2006年12月31日

今年一年で若い世代に対する認識を改め、苦手意識が大いに薄らいだこと

 ホームページやブログを開く前の二年以上前まで、漢方相談といえば中年世代が主体であったが、HPやブログのお陰で二十代や三十代の若い世代の御相談が急速に増えた。
 それも不思議なのは、HPにもブログにもイヤミなほどに本音をぶちまけているので、よほどの裏読みが出来る奇特な人でもなければ、こんなに横柄で不快な漢方薬局など誰が行くものか、と思われることを十分覚悟していた。

 そもそも、HTMLやCSSの面白さに魅かれて、制作そのものに次第にのめり込んで嵌ってしまッた部分が大きいだけに、やや本末転倒気味のところがあって、単に集客だけを狙ったものではなくて、村田漢方堂薬局の漢方相談の数十年来の経験から培った?ポリシーを全面に打ちだして、本気で賭ける気概のある方以外は御免蒙る旨をはっきりさせておきたかったから、そのまま本音をぶちまけ続けていたのだった。

 それだけに、当方のHPやブログを御覧になって来られる方の多くは、びっくりするほど真面目な人達ばかりで、とりわけ若い年代層では、中年世代に負けず劣らず古きよき時代の日本精神を体現された方が意外に多いのに驚いている。
 
 早くピントがあって直ぐに8割以上の緩解に到達する人、行ったりきたりでピントが中途半端な人、体調変動の波が大きいために常に臨機応変の配合を必要とする人など様々であるが、一定レベルの緩解に到達した時点で、次第に遠ざかった行かれる人が出て来られるのも自然のことである。

 いつのまにか音沙汰がなくなった人もあるが、もしも再発して困ったら、戻って来られるのに遠慮はいらない。
 中途半端な治りのままでも、服用が面倒になっったり、あるいは様々な事情で将来、中断せざるを得ない人も出て来ることだろうが、これも当然ありえることだから、そして何でも完全・完璧なんてことは事実上あり得ないことだから、次第に遠ざかって、そのうち無音になることも自然なことである。

 ところで、口癖のように慢性疾患は8割緩解の持続と安定が得られれば上等だと吠え続けていたら、関東の男性が一人、数ヶ月もしない服用でお陰さまで9割治りましたと電話で告げられた。
 客観的な報告だけでなく、主観的な報告もしてほしいと皆さんに言っているから、主観的には9割緩解ということだろう。
 あるいは機智に富んだユーモアかも?
現実には、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎が超短期間(1〜7日)で表向きは完璧に消失したケースは今年に限っても複数遭遇したが、これは表面的なもので根こそぎ根治したわけではないのは当然である。

 それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。
タグ:苦手意識
posted by ヒゲジジイ at 10:17| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年12月29日

パニック系の柴胡加竜骨牡蠣湯と鬱病系の四逆散

 本日で今年の仕事はすべて終了。但し、既に村田漢方堂薬局で中医漢方薬学療法を行っている方とのメール相談は可能。いつもよりワンテンポお返事が遅れる場合もあり得るが、以前のように釣り場に逃亡することも少なくなったので、丸一日返事が遅れることはないだろう。
 発送のほうも毎年必ず常連さんが補充忘れの常備薬の発送依頼が複数あるので、これも休日中の恒例行事となっている。

 ところで、今年も目立ったのが難病系統以外では、タイトルのパニック系の柴胡加竜骨牡蠣湯や桂枝加竜骨牡蠣湯タイプと、鬱病系の四逆散というのがとても目立った。中には両者を兼ね備えて併用するタイプも多い。
 これらの病状が長引いていた人の多くが、腎に波及して六味丸系列の方剤も必要とした。苦しいパニック症状を頓服的に治めるには麝香製剤や牛黄製剤の頓服や常用もあった。

10年以上前にも、会社の前に行くと吐き気発作が起こって、カラエヅキを何度も繰り返す男性に、柴胡加竜骨牡蠣湯と四逆散を合わせて一年もしないうちも緩解したケースがあったが、これなどはパニックと鬱が合併してケースである。
 しかしながら、不思議と村田漢方堂薬局のようなガジガジ爺のところには、加味逍遙散タイプは来られないし、また無意識に避けている節も無きにしも非ず。

 ところで、様々な疾患の悩みで来られた方の中にも、隠れた鬱症状を見つけ、四逆散系列の方剤や六味丸系列の方剤を加えることで一気に解決の糸口を掴んだことも再三再四であったのに、定期便のように毎月来られていた若い女性が突然来られなくなって、しまった!と思ったことが一例あった。
 体質改善の例の三点セットが気に入ってインチンコウトウとともに気長く併用するつもりでいたはずの彼女であったが、最後の日に「今日はえらい元気がなさそう」だねっとヒゲジジイみずから指摘しておきながら、この人も裏に鬱が隠れていたことを、突然来られなくなって気がついたのだった。

 そもそも自らの意思で積極的な姿勢で来られた人達の場合、突然、やめてしまわれることはほんの少数に過ぎない。
 ところが身内や家族の奨めで連れて来られたケースの半数は数ヶ月も経たない間に無音(ぶいん)となる。明らかな薬効が出ていてもこの通りである。
 それゆえ、みずからの意志で来られた人でない限りは、滅多なことで受け入れないつもりであるが、再三再四のたっての願いに断りきれなくなって応諾したケースばかりであってもこの通りである。
 2〜3ヶ月すら続けられないのだからお話にならない。本人の積極的な姿勢で来られた訳ではないから、この結果となるのであろう。
 
 それにしても先述の「このままずっと続けます」と言っていた彼女が突然中断した最後の愁い顔こそ隠れた四逆散証であったのにと、これだけは今年一年間でもっとも悔やまれる出来事であった。

2006年12月26日

内風と外風との関係

御質問者:北陸地方の鍼灸師

2006年12月06日 の続き。

 いつもご指導有難うございます。
 めまいの方ですがほとんどめまいが出なくなってきましたが、ちょっと無理をすると(寝不足や飲食の不摂生)すこしフワッとする程度出る感じですが、ひどくはなりません。
 ただ寒くなってきたせいか頭痛(側頭部から後頭部にかけて)が出る回数が多くなってきました。
 そこで半夏白朮天麻湯や釣藤散と同系列の参蘇飲の使用はどうかと考えています。
 症状として少し寒気があるのと胃の調子が今ひとつとの事なので初期の風邪があるのかと考えています。 ただ喉の痛みとかはありません。
この様な場合出ている頭痛が風痰上擾なのか他の要因なのか判断に苦しみます。
 こういうのは臨床では結構悩むところではないかと思いますが、先生はどの様に考えられるのでしょうか?
 半夏白朮天麻や釣藤散で治まるかと思ったのですがどうもそうではないので少し考えあぐねています。
 頭痛といえども考えだすと難しく自分の勉強不足を感じています。どうかアドバイスのほど宜しくお願いいたします。
 また頭痛の事に詳しい中医学の本などお勧めがありましたら教えて頂けないでしょうか。宜しくお願いいたします。

ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
 風痰上擾の誘因となった虚の状況に乗じて寒風(風寒の邪気)の侵襲を許してしまうことは往々にして見られる現象ですので、参蘇飲や藿香正気散(カッコウショウキサン)などの併用は大いにあり得ることです。(追記:併用ではなくて配合方剤の変更こそ大いにあり得る!
 内風と外風の違いとともに、これらの錯綜関係を簡単に述べた拙論としては、

続命湯を代表とする外中風邪と脳血管障害の関係

が少し参考になるかもしれません。

 つまり、常に現実の疾患というのは、複雑多変であるかわりに、複雑なものが意外な単方で対処できる時もあれば、単純に見える疾患が意外にも複雑な五臓六腑のアンバランスが原因となっているために、かなり複雑な配合を要してみたり、ケース・バイ・ケースであることは言うまでもありません。
 
 ところで、以前、中医学の原書を読んでいたらシバシバ出てきた言葉に、「頭痛を治すのに頭痛薬を投与するのはヤブである」と言った意味のことが繰り返し目に付いていました。確かに、頭に病状が現れているからと言っても、病の根源は頭にはなくて五臓六腑・気血津液のいずれに問題があるのかを冷静に弁証論治する必要があると思います。
 頭痛だけの専門書というよりも、「疼痛」関連を主体に書かれた中医学書(原書)もありますが、燎原書店さんや東方書店さんの在庫目録などを取り寄せて、興味ある書籍を無駄になるくらい買い込むことが、無駄の効用になることと思います。(それがヒゲジジイ流の無駄な積読による勉強方法であり、それが大いに無駄の効用を発揮してくれたものでした。お陰で住居や書庫など合わせて4棟いずれも鬱蒼とした書籍の山で、客室という名の付く部屋は十年以上も前に完全に消滅してしまいました。でも、最近はグウタラ爺に成り下がっています。
                          頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝

折り返し頂いたメール:拝復
 お返事大変有難うございました。 ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。 実は恥ずかしい話し、ギックリ腰になり数日寝たきり状態でした。
医者の不養生とはこの事で、患者さんにひやかされるやらバカにされるやらで散々でした。芍薬甘草湯を服用するも効果なく、あきらめて寝ておりました。
今はやっと立って動けるくらいになりました。 寒い土地柄のせいか周りでも何人かおられます。
先生におかれましてもお身体をお大事下さい。(私みたいに自分を治療できないヘボとは違うとは思いますが)
まずはお礼まで 有難うございました。
posted by ヒゲジジイ at 22:05| 山口 ☁| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

2006年12月25日

下痢の原因は清熱瀉火の漢方薬による氷伏か?あるいはノロウイルスか?

 年の暮になると本業が慌しくなるだけでなく雑事も急に増加してブログの更新どころではなくなる。
 最も多忙になるのがもちろん本業だが、成人の男女のアトピー性皮膚炎などでは例の三点セットなど主軸にして運よく数ヶ月もしない間に8割以上軽快する人も続出した本年であった。(但しステロイド長期使用例や病歴が長い場合ではそうはゆかずに根気勝負である。

 手柄話を言えば、眼球の裏に四年かかって増大したあやしい腫瘍が二回目の検査までの一ヵ月半の多種類の漢方処方併用により、検査時には完全消失して担当医を驚愕させたのはつい先日のことである。(本来ならもっと早く二回目の検査を受ける予定が、悪性と診断されるのを恐れて引き延ばして遅れたのが結果論としてはサイワイであった。しかしながら脳内に生じた腫瘍というものは、良性でアレ悪性でアレ、脳圧が亢進するので放置しておくわけには行かない。この方の場合もすでに脳圧亢進症状が出現していた。

 ところでタイトルの下痢の問題では、たまたま清熱瀉火の方剤、たとえば黄連解毒湯や辛夷清肺湯などを服用されていた関東勢の二名の方が突然下痢を発症された。しかしながらいずれの場合も未然に氷伏を防ぐ配合をしていたので、あるいはノロウイスルが原因ではなかったかと疑っている。

 現在はお二人とも下痢も回復して、逆にこれがきっかけでお一人は、4ヶ月続けた何種類もの併用方剤が、僅か一方剤に絞り込めてまずまず順調である。(しかしながら、まだまだ数年以上、あるいは一生涯、この方剤が治療兼予防薬として必要な可能性もあり得る。

 またお一人は、一時、主軸の数種類の方剤以外の清熱瀉火系の方剤は中止してもらって、下痢が寒涼薬による氷伏によるものかノロウイスルが原因か不明ながら、手元にもたれていた葛根湯により下痢も治った。(氷伏の場合は、適量の葛根湯などの辛温薬によって速やかに回復することが多い。
 この方の場合は下痢の異変により、少しずつ快方に向かっていた病状が一時前戻っていたが、下痢の治癒後には氷伏に注意しながら対症療法の清熱瀉火の方剤を日毎に増減したり休薬することなどで、再びやや快方に向かいつつある。

 これには毎日のように連絡してもらって、とても勘の良い方だから、舌の詳細な状態を報告してもらうことで、日々の配合変化を神経質に行うヒゲジジイのアドバイス通り忠実にやってもらえたお陰で、臨機応変の配合変化の法則をかなり把握されつつある。
 つまりこの下痢という椿事がきっかけにより、より詳細な報告を毎日行ってもらえたお陰で、本命の疾患に対するピントの微調整の大事な部分が行えたということである。

 前述した一方剤だけに絞り込めた希有なケースでも、最初の数ヶ月近くは毎日のようにメールでの連絡があった実績の上に、下痢という椿事によって災い転じて福となした好例なのであった。

 ところで、お二人ともにノロウイルスが原因ではないかと疑って止まない理由を述べれば、お一人は近くに実際に吐き下しのノロウイスル患者さんがおられたことと、お二人ともに氷伏を防ぐ辛夷あるいは桂枝、あるいは活血薬などを配合していたのみならず、過去に寒涼薬による氷伏が生じたケースでは、全例がこれまでの順調な効果が突然途絶えて再燃気味となるというのが主な氷伏による症状であり、下痢を生じた例はなかったからである。(いくら強弁したところで、氷伏という気血の凝滞によって下痢が生じることはあり得ないことではない。
 ところで実際に氷伏が生じれば、桂枝などの適切な辛温薬を投与すれば、通常であれば比較的速やかに回復する。

 蛇足ながら、地元の18年来の常連の七十歳代の女性は、突然下痢を生じたのであわやノロウイルスかと危機感を覚え、常用する板藍茶の量を増やし、藿香正気散(カッコウショウキサン)を服用して速やかに治癒したとの報告を受けたばかりである。
 村田漢方堂薬局のベテラン常連さんになると、日頃の学習効果が緊急時に役に立つようだ。(この一人暮らしの方は、ノロウイルスによる吐き下し患者が出ている病院に定期的に出入りしているので、感染の可能性は高い。
posted by ヒゲジジイ at 01:24| 山口 | 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする

2006年12月21日

尿漏れに対する知柏地黄丸製剤と補中益気丸という珍しい配合

 今ならまずお断りしている御相談で、昔からの県外遠方の常連さんに依頼され、友人の尿漏れを治して欲しいということで、断りきれずに詳細な電話相談となった。
 その結論が上記タイトルの知柏地黄丸製剤(イスクラの瀉火補腎丸)に補中益気丸(人参ではなく党参配合)をお送りして既に十数年?!
 以来、尿漏れを生じる頻度は激減し、九十歳近くになっても矍鑠とされておられるとのことである。

 このような配合になったのも暑がりの高血圧でありながらも、膀胱の収縮力機能の低下や膀胱括約筋の緊張力低下(中気下陥)を来たした高齢者などに相応しい補中益気湯を使用するには、配合薬物中の人参は党参のほうが無難である。
 また一方では足が火照るなど陰虚火旺の証候も明らかであるから上記のような配合となったのであった。

 もともと神経質なほど弁証論治にこだわって細かな微調整を繰り返すことが多いのに、一発でピントが合ったまま、以来十数年が経過したが、本日定期便の電話注文があったところで思い出し、忘れない間にブログに書いておこうと思ったのだった。

 なお、他にも同様の配合でドンピシャのご高齢者がもう一人おられる。

2006年12月20日

「猪苓湯+茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)」と茵蔯五苓散の違い

御質問者:東海地方の内科医師

 氷伏については有益な助言ありがとうございました。

 当診療所では、アトピーの患者さんに対して、清熱剤+チョレイトウ+インチンコウトウの合方を処方することがありますが、チョレイトウ+インチンコウトウの部分をインチン五苓散にすると支障がありますでしょうか。
 
 チョレイトウのなかのカッセキ・アキョウ、インチンコウトウのなかのサンシシ・ダイオウがなくなりますが。ちょっと事情がありまして、ご助言をお願いします。

お返事メール:拝復
 あくまで一般論としてお返事させて頂くとして、猪苓湯を完全に外すのはまずいと思います。
 五苓散そのものにはかなり強い乾燥性があり、体質によっては粘膜組織まで乾燥させてしまいます。ですから、主軸は清熱剤と滋陰利水の猪苓湯として、氷伏を防げる桂枝の含まれた茵蔯五苓散を「適量」配合するのが無難だと思います。

 この「適量」というのがとても微妙で、製剤の満量を使用しては燥性が強すぎますので、半分量とか、あるいは三分の一量を加えるとかです。またこの場合、猪苓湯にしても満量使用して良いとは限らず、半分量に減量するというのもあり得るかと思います。
 つまり、五苓散には強い乾燥性がありますので、アトピー性皮膚炎には満了使用では利水力が強すぎて、ますます体表を乾燥させ兼ねない危険性があります。
 
 なお、長期に及んだアトピー性皮膚炎ではやはり影響が腎に波及していることがとても多く、体質によっては清熱剤が不要な場合もあり、また清熱剤の要不要に関わらず八仙丸などの六味丸系列方剤に猪苓湯の合方が主軸になるケースも多々あるかと存じます。
 ご存知の小生の拙論「脾肺病としてのアトピー性皮膚炎」について補足をしておきたいと存じます。本来ならあの拙論の続編として「脾肺腎病としてのアトピー性皮膚炎」を書く予定だったのですが、事情があって書かずに終わってしまいました。
 このタイトルの変遷にもありますように、病歴が長くなればなるほど「脾肺腎」の病としてのアトピー性皮膚炎が顕著になる傾向にあると愚考するところです。

 それゆえ、現在でも最も繁用する方剤は猪苓湯を中心に八仙丸を代表とする六味丸系列の補腎剤を加える方法が主流となっております。あくまで村田漢方堂薬局での話ですが(笑)。

 話は大分逸れましたが、アトピー性皮膚炎に五苓散を使用することは、たとえ茵蔯五苓散であれ、使用分量に対する配慮が必要であり、強い燥性に注意しながら、他薬とのバランスを考えて配合される場合は、氷伏を防ぐ桂枝が有効に利用できるかもしれません、というあくまで小生の個人的な見解です。

 以上、簡単ながらお返事まで。

村田漢方堂薬局 村田恭介拝

編集後記:理論的には長期間続いたアトピー性皮膚炎では、必ず影響が腎に波及しており、またその腎虚によって更にアトピーを悪循環に陥らすように思われる。
posted by ヒゲジジイ at 17:43| 山口 | 大柴胡湯や茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の真実 | 更新情報をチェックする

2006年12月19日

アレルギー疾患に対する漢方薬

 アトピー性皮膚炎や気管支喘息および花粉症を代表とする各種アレルギー性疾患に対し、共通して威力を発揮出来る方法を考案して十年になる。それゆえ臆面もなく
 アトピー性皮膚炎の漢方薬+自然療法をアップしているが、この方法は各種アレルギーに広く好評である。

 先日も関東在住の数年来のおなじみさんからの急な相談で、夏からずっと風邪が治らないと思っていたら、病院の診断ではアレルギー性鼻炎だからと投薬されるも眠くなるばかりで仕事にならず、くしゃみ・鼻水・鼻づまり、とりわけ鼻づまりは電話を通しても聞くに堪えない。
 漢方薬でなんとかならかだろうかということで、急遽、例の三点セットを送って差し上げていたところ、明くる日にアッサリと完全に雲散霧消したという報告と追加注文が昨日あったばかりである。

 この方法は、各種アレルギー性疾患の7割の人に速効を得るのだが、3割近くは遅効である。どうしてこのような分かれ目が出るのか検討すれば、やはりステロイド長期使用者ほど遅効であるようだ。それでも根気よく頑張っていれば3ヶ月もすれば、効いているという実感が得られるものである。

 アレルギー性疾患は不潔恐怖症的な抗菌社会の副産物として、今後もますます増える一方のようである。
 アトピー性皮膚炎や気管支喘息および花粉症などが代表的だが、実際には漢方と漢方薬の世界においては、
 東洋医学における疾病観は、五臓間における気・血・津液の生化と輸泄生成・輸布・排泄)の連係に異常が発生し、これらの基礎物質の生化と輸泄に過不足が生じたときが病態とされる。
 この理由から、五臓それぞれの生理機能の特性と五臓六腑に共通する「通」という性質にもとづき、病機(病理機序)と治法を分析する。
 つまり、
 @病因・病位・病性の三者を総合的に解明し、
 A気・血・津液の昇降出入と盈虧通滞(量的な過不足と流通の過不足)の状況を捉え、定位・定性・定量の三方面における病変の本質を把握する。
 これらの分析結果に基づき、
 病性の寒熱に対応した薬物を考慮しつつ、@発病原因を除去し、A臓腑の機能を調整し、B気血津精の疏通や補充を行う。

 以上が真の漢方と漢方薬の姿です。
漢方薬の村田漢方堂より)
 とあるように、アレルギー性疾患といえども、個人個人の体質と病状によって使用される漢方処方は様々に異なるものである。

 ところが村田漢方堂薬局考案の基本三点セットは自然療法をミックスしている分、病名治療的な普遍性があるのだが、ステロイド長期使用者に対するさらなる効果の向上に対する工夫がもう一つ要求されるところである。

 しかしながらステロイド長期使用のアトピー性皮膚炎患者さんたちこそ相談事例が最も多く、これまで互いの根気勝負ですべて8割緩解レベルには持ち込めているのだから、まずまずではないだろうか?!

2006年12月16日

二十年近く前に某メーカーさんに寄贈いただいていた村田漢方堂薬局の額を壁に取り付けてくれたフジキ技研(北九州市)の御兄弟

どの位置に架けるか皆で思案・検討中  村田漢方堂薬局の額とフジキ技研の御兄弟 村田漢方堂薬局の額:製作者の署名入り

 自宅の改装がもう直ぐ終わるので、二十年近く前に村田漢方堂薬局を彫り込んだ額があるのを今頃になって思い出し、工事に来てくれている親切なフジキ技研のお兄ちゃん達に苦心して廃屋寸前の薬局内に架けてもらった。

 中国でわざわざ制作依頼して贈って下さったもので随分重い木製だが、ヒゲジジイが生きている間に架けておかないと、永久に日の目を見ないままに終わることになる。後継者は薬局ということはほとんどあり得ないので・・・ムムッ
posted by ヒゲジジイ at 17:57| 山口 ☁| 村田漢方堂薬局の近況 | 更新情報をチェックする

2006年12月14日

ニンニク食品を中止して漢方薬を服用したら二年来の持病が10日で8割以上回復!

 12月9日:2年間ニンニク食品を常食した挙句に肺ガンの心配をするまでに・・・ の続報である。
 ニンニク食品(卵黄油入り)を即刻中止してもらって、胃症状に大柴胡湯加インチンコウトウ、慢性的な咽喉腫痛に天津感冒片の少量の常用を続けてもらった結果、10日足らずの間に様々な諸症状が8割以上は緩解した。

 まず外見で誰もが認める真っ赤な顔貌がほとんど雲散霧消し、胃症状もほぼ消退。肺ガンにでもなるかと恐れた気管支の胸苦しさもほとんど解消。
 おまけに10日前には報告をしてなかった頑固な腰痛がほとんど消失した。この腰痛は針灸整体?などをどんなに続けても全く無効で困惑していたところへ、思いがけず即効的に解消したといわれるのであった。

 なお、血液検査上では肝機能に異常値が出ていたということで、その検査は今後の問題だが、もしも漢方好きな先生で20年前だったら小柴胡湯を出されてますます肺熱を生じさせていたところであった。事ほど左様に、大柴胡湯と小柴胡湯は似て非なるもの、全然意味が異なるのである。

 以上、ブログの出演を快諾下さったこの女性の実例を、皆さんも他山の石(という表現は些か申し訳ないが)として、是非、参考にして欲しいものだ。と言っても参考にして欲しいのは漢方処方の内容ではなく、安易にサプリメントや健康食品に頼っていると、思いがけない弊害をもたらすこともあり得るという教訓にして欲しいということである。
 昨今、温めることばかりが熱心な日本社会であるが、その時々の流行に熱病のように浮かされる愚を犯すべきではない、という教訓である。 
posted by ヒゲジジイ at 13:19| 山口 ☁| 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする

2006年12月13日

中医学の初心者向けの参考書の御質問

性別 : 男性
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 医療・福祉関係
具体的な御職業 : 薬剤師
簡単な御住所:関東地方
お問い合わせ内容 :  中医学を独学していますが初心者向けの参考書がありましたら教えてください。どの本を読んだら良いかが種類があまりにも多すぎて良くわかりません。よろしくお願いいたします。

お返事メール: 同様な御質問がちょうど一年前にもありました。
 当時、5回くらいの往復メールをブログに掲載していますので、それを参考にされると良いかと思います。
特に、中医学問答(4) このページに書かれている関口善太先生の著された「やさしい中医学入門」と同じく関口先生の「東洋医学のしくみ」というのが良いかもしれません。
 その後の読書は、濫読するくらいのつもりで、御自分の好みの書籍を選択すべきだと思いますが、小生が実際に助けになった書籍は、このブログに掲載しているカテゴリ「中医学問答」の5回分くらいあるブログをすべて御覧になると、多少はヒントになるかもしれません。

http://murata-kanpo.seesaa.net/article/12378511.html

このサイトマップの下のほうに「中医学問答」というカテゴリの最初の五回分です。

以上、取り急ぎお返事まで。
                       頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝
posted by ヒゲジジイ at 19:57| 山口 ☔| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

沈香についての御質問

御質問者:東海地方の内科医師
 今日は、仕事場からメールしています。
 いつも貴重で臨床の益となるご助言ありがとうございます。
 本日は、ある製薬メーカーさんから沈香なる生薬について情報の提供を
受けました。
 本来は自分で検索すべきことですが、いかなるものか、使用するに耐えられるものであった場合、どのような適応があるのか、についてご教示いただければ幸いです。
 いつも生き字引に頼ってしまって恐縮です。

お返事メール:
 沈香は、辛・苦・温の性質で、帰経は脾・胃・腎、効能は、行気止痛散寒・温中止嘔、温腎補陽納気・降逆平喘などで、禁忌は気虚下陥(補中益気湯証など)や陰虚火旺(知柏腎気丸証など)で、このような体質の人には使えません。
 沈香と肉桂はよく比較され沈香は理気に優れ気滞の解決に長じ、肉桂は温陽に長じて陽虚や散寒に長じると言われます。
 それゆえ、寒涼薬によって生じた氷伏を解消するには、肉桂とともに沈香も有効であることは間違いありません。
 氷伏を防ぐ薬物としては肉桂よりも行気作用が優れているだけに、未然に防止する薬物としては肉桂よりも刺激性が少なく温和かもしれません???
 明らかな氷伏が生じて以後は、肉桂の方がシャープなように感じます。
 蛇足ながら日本で桂枝や桂皮として使用されているのは、すべて中医学における肉桂が使用されています。

 以上、簡単ながらお返事まで。

村田漢方堂薬局 村田恭介拝

折り返しのメール:沈香について詳細にお教えくださいましてありがとうございました。
posted by ヒゲジジイ at 19:45| 山口 ☔| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

なぜ小柴胡湯を使う方がすくなくなってきたのでしょうか?

漢方薬専門・村田漢方薬局による漢方相談のお問合せフォームより
性別 : 男性
年齢 : 60歳〜69歳
御職業 : 会社役員
具体的な御職業 : 販売業
簡単なご住所 : 東北地方
お問合せ・ご連絡内容 : 人に進められてこれから使おうとしているのですが、なぜ小柴胡湯を使う方がすくなくなってきたのでしょうか?

お返事メール:お返事が送れて申し訳ありません。
 正直なところ、御質問の内容があまりにも安易に思えてお返事する気にもなれなかったのです。
 しかしながら、漢方薬といえども医薬品であり、必ず体質に応じて使用すべきものですから、やはりオーバーな表現ながら、些かの警告めいたご注意を申し上げる必要を感じてコメントをお送りすることにしました。

 繰り返しになりますが、医薬品はシロウトの他人さんに奨められて服用すべきものではありません。間違っても滅多なことで重大な副作用はありませんが、ピントがずれていたら、小柴胡湯の場合では、高血圧の人はよけいに血圧を上げるでしょうし、乾燥性の咳嗽など乾燥性の気管支炎の持病がある人には逆効果です。

 小柴胡湯が過去に問題になった歴史は、医療用漢方の製造メーカーの積極的な働きかけもあって、肝炎には小柴胡湯というあまりにも短絡的且つ錯誤した使用方法が日本国中を席巻し、毎年何百万人もの人に投与され続けた結果、ごく少数の人に間質性肺炎が生じたとの報告がありました。
 他の合成医薬品の併用などの事実もあるなどの理由から、小柴胡湯原因説をいまだに疑問視する専門家も多数おられますが、少なくとも漢方薬といえども、たとえ医師であっても漢方医学についてのシロウトが扱うなどにより、極端に錯誤した使用方法が行われると、稀には重大な副作用が起こるかもしれないとの警告だったといえるかもしれません。(病院で出された医療用漢方でのみ起こった不祥事です!

 このような報道がなされる前に警告として、肝炎に小柴胡湯という短絡的な病名治療は錯誤に近いとした拙論を過去に書いていますのでご参考までに・・・・。
小柴胡湯問題が勃発する以前に警告していた19年前の拙論 和漢薬誌419号(1988年4月号)の巻頭論文

                          頓首
ヒゲ薬剤師
posted by ヒゲジジイ at 00:55| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年12月12日

終着駅は下関!?

 昨日(月曜日)の新人さんは、都合により遠方から飛行機で往復日帰りであった。だから多くの遠方の方のように二泊三日や一泊二日ではないから、朝から夕方まで集中講義(ではなかった)集中相談で、出来るだけの時間をかけた。だから村田漢方堂薬局が終着駅であってほしいと願う。

 西洋医学はもとより、各地の漢方遍歴をお聴きしていると、効果があったためしが一度もない。その漢方遍歴談はとても興味深く参考になった。
 そして若い世代が、如何にインターネットをフル活用して情報を得ているかの実際を聞いて、この世はインターネット中心社会になったことがますますヒシヒシと感じられるのであった。

 そこで、インターネットにより村田漢方堂薬局を訪問した人でも、とても面白いことに気がついた。同じインターネットを利用して遠方から来られた人でも、その後の連絡が世代によって大きく異なる傾向があることに気がついたのだった。
 おおよそ35歳を境に、それ以下の人はほぼ一人の例外を除いて、全員がメール中心の連絡であり、それ以上の人は1.5人の例外を除いて全員が電話の連絡である。この1.5人というのが微妙で、いつも御出演下さる東京の超美人の昔のお嬢様が、メールも電話も利用されるからである。
 それ以外の方は、若い世代は徹底的にメールであり、それ以上の人は電話である。
 
 以上は、あくまでインターネットで村田漢方堂薬局を発見(笑)して来られた人達の話で、古くからの常連さんで関東地区などにお住まいの人達でも、一人の例外を除いて全員が昔から電話連絡で、メールを利用される人はいない。やはり35歳以上という傾向がかなりはっきりしている。
 以上は県内や近県の人達は除外した統計であるが、今後もこのような傾向が続くのかどうか、興味深い。

 それにしても若い世代は、情報取得にいかにインターネットを利用し、目に甘く耳に心地よい情報に飛びつき、様々な情報に右往左往してサンザン懲りた挙句に、ようやくトウヘンボクなヒゲジジイのアイロニックなブログやサイトに何を感じたのか、賭けてみる気になった奇特な人達が若い世代にも意外に多く、遠路はるばるやって来られるのであった。

 「絶対治してあげる」「二ヶ月で必ず治る」など、どういう根拠で「絶対」とか、「必ず」とか言えるのか不思議であるが、それらの甘い言葉に誘われて、結局は様々な無効な治療や逆効果で苦労の果てに行き場を失い、最後に辿り着かれた本州の端の終着駅下関、という栄光が永遠であることを祈るばかりである(笑)
posted by ヒゲジジイ at 02:55| 山口 | 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする

2006年12月10日

アトピー性皮膚炎の冬季悪化についての御質問

御質問者: 東海地方の内科医師

 すこしご無沙汰しました。新規の患者さんで晩秋のころに当診療所を受診なさったかたの多くが、清熱剤+チョレイトウ+インチンコウトウの併用でかなりいい感じになってきていたのですが、一様に、ごく最近になって(11月下旬ごろから)、やや増悪している傾向にあります。

 教科書的には冬季に悪化する、と記載はありますが、その説明については、乾燥程度のことしか見当たりません。それはともかくにして、当診療所にとっては増悪している患者さんや患児のかたの皮膚をよくして差し上げなければいけないわけです。
 ここでご教示いただければと思うのですが、このような状況の場合、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。あまりに漠然とした質問で恐縮です。
 具体的な病状についてご説明できれば、ご返答しやすいとは思っていますが、これまでの経験からアドバイスをお願いできれば幸いです。


ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 この問題こそ、小生がアトピー関連で最初に書いた拙論の最も反省させられる部分で、
アトピ−性皮膚炎の中医漢方薬学療法
 この拙論の最初に反省として書いている「清熱剤の黄連解毒湯をやや乱用気味であり、すべてを鵜呑みにして使用すると、たとえ初期に即効を得たとしても、時に氷伏(ひょうふく)を生じることもあり得るので」の問題点です。この清熱剤はインチンコウトウも含めて、そのまま使用し続けると、往々にして効果が途中で突然途絶えてしまうことがありえます。

「清熱剤+チョレイトウ+インチンコウトウ」の配合には、氷伏を未然に防ぐ活血化オの薬物が大黄以外にはないことが問題のようです。できれば温性の活血薬、単純には桂枝程度でもかなり氷伏を避けることができます。
 あるいは、デリケートなアトピーに対してはインチンコウトウの加方がやや強すぎるのかもしれません。

 もう一つの可能性は、もしも子供さんのアトピーが多いようでしたら、食物アレルギーが顕著な例では補中益気湯が適応する場合が意外に多く、過去にも重症のアトピーの幼児で淡白舌で胖大、舌先は紅に「黄連解毒湯+補中益気湯」で速効を得て効果が途絶えることなく治癒しています。この場合、補中益気湯中の当帰などで氷伏を避けることが出来ます。
 食物アレルギーの子供さんには弁証論治を正確に行えば、補中益気湯証が基礎にあることが多いように感じます。

 以上、メールを拝見して感じたことを取り急ぎお返事申し上げる次第です。
                         頓首

折り返しの御質問:前略
 いつも早速のご返事ありがとうございます。
 お忙しいとは存じますが、氷伏(ひょうふく)についてもうすこしご教示ください。

 本日受診なさったかたのなかに、先のメールにて質問するきっかけとなった乾燥した頑固な咳の患者さんがいらっしゃったのですが。「どうも着実に改善しています」とのことでお顔の表情も良くなっていました。
 まことに有難い経験です。村田さんには感謝しています。


ヒゲジジイのお返事メール:
 寒涼薬を過剰に投与すると氷伏を生じやすいということは、張景岳(葉天士)が警告した言葉だったと思いますが、具体的に解説された日本語書籍の記憶がないので、小生の把握しているイメージを以下に述べさせて頂きます。
 シバシバ生じるのが寒涼剤による寒凝血オや腎陽の損傷で、これまでの効果が0になる。これを未然に防ぐには温性の活血薬で、その代表的なものが桂枝や桂皮だというものです。

 実際に氷伏が生じた例として
アトピー性皮膚炎における去風薬配合上の問題点(『中医臨床』誌1993年3月号に発表分)(引用⇒透明な分泌物の出現と寒冷蕁麻疹の併発をみたために,黄連解毒湯・滑石茯苓湯・桂枝加黄耆湯加白朮の三者合方に変え,最終的には黄連解毒湯合桂枝加黄耆湯加茯苓白朮としてほぼ軽快するに至った症例がありましたが,これは明らかに軽症者に対する寒凉薬過剰投与による誤治によるものでした。
 および、脾肺病としてのアトピー性皮膚炎(1996年:東洋学術出版社発行『アトピー性皮膚炎の漢方治療』より)  における症例1番目の考察のところで、黄連解毒湯の乱用により愚息の腎陽損傷のケースを述べています。(引用⇒以前,当時14才の愚息の流感による高熱に対し,銀翹散製剤と黄連解毒湯で即効的に治癒させたことがあるが,治癒後もだらだらと続服させていたら,夜間尿の回数が急増して困ったことがある。黄連解毒湯を中止し,腎陽を強力に温補する海馬補腎丸を飲ませて治癒させたが,黄連解毒湯などの清熱瀉火薬を連用する場合は,衛気の来源である腎陽を損傷しないように細心の注意が必要である。
 『霊枢』営衛生会篇に「衛は下焦より出ず」とあるように,衛気は腎から生じる元気がもとになっており,腎陽の蒸騰気化を通じて水穀の精微から化生し,肺の宣発によって全身に散布されるので,衛気が正常に機能するには,@腎精が充足し,A脾が管轄する水穀の精微が充足し,B肺の宣発機能が正常に働く必要がある。


 濫読した当時の中医学書に張景岳葉天士が警告した言葉として引用されていたと思うのですが、その文献(実は清の周学海著「読医随筆」)を思い出せません。手元の書籍をチョット調べてみても意外に一般の中医学書には書かれてないようなので、書庫のどこかに眠っている本で読んだものと思われます。
 確実な資料が出てきた時にはご連絡申し上げます。

追伸: もっと的確な表現が思い浮かびました。

 黄連解毒湯や石膏剤のような寒涼薬を多用すると「気血を凝滞させる」ということを「氷伏」と表現したものと思われます。
 それゆえシナモン(桂枝)などは温性の優れた行気活血薬でもあるので、氷伏を防ぐ代表的な薬物と言えるのかもしれません。
 ともあれ、寒涼薬を多用すると、往々にして気血凝滞を引き起こすので、その時点でそれまで有効に作用していた効果が突然途絶えてしまうようです。

村田恭介拝

折り返し頂いたメール:
 ”氷伏”についてお返事のメールありがとうございます。
 ご説明を拝読しますと、清熱剤をはじめとした寒涼薬を投与しつづけている患者さんのなかに結構該当するかたがいることに気が付きました。寒凝血オや腎陽の損傷が疑われるケースがありそうです。
 さっそく、ケイヒを加えるなどして対応して見ます。
 いつも参考となるご助言ありがとうございます。これで、「成人式にはきれいな顔で出席したい」
とおっしゃってみえた若い患者さんのご意向が叶うかもしれません。

posted by ヒゲジジイ at 00:07| 山口 ☔| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

2006年12月09日

2年間ニンニク食品を常食した挙句に肺ガンの心配をするまでに・・・

フグをゲットして遁走するウミネコ
フグをゲットして遁走するウミネコ posted by (C)ヒゲジジイ

 ニンニク主体の健康食品(卵黄油入り)による弊害は後を絶たない。今後も問題事例を折々に取り上げたい。
 今回は昨日の午後に来局された中年女性だが、数日前に胃が悪いと言って来られ、大柴胡湯合インチンコウトウで速効を得たので、今度は咽喉腫痛の問題で来られた。昨日の今日のニンニク問題を留意している矢先であるから、この方にも質問すればズバリ的中! 二年間一家で真面目に飲用し続けておられる。風邪を引きやすいのと足部の冷え性が治したいので、その目的であったと言われる。

 しかしながら、舌は紅絳で黄膩苔が顕著、舌形は引き締まっていることから、急性熱性疾患時のまるで気営両燔(きえいりょうはん)の兆候に見えるほどである。
 明らかに営血が熱邪により煮詰められて濃縮された状況である。
 辛温のニンニクが有益なはずがない。このことを強く指摘して差し上げ、具体的な問題を指摘すると、殆んどが的中している。

 足冷えと咽喉腫痛の回数はやや減ったこと以外は問題点だらけで、もともと上半身は暑がりだったところへ、ますます暑がりと発汗過多、人が寒がっているところでも一人顔が上気して赤く、だらだらと発汗することがしばしばとなり、胃部不快感が常習化。
 もっとも不安になったのは咽喉が少しよくなった分、気管支炎症状が新に加わり常に胸苦しく(小陥胸湯証!)、これはきっと肺ガンの前兆に違いないと思い込むようになったこと。
 辛温のニンニク健康食品(卵黄油入り)が、明らかに胃経と肺経を直撃している。
 前回述べた「熱証患者が長期に亘って多量にニンニクが含まれた健康食品や医薬品を摂取し続けると、気管支に関しては間質性肺炎を疑いたくなるような事例が出てきてもおかしくない」とはまさにこの女性のケースのような事例が頻出する可能性のことである。


 二度とニンニク健康食品を飲用しないように厳命し、今回は咽喉腫痛のご相談だから銀翹散製剤(天津感冒片)のトローチ代わりの節約した利用方法を伝授。

後日談:2009年09月11日
温め療法が流行る昨今、ニンニク過剰摂取による弊害が頻出


フグをゲットして遁走するウミネコ
フグをゲットして遁走するウミネコ posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 01:18| 山口 ☁| 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする

2006年12月08日

炎症性疾患を悪化させるニンニクが多量に含まれた健康食品!

 昨今とても困った問題が連続して生じているので、このブログでも警告しておきたい!
 現在、村田漢方堂薬局の漢方薬を利用されている人で、ニンニクが豊富に含まれた健康食品を常用している人があったら即刻中止して欲しい!
 とりわけ炎症性疾患を持つ人では禁忌である。
 たとえば、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、慢性咽喉炎や気管支炎・気管支喘息、慢性肝炎、慢性腎炎や腎不全、関節が赤く腫れている慢性関節リウマチ、高血圧、鬱病系統の人達で顔がよく火照っているタイプの人。目が充血しやすい人、汗かきや暑がりの人など、いずれも当方で漢方を利用されている人で、こっそり当方に相談もせずにニンニク食品を常用されている人があったら、いずれも逆効果だから即刻止めて欲しい!

 中医学的にはニンニクは大蒜(だいさん)と称し、性味は辛温、帰経は胃・大腸経であるからなおのこと、辛温のニンニクを過剰に摂取すると嬌臓(きょうぞう=デリケートな臓器)である肺系統を損傷し兼ねない。大腸経と表裏をなす肺経には直撃に近いのである。
 だから肺の外竅である鼻(蓄膿症)、肺の門戸である咽喉(慢性咽喉炎)、脾肺病であるアトピー性皮膚炎などに対する影響は直撃に近く、気管支に対しては殆んど直撃である。


 つまり、咽喉腫痛を繰り返す体質者や黄色の膿汁が付き纏う蓄膿症に対して悪化させるにはもってこいの食品ではあっても、多少とも有利に働くことは断じてあり得ない。
 アトピー性皮膚炎などで風呂上りに猛烈に痒くなるタイプであれば、間違いなく逆効果!悪化しても当然である。

 今後さらに問題になるであろう可能性を指摘すれば、熱証患者が長期に亘って多量にニンニクが含まれた健康食品や医薬品を摂取し続けると、気管支に関しては間質性肺炎を疑いたくなるような事例が出てきてもおかしくない現代社会である。
 寒熱を無視した健康食品の乱用が目立つ現代社会では、お金を出してみずから慢性自殺の道をひた走っていることを知らずに、宣伝文句に釣られて健康食品だから身体に良いと皆が信じて疑わない。
 これを「衆愚」と言わずして他にどのような適切な表現方法があるだろうか?

 困った実例として次のような二例が立て続けに発覚した。
 一つはリウマチを悪化させていた事例。
健康食品のニンニク含有製品が邪魔していた漢方薬の効き目
 もう一つは慢性咽喉炎と目の充血を徹底的に悪化させていた事例。
咽喉腫痛を伴う風邪を繰り返す体質改善にニンニク食品を取り続ける重大なる錯誤

 いずれの事例も、ニンニク食品(卵黄油入り)は健康にトテモ良いと信じ込んで、まさかこんなに悪影響どころか、病気を悪化させていたことを指摘されるまで、まったくの想定外であったそうで、当方に申告する必要性を全然感じていなかったというから、よけいに恐ろしい。
 だからシロウトというのは恐いもの知らず、無知ほど恐ろしいものはないのである。
posted by ヒゲジジイ at 00:11| 山口 ☁| 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする

2006年12月06日

11月27日:11月23日のメマイ(めまい)の漢方薬[風痰上擾]の続き、の続きの御質問

11月27日:11月23日のメマイ(めまい)の漢方薬[風痰上擾]の続き の続き。

ご質問者:北陸地方の鍼灸師
村田先生
 先日も丁寧な御返事、有難うございました。経過を報告させていただきます。
まず手元に釣藤散しかなかったので、それだけで服用していただきました。3回服用目ぐらいからめまいが落ち着いてきました。
 しかし、まだ4割ぐらい残るとのことで半夏白朮天麻湯を追加で服用していただきました。
 服用2日目あたりから気付かない間にめまいがなくなったとの事で喜んでくれてます。
のぼせ傾向と舌先の紅とソケイ部の湿疹での黄連解毒湯も通常の2分の1の量で服用してもらいましたが、2回飲んで2回とも下痢をしたとのことで中止していただきました。
現在は上記の2方だけ服用していただいてます。

 ただ現在、頭をふると側頭部から後頭部にかけて頭痛がするのと、血圧が170/83と上がまだ高く、ソケイ部の湿疹も変わらず痒く、目が非常に疲れ、朝も目覚めが悪いとの事です。
 舌象は苔は膩傾向はなく、奥の方が白苔が多い感じです。胖傾向、お点みたいなのが舌先にやはり少しある感じで、淡紅で舌先部はやはり少し紅いです。
 もしかしたら腎陰虚で六味丸を考えたらよいのかと思っています。 先生の方法だと10日ごとに様子をみられておられるので、それを真似ておりますが、そのままで様子をみていけばよろしいでしょうか?
 その辺の判断に迷っています。
 なんか患者さんより焦っている感じなんですが、ご指導いただければ幸いです。宜しくお願いいたします。

 あと全然違った質問なのですが、うちの患者さんで、ここ最近甘いものが欲しくてしょうがないという人がたてつづけにいたので不思議に思っています。
 かと言ってその方達は肉体労働かといえば事務職で、パソコンとかが多いそうです。
 目を使う事と関係しているのかと考えています。
 中医学的になにか考えられるのでしょうか?重ねてお願いいたします。


お返事メール:拝復
  風痰上擾は脾不運湿が根本原因であるとはいえ、往々にして肝腎陰虚が絡んでいることが多いものです。病変部位は筋膜ですので、筋膜組織自体が肝と最も関連が深く、脾不運湿による湿聚生痰の問題ばかりでなく、筋膜組織の栄養不足である肝腎陰虚を伴っていることがとても多いのが現実のようです。この場合は明らかな眼振を伴っていることが多いように思います。
 ですから最初の御質問時に提示した症例
http://murata-kanpo.seesaa.net/article/28065535.html における、
 なお、釣藤散合半夏白朮天麻湯合六味丸により、一週間に三日は寝込んで眩暈・耳鳴り、嘔吐を繰り返し、ひどい眼振のあった中年女性の重度の持病が数年間の服用で根治させれた人もあります。前後10年は続服し、廃薬後も十年間、未だに再発はみられていません。
 風痰上擾による眩暈の重症例としては典型的でした。
 釣藤散と半夏白朮天麻湯の合方は内風に効果のある釣藤鈎と天麻が配合されてとても重宝で、しかも両者の配合は脾虚不運湿による湿濁内停を排除するにももってこいの方剤ですが、長期間連用すると優れた燥性により組織液の損耗を引き起こす(釣藤散中の麦門冬くらいでは弱い)可能性が高いので、配合バランスの上からも六味丸系列の方剤の中で適切なものを遅かれ早かれ加えるべきだと思います。
 ですから、お気づきの通り、さしあたっては六味丸程度を適量加えて様子を見るのが適切だと思います。でも眼精疲労が激しいのであれば、イスクラの杞菊地黄丸が最も適切かもしれません。

 なお、パソコンなどがメインの仕事の事務系の人達の甘いものの嗜好は、中医学的に考えるまでもなく、小生自身が一日中、薬局閉店後も、各地の患者さん達と夜中まで微調整の為のメール交換の毎日で、無い頭を酷使し続けると、しばしば甘いものが欲しくなっていますが、西洋医学的にも脳内の疲労にはブドウ糖が必須であると言われることに該当する事例だと思います。
 ちなみに高齢者の場合、軽度の糖尿病くらいのほうが頭がボケないということを、何かの本で精神科専門の医師、和田秀樹氏が書いておられました。
 以上、簡単ながらお返事まで。
                   頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝


折り返しお礼のメール:拝復
お忙しい中ご指導有難うございます。
先生ご指摘の杞菊腎気丸を使用してみようと思います。
あとダイエットのための扁セキも使用を考えています。(今まで使用したことがないです。少し調べましたら留飲に対する処方で過食による肥満からくる疾患に使用すると書かれてありました) ちょっと量が多く感じてますが…
ちょっと糖尿気味のほうがボケないという話しは大変面白いと思いました。

先生は甘いものが欲しくなるぐらい疲れたら、やっぱりいつものアレ(笑)ですね。 (哲学の煙も含め)。
頓首
posted by ヒゲジジイ at 00:39| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年12月05日

漢方と漢方薬関連の絶版古書をヤフーオークションに出品された薬剤師さんによる御案内

漢方薬は中医漢方薬学派の漢方相談専門薬局のお問合せフォームより
性別 : 女性
年齢 : 20歳〜29歳
具体的な御職業 : 薬剤師
簡単な御住所 : 東北地方
ご意見やご質問をどうぞ : 非売本の日本漢方の特質と源流 ・荒木正胤著・上下巻セット(8000円からスタートし、現在20,000円です)や古書・荒木性次(著)・方術説話全巻(定価12万、1万円から入札スタートしました)など沢山の絶版の古書をヤフーオークションにてこの度出品することになりましたのでもしご興味ありましたらどうぞよろしくお願いいたします。こちらです→http://openuser.auctions.yahoo.co.jp/jp/user/shoken5762259?このメールが不愉快に感じられましたら大変申し訳ございませんでした。

お返事メール:拝復
 早速拝見してみましたが、残念ながら漢方関連図書はすべて所持しております。
http://murata-kanpo.ftw.jp/u14941.html#shoko 漢方を含めた医学・薬学関係書籍五万冊以上、一般書籍まで寄せると6万冊を遙かに越えています。
 わざわざ御案内、ありがとうございました。
 それにしても疑問なのは、同じ薬剤師でありながら、そのような漢方と漢方薬関連の貴重な書籍を売りに出すなんて、学問的なことを考えれば、とても勿体無いように思います。
 いらぬお節介ながら、ちょっと気になりましたので・・・悪しからず。
                     頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介
posted by ヒゲジジイ at 12:49| 山口 | 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年12月04日

動悸や胃のむかつきなどのストレス症候群の漢方相談

性別 : 男性
年齢 : 20歳〜29歳
具体的な御職業: 研究職
簡単なご住所: 関東地方
お問合せ・ご連絡内容 : 本日、母がそちらを尋ねて漢方薬を送付してもらった者です。一時間半近くお話してくださったということでとても感謝いたしております。
 私自身、3月までパキシルを飲んで、会社に行けなくなり、薬を止めたときの苦しみと会社を辞めざるをえなかった苦しみを今でも悔しくつらく思っております。
 現在は◎◎で、やっと抗不安剤を飲みながらでも仕事に出社できているからそれだけでも嬉しいですが、動悸や胃のむかつきといったものについては悩まされていて、いろいろ調べていました。
 母より電話があり、早速漢方薬を飲みたいと思います。ぜひ身体を治して、今まで悔しい辛い思いをしていたものを取り払いたいです。
 今月の帰省の際にお尋ねしたいと思っております。正直に、藁にもすがる思いでおります。
 何卒、宜しくお願い致します。


お返事メール:拝復
 相談カードを調べてみたら母上様ご自身が16年前までしばしば当方の漢方を利用されておられ、また貴方御自身にも漢方をお出ししたことがありました。
 母上様はお寺のご住職さんに奨められて久しぶりに当方へ御相談にみえられたそうですが、アラユル治療を試みて、結局埒があかなくなってトウヘンボクな村田漢方堂薬局を紹介されて来られる人が多いようです。
 そこまで切羽詰らないと皆さん本気で漢方治療に専念できないようです。

 当方には地元に限らずそちらの方面からも貴方と同年代や三〜四十代の男女がかなり来られています。遠方だから多くは二泊三日で来られ、その後は10日毎のメールで微調整です。
 一発でピントが合う人もあれば、しっかり方向が定まるのに3ヶ月以上かかる人など様々ですが、皆さんいずれも地元の様々な治療方法で治らなかった人だけに、遠方ということもあって真剣そのものだから、比較的順調に経過する人が9割以上です。
 山口県の地元で好い加減な気持ちで来られる人よりも、むしろ成績が良いくらいです。(注記:こういう人はお断りしていてもどうしても紛れ込んでいることがある
 貴方御自身も相当に苦労されたようですから、帰郷された折は必ず十分時間の余裕を持って御来局下さい。
 さしあたっては、もっとも悩まれている「動悸や胃のむかつき」については、明日そちらに到着する漢方薬こそ、確率の高い方剤ですので、しっかり服用してみて下さい。
 子供の頃に来られた程度では、こちらには記憶が乏しい(皆無かも)ので、必ず直接一度は来られておかないと、その後の本格的な微調整が不可能ですので、何度も繰り返しますが年末の帰省時には必ず直接御来局下さい。

 常に当方のブログ類に書いていることですが、世間で思われるほど漢方と漢方薬の世界は決してやさしいものではなく、複雑な構造主義科学の世界であるだけに正しく適切に漢方薬を選ぶことは専門知識を要するものです。
 だからこそ専門的な知識を持って適切に運用すれば世間で思われる以上の膂力を発揮するわけです。それには服用者の真剣に治そうという情熱とともに、郷に入っては郷に従えで、漢方と漢方薬の流儀に副うように努力して頂く必要があります。

 むしろやや切羽詰るくらいの気持ちで来られた人ほど、初期には多少難航することはあっても不屈の精神をもって頑張れば、遅かれ早かれピントがシッカリ合って解決できるのです。
 
 ところでこのメールは、最近制作したばかりのサイト 漢方薬専門・村田漢方薬局による漢方相談 のお問合せフォームをご利用されたようですが、サイトとしては、
漢方薬専門・漢方相談/村田漢方堂薬局 が一番古くて本命で、ブログとしては、
漢方と漢方薬の質疑応答集と村田漢方堂薬局の近況報告 にかなり本音を書いていますし、
漢方と漢方薬の将来のために 
漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱 でも同様です。
以上、取り急ぎお返事まで。
                   頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝
posted by ヒゲジジイ at 21:07| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年12月03日

薄毛の漢方薬について

2005年12月27日のボクチン(1歳)
2005年12月27日のボクチン(1歳) posted by (C)ボクチンの母

性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
具体的な御職業 : 就職活動中
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容: はじめまして、●●と申します。どうぞ宜しくアドバイスお願い申し上げます。

<相談内容;薄毛に関しまして>
 下記の通りの通院・服用歴があります。この度、貴殿のサイトを拝見し、是非伺いたく存じました。
 『但し、病院での諸検査及び標準治療などを、すでに充分受けている方に限ります。』との御指示がありましたので、3つ目となります違う病院にて(〇〇〇大学病院の予定です)検査の上、伺いたく存じます。
 つきましては、伺う際、具体的に必要な検査方法、検査結果や情報(データ)を御指南頂けますでしょうか?
 
 <経緯>ここ、1年ほどで頭頂部から後頭部への薄毛がひどくなってきました。人から指摘されて気づき、以来気になってしまい、・・・・・・で前髪をアップにしないと外出できないようになりました。気がつくと同時期に発生した腕の神経痛が悪化し(こちらはMRIにて首からのものではないという所見です)、ストレス太り(半年で5キロ)です。

 <受診歴:2病院(個人の皮膚科・◎◎大学病院皮膚科)>
 【大学病院医の所見と処方】年齢によるものということで、検査などは特になく、「あ〜ひどいね」程度のものでした。
 【個人病院の所見と処方】検査なし。ストレスとの所見。セファランチンとメチコバール・・・半年服用しましたが、特に変化はないようです。
 
 薄毛と神経痛の対処法が見つからないことで、焦っているのは承知しております。そして、その焦りか、就職活動でも、良いお話を頂戴しても、身体が持たなくてやめてしまったら御迷惑をかけてしまう...と前向きに動けない良くない循環にはまってしまったようです。
 御多忙の折、大変恐縮ですが、アドバイス頂ければ幸いです。
 寒さ厳しき折、どうぞ御自愛くださいませ。

2005年12月27日のボクチン(1歳)
2005年12月27日のボクチン(1歳) posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:拝復
 既に西洋医学的診断と治療も複数試みられておられ、その診断内容についても判然としないところがあるようですね。
 念を入れて、さらに大学病院で診ていただくとしても、診断は専門医が必要なことは行ってくれるはずですから、今度かかられる専門医におまかせするべきです。
 ところで、当方のHPに『但し、病院での諸検査及び標準治療などを、すでに充分受けている方に限ります。』と掲示している理由は、http://bany.bz/kanpo/entry_14121.php にもありますように、
漢方薬を有効に利用するにしても、西洋医学的な諸検査に基づく正しい診断、および標準治療などを受けずに、安易に漢方療法に走るのは、ちょっと考えものです。
重大な疾患が基礎にある場合、発見が遅れたために、あとで後悔することにならないとも限らないからです。
東洋医学と西洋医学は、医薬・薬学大系がまったく異質であるとはいっても、高度に発達した西洋医学を無視することは間違っていると思います。

但し、諸検査および諸治療によっても、西洋医学治療では限界を感じるというときにこそ、中医学と漢方医学を合体させた「中医漢方薬学」が本領を発揮する場でもあります!
 という理由からです。
 しかしながら貴女の場合は、重大な疾患が潜んでいる可能性が低いことは、すでに受診された2つの病院で証明されているようなものです。
 実際の所を言えば西洋医学においても、原因不明の疾患は無数にあるのが現実なのです。とは言え西洋医学的に病名や原因が分かれば分かるにこしたことはなく、また上述のように、西洋医学における諸検査を受けなかった為に、重大な疾患が潜んでいた場合に後で後悔されてもはじまりませんので、受けるべきものは受けておくように、また西洋医学における治療方法があるものなら、標準治療程度は受けておくべきだと考えるからです。

 そこまでやっておかないと、自費の漢方に専念できないことが多いものですから、尚更、これらのことを強調しているわけです。
 さらには現実には医療用漢方(保険漢方)や地元での専門薬局やクリニックで漢方治療を試みたが駄目だった、というくらいにやや追い込まれたくらいの人こそ、本気で当方の漢方に打ち込めているように感じます。しかもそのくらいに追い込まれた人の方が、10日毎の微調整にも真剣に協力してもらえるので、早くピントが合い、その後の臨機応変の微調整も行いやすいわけです。

 前置きが長くなりすぎましたが、貴女の神経痛は何が原因でアレ、多くの場合、比較的スムーズに8割以上は早期に解決できると思います。肝腎の脱毛部分は、円形脱毛症であれば、漢方薬の得意分野ですので多くは比較的スムーズに解決できます。編集後の追記:円形脱毛症の場合は多くは3ヶ月前後で産毛=うぶげが生え揃うことが多い。しかしながら貴女の場合はそうではなさそうですが、本当にストレス性であれば、類似した漢方治療が通用する可能性は高いと思います。
 といっても体質全体における五臓六腑のアンバランスの問題もありますので、全体的な体質改善を行う必要があるかもしれません。
 難治なものであっても、漢方薬を用いて中医学的な体質改善を行うことによって解決できる可能性が高いということです。
 つまり、中医漢方薬学理論の基礎である 漢方と漢方薬の基本的考え方 を忠実に実行すれば、遅かれ早かれ8割レベルの改善は得られるように考えます。

 但し、自費の漢方というものは一定レベルの経費を数年に亘って費やす必要があることも多く、それだけにまだ保険漢方や地元の漢方を試みておられない貴女が、遠路はるばる下関まで来られて、その後、ピントがシッカリ合うまで10日毎のメール相談による微調整に耐えられるかどうかという問題があります。
 (もちろん自費の漢方には数々の豊富なバリエーションがかなり自由に使用できる有利さがありますが、実際にはこのこと以上に、漢方薬に対する知識と経験という問題が最も重大です。)

 以上、簡単ながらお返事まで。
                     頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝


折り返しのメール: ご丁寧なお礼のメールは都合により省略

2005年12月23日のボクチン(1歳)
2005年12月23日のボクチン(1歳) posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 12:12| 山口 ☁| 円形脱毛症や薄毛 | 更新情報をチェックする