2006年12月13日

中医学の初心者向けの参考書の御質問

性別 : 男性
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 医療・福祉関係
具体的な御職業 : 薬剤師
簡単な御住所:関東地方
お問い合わせ内容 :  中医学を独学していますが初心者向けの参考書がありましたら教えてください。どの本を読んだら良いかが種類があまりにも多すぎて良くわかりません。よろしくお願いいたします。

お返事メール: 同様な御質問がちょうど一年前にもありました。
 当時、5回くらいの往復メールをブログに掲載していますので、それを参考にされると良いかと思います。
特に、中医学問答(4) このページに書かれている関口善太先生の著された「やさしい中医学入門」と同じく関口先生の「東洋医学のしくみ」というのが良いかもしれません。
 その後の読書は、濫読するくらいのつもりで、御自分の好みの書籍を選択すべきだと思いますが、小生が実際に助けになった書籍は、このブログに掲載しているカテゴリ「中医学問答」の5回分くらいあるブログをすべて御覧になると、多少はヒントになるかもしれません。

http://murata-kanpo.seesaa.net/article/12378511.html

このサイトマップの下のほうに「中医学問答」というカテゴリの最初の五回分です。

以上、取り急ぎお返事まで。
                       頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝
posted by ヒゲジジイ at 19:57| 山口 ☔| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

沈香についての御質問

御質問者:東海地方の内科医師
 今日は、仕事場からメールしています。
 いつも貴重で臨床の益となるご助言ありがとうございます。
 本日は、ある製薬メーカーさんから沈香なる生薬について情報の提供を
受けました。
 本来は自分で検索すべきことですが、いかなるものか、使用するに耐えられるものであった場合、どのような適応があるのか、についてご教示いただければ幸いです。
 いつも生き字引に頼ってしまって恐縮です。

お返事メール:
 沈香は、辛・苦・温の性質で、帰経は脾・胃・腎、効能は、行気止痛散寒・温中止嘔、温腎補陽納気・降逆平喘などで、禁忌は気虚下陥(補中益気湯証など)や陰虚火旺(知柏腎気丸証など)で、このような体質の人には使えません。
 沈香と肉桂はよく比較され沈香は理気に優れ気滞の解決に長じ、肉桂は温陽に長じて陽虚や散寒に長じると言われます。
 それゆえ、寒涼薬によって生じた氷伏を解消するには、肉桂とともに沈香も有効であることは間違いありません。
 氷伏を防ぐ薬物としては肉桂よりも行気作用が優れているだけに、未然に防止する薬物としては肉桂よりも刺激性が少なく温和かもしれません???
 明らかな氷伏が生じて以後は、肉桂の方がシャープなように感じます。
 蛇足ながら日本で桂枝や桂皮として使用されているのは、すべて中医学における肉桂が使用されています。

 以上、簡単ながらお返事まで。

村田漢方堂薬局 村田恭介拝

折り返しのメール:沈香について詳細にお教えくださいましてありがとうございました。
posted by ヒゲジジイ at 19:45| 山口 ☔| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

なぜ小柴胡湯を使う方がすくなくなってきたのでしょうか?

漢方薬専門・村田漢方薬局による漢方相談のお問合せフォームより
性別 : 男性
年齢 : 60歳〜69歳
御職業 : 会社役員
具体的な御職業 : 販売業
簡単なご住所 : 東北地方
お問合せ・ご連絡内容 : 人に進められてこれから使おうとしているのですが、なぜ小柴胡湯を使う方がすくなくなってきたのでしょうか?

お返事メール:お返事が送れて申し訳ありません。
 正直なところ、御質問の内容があまりにも安易に思えてお返事する気にもなれなかったのです。
 しかしながら、漢方薬といえども医薬品であり、必ず体質に応じて使用すべきものですから、やはりオーバーな表現ながら、些かの警告めいたご注意を申し上げる必要を感じてコメントをお送りすることにしました。

 繰り返しになりますが、医薬品はシロウトの他人さんに奨められて服用すべきものではありません。間違っても滅多なことで重大な副作用はありませんが、ピントがずれていたら、小柴胡湯の場合では、高血圧の人はよけいに血圧を上げるでしょうし、乾燥性の咳嗽など乾燥性の気管支炎の持病がある人には逆効果です。

 小柴胡湯が過去に問題になった歴史は、医療用漢方の製造メーカーの積極的な働きかけもあって、肝炎には小柴胡湯というあまりにも短絡的且つ錯誤した使用方法が日本国中を席巻し、毎年何百万人もの人に投与され続けた結果、ごく少数の人に間質性肺炎が生じたとの報告がありました。
 他の合成医薬品の併用などの事実もあるなどの理由から、小柴胡湯原因説をいまだに疑問視する専門家も多数おられますが、少なくとも漢方薬といえども、たとえ医師であっても漢方医学についてのシロウトが扱うなどにより、極端に錯誤した使用方法が行われると、稀には重大な副作用が起こるかもしれないとの警告だったといえるかもしれません。(病院で出された医療用漢方でのみ起こった不祥事です!

 このような報道がなされる前に警告として、肝炎に小柴胡湯という短絡的な病名治療は錯誤に近いとした拙論を過去に書いていますのでご参考までに・・・・。
小柴胡湯問題が勃発する以前に警告していた19年前の拙論 和漢薬誌419号(1988年4月号)の巻頭論文

                          頓首
ヒゲ薬剤師
posted by ヒゲジジイ at 00:55| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする