御質問者:北陸地方の鍼灸師
2006年12月06日 の続き。
いつもご指導有難うございます。
めまいの方ですがほとんどめまいが出なくなってきましたが、ちょっと無理をすると(寝不足や飲食の不摂生)すこしフワッとする程度出る感じですが、ひどくはなりません。
ただ寒くなってきたせいか頭痛(側頭部から後頭部にかけて)が出る回数が多くなってきました。
そこで半夏白朮天麻湯や釣藤散と同系列の参蘇飲の使用はどうかと考えています。
症状として少し寒気があるのと胃の調子が今ひとつとの事なので初期の風邪があるのかと考えています。 ただ喉の痛みとかはありません。
この様な場合出ている頭痛が風痰上擾なのか他の要因なのか判断に苦しみます。
こういうのは臨床では結構悩むところではないかと思いますが、先生はどの様に考えられるのでしょうか?
半夏白朮天麻や釣藤散で治まるかと思ったのですがどうもそうではないので少し考えあぐねています。
頭痛といえども考えだすと難しく自分の勉強不足を感じています。どうかアドバイスのほど宜しくお願いいたします。
また頭痛の事に詳しい中医学の本などお勧めがありましたら教えて頂けないでしょうか。宜しくお願いいたします。
ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
風痰上擾の誘因となった虚の状況に乗じて寒風(風寒の邪気)の侵襲を許してしまうことは往々にして見られる現象ですので、参蘇飲や藿香正気散(カッコウショウキサン)などの併用は大いにあり得ることです。(追記:併用ではなくて配合方剤の変更こそ大いにあり得る!)
内風と外風の違いとともに、これらの錯綜関係を簡単に述べた拙論としては、
続命湯を代表とする外中風邪と脳血管障害の関係
が少し参考になるかもしれません。
つまり、常に現実の疾患というのは、複雑多変であるかわりに、複雑なものが意外な単方で対処できる時もあれば、単純に見える疾患が意外にも複雑な五臓六腑のアンバランスが原因となっているために、かなり複雑な配合を要してみたり、ケース・バイ・ケースであることは言うまでもありません。
ところで、以前、中医学の原書を読んでいたらシバシバ出てきた言葉に、「頭痛を治すのに頭痛薬を投与するのはヤブである」と言った意味のことが繰り返し目に付いていました。確かに、頭に病状が現れているからと言っても、病の根源は頭にはなくて五臓六腑・気血津液のいずれに問題があるのかを冷静に弁証論治する必要があると思います。
頭痛だけの専門書というよりも、「疼痛」関連を主体に書かれた中医学書(原書)もありますが、燎原書店さんや東方書店さんの在庫目録などを取り寄せて、興味ある書籍を無駄になるくらい買い込むことが、無駄の効用になることと思います。(それがヒゲジジイ流の無駄な積読による勉強方法であり、それが大いに無駄の効用を発揮してくれたものでした。お陰で住居や書庫など合わせて4棟いずれも鬱蒼とした書籍の山で、客室という名の付く部屋は十年以上も前に完全に消滅してしまいました。でも、最近はグウタラ爺に成り下がっています。)
頓首
村田漢方堂薬局 村田恭介拝
折り返し頂いたメール:拝復
お返事大変有難うございました。 ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。 実は恥ずかしい話し、ギックリ腰になり数日寝たきり状態でした。
医者の不養生とはこの事で、患者さんにひやかされるやらバカにされるやらで散々でした。芍薬甘草湯を服用するも効果なく、あきらめて寝ておりました。
今はやっと立って動けるくらいになりました。 寒い土地柄のせいか周りでも何人かおられます。
先生におかれましてもお身体をお大事下さい。(私みたいに自分を治療できないヘボとは違うとは思いますが)
まずはお礼まで 有難うございました。