村田漢方堂薬局が潰れずに存続できるのは、十五年以上の常連さん達のお陰であるが、その5割は70歳を越え、その半数は80歳を越えている。皆さんご高齢の割にはどなたもご聡明で、とりわけ漢方と漢方薬に対して、知識的にも体感的にも、そんじょそこらの知識人よりも遙かに見識が高い。
長年のお付き合いから、時に応じた漢方と漢方薬の臨機応変の対処方法をよくご存じなだけに、高齢に達しても老人特有の頑固さもなく、融通性においてはそんじょそこらの若者よりもはるかに自由闊達な頭脳を維持されている。
ところが、ご高齢になってはじめて当方を訪れるケースは少ないし、御相談があっても多くは遠方の子供さんたちによる心配で、遠く離れた土地から、親の住む近くの漢方薬局である村田漢方堂薬局に行かせるから宜しく頼むという依頼ばかりであるから、すべてお断りせざるを得ない。
御本人の意志で漢方を求めるわけではなく、遠くの子供の心配によるものであり、親と遠くはなれて自分で面倒を見るわけではなく、高い?漢方薬でも親にプレゼントして日頃の親不孝を糊塗しようとしているのではないかと勘ぐってしまう。
あまりにも類似したケースの依頼が多いから、ヒゲジジイはますまず臍を曲げて断じて御相談に乗るものかと決意している。
必ずと言っていいほど、遠くの子供達による親の心配である。心配なら親と一緒に暮らして面倒を見たらどうかと言いたくなる。もちろん様々な事情がおありだろうから、一緒に暮らせないこともわかる。ヒゲジジイ自身だった自分の子供をその点では一切信用してないのだから・・・。これが家族制度を破壊された戦後日本のなれの果てである。
だからと言って、当方の漢方に賭けようと御本人の意気込みから来局するわけでなし、どれだけの意思疎通がはかれるとも分からないご老人と、弁証論治に必要な長時間の対話が可能かどうかもおぼつかない。かてて加えて遠方からの子供さんたちのトヤカクに付き合っていたら、他に御本人みずからの意志と情熱でやって来られる遠近様々の患者さん達に割ける時間が奪われるばかりである。
ご老人の漢方相談に特に慎重(お断り)になるのは上記の理由による。ついでに言えば、子供さんたちの漢方相談にも慎重(お断り)だが、理由は以前も書いたことがあるように、親御さんの無理解と頑固さに付き合ってられないからである。
もちろん、例外のない規則はないと言われるように、当方の常連さんのご家族に限ってはご老人でアレ、子供さんであれ、すべてフリーパスで、熱心に漢方相談に乗っている。但し、たとえ常連さんであっても、友人とか単なる身内とかのレベルではほとんどのケースでお断りしているのが実情である。
例外を述べた序に実情をはっきりと述べれば、たとえお年寄りでアレ子供さんでアレ、御本人みずから真剣に漢方薬を飲みたいと表明し、その決意と態度が前面に滲み出ている場合には、多くの場合受け入れているのが実情である。
但し、そのようなケースは稀である。それだけお年寄りや子供さんみずからが率先して当方を訪れることは稀有な出来事だからである。大概はご家族やご両親に説得されて来られるケースばかりで、直ぐに見分けが付くから、断固お断りせざるをえないのであるが、子供さんのアトピーなどの場合、親御さんが常連さんやお馴染みさんでなくとも、過去に当方の漢方薬を利用された経験がおありで漢方と漢方薬に対する偏見がない場合は、スンナリ受け入れているのも現実である。
要するに、御本人みずからの意志で、強く漢方に賭けてみようという意気込みがない限りは、お年寄りや子供さんに限らず、どのような成人であれ、すべて御相談には乗れないが、例外的に子供さんの場合、親御さんが当方での漢方利用経験の有無に左右されているということである。
第一、こちらは毎回真剣勝負と思って頑張ってるのに、相談者が中途半端な気持ちで来られたのでは、いっぺんにやる気を失う。中途半端な人の見分けは、本末転倒して逆質問ばかりするような人、これが意外に多いですね。
ともあれ、毎日毎日お電話でのお問合せには、かなり好い加減なのが多く、お断りの連続ですよ
日々、必ず複数の電話に女性薬剤師がお断りしてますが、時にはヒゲジジイみずからが出て、お断りの理由を丁重に申し上げることもあり、かと思えば女性薬剤師がアッサリどうぞとお返事する場合は、真剣・真面目と受け取った証拠です
2006年11月06日
ご高齢者のご家族からの御相談をお断りせざるを得ない理由
posted by ヒゲジジイ at 02:14| 山口 | 繊細でデリケートなヒゲジジイ
|