お断りするかわりに、多くの場合、開業医の皮膚科で信頼できそうな皮膚科を御紹介しているので、うらまれることもなく(笑)、感謝されることも多い。大人になっても治らなかったら、その時は御相談に乗りますから。(もしもまだヒゲジジイがボケずに生息していたらの話だが・・・)ということも付け加えることが多い。
実際にその約束を思い出され、成人して独り立ちした後に、みずから一人で関東から直接やって来られ、順調に緩解していった女性も現実に存在する。
数日前もこの調子でお断りした例があるが、それをブログ、
漢方と漢方薬の将来のために
に記録しているので引用する。
中学生のアトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は得意分野のはずだが・・・、母親に連れらて直接来局された御相談。
漢方薬が飲めますか、という当方からの基礎的(笑)質問に、そんなに苦いですか?と母親。
美味しくはありませんよ。第一飲めないことにはお話にならないし、それを最初から躊躇されるようではとっても漢方薬は続かないでしょう。見たところ大してひどいようには見えないが・・・と問えば、ステロイドは一切使用せず、病院にも行っていないと言われる。
それじゃ〜〜ということで、信頼できそうな皮膚科を御紹介してお帰り頂くこととなった。
ややずるいように思われるかもしれないが、美味しくもない漢方薬を服用する自信もないまま来られたのでは、弁証論治の適切な漢方薬をアドバイスするには邪念が入り過ぎて専念できない。
こういう場合に決まって飲める飲めないの問題で、将来時間を奪われ続け兼ねないのである。三十数年の経験知は、それを避けよと命令する。
もっともっと重症のアトピー性皮膚炎で自費の漢方薬に救いを求め、遠近入り混じりで来局される人は後を絶たないのである。
若い頃なら腕が悪いのを棚に上げて、「よくぞお出でなさいました!」の体力と気力があったものだが、貴重な時間の浪費を避けよともう一人の自分が命令するのだから止むを得ない。
第一、服用に自信のない子供さんを連れて来られても、当方には説得したり、宥めすかしたりのエネルギーが無いのである。それを若い頃のように薬の相談以外のこのような服用できるかどうかの問題に説得の時間を費やした挙句、保険はききますか?、と来られた場合には絶句する以外に何も言え無くなるだろう。