2007年01月06日

人間様という扱いに注意を要する霊長類は、他人の失敗を喜ぶイヤミなところがあるので案の定、前回のように失敗談を掲載すれば低迷していたクリック数が急に増えるのだった!

 案の定、まったく予測どおりの結果が出ましたよ。
 正月前後から御他聞に漏れず、どのサイトやブログでもクリック数が低迷傾向は時節柄止むを得ないのだろうが、人間様というイヤミな霊長類は、他人の失敗や不幸を喜ぶどうしようもない性質があるので、このブログでも実験してみたくなった。
 
 ところで、しばしばメールや直接訪問された人にも訊かれることだが、治験例をあまり書かれないのは、ナゼですか? という質問に対するお返事をまとめて書いておくと、自慢話ばかりを書いたら無数に延々と続いて書く方も好い加減面白くないよ、ということである。
 たとえば、二十代の頃に東亜医学協会発行の「漢方の臨床」誌などに書き、それが「求道と創造の漢方」という本にもなって、それ以来厭き厭きしてしまって、治験例を書くよりも研究や新たな開発のほうが、はるかにやりがい、書き甲斐があるものである。
 時には依頼されて、脾肺病としてのアトピー性皮膚炎のように、新説とともに治験例も掲載しているが、こういう新説を披露する目的あっての治験例の記載以外は、たとえば今書いているようなブログに、延々と類似した疾患、アトピー性皮膚炎にしても慢性関節リウマチや、坐骨神経痛などのその他、ありきたりの慢性疾患など、治験例というのは無数にあって、書くほうにとってはこれほど面白くないものは無い。

 つまり、治験例を書くのは二十代で卒業してしまったということだ。むしろ、どうしても同じ書くならありきたりな自慢話よりも、アラユル疾患のほとんどのケースでは2〜3ヶ月以内に、おおよその配合骨格が決まる筈なのに、それ以上過ぎてもシッカリした効果が得られずに、微調整の繰り返しが必要な場合や、あるいは結局は、数ヶ月以内にしっかりピントが合っても、特殊なケースや通常とは異なったケースなどの方がどうしても印象深いものである。

 だから、延々と多種多様な疾患が緩解・治癒した無数の自慢話ばかり書くよりも、やや難航気味だったり、一時失敗してしまった例、それ以外では、ビックリするほど著効を得た例や、珍しく一方剤だけで治っている例など、特殊で珍しいケースばかりを書きたくなるものである。

 例えば、毎年たんさんの新人さんが来られるアトピー性皮膚炎では、現在お一人だけ数ヶ月以上経っても、もう一つピントがしっかり定まらずに、微調整の繰り返しを行って、インチンコウトウや猪苓湯製剤などの配合でも、東京の奥様ほどの反応が得られず、湿熱の除去にやや難航気味であるから、辛開苦降の戦法を加味すべく、カッコウショウキサンを少量加える奇襲戦法を試みようとしている最中である。
 現在、当方で服用されているアトピー性皮膚炎では、この方以外は、ほぼ全員順調に経過している。

 だから、治験例の記載を要望する方が多いのだが、書くほうとしては長年苦労して生み出した「中医漢方薬学」論の手の内すべて明かすことになるので、確かに一部の人には興味深いことかもしれないが、やはり書くほうとしては味も素っ気もなく、面白くも無いのだった。

 よほど気が乗ったら、差し支えないレベルでほんの一部でも公開しようとも思ったが、やっぱり、昔、専門誌で書きまくった時期を思い返せば、いまさらあれほど面白くない記述は無い、というか治験例を書くのは厭きアキしてしまったということだ。

 それよりも、失敗談やもう一歩が治せないで難航している愚痴をつい漏らすことの方がクリック数が異常に増すから、イヤミな人間様の生態を観察するほうが、よっぽど人間研究にもなりますよ。
posted by ヒゲジジイ at 17:02| 山口 ☔| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする