局に看護婦ヅラしてマナー違反を犯し、ヒゲジジイから態よく断られた過去があるに違いない。当時から現在に到るまでヒゲジジイは首尾一貫していたことに誇りを持つものである(笑)

 事実は小説より奇なりというように、たまたま夜間診療所の当番医は、ヒゲジジイの縁類であり、身内筋でも旧帝大医学部出身だけに、ちょっとお高くとまって・・・という方だったが(笑)
posted by ヒゲジジイ at 01:17| 山口 🌁| 漢方相談室での談話風景 | 更新情報をチェックする

2007年02月07日

患者さん達の権利意識の強さに疲れ果ててド田舎に退散した同年代の医師の話

 さきほどちょうど風呂に入る前のNHKの某番組で、ヒゲジジイと同年代の地方都市の病院に勤務していた医師が、患者さん達の権利意識の強さに疲れ果ててド田舎に退散して、現在はのんびりと生活しているという話が遠くから聞こえた。
 風呂に入る前だったから、テレビから流れるその内容を聞き取ったままで、前後のことは見ていない。

 退散しないまでも、身内や身近な医師の中にも同様な嘆きをシバシバ聞かされる問題である。
 その権利意識の高さにおいては、意外にも医療関係者(医師のみならず医師以外の医療関係者)も多いそうだ。生半可な知識がある分、主治医に対する尊敬の念どころか、常識的な礼儀すらわきまえない人も年々増えているという。

 その点では、自慢じゃないが、ヒゲジジイの薬局では、どのような立場と職業の人でアレ、礼儀を弁えない権利意識旺盛な人は、あらゆる方便を使ってお断りしている。
 日々神経をすり減らす仕事に、いちいち本末転倒した気遣いを要求するような、駆け引きをするような連中と付き合うつもりはない。
 
 保険医療の病院関連では、どのような患者さんでも法的に診療を拒否できないからお気の毒である。
 その点、薬局であっても保険医療とは無縁の医薬品販売業としての薬屋さんの場合、税制上の優遇措置が皆無である分、患者さんに対する拒否権は必要に応じて発動できる。
 単なる物品販売業と違って、医薬品という人体に作用を及ぼす特殊な販売業であるから、その人に対して販売するに相応しくないと判断すれば、販売を拒否する義務と権限を有するのが薬屋さんの薬剤師である。
 だから、お断りするのは意外に簡単である。だから、ヒゲジジイの薬局には、経営者以外は皆さんマナーがよく、現代風の異様な権利意識旺盛な人は皆無なのである。

2007年02月05日

今年のアトピー性皮膚炎の新患さんは初回から有効率100%を持続中!

 昨日の「お問合せ」に対する返信メールが舞い戻って来たことを書いていたが、幸いにも夕方御本人がこのブログに気が付かれ、
先日はお返事いただいたのに返信アドレスを間違えてしまいすみません。お返事の方サイトで読みました。ありがとうございます。近々そちらへ伺います。よろしくお願いします。
というメールを頂いてホッとしたところである。

 さて本日の派手なタイトル「今年のアトピー性皮膚炎の新患さんは初回から有効率100%を持続中!」というのは喜ばしい限りで、このブログを御覧になっておられるアトピーの新人さんも多いことと思われるが、一ヶ月間にこれだけのアトピー性皮膚炎の人が来られて、しかも初回の基本的な配合だけでも全員に一定の効果が得られたということは、年々精度が増している証拠であると、自画自賛しているほどである(笑)
 
 といっても「効いて当然」、「治って当然」の漢方専門薬局の宿命ながら、なかなか思ったような効果が得られず当分の間思案し続けなければならないケースが、必ずほんの少数ながら常におられるのも、この神経を消耗し続ける中医漢方薬学の宿命である。
 難問の数学を解くように、相当な期間、熟慮と類推や考察を重ね、裏読みや視点を変えた分析および考察を重ね続けてようやく一定の効果が得られるというケースは、毎年必ず数名以上存在するのである。
 だから、一発でピントが合う人達のことよりも、いつも禅の公安のように頭の中をめまぐるしく駆け巡るのはこの数名の人達のことばかりである。
 何せ、「効いてアタリマエ、治って当然」の自費の漢方薬なんだから〜〜〜(涙)
posted by ヒゲジジイ at 21:23| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする