現在当方には、体外受精を数回以上、あるいは5〜6回繰り返して成功せず、卵子の発育が悪いので漢方薬で何とかならないかという依頼で、順調に卵子の数や発育が良いので再度、体外受精を試みることになっている人が5名以上いる。
中には体外受精をする為に、何度もホルモン剤等を試みても卵子が一度も取れないので往生していた人が、漢方薬を併用してはじめて卵子が取れた人もいる。
ご家族からの、何度やっても成功しないので諦めて漢方薬だけに専念したら、というアドバイスには当方も賛成だが、僅かな可能性に再度挑戦したい人ばかりである。
ところが、体外受精などで有名な病院で、治療方法なしと見離された重度の子宮内膜症で、救いを漢方に求めた人が、漢方薬六ヶ月の服用で快癒し、次々に二人の子供さんを出産できた。流産しそうになった時は、流産を食い止める漢方薬二種類を持って、一ヶ月入院させてもらって防げた。
過去、ベテランの看護婦さんが内膜症が重症で、あらゆる西洋医学治療で治らず、不妊症はもう半分諦めたから、生理痛だけでも何とかして欲しいという依頼に、当時は日本古方派時代であったが、エンゴサクという鎮痛効果の高い生薬が配合された、折衝飲(せっしょういん)や牛膝散(ごしつさん)などを中心にした数種類の組み合わせで、漸く生理痛が緩解したあと、思いがけず妊娠して出産できた。
重症のアトピー性皮膚炎の女性が、子宮発育不全の為に、妊娠は不可能と変な太鼓判を押されていたが、例の三点セットを主体にアトピー性皮膚炎が8割緩解したところで、思いがけず妊娠し、それでも医師は発育不全なるがゆえに必ず流産すると断言されたのを何の問題も生じることなく、安産できた。
と、こんな例を挙げればキリがないが、言いたいことは、体外受精を試みる前に漢方薬を試みるのもアリのように思えてならないからだ。第一、自費の漢方であっても結果的には安上がりのように思えるし、体外受精を何度も繰り返しつつ、そのバックアップばかりに漢方を使用するのは、本領を半分しか発揮できない現実がある。人為的なホルモン剤等を使用中の漢方薬併用は、卵子の発育促進等のバックアップに過ぎない。
それでも、体外受精を繰り返しながら漢方薬を求めて来られる方が後を絶たないが、むしろその何度も体外受精を繰り返すのを断念した後からのほうが、漢方薬の本領が発揮できるように思える。
といっても、やはり人為的なホルモン剤等を使用して体外受精の度に、一年分くらいの卵子を消尽する前に試みる漢方こそ、ありではないかと思われるのである。ましてやそれを5〜6回以上もこころみて成功しなかった人の場合、何年分もの卵子を消尽していることになりはしないだろうか?
その証拠に、体外受精すらやっても無駄だと診断された人こそ、過去の事例では意外にすんなりと漢方薬で妊娠できた人が多いからである。
もちろん、当方はあらゆる病気の相談に乗っているので、不妊症ばかりが専門ではないので、常時通っている人はいつの時代も10人前後のものだが、それでも三十数年間の累積数において、過去に不可能といわれて妊娠できた人はかなりな人数にのぼるし、確率から入っても、決して低くはない。
とりわけ、子宮内膜症による激しい生理痛は、初期段階では速効は無理にしても、決して難しい問題ではないのである。むしろ簡単な部類に入ることを知る人は少ないらしい。
不妊症にしても、病院から不可能と太鼓判を押されたような人でも、運よく妊娠できた人が高確率で多かっただけに、ダメモトでも賭けてみる価値はあるかもしれない。
と、こんなことを書いてしまった理由は、体外受精を何度も試みつつ来られる人が増える一方なので、それをやる前に漢方薬だけで、せめて1〜2年でも漢方薬に賭けてみたらどういう結果になっていただろうか?と思うからである。
さらには女性のほうばかりでなく、男性側の精子の問題が伴っていたこともあり、両者の問題を同時進行で漢方薬を用い、成功した例も複数存在するのである。
うっかりこんな宣伝的なことを書いてしまったが、再度繰り返すと、同じ漢方薬を求めて来られるのなら!体外受精を試みる前に来て欲しいと思うからに他ならない。
関連文献:体質によっては桂枝茯苓丸の単独使用は思わぬ弊害をもたらすという現実
2006年10月21日
子宮内膜症と不妊症の漢方薬、および体外受精について
posted by ヒゲジジイ at 01:19| 山口 | 中医漢方薬学
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