最初にちょっと難しい話をすれば、漢方医学的に、病気の原因が「瘀血(おけつ)」であると言われることが社会現象としてもブームになりつつあるが、たしかに「瘀血(おけつ)」が原因で生じる疾患は数多いが、ここで考えなければならないのは、その病の原因となった「瘀血(おけつ)」を生じるには、もっと根本的な原因があってのことであり、中医学的に考えれば「瘀血(おけつ)」というのは多くの場合二次的病理産物であるに過ぎない。
「瘀血(おけつ)」というものは 瘀血(おけつ)に対する最低限の基礎知識 に書かれているように様々な原因によって生じるものである。
これに類似した論法で言えば、現代社会の慢性疾患の原因の多くが精神的なストレスが誘引となっており、様々な欲求不満という単なるワガママから生じる肝気鬱結という場合もあるにせよ、多くはヤマアラシの闘争によるものが最も多いように見受けられる。肝気鬱結の原因について
ヤマアラシのジレンマとは独逸の厭世哲学者、ショーペンハウアーの寓話によるものであるが、彼の意図した意味を越えて、人間同士が接近すると常に摩擦が付き物である。ヤマアラシ同士が接近すれば当然、互いの針で差し合って傷の絶え間がないので、あとは想像力を働かせれば、皆さんそれぞれの立場によって様々な意味合いで、それぞれに納得がゆくはずである。
事ほど左様に人間同士とは常に摩擦が付き物だから、学校におけるイジメによる自殺が絶えないのも、根本原因は人間同士が互いに近づく環境におかれるからだ。
当然、イジメの問題は学校に限らず、会社内でも東京営業所と大阪営業所の部長同士の確執で会社が傾いたり、家庭内では夫婦間のトラブルの絶え間がないなど、ヤマアラシの闘争は人間社会には蔓延している。
三十数年に亘る漢方相談の経験から言える事は、どうやら半数以上の人の発病原因がヤマアラシの闘争によるものであることをヒシヒシと感じる昨今である。
もちろん、ショーペンハウアーの寓話通りにヤマアラシのジレンマによるものも多いのも事実であるが、いじめ問題も含めた、泥沼に嵌ったヤマアラシの闘争によるものが最も多く残酷である。
これによって肝気鬱結が生じ、肝の疏泄失調によって「気滞血瘀(けつお)」が生じ、気滞を伴うだけに多かれ少なかれ必ず「痰濁」を伴っている。
瘀血(おけつ)は気機を阻害して気滞を増長させ、気滞と血瘀が悪循環を形成し、水道を妨害して水湿内停をさらに誘発して浮腫や痰濁を増やす。
つまり、瘀血を治療せずにいつまでも遷延させると痰濁を増長させ、また痰濁は血流を阻害して血瘀を増長させ、一方では次第に正気を損耗させるなどにより、胸痺や中風のみならず悪性腫瘍の発生原因となるなど、複雑多変で難治な病変を誘発し兼ねない。
という仕組みによって、精神的なストレス、しかもヤマアラシの闘争 が病気の根本原因になっていることが多いというお話です。
人間なんてロクナ奴はいやしないのだから、ヒゲジジイのように「自分には甘く、人には厳しい」態度を養うこと。
これは半分冗談だが、自虐的になるのは馬鹿馬鹿しいよ、と言いたいためのレトリック。(もののあわれやわび・さび・かるみの日本的霊性を自覚している日本人は一割にも満たないという説もあるくらいだから。)
さらに・・・
背伸びして本当の自分以上の自分を演じる努力を止めること。人に良く思われようとすることは立派だけど、あまり背伸びしすぎると破綻が来る。さらにストレスが増してロクなことはない。
意外にこういうケースも多いかも。
蛇足ながら、ニーチェの師匠でもあるショウペンハウエルは35年以上前からヒゲジジイのもっとも馴染んだ皮肉屋さんで、戦後の全集はもちろん所有して愛読しているし、ニーチェの如きは戦後の全集の二種類はもとより、戦前に発行された生田長江氏の名訳の全集も2セット、合計で3種類4セットの全集を所有し、愛読しているのだった。ガハハハッ (もしかして積読しているだけかもね?)
ショーペンハワー仕込みの皮肉を一言。
民放の馬鹿騒ぎにNHKの屁っ放り腰(へっぴりごし)
2006年11月29日
頑固な慢性疾患の発病原因の多くはヤマアラシの闘争
posted by ヒゲジジイ at 00:22| 山口 ☀| 中医漢方薬学
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