2006年09月08日

哲学の煙(けむり)

 

 昨年暮れのこと、遠路はるばる来られた人の中に、「私も哲学の煙が吸いたい」と駄々をこねて神聖不可侵の薬局内に灰皿を要求された美人のオバサンがいた。
 閉店時間を遠に過ぎていたことでもあるし、喜んでオニックス製の立派な灰皿を使ってもらった。
 長時間の相談疲れの後に一服を所望されたことに、非を鳴らす気にはなれない。

 昨日も、遠路はるばる来られた方との御相談の最中、しばしば哲学の煙を求めて奥に引っ込み、その都度、名案が浮かんだヒゲジジイの姿と重ねあわせ、昨今はどうしてこうも「哲学の煙」の肩身が狭くなっってしまったのかと、思わず世をはかなむのであった。

ラベル:哲学の煙
posted by ヒゲジジイ at 00:23| 山口 ☁| 哲学の煙(けむり)と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2006年09月07日

猪苓湯(滑石茯苓湯)の有用性について

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
ご職業 : 自営業
簡単なご住所 : 関東方面
具体的な御職業 : 漢方販売
お問い合わせ内容 : 以前もメールさせていただきました。その節は本当にありがとうございました。
 今回はお礼を言わせていただきます。

 先生のお書きになっている アトピー性皮膚炎について読んだところ 弁証によって湿熱に猪苓湯を使うと効果があるというのを読みとても考えさせられました。
 あるアトピー性皮膚炎の方に 血熱と湿熱があると判断し 涼血清営顆粒と竜胆瀉肝湯を処方していたところ芳しくなく 逆に食欲不振が起こるということで 補気剤を加えるか思案していましたところ 『猪苓湯!!!』を思い出し 早速涼血+猪苓湯を服用していただいたところ なんとすぐに著効を表し 服用1ヶ月で今までのが嘘のように良くなってしまいました。

 本当にまだ未熟なもので 漢方薬の配合の妙には驚かされる事が多いものです・・・勝手ですが これからも 本気で村田先生のHPで勉強させてもらいます。
 頑張って下さい それでは失礼します。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
 大変貴重な御報告を賜り、ありがとうございます。

 小生の「少陽三焦」に対する滑石茯苓湯(猪苓湯)理論、
http://murata-kanpo.ftw.jp/u21390.html

をますます補強と証明を支える御経験であることと、嬉しい限りです!

 早速、当方のブログ http://murata-kanpo.seesaa.net/ に転載させて頂きたいと存じます。

蛇足ながら、村田漢方堂薬局の繁用方剤としては、アトピー性皮膚炎に限らず、広い分野で猪苓湯を使用する機会が多く、少陽三焦理論に沿って、近年、インチンコウトウも広範囲な領域で応用する機会がとても多くなっています。

 また、猪苓湯製剤の場合、製造メーカーによって優劣が激しく、利尿系を主目的とする場合は阿膠が邪魔になることが多いのですが、アトピー性皮膚炎の場合は、明らかに滋陰利水の目的から、阿膠がしっかり配合された製剤が有利な場合があるなど、各社それぞれの猪苓湯製剤の特長を活かした使用方法に、やや神経質過ぎるほど気を使っています。
 
 以上、取り急ぎ、お礼まで。
                         頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介


折り返し頂いたメール:お返事の方ありがとうございました。『猪苓湯』の使い方 まだまだ奧が深そうです。じっくり勉強して自分の物にしたいと思っています。これからもご指導のほうよろしくお願いします。


編集後記: アトピー性皮膚炎関連のサイト
漢方と漢方薬専門のヒゲ薬剤師:アトピー性皮膚炎研究変遷史

漢方と漢方薬のヒゲ薬剤師:中医漢方薬学論にもとづくアトピー性皮膚炎の研究変遷史

posted by ヒゲジジイ at 13:19| 山口 ☁| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

2006年09月05日

大学病院など最高の医療機関で長年の諸検査と治療によっても病名が付かず治療法もお手上げの時に漢方では・・・

 漢方相談では常にタイトルのような御相談が後を絶たない。診断も付かず、アラユル治療に抵抗し、出される医薬品が却って逆効果であったり、副作用ばかりが前面に出る例など、このために仕方なく漢方に救いを求めて来られるのである。
 漢方に救いを求める前にも、針灸・整体あらゆるものが逆効果であったというから尋常ではない。

 服用者に漢方に賭ける熱意と情熱があるかどうか? 西洋医学で完全にお手上げ状態だからといって加持祈祷に救いを求める人も多い。ところが、その救いを求めた加持祈祷所から紹介されて来られる人も意外に多いから、縁というのも不思議なもの。

 この個性の強すぎるヒゲジジイと相性が合うかどうか?こちらは患者さんが真剣で本当に漢方に賭けてみられるつもりがあれば、全精力を傾けて8割緩解まではあらゆる努力を厭わないが、相手あっての問題だから難しい。

 病気のために随分苦しまれているのを理解しているだけに、こちらが真剣勝負で全精力を傾けているのを漸く理解して、素直になってくれた方がある。通常ならもっと早くお断りするところだったのに、ご紹介者の手前、逆質問攻めに珍しく耐え抜いていたら、漸く漢方と漢方薬の深遠さと奥深さを理解されたらしい。

 あらゆる分野の治療方法で逆効果を示すのだから、正攻法で考えても埒は明かない。中医薬学の「常と変」を知って、裏読みすることでようやく糸口が見つかった。

 裏読みするのはヒネクレ者の逆説オヤジの得意分野とは言え、やはり実にシンドイ作業の繰り返しなのである。だから哲学のケムリが離せない。


 
posted by ヒゲジジイ at 21:38| 山口 | 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年09月03日

10日毎の微調整にどこまで我慢が出来るかどうか、それが漢方薬による病気克服のカナメなんですよ

 先々月のことになるとサッパリ記憶に残らないが、先月8月の新人さんだけの記憶で言えば、神経痛系統の痛みを伴う疾患の御相談が最も多く、それらはHPを御覧になって来られた人とは無関係。
 すべて地元近辺の人達が多く、1〜2回目から直ぐに効果を発揮して、あとは継続服用するだけというほどスムーズである。10年ぶりの再発という人もあった。坐骨神経痛や変形性膝関節炎、関節リウマチなど、もっともありふれた疾患は、常に日常茶飯事だから、二ヶ月もすればヒゲジジイの記憶から遠ざかる。あとは継続服用のみということが多いが、10人に一人くらいは数ヶ月に渡る微調整が必要なことがあるのは人それぞれ体質が違うのだから止むを得まい。

 10日毎の綿密で細心の微調整が当分必要なのは、遠隔地からはるばるやって来られるような、すでに他所で様々漢方治療を行って治らなかった人に多いのもやむを得いだろう。
 一応、それら大都会の専門家が手古摺ったのだから、当方でもしばらく難航する場合があって当然だが、それでも数ヶ月もしないうちに多くは難問の数学が解けるように、おおよその目途が立ってくるのだが、時にそれまで我慢できない人や、根気をなくしてしまう人もある。
 漸く難問が解けて、これからは数年がかりの継続服用を行えば8割は緩解するぞという時点で、急速に服用量が減り始める人もいる。(ご自身の問題だからどうぞご勝手にと言いたくもなるが、これまでの互いの苦労な一体、何だったのという思いはするよ・・・・)
 もっと近くで通える範囲ならと地団太踏むこともあるが、途中で諦める人は仕方がない。

 近郊の場所であれば、あきらかな難病でも初発の10日分の漢方処方により、単独外出が不安だった人でも一人で来局できるようになった人もいる。まだまだ先が長いが、幸先がよいことは将来も明るい。

 いずれにせよ、初発で運よく全面的な効果を発揮する場合もあれば、(といっても殆どの人が何らかの効果が部分的に発揮しているのだが)数ヶ月間以上難航することもあり、不確定要素の多い複雑な人間様の身体の性質上、止むを得まい。いかにない頭を振り絞って弁証論治の常と変を検討し尽くしても、直ぐ直ぐには回答を得られない事がある。
 難問を解くには数ヶ月以上を要する場合があって当然なのだが、難問の場合に一番諦めやすいのが数ヶ月目というところか、中には10日毎の微調整が数回も耐えられないでやめる人もある。
 きまって、もうちょっとで解けそうというときに止められるので、よほど当方とは縁がなかったものと思わざるを得ない。

 要するに根気のない人は、来ないでほしいと言いたいですね。あの互いの努力は一体何だったのよ、と言いたくなるし、コチトラだってそれぞれの人に解答が得られるまで、全精力をつぎ込んでへとへとになってるんだぜっと言いたくなる。だから時々、こんなシンドイ仕事、もう辞めてしまおうかという発作的な衝動が、月に一度は必ず起こるのだった。

 (結局これらのブログはやや鬱憤晴らしの要素が無くはないようですね。)

 もちろん、途中で止めたい人はいつ止めても結構ですし、一々連絡する必要もないし、むしろ「止めるから」とワザワザ連絡してくれるほうがアリガタ迷惑だから、そっと止められるのが一番ですよ。

 その前に、お気楽な人、お気軽な人、ヒゲジジイが信用できない人、とくに根気の無い人などは、御相談に来られないのが一番。自費の漢方は経費もほどほどかかることですしネ。

 漢方薬でそんなに病気が良く治るのかって〜〜? とんでもありませんよ! 8割緩解すればヨシとしなくっちゃ〜〜ね。漢方薬は所詮、不老不治の薬にはなれませんよ。
 漢方薬の本当の素晴らしさは、村田漢方堂薬局の常連さんたちにしか理解できないでしょうね、きっと。

 幸か不幸か、長年の常連さんで村田漢方堂薬局のHPやブログを見てくれる人は、皆無、本当に皆無に近い。せいぜい一部の四十代の地元の女性が数名、たまに見てくれるかくれないか程度で、長い付き合いだから、あらためて発見するところは少なかったらしいですよ。ヒゲジジイの開発した漢方薬類のことなど、愛用者も多くて先刻承知のことだから、あらためて見るほどのこともなかったということらしいですしね。

posted by ヒゲジジイ at 12:45| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年09月02日

外傷後の脳脊髄液減少症

性別 : 男性
年齢 : 10歳〜19歳
ご職業 : 学生
簡単なご住所 : 関東地区
お問い合わせ内容 : 前略
 現在の状態を少しでも軽く出来ないかと悩んでいるところ、先生のホームページを拝見して、「これは」と思い、問い合わせメールを送ります。

 2年前に怪我をして以来、頭痛・首と肩の痛み・腰痛・立ちくらみ・強い倦怠感・寝汗(一晩で2回位着替え)等に悩まされております。
 病院では、脳髄液減少症と診断され1回治療を受けましたが良くならず、再度治療の予定です。ただ、完治は難しいということと現在の状態を少しでも軽く出来ないかと模索しているところです。
 このようなケースでも先生の漢方で治すことが出来るでしょうか。

お返事メール:拝復

最近、「脳脊髄液減少症」と診断される人が、かなり増えているようです。

 昔はこの病気ということが分からないまま、特別な重症者でもない限りは、多くは不定愁訴症候群や自律神経失調症などとされていたのではないかと思います。

 当方でも、とくに十年以上前までは、交通事故後遺症(いわゆるムチウチ)などに、脳髄液減少症が伴っていることなど不明のまま、病院治療に難航し困って来局され、当方の漢方薬で緩解した人は数知れずおられました。

 ところで、昨今は交通事故の保険制度のお陰かどうか、自費の漢方薬局である当方には、交通事故後遺症で来られる人がここ十年くらい激減しています。
 また実際に直接「脳脊髄液減少症」の診断を受けた人が直接来局された人は、残念ながらまだありません。

 但し、上記の理由から、漢方や中医学では、その人の体質と具体的な症状によって適切な漢方薬を見つけ、あるいは適切な配合処方を考え、弁証論治という中医学の基本法則を遵守すれば、悩みの8割は解決できるのではないかと思います。

 そちらは都会ですから、漢方専門のクリニックや漢方薬局が多いので、じっくりと相談に乗ってもらい、10日毎に通い詰めて努力されれば、きっと遅かれ早かれ病気の8割りは改善することと思います。
 必ずお近くで、通える範囲のところで頑張ってみることです。
 もともと、中国医学というものは、西洋医学的な病名がさっぱり分からなくとも、多くの病状を緩解させることが出来る高度な理論とそれに伴う結果が得られる構造主義医薬科学ですので、頑張ってみる価値は大いにあると思います。
 ただし、直ぐにピントが合うとは限らないので、あせらずコツコツ10日毎くらいに相談に乗ってもらえる所を選ぶべきだと思います。

 最初から一か月分をまとめて売りつけるようなところは、ピントがあうまでにどれだけかかるか心配になりますので、かならず10日前後でこまめに微調整してもらえる専門家を選ぶべきだと思います。

 以上、簡単ながらお返事まで。
                         頓首



編集後記脳脊髄液減少症は、CT検査が盛んに行われだした15年前くらいに診断されるようになったもので、交通事故による鞭打ち(ムチウチ)といわれるものの中には、脳髄液減少症を呈している人が多いことが判明している。
 そういうことなら、これまで、とりわけ十年前頃までの二十年間以上、交通事故による鞭打ち症状に悩むとても多くの人を、ほぼ百発百中で8割程度の緩解がほぼ全員に得られていた。

 この事実を考えると、昨今盛んに診断されるようになった脳脊髄液減少症は、よほどの重症者でもない限りは、多くは漢方薬でも緩解できるのではないかという推測が、十分に成り立つはずである。

 交通事故後遺症は、漢方の専門家としてはむしろ初心者向きの比較的対処しやすい疾患であると思っていただけに、おそらく「脳脊髄液減少症」という立派な病名がつけられるようになった昨今であっても、事情はほとんど変わらないのではないかと愚考している。
 と言っても、8割程度の緩解を得るには早くて半年、人によっては数年以上かかったこともあるので、掌を返すように直ぐに緩解する人はホンの少数であろうと思われる。

参考文献:http://murata-kanpo.seesaa.net/article/39965988.html

 むしろ交通事故保険制度が充実?したせいか、自費の漢方薬を使ってまで治そうとされる人が、ここ十年くらい村田漢方堂薬局に限っては激減しているということである。




折り返しお礼のメール:前略

 早速の返信をありがとうございました。

 「脳髄液減少症」と診断されている以上は、漢方での完治は無理かもしれませんが、この病名自体、最近解ったことであることを考えると、漢方は期待できますね。
 先生のメールで、とても勇気付けられました。

 できることなら、先生に見て頂ければ安心なのですがやはり、学生(子供なので)が、通うには遠くて無理のようです。
 漢方専門の●●●●を探します。(良い先生に会えるか不安ですが)うまく本人に合う漢方を見つけられるように頑張ってみます。

 ご多忙の中、ご迷惑とは存じますが、また質問・相談のメールを送っても良いでしょうか。
本当にありがとうございました。

posted by ヒゲジジイ at 00:09| 山口 ☀| 脳脊髄液減少症および交通事故後遺症 | 更新情報をチェックする

2006年09月01日

安倍内閣官房長官が自民党総裁に正式に立候補!

 

 漢方と漢方薬のブログにはあまり関係ない話題だが、何を隠そう、本日、自民党総裁選に正式に立候補した安倍内閣官房長官は、ヒゲ薬剤師の選挙区なのであった。

 久しぶりに長州から、我が愛する日本国の首相が出る可能性大!

 ワハハハッっひらめき

posted by ヒゲジジイ at 18:27| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする