さきほど某転移ガンの患者さんのご家族から次のようなメールが届いたが、やや誤解があるようなのでその部分だけピックアップし、往復メールを原文のまま採録する。
(前文略) 先日はまた10日分ではすぐに無くなるから、一か月分を送っていただくなど先生の趣旨に逆らうことをしてしまった様で申し訳ございませんでした。
が、母はお腹の奇妙な張りがすっきりととれ、具合はいたって調子よいようです。
電話の声が非常に元気で、先生のご指示通りきちんと服用を続けると申します。(後文略)
ヒゲジジイのお返事メールの一部: 母上様は、直接の話でも腹部の張りが明らかに軽快しているので、ピンとはあっていると判断し、ピントが合えば現在の主軸は当分変える必要はなく、あるとしても部分修正ですので、一か月分に切り替えても一向に差し支えないのです。(中文略)皆がみな、いつまでも10日分毎の観察を行っているわけではありません。
そちらの近く(関東)からやってきたアトピー性皮膚炎の方は、10日間泊りがけのつもりでやってきたのが、下関での最初の明くる日には効果が一気に出たので、二泊三日で関東に帰ってもらい、一週間後の連絡でもまずまず好調とて、希望によりまとめて一か月分以上を直ぐ送っていますが、新人さんでも7割の人には一回か二回の観察でピントが合ってしまっていることも多いのです。
残り三割前後の人が、もう一歩の観察が必要なために、延々と10日毎の観察を行っているので、ピントの主軸がきまれば、その主軸の薬は滅多に変えることはあり得ないので、まとめても構わないのです。
現実はこのようなものです。現実はこうでなければ、皆がみなにいつまでも延々と10日毎にやっていては、今ごろヒゲジジイは、この世に生息できてなかったことでしょう!(後文略)
編集後記および追記: その3割の人の3人に2人までは必ず次第しだいに波打ちながらも緩解していくものだが、全体の残り約一割前後の人は、いつまでも中途半端な効き目で、漢方薬の組み合わせにもあれかこれか理屈ばかりが先立って、微妙なところで踏ん切りがつかずにしばらくは足踏みして根気勝負になってしまうことがある。
それでも、粘り強く喰らい付いて頑張ってくれる人は、多くの場合3ヶ月もすれば、あるいは半年もすれば・・・しかしながら時には一年近くも中途半端な効果のままで、右顧左眄することもあるから、我ながら遣りきれない思いは、患者さんの苦しみだけではない、こちらとて身を切る思いを常にしているのだった。
現在も、少数ながらそのようにあれかこれか、方針をきっぱりと決定できずに悩みぬいている人がある。理屈だけはしっかり立てられているのに、いずれを取るべきか迷いぬく為に、踏み出せずにいるケースもある。
これが現実である。
というのも、想定外の問題が勃発したりするものだから、自費の漢方だけに、そこまで少しでも無駄をさせまいと変に遠慮が出るのもいけないのかもしれないが・・・・・我ながらジレンマに陥るものの、これが人間様の身体の複雑なところで、このような場合でも、過去、いつまでも諦めずに頑張ってくれた人のほとんどは8割解決までには持ち込めているのだが・・・そのように常に一部の人では互いに根気勝負になることは間違いない。
だからツクヅク因果な仕事だな〜〜〜と思う。
好きでのめり込んだ道とは言え・・・若いどなたかが気付かれたように、たしかに人生とは修業の道のりなのであります。
2006年11月12日
いつまでも延々と10日毎の漢方相談を続けているわけではありません
posted by ヒゲジジイ at 00:56| 山口 ☁| 中医漢方薬学
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