2006年09月30日
相変わらずお気軽な電話でのお問合せが多いのですよ
ところが、午前中から昼間にかけてかかって来た常連さんからの定期便のご注文以外は、すべてトンデモナイ投資の勧誘か、お気軽なお問合せばかりで、ややウンザリである。
まずは、午前中に相変わらず関東から、ご本人ではなく奥様のアトピー性皮膚炎のご相談で、ご主人が電話相談で漢方薬を販売してもらえないかという、とんでもない話。地元の東京などで、まだ一度も漢方薬の服用経験がないというのに、いきなり下関の頑固爺の薬局へ電話相談ですかね〜〜っ? 同業者が探りでも入れてるイヤらしい雰囲気ですよ。
次に昼間は、どこから、かかって来たのか不明だが、病院に行けば通ってる時は治るのだが、止めると直ぐに再発するから、保険や診断がどうのと、応対に出た女性薬剤師も、何を仰ってるのか意味不明な部分があり、さかんに「保険はききませんよ!」とがなっている。
すでに電話の雰囲気から、断り口調になっているのは当然で、三十数年もこの仕事をしていると、真剣・真面目か、おざなりにちょとタメシに訊いてみようかくらいの軽さは、直ぐに判明する。
村田漢方堂薬局の方針は、常々言うように、真剣・真面目な方には、出来るだけ時間を割いて、綿密な御相談に乗るに吝かではないが、中途半端な及び腰の人にまで、余分な時間を割くヒマはナイのですよ。
巧言令色すくなし仁、剛毅木訥仁にちかし
と孔子さんが吐かれた意味が全然分かってないというか、このようなコトワザすら知らない人は、村田漢方堂薬局に来られても、きっと相性が悪いに決まっている。
横着な薬局だと思われる人は、そもそも当方に相談されることはハナからよしたほうが良いでしょう。お世辞は言えませんよ。漢方を奨めてほしいと思ったら大間違い。
ヒゲジジイの漢方に賭けてみようと思う人以外には、奨めてまで飲んで欲しいとは思わない。
第一「保険がききますか」ですって? 保険漢方を出すのは病院でしょうが。その病院の漢方で駄目だから来る人ばかりなんですよ。どうしてこうも世間知らずな人が多いんでしょうねっ。
漢方専門薬局に向かって保険がききまか?ッてェ〜〜^質問は、まったくの愚問ですよ。
当方の地元では、病院でも漢方薬が出るのだから、漢方専門の薬局ならもっとよく効く漢方薬があるかもしれない?!と言って来られる人ばかりがやけに目立ってますよ。
東京のオバサマが、保険漢方ってソリャ〜〜〜安いのよって言ってたけど、当然でしょ、保険だもの。
だから盛んにテレビ宣伝している昨今、同業者の一部では死活問題だと喧々諤々の議論が勃発しているらしいけど、保険適用されない優れた漢方製剤は、それこそゴマンとありますよ。
プロ意識に徹すればですね、曲がりなりにも漢方と漢方薬で三十数年メシを食ってきたのだから、それなりの矜持というものがありますよ。
保険漢方で治る人達は大いに結構、常々保険漢方に限らず、まずは診断と治療は病院に直行されるのが当然の順序でしょう。当然のことですよ。
それでも、西洋医学治療や保険漢方など、あらゆることを試みてもどうももう一つ、あるいは西洋医学の不得意分野のようだから、保険がきかない自費の漢方に賭けてみるか、という一大決心の方でなければ、あるいは地元で多い先の「病院でも漢方薬が出るのだから、漢方専門の薬局ならもっとよく効く漢方薬があるかもしれない」という奇特な考えの持ち主でなければ、こちらだって生身の人間、心身ともに消耗の激しい理論ずくめの中医漢方薬学の難儀な苦行をやれる気になれない。
昨今はですね〜〜、地元近辺・近県の人達は賢く振舞って、本当に真剣な人達は強い信念のもと、しっかり当方を調査した上で、ストレートにやって来られてますよ。このトウヘンボク爺さん、へんにお問合せしたら、断られるに決まってると踏んで、直談判のつもりで意気込んでやって来られる。
本気の人達は、顔つきを見れば一瞬で分かりますよ。だからこちらだって真剣勝負で徹底的な漢方相談が行えるのですよ。想像したよりもずっこけジジイなので肩透かしを食らった人や、案の定、イヤミなジジイだと思う人、様々でしょうけどね。
2006年09月29日
地竜(みみず)についての中医薬問答
年齢 : 30歳〜39歳
ご職業 : 自営業
具体的な御職業 : 漢方販売
簡単なご住所:関東地区
お問い合わせ内容 : 先生こんにちは いつもHP拝見させていただいています。
今回も図々しくも質問させていただきます。
先生の良くお使いになってる「地竜」なのですが 単味で何ヶ月にも渡って処方しても大丈夫なものなのでしょうか?
もちろん弁証によっては可能と思われますが 薬性が寒・降ということで明らかに熱症+気血の虚が無いタイプでないと 使えない感じがするのですがどうでしょうか?
自分もよく腰や膝の痛みにソカツ(疎経活血湯)や独活(独活寄生湯)に合わせて使っているのですが 単味となると経験が無いもので・・
お恥ずかしい質問なのですが 時間がある時にお返事いただければ幸いです。
お返事メール:拝復
一見なんでもないミミズのエキスがご存じ「地竜」ですが、性味が鹹・寒とはいえ、肝・腎・肺に帰経する優れものです。
ご存知のように、中医学的な効能は幅広く、清熱熄風・定驚、清肺平喘、行経通絡・利水通淋と来れば、応用範囲は多岐に渡ることが想像できると思います。
御質問には、「単味で何ヶ月にも渡って処方しても大丈夫なものなのでしょうか?」とありますが、条件が揃えば単味でも一向に連用は差し支えありません。現実にも、過去、中小企業の社長婦人が家業の作業工程でつねに右腕を酷使する為に腱鞘炎らしき熱感を伴った疼痛に悩まれていましたが、地竜単味を半年間連用し、仕事を継続しながらもほぼ根治してしまいました。
こういう単味で継続することは例外的なことですが、当方では明らかに有効で条件が揃っていると見れば、不必要な配合は避けております。
それでなくとも、個人個人によって、自覚症状や病院での診断名とは裏腹に、思いがけず複雑な配合が必要なことがあったり、逆に難病指定を受けているような難治性疾患でも、二方剤くらいの合方で十分だったりするわけですから、シンプルに行ける場合は、なるべくその方針でやりますが、地竜の使用条件はそれほど厳しいものではありません。極論すれば一人の身体において五臓六腑に連なる経絡毎に寒熱に違いがあるのですが、時に単味の地竜だけで押し通すことこそ、ピントがバッチリという人も、少数ながらおられるわけです。
常連さんでもヒドイ腱鞘炎や歩き過ぎによる足の急性炎症などに、この地竜に雲南片玉金(ウチダ和漢薬から発売のヒゲジジイの考案したもの)を加えて即効を得たり、意外に急性の熱性炎症には有効なことが多いものです。後者の場合は、短期間の服用で十分ではありますが・・・。
ところで、実際の仕事上では、地竜を使用する場合は、ほとんどの例で単味で使用することは稀です。ご存じのように補陽還五湯のように、気虚が顕著な場合でも、黄耆など気虚に対応した配合があれば、地竜を有効に使用することが出来るものです。このことは、血虚の場合も同様で、たとえ気血両虚が顕著であっても、それ相応の気血両虚に対する方剤に適量の地竜を加えることは、日常茶飯事のことです。
もっとも典型的な例が気血両虚を呈している慢性関節リウマチの人達で、シバシバというか、ほとんど全例で加える必要性を認めています。関節の部分部分に明らかな熱証が出現している例が多いからにほかなりません。
但し、これらの配合方法も、もちろん純粋日本漢方でもなく、ましてや純粋中医学派でもなく、日本漢方を信奉した時代が10年以上続いた関係もあって、基本方剤を徹底的に大事にしながら、基礎理論を中医学に置いて、結局はいつも提唱している「中医漢方薬学」という方法で、これは単なる名称だけでなく、随所でオリジナルな配合パターンが多いのではないかと思われます。
それゆえ、日本漢方派からも、中医学派からも、両者から些か怪訝がられる使用方法も見られるかもしれませんが、実際には、徹底した中医基礎理論にもとづく常と変、とりわけ変の方に眼を向けた視点から考案した方法が多いように思っています。(具体的にはインチンコウトウ・六味丸・猪苓湯を繁用することで、とりわけ猪苓湯では、どのような専門家も想像を絶する応用方法を多岐にわたって開発しているつもりです。)
長々と余計なことまで書いてしまいましたが、当方とて貴方と同様、多くの場合、地竜を他方剤や他の薬味とともに併用しているというのが現実で、タマに単味で連用してもらうことがある程度なのですから、その点では、結局は同じ考えなのではないでしょうか。
但し、地竜の月間販売量の多さは、同業者の方には想像を絶する量であるかも知れません。
以上、取り急ぎお返事まで。
村田漢方堂薬局 村田恭介
折り返し頂いた追加質問のメール:お忙しいところ 早速のご返答 誠にありがとうございます。
沢山の教えをいただきまして 本当に感動しているところです。涙
今回のご回答 分かりやすく丁寧にしていただきまして 自分なりに理解したつもりですが何度も読み返し 本当に自分のものに出来たらと思っています。
自分が解釈した感じでは 簡単に言うと炎症系の痛みに地竜を用いるということですが その炎症を見抜く力に欠けているもので 患部の発赤や熱感(本人の感じも含む)があれば炎症を判断出来るのですが それを感じない腰痛や膝痛を訴えるかたも大勢いらっしゃいます。
発火や熱感以外の症状で炎症を見抜く方法などありましたら教えていただければと思います。
また熱症を呈さない方でも 弁証により他薬と併用して地竜が有効だと思われるのですがどうでしょうか?
当店では地竜をあまり使いこなせていないもので あつかましく質問ばかり申し訳ございません。。。
あと水蛭製剤も取り扱っているのですが 地竜との使い分けについても先生のご意見をお聞かせ下さい。
何度もすみませんm__m
ヒゲ薬剤師のお返事メール:熱性炎症を見抜くには、やはり具体的な自覚症状として、根掘り葉掘り質問攻め(笑)の中から、把握することが可能だと思います。
明らかでない場合は、10日後の宿題として、もう一度、御自分の身体をよく観察してくるように、様々なヒントを提示して、熱性炎症と判断できる部分があるかどうか、じっくり御自身に、観察して報告してもらいます。
当方ではこのように、ご本人様みずからもよく考え、観察する忍耐と努力を厭わない人でなければ、相談販売を中止しますので、やっかいでトウヘンボクな薬局かもしれません。
さいわいに、当方に来られるからには努力を厭わず、真剣に受止めてくれる人達ばかりだから、最終的には具体的な熱性炎症を把握することが可能です。
その兆候がやはり感じられない場合は、地竜が適応する熱証がないものと判断できます。
また、熱性炎症がない場合でも、地竜の鎮痛効果だけを狙って応用する方法は、寒証の多かった時代には、適切な方剤とともに地竜をしばしば加えたものです。昔のことになりますが、大分以前に市場から消滅したイスクラさんの舒筋丸が存在した時代には、強烈な風寒湿痺による坐骨神経痛の人に、もう一歩、身体の芯の疼痛が消えないという人などに、熱性炎症が皆無であっても、地竜の鎮痛効果を得る目的で併用したお陰で、腰部の奥深い所の芯に存在した苦痛が除去されたという実例もかなりありました。
しかしながら、昨今は、強烈な寒証を呈する人が激減しており、せいぜい疎経活血湯レベルの寒証に留まっているように見受けます。
こちらでは、独活寄生湯を使用したくなるレベルの人も少なく、現在、膠原病の中年男性がヨク苡仁湯との合方で使用している人や、高齢の女性達が数名腰痛で使用されている程度で、残りは次に御紹介する慢性関節リウマチの女性くらいのものです。
慢性関節リウマチの人で、当方では珍しく独活寄生湯(独歩丸)に地竜を加えて、典型的な風寒湿痺と思われる体質の人に、熱性炎症は皆無とみられる人にも、5年以上の継続服用で、ほぼ完全緩解の状態を維持している人がおられます。
このような場合は、配合比率に若干の配慮が必要で、あまり地竜が勝ちすぎると、冷やす作用が前面に出ては困りますので、あくまで反佐的な配合分量でなければならないと考えています。
水蛭に関しましては、確かイスクラさんがこれを含んだ新製品として販売されているように思いましたが、今のところ必要を感じないので、一度も使用しておりません。
また、残念ながら古方派時代の煎薬に熱心だった時代にも、ほんの数回使用したことがある程度で、頭でっかちの知識だけで、ご報告できるほどの経験はありません。
以上、取り急ぎお返事まで。
頓首
村田漢方堂薬局 村田恭介
2006年09月28日
尋常性乾癬など漢方薬の不思議なパワー!
DSC_2097 posted by (C)ボクチンの母
ちょっとタイトルがいかがわしいので、ヒゲジジイらしくないぞっと思われるかもしれないが、実際に最近あった素晴らしい実例を御紹介しよう。
現在進行形で、ピント合わせにお互いに四苦八苦している新人さん達には、やや気が引ける話だが、漢方と漢方薬というよりも、中医漢方薬学と表現したいわけだけど、たとえば重度の耳鳴りが、村田漢方堂薬局で販売した膝関節の漢方薬で、膝が治ると同時に耳鳴りが根治したという人に紹介されて、耳鳴りを治してほしいと言って来られる人、膝関節痛が重症で蟹股歩きになった人が救いを求めて来られたりするので、その情報源はどこからだろうと不思議に思っていたら、その張本人が昨日訪れた。
お顔を拝見すれば、確かに繰り返す膝関節痛と水液潴留による腫れに対して病院治療を経ても、水を抜くばかりで悪化の一途を辿っていたのを、僅か一種類の方剤で順調に治って数年、最近では予防的に同じ漢方製剤を、時々思い出したように購入されている初老の女性であった。
そこで、貴女の耳鳴りのことはあなた自身からは全然聞いたこともなかったがと問えば、かくかくしかじかで、難聴を来たしていたほどだが、丁度、耳に良いと言われるサプリメントも併用していたので、てっきりそのサプリメントで治ったものと思っていたけど、まだ完全ではない時に、サプリメントの購入を怠っていたのに、膝関節の漢方薬だけはしっかり続けていたのに併行して、ますます調子が良くなり、ほとんど根治してしまったのは、間違いない、この膝関節の漢方薬だと断言されるのであった。
この単一方剤をここで公表すると、皆がみなにそんな良いことがあると誤解されたら困るので記さないことにするが、その経費、月額に換算すると六千円と少し。
こんなに安上がりなのに、「漢方は高いけど良く効くよ」と友人に奨め回っているということだ!? トンデモナイっ!月額六千円で高いといわれるなんて青天の霹靂だから、何を奥さん勘違いしてんのよ!最も安い経費の下限ギリギリですよ!と、変なところでいきり立つヒゲジジイであった。
もう一例は、尋常性乾癬。
これまで重症の人では、顔面以外の全身、完全に鎧で覆われたような超重症の人が同業者に紹介されて来られた方に、温清飲加味方剤の煎じ薬八ヶ月で根治した猛スピード治癒例の経験があり、運よくそのまま中止しても、二十年後に腰痛の相談でやって来られた時点でも再発は見られなかったという凄まじい効果を示した経験もあるが、そういう例外を除いて、年余の根気がいることが多い皮膚疾患である。
ところで今回の例は、あきらかに温清飲は不適な体質であるので、アトピー様の様相もあるので、当方にアトピーで来られている人ならよくご存知の例の三点セットを短期間試みてもらったが、あまりピンと来ない。
そこで正確な弁証論治を探って、日本一濃度の濃い某メーカーの薏苡仁エキスと粉末が混合された製剤に、見かけによらず皮下に潜んでいる水分代謝の調節を行うために猪苓湯製剤に板藍茶、(実際には腎系統からの水分調節を行うために六味丸も出したかったが、10日後の様子次第ということにして後回しにしたのだった。)
結果は、わずか10日足らずで見かけ上はほとんど消失しているのには驚いた!予定していた六味丸の追加はナシである。今後の推移が楽しみであるが、弁証論治による中医学的な類推が結果的に正確であれば、かくも凄まじい著効が得られるのである。
もちろん最初に即効が得られたからと言って、直ぐに中止したら元の木阿弥になることは常識であり、今後も根気よい体質改善は必要であろうが、この方法で効果が少ないようなら、参苓白朮散エキス製剤の追加も考えていたのだが、六味丸も参苓白朮散も永久に必要ないかもしれない。
といっても、人間様の身体は四季折々に変化するので、何度も書くように、一時の即効があったからといって、油断は禁物である。
村田漢方堂薬局のジンクスとして、初期に即効が得られた人ほど、真面目に継続服用することが出来なくて、中途半端な結果に終わっている人が多い傾向にあるからだ。
現実には、しっかりとした効果が得られるまでに、お互いに随分と苦労してしまった人ほど、諦めずに頑張られた場合の話だが、そういう人ほど根治に近い状態となり、また大の漢方ファンになられている。
DSC_2257 posted by (C)ボクチンの母
2006年09月27日
他店で電話相談で購入した某サプリメント?の安全性の御相談
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : 関東
お問い合わせ内容 : 身内ががんで漢方〇〇〇〇〇〇に電話で相談したところ・・・・・・・・を購入しましたが亡くなったため必要がなくなってしまいました。
それを伝えたところ個人輸入になってしまうため返品等はできないとのこと。
残った・・・・・・・・は免疫力をあげるだけだから健康体の人間が飲んでも全然かまわないといわれましたが本当に何も害がないのでしょうか。
教えていただけたらと思います。
お返事メール:拝復
当方では該当製品の取り扱いが一切ありませんので、何ともお返事のしようがありません。
もう一度、購入されたところに、念を入れてお訊ねになるのが最善だと存じます。
以上、簡単ながらお返事まで。
頓首
編集後記: 同類の御質問は、メールに限らず、しばしばお電話を通じて、以前からとても多い質問なので、今回の例を代表として掲載することにした。
他店において電話相談やメール相談だけで購入された場合の不安や問題点等を、無関係な当方に質問されるお気持ちも分からぬでもないが、一旦は信頼されて購入された筈の販売店に、念を入れて確認されるのが筋というものであろう。
些かの不安等が生じて、他店や他の薬局に確かめたくなるお気持ちも分からぬでもないが、これが責任者と直接お会いせずに、お電話やメールの相談のみによる通信販売の落とし穴のように思われる。
つまり、直接一度もご本人様やご家族にさえ一度も会わずに販売すると、後々の信頼関係は構築しにくいので、特別な条件が揃わない限りは村田漢方堂薬局では滅多に行わないことである。
というのも、こういう方面だけは人一倍、石橋を叩く方だから。
2006年09月26日
あんたは大丈夫なの?と心配されるヒゲジジイ
もちろん大丈夫だよ、と応えていたが、夢中になると自分の身体のことは完全に忘れてしまって頑張ってしまうから、いくらピントの合った漢方処方や高貴薬があっても、百パーセント大丈夫と言えるわけでもない。
この方の場合、正確には二ヶ月弱の期間で7割程度の緩解が得られたケースだから、ヒゲ薬剤師の心配をして下さる心の余裕が出て来たのかもしれない。
このブログも時々御覧になってるようだから、さっそく書かれてしまったと苦笑されているかもしれない。
まだまだ先が長いので、お互い気長く頑張りましょうよ。
一年間も地元の漢方薬局で煎じ薬で頑張られて治らなかった方ではあるが、当方では一切煎じ薬を出さなかった。
そのかわりに、多種類の組み合わせになり、経費的にもやや高額になってしまったかもしれない。
難病だから高額な経費で、一般の慢性病だから安価だとは言い切れない。
往々にして逆のケースがあるので漢方をお出しする側も悩ましい。
弁証論治で虚心坦懐にピントを合わせていくと、その結果はマチマチなのだから止むを得ない。
経費的な問題のみならず、ピントがほどほど合うまでの期間も、この方のように一回目でピントが合って、下関から帰られる日には既に4割程度の緩解が得られているケースも、決して珍しいケースというわけではない。
以前にも、二泊三日で来られたアトピー性皮膚炎の人に、これまで服用されていた高名な先生の漢方薬をすべて中止してもらって当方の漢方薬を服用してもらったところ、下関にいる間に、ひどかった顔面紅潮の8割が消失してしまったケースもある。
運もあるでしょうが、皆がみな下関にいる間に効果が得られるとは限らず、ご自宅に帰られてから、延々1〜3カ月以上のお互いの苦労を経て、ようやくピントが合いだした、ということも稀ではないので、あらゆる面で一概に言えないのが、人間様の病気と身体の複雑なところである。
壊れかけたヒゲジジイのオンボロコンピュータの性能にも、大いに関係が深いことも事実ですが・・・(これが一番の問題かも・・・でも病気の性質によるところも大きいのですよ。)
2006年09月25日
鬱病患者さんに対する西洋薬使用時における漢方薬の考え方について
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 医療・福祉関係
具体的な御職業 : 薬剤師
簡単なご住所 : 関東
お問い合わせ内容 : 先日は基本的な質問にもかかわらず親切に回答していただき誠にありがとうございました。今回も基本的な質問ですみません。
よく漢方は西洋薬の苦手な病気に効くといわれています。
たとえばうつ病のような場合患者さんには抗うつ薬が絶対に必要だと思います。これは西洋薬の得意な分野だと思うのですがこの様な場合はうつ病の病機を考えて精神的な部分を解決するのを優先させる処方にするのか西洋薬が比較的苦手な体の倦怠感の改善に重点を置いた処方にした方が良いのかどちらなのでしょうか。
ドクターからの投薬との併用が前提となる場合の漢方処方の基本的考え方について教えて下さい。よろしくお願いいたします。
お返事メール:拝復
鬱病については、当方には毎年沢山の人が地元の有名なお寺さんから紹介されて多数相談にみえられ、そのほぼ全例近くが回復されています。
別に得意分野というわけでもなかったのですが、大分以前にたまたま四逆散を用いてスムーズに治られた方が縁で、多数の紹介者を主として四逆散を主体に、時に半夏厚朴湯などとともに、もちろん、一般方剤だけでは弱い場合は、漢方でいわれる高貴薬の併用が必要なことも多々あります。
すべて典型的な「鬱病」として病院で診断がほぼ確定している人ばかりで、皆さんがご存知のように、ほぼ全員、現在西洋医学で主流の「パキシル」が投与されている人ばかりでした。その他の併用薬が様々投与されている人も多く、いずれも病院治療だではもう一歩改善しない人や、むしろ副作用が生じて続けにくい人ばかりのご相談ですから、かといって「パキシル」だけは勝手に止めてもらっては困る問題がありますので、これだけは併用してもらいながら、漢方の立場としては、いずれは西洋医学治療薬が中止できる方向で、真正面から弁証論治で対処しています。
合成医薬品による明らかな副作用が出来ている場合も多く、その場合は、「パキシル」以外のものはすべて中止してもらったことも多いのが現実です。現象的に明らかに自信を持って言えるかなり重大な副作用を発見したことも一度や二度ではありません。
やはり当方に相談に来られるくらいだから、西洋医学治療だけではあまりに問題が大き過ぎると感じられた人が、藁をも掴む気持ちで高名な寺院仏閣などに助けを求めて行かれたことでしょう。
最近では、当方の漢方で改善された鬱病患者さんの紹介で来られる人も多いのですが、中には当方の最も不得意とするリストカット病?や総合失調症などは、残念ながら不得意分野だからと言ってお断りしています。
そこで貴方の御質問に対する当方での考えとやり方では、病院治療だけでは不十分であったり、副作用問題などで悩み、なんとかして治してあげたいという回りの家族の希望と同時に、ご本人自身も弱り果てて、典型的な真面目系の人にとっては、ストレートに弁証論治の法則にもとづいて、四逆散なり半夏厚朴湯なり補中益気湯、あるいは六味丸などの腎虚系列の方剤、必要とあれば麝香製剤や牛黄製剤を加え、心身ともに回復しもらうのが本道であると考えます。
これまで多数の実績がある分野だけに、かなり自信を持って言える事です。
「パキシル」などの適・不適は主治医にお任せするものの、それに併用されて出されるいる薬物が往々にして逆効果を示していたことも多いので、薬剤師の立場からはっきりと指摘して、主治医に再考を促すべくアドバイスさせて頂いたこともしばしばです。
また、時に御本人の申告で、このパキシルでさへ、却って逆効果であった実例もありますので、その他の抗鬱剤も含めて、薬剤師の立場からも適・不適の相談は親身になって御相談を受け、適切なアドバイスも必要なことと存じます。
ともあれ、病院から適切な抗鬱剤が投与されている場合でも、もう一つ治りが悪く、思い悩んで漢方治療を求めて来られる方も多いのですから、漢方と漢方薬の立場からは、単に体力面のサポート程度のことでは、とても勿体無い。その人にとってピッタリ合った漢方処方の配合や組み合わせをアドバイスして、鬱病そのものが少しでも根本的に治る方向を目指すべきだと考えますし、それが可能なのが漢方の底力ではないかと思います。
なお、鬱病に限らず、他の多くの疾患でも、西洋医学治療を行いながら、かといってそれだけでは改善しない多くの疾患では、漢方薬と併用せざるを得ない事例が多々あります。時には患者さんも気付かれない治療薬による副作用のために逆効果を生じていた事例もかなり存在します。そんな場合では、薬剤師という医薬品の専門家である立場に自信を持って、その問題点を主治医にお伝えするのは義務であるし、直接お伝えするのは差し障りがあることも多いので、その患者さんを通じて、村田漢方堂薬局の薬剤師がカクカクしかじかと指摘されたがと伝えてもらい、善処してもらうことさえあります。
あらゆる病院の薬物治療において、もしも漢方薬の併用問題に悩むことがあるとすれば、患者さんを通じてその主治医に許可を求めれば済むことで、この現代社会において、漢方をいまだに否定されるのはほんの一握りの先生方に限られるものと思います。
当方では、西洋医学治療では解決できない人達ばかりの御相談を主としていますので、やや偏った見解になっているかもしれませんが、ご参考になればサイワイです。
以上、取り急ぎお返事まで。
頓首
村田漢方堂薬局 無
2006年09月24日
遠方の人はわざわざ下関まで来られるのは重々慎重に!
貴方や貴女の地元近辺にも漢方と漢方薬専門のクリニックや漢方専門薬局がかならずあるはずです。通える範囲のお近くで、何度も繰り返し根気よく通ってもどうしても埒が明かなかったというわけでもないのに、ややお気楽な気分でやって来られた人ほど、当方で頑張っても根気が足りず、数ヶ月たってようやく効果が見え始めたという緩慢な効き目であった場合は、そういう人に限ってなおさら根気が続かない。
遠来の人では、地元近辺で何軒かで漢方治療を頑張って、それでも無効だったが西洋医学治療でも行き詰っているだけに(現実にもヒゲジジイの身内の内科医の中には西洋医学の型に嵌った治療方法の限界を強く感じ、漢方と漢方薬に羨望の眼を向け、本格的な学習を試み始めた者も複数存在する)、なんとか少しでも緩解できればという強い思いから来られた人ほど頑張りが効いて、直ぐに効果が出ない場合でも、一定期間しっかりと頑張られ、しかも少しでも効果が見え出すと、そのことに素直に喜んでもらえる。
こういう人ほど根気があって、現実に5割以上の緩解に持ち込めた後こそ、さらに将来予測されるお互いの大変な根気と苦労にもめげず頑張られる。
その根気と苦労というのが5割緩解程度では、まだまだピントがしっかり合ってない部分があるかもしれないので、その時点でも10日〜20日、多くは引き続き10日毎に経過観察で、あれやこれやの検討を加えながら微調整を行うヒゲジジイの極めて繊細(笑)で神経質な中医漢方薬学流のやり方にお付き合いいただかなければならないからである。
そんな根気が続いているのは御自身のお近くで様々な苦労を経た後の一大決心で来られた人ばかり。中途半端な思いで来られた少数の人達は、やはり少々の効き目では満足されず次第に服薬の手綱が緩み、10日分の漢方薬が延び延びになり、そのために効果の判定が不能に陥り、微調整が不可能となる。
だから数ヶ月で音(ね)をあげるレベルの根性のない人は来ないでほしいのである。ヒゲ薬剤師の腕の悪さを棚に上げて言うのもおこがましいが、そんなことならもっと地元で頑張ればよかったのですよ。
そのように根気のない人は今からでも遅くないから、あっさり通える範囲の地元の漢方に切り替えて欲しい。当方とて中途半端で経過観察が不能となる服用方法をされている場合では大事な微調整が不可能となり、おんぼろコンピュータの作動が停止してしまう。
といっても、今現在の効き目のレベルでも構わない、少々のびのびの服用でも自覚あってのことで、気長くのんびりやりますよ、という思いの場合は別である。このような考えでのんびりとやられている人は、従来から遠近に関わらず多いのも事実ですよ。
ともあれ、やはり県外であっても定期的に通えている人ほど有利なのは事実で、最近も逆質問ばかりされて困惑していた難治性、進行性の様相を呈している病名不明の方でも、
近隣でこそ、あらゆる医学分野で行き場を失った人ほど根気が続くのか、
お互いの苦労というのは、時としてこういうことが付き物で、東京の超美人のオバ様のケースでも同様である。遠方だから二度目からは電話やメールでの御相談だったが、熱心に頑張られたお陰で確実に合っている一つの処方が見つかったのが5〜6回目であった。現在、季節の変わり目でややぶり返し気味だが、中心の方剤が見つかっているだけに将来は明るいし、年内にはもう一度下関に来ようという情熱と意欲がおありである。
過去の経験からも、このように熱心な人の多くは、最終的に安定した8割緩解に継続して持ち込めているものである。
いずれにしても、しばしば通える近隣の人達の方が、根気がある限りは有利なことは間違いないので、わざわざ遠方から下関まで来られるのは、慎重にも慎重であってほしいということですよ。
慢性化した疾患というものは、多くの場合、どんなにうまくことが運んでも8割緩解がいいところで、しかもそれを維持するには継続して漢方薬を続けなければならないことも多いし、もちろん状態によっては、服薬量を減らして、一日2回の服用など、ケース・バイ・ケース。
とは言え、坐骨神経痛や関節リウマチあるいはアトピー性皮膚炎などの多くのありきたりな疾患では、運よく短期間(半年〜1年半)で緩解した人達が直ぐに廃薬したのに、再発までに10年近くも無症状でおれたケースも多々あるのも事実ではありますが・・・・・でも、これらはよっぽど運がよかったとしか考えられないのも事実(笑)
毎年、そんな運の良かった人が10年ぶりに再発して舞い戻ってこられるケースが複数おられる。
ともあれ「灯台下暗し」というコトワザ通り、当方の地元近辺の人が、関東を始め各地の様々な治療方法を頼って苦労したのに経費ばかりかかってすべて徒労に終わったのに、こんな近くで安上がり(???)な経費で治っていくとは思いもしなかったとお世辞を言われる人が毎年のようにおられるが、同様なことは各地で言えることだと思われる。
どこの地方でアレ、常に「灯台下暗し」(とうだいもとくらし)ということを忘れないで欲しい。
つまり、重ねて再三言うように、まずは地元でしっかり漢方を試みてみるべきで、山のあなたの空遠くにだけサイワイが棲んでいるわけではないということですよ!
2006年09月23日
中医漢方薬学派の繁用方剤
幸いに、直ぐに服用した愛用の牛黄製剤で救われたが、その後に服用した柴胡加竜骨牡蠣湯に加えた八仙丸と地竜だが、このブログを読まれた東京の超美人のオバサン(「関東の美人のオバサン」ではややご機嫌斜め)が、自分にもテッキリ八仙丸(六味丸+麦門冬・五味子)を送ってもらえると思っていたらしく、貴方は六味丸でいいの!というと怪訝そうなので、電話で説明したことは、たまたま台所にあったのが六味丸が見つからず、その親戚の八仙丸がころがっていたからそれを服用したまでで、基本の六味丸でよかったのを代用したまでのこと。だから貴女には前々から予告していた六味丸で問題ないのですよ、と説明したばかりである。
超美人の彼女こそ、得体の知れないフラツキに悩まれ、関東の漢方専門のクリニックや漢方薬局を歴訪して治らず。しかしながらその程度の疾患で、わざわざ来ないでくれと懇願するのを半ば強引に下関にやって来られた情熱を見ると、やはり相当苦しまれていたことが分かる。泊りがけで来られたにも拘らず、最初に出した漢方薬類はのきなみピンとはずれ。
その後10日毎に微調整しながら、ようやく5〜6回目(一ヵ月半)ではじめて改善の兆しが見え始め、その後は順調に経過して8割は緩解した状態で今日まで来ていたが、秋の季節の変わり目から連日の睡眠不足なども加わって6割5部の緩解状態に戻ってしまったのだった。(半分以上はいいということだが・・・)
主方剤は高濃度の柴胡加竜骨牡蠣湯製剤にに隠し味的な四逆散を少々と牛黄製剤の併用が基本であった。もしもぶり返すようなことがあれば、以前から六味丸や地竜を加えることを予定し、そのようにも伝えていたので、同様な症状に見舞われたヒゲジジイの服用した八仙丸の方がより効果的だと誤解されたようだが、上記のような理由から六味丸の代用としたまでのことだった。
この六味丸の詳細はリンクしたブログに書いている程度で、また暫定的に予定しているサイトに書きかけの六味丸があるくらいのものだが、実際には応用範囲が極めて多く、中医学でいう腎系から体内の水分調節を行い、また膀胱系の方からは猪苓湯が体内の水分調節を行ってくれる。
いずれはもっと詳細にブログや書きかけのサイトなどに書いていくつもりだが、実際のところ、六味丸系列の方剤だけでも一つのHPが楽々作れるほどであり、あるいは一冊の本が書けるほど有用性の高い漢方処方である。
日本漢方では八味丸は過剰なほどに繁用しても、六味丸はほとんど無視しているが、逆に中医漢方薬学派では、肺陰を損傷しやすい附子が配合された八味丸は滅多に使用しない。
だから今年の新人さんたちに六味丸や猪苓湯製剤を多くの人にお出ししているが、またアトピー性皮膚炎などでも六味丸系列の各種の方剤に猪苓湯を組み合わせる機械が非常に多いし、呼吸器系統や代謝系の疾患など、あるいは不随意運動を伴う各種疾患や、多くのこじれにこじれてしまった疾患に体内の水分調節を行うときに、言い換えれば五臓六腑各部位における水分の偏在を調節する。不足は補い、過剰は除去する目的で、六味丸系列の方剤と猪苓湯は不可欠な方剤であるということだ。
この辺は、中医漢方薬学派の際立った特徴であり、さらに昨今、10人に8割の人にその存在を確認する湿熱の除去にも、のみならず猪苓湯の応用範囲は計り知れない。
ところで、ここで大きな問題があり、六味丸にしても猪苓湯にしても、とりわけ後者などの各製剤間の優劣は想像以上で、駄目な製剤を使っても意味がないので、過去、スタッフの薬剤師一同(笑)で出来る限りのメーカーの製品を取り寄せ、わが身を使って効能実験を繰り返したものである。実際に常連さんにも使ってもらって合格したものしか販売していない。
猪苓湯は配合薬中の阿膠(ゼラチン)が曲者だから、煎じ薬とて油断がならず、自分自身の尿路結石治療時にも、却って阿膠が邪魔になって配合薬から撤去して効果を上げたほどである。
話はややそれるが、二十年前ごろ、頚椎関連の症状に女性薬剤師がドンピシャで葛根湯が合うので、各種メーカーの製剤(医療用も含む)を軒並み吟味したが、葛根湯に関しては効能の優劣はそれほど激しくないものの、ある特定のメーカーに限って胃障害が生じて連用できないところがあった。
ともあれ、猪苓湯に関してこそ、皆で服用実験を繰り返して、ほとんど効果を示さないメーカーが複数あるのには驚いたが、それ以上の実例としても
たとえば、これは既に十年くらい前に「和漢薬」誌などにも発表したことだが、顔面に生じた慢性の皮膚疾患に、医師の出された医療用の猪苓湯と茵蔯五苓散の配合で全く無効であったものが、市販されているエキス量二分の一の猪苓湯とエキスと粉末が混合された茵チン蔯五苓散の併用によって比較的速やかな効果を示した例など、患者さん御本人と、主治医に薬剤師2名によって、何度も確認したものである。というショッキングな実例は尽きないので、天産物を原料とする漢方薬、実に油断がならない。
さらに最近しばしば遭遇することだが、複数の女性が医療用の猪苓湯エキスを出され、小生から見ても適切な投与であると思われるのに、一向に効かないからもっといい漢方薬が欲しいという要求に、濃度は二分の一だが効力の点では長年信頼している某メーカーの猪苓湯エキス製剤を試してもらったところ、速やかな効果を得ている事実をどう解釈すべきだろうか?
追記: 専門的な六味丸の効果効能の中医学的記載を学ぶことは重要であるが、日本漢方の立場から書かれた解説には一部に錯誤が見られる場合があるので注意を要する。たとえば、中医漢方薬学における中医漢方薬学とは・・・で指摘しているように、
心下部(みぞおち)に振水音(胃内停水)が認められるのが、六味丸証の特長であると書かれていた!とあるように、湿困脾胃などの症候と錯誤されているとしか思えない解説がなされているものがある。
これはトンデモナイ錯誤で、こういう明らかに間違った記載が堂々と検索順位がトップクラスのサイトで見られるのだから、驚き桃の木、山椒の木である。
日本漢方では八味丸は乱用気味なほどに使用されても、六味丸系列の方剤はほとんど使用されていないのが実体である。もと日本古方派漢方出身のヒゲジジイが言うことだから間違いない。だから世間一般の解説書やネット上における漢方処方解説にはかなり錯誤した記載が散見されるので、とくに六味丸系列の方剤の解説には注意すべきである。
上記の「心下部(みぞおち)に振水音(胃内停水)が認められる」ことと六味丸はまったく無縁の世界であり、胃部に振水音があるからといってそれが六味丸を使用する目標とは絶対になり得ないし、むしろ振水音(胃内停水)が認められる場合は、六味丸は使用しないほうが良い場合が多いくらいなのである!
2006年09月20日
補中益気湯プラス六味丸は万能処方たり得るか?
年齢 : 40歳〜49歳
簡単なご住所 : 関東地区
ご職業 : 医療・福祉関係
具体的な御職業 : 薬剤師
お問い合わせ内容: 中医学の初心者なのですが入門書を読んでいて思ったのですが補中益気湯プラス六味丸で気。血。津液すべてが整う万能処方ではないか思うのですが正しいでしょうか。
かなりの患者さんの本治法に使えると思うのですが。補法で。
基本的で大変申し訳ないのですがこういう処方と抑肝散などの肝のそせつ.条達作用を整える処方とは併用するもんなんでしょうか。
ストレス社会向きの処方だと思うのですが。虚実きょう雑向け処方で考えていいんでしょうか。
ヒゲ薬剤師のお返事メール: 拝復
補中益気湯プラス六味丸は、たしかにとても良い処方で、当方でも繁用しています。現実には全身性エリテマトーデスの人に、このタイプの人があり、抗核抗体の640から一年も経たずに80まで下がり、頑固な微熱と倦怠感も解消して既に継続数年以上になる人や、やはりこのタイプの人で、潰瘍性大腸炎を緩解に導いたりしています。
適応するタイプであれば、かなり広い領域の疾患に応用出来るのは確かです。
しかしながら、万能処方というには明かに言い過ぎですし、ましてや「気。血。津液すべてが整う」という表現は、まったく意味不明であり、仰る意図を汲み取ることすら出来ません。
第一、個人個人の体質によって五臓六腑の機能失調の状況や、体内を流通する気・血・津液・精の盈虚通滞(量的に過剰か不足か、流通が過剰が停滞かなど)は、それぞれに異なるものなのですから、中医学的観点からは万能薬などというものはあり得ないはずです。
単純に言っても、個人の体質と病気の性質は、各種各様ですので、万能処方などというものは、理論的にも現実的にも決してあり得るものではないでしょう。
多くの人に有益なものであるという観点から言えば、それは特定の漢方処方などではなく、必須アミノ酸や微量ミネラル類など、人間が生きる基本的な栄養素としての全人類共通万般の栄養素ということは当然ですが、漢方処方においてはこれに類したものはあり得るはずがありません。
個人個人の特殊性に対する中医学の弁証論治の方法論において、万能処方は絶対にあり得ないということです。
また、教科書的には本治法といわれる解釈は間違いではないのですが、ある種の体質と病状の人にとっては、補中益気湯プラス六味丸は、標本同治する方剤でもあるのです。
六味丸自体を考えてみても、松浦薬業の漢方製剤の一つとしてヒゲ薬剤師自身がアドバイスした「中薬 三補三瀉湯」という名で販売していた時代もあったほどです。六味丸を別名、三補三瀉湯と名付けたのも、地黄・山薬・サンシュユの三種類の補薬と、沢瀉・茯苓・牡丹皮の三種類の去邪薬としての瀉薬として、昔からこのように表現されているからです。(正確には、茯苓は去邪薬でもあり補益薬でもある両面性のある生薬ですが・・・)
補中益気湯にしても、黄耆や人参の補益薬のほかにも去邪薬である柴胡や升麻があるなど、個別的に見ても、補益方剤とされる方剤であっても、多くは一つの方剤で、多かれ少なかれ「扶正と去邪」を兼ね備えているものなのです。
ですから、先の全身性エリテマトーデスの人にとっては、最初から補中益気湯プラス六味丸で対処したわけですから、本治法だけで押し通したと言うよりも、正確にはこの配合によって、標本同治・扶正去邪を行ったのである、と表現すべきであると思います。
また、最後の御質問、
「抑肝散などの肝の疏泄.条達作用を整える処方とは併用するもんなんでしょうか」
という点については、弁証論治の結果によってはあり得ないことではないでしょうが、ちょっと不細工(笑)な配合に見えるのは確かで、そのような弁証結果が出た場合は、もっと上手な他の配合があるのではないかと思います。
でも、臨床の現実には、不細工も何も言っておれないので、本当に必要とあればあり得ることだということです。
なぜなら、弁証論治によって配合処方を考える時には、方剤単位の検討だけで判断すべきではなく、各処方に配合されている各薬味一つ一つの配合分量と、それぞれの薬味ごとの薬性・効能といったものこそ検討対象にして各方剤を応用すべきときがあるからです。
つまり、方剤単位の効能は二の次にしなければならないことも多々あり得ることだし、またそのような応用力がなければ、現実の様々な疾患には対処することが出来ないからです。
以上、簡単ながらお返事まで。
頓首
村田漢方堂薬局 村田恭介
追伸
虚実挟雑についてのコメントを忘れていましたが、厳密に考察検討すれば、殆どすべての方剤が(虚と実の比率の違いこそアレ)虚実挟雑に対処する方剤となっています!
この深意が本当に理解できるようになれば、中医学の本質がかなり把握できたことになると思います。
2006年09月19日
朝9時半以降の千客万来の午前中、終わったあとに眩暈で座り込んで動けなかったことの顛末(ヒゲジジイ、鬼の霍乱!?)
今日の朝方、連休中の作業記録として他のブログにもアトピー性皮膚炎専門のブログ移転を終えたことを書き終えた9時半、もう既にここ数年の常連さんがやって来られていた。
連休明けだけに、常連さんや準常連さんや、何年ぶりかの人など、千客万来の午前中、気がついたら飲まず食わずのまま、漸く皆がいなくなって奥へ入った途端に眩暈がして、立っておられずにゴオウ製剤を服用して、そのまま台所に座り込んで立ち上がれない。
連日のHP移転作業の睡眠不足が祟って、朝に連続の緊張感に正常なはずの血圧も一時的に上がり、さらに空腹と重なって、動けなくなったらしい。
5分もしゃがみ込んでいたら、何とか動けるけるようになったと思ったら常連さん(八十数歳)からのお電話である。
意外に元気に話せたが、遠方の人の送り注文も多いので昼の間に送り状などを打って目を酷使していると、やはり食べてないからか、立ち上がるとまだ少しふらつきは残っていた。
食後は少し元気になったが、今日はどうも一日おかしいので、柴胡加竜骨牡蠣湯に八仙丸と地竜を服用した。
いつもなら牛黄製剤と麝香製剤だけで済ますところだが、一般処方も併用して連日の眼精疲労と睡眠不足をカバーするつもりで・・・・。
と、九州からのまだピントがもうちょっと合ってない新人さんが来られ、熱中して話し続けること数時間、仕事を終えるのが延長して7時半。
その間、まだフラツキが完全には取れてない。話している途中に目の焦点も合わなくなるので、かといって最高級品の牛黄製剤の2回目の服用は寝る前の習慣だから我慢して、再び先の柴胡加竜骨牡蠣湯と八仙丸に地竜を夕方6時半に服用した。
それからしばらくすると、仕事が終わってほっとしたのか、軽度に残っていた眩暈感もすべて雲散霧消し、疲労のほとんどが解消しているのには驚いた。
むしろ、一日中元気で立ち回っていた女性薬剤師のオバアチャンのほうが、疲れて欠伸ばかりしている。(昨日までオババは京都にいたからねっ!)
どうやら上記の方剤類はヒゲジジイにドンピシャのようで、一日の疲れが完全に吹っ飛んでいる!
牛黄や麝香製剤以外の一般漢方処方によるものでも、こんなに即効が得られるものか!?と、三十数年もやっている仕事ながら、高貴薬以外で味わった一般処方でのみずからの体験。こんなことは本当に初めてである。
仕事上は、多くの人に折々に一般処方でも即効が出て喜ばれたことは数知れないのだが、自分で味わってみると、ちょっと不思議な体験である。
明日は比較的遠方からの予約が既に2名入っているので、今日のようにぶっ倒れかけないように気をつけなければならないが、相談者が真面目で真剣であればあるほど、神経を集中してへとへとになるまで考えてしまうから・・・・性格上、止むを得ませんね〜〜。
とりわけ明日の予定の人達は、いずれも得意分野ばかりだから今から気合が入っている。過去の相談数としてもかなり豊富な領域だから、これまで通り好結果が得られるハズである。
もう歳だから、高貴薬だけでなく一般処方の配合も、皆さんに負けないように頑張って連用することにしましたよ。あんなに効くのを実感したら自分でも嵌ってしまいますよ・・・・(でも、ちょっと危なかった一日でした。ホントウニ)
2006年09月18日
台風が直撃した下関! 廃屋寸前の薬局内で命がけの作業、「漢方薬のアトピー性皮炎専門サイト」の移転作業に従事
台風が直撃した昨夜、一番危険性の大きい薬局内のパソコンで、数ヶ月前に作ったばかりのアトピー性皮膚炎専門サイト http://www.cyuikanpo.com/atopi/ の移転作業に従事。
まだ完全に移転が終わったわけではないが、新しいURL http://www.kanpoyaku.info/ にジャンプ出来るようにするところまでは、なんとか漕ぎ着けた。
台風は来るまでは猛烈な強風が吹き荒れていたが、通り過ぎてからは意外にあっけないほど、次第に沈静化した。
本日は雨があるものの台風一過、静かな休日である。上記の移転作業の残りをボチボチやっていたら、偶然、電話でアトピー性皮膚炎のお問合せがあった。(来局予定日など。)
でも、この新しいサイトを御覧になったわけではない。
上記のサイトは、やはり専門家向けに書いた過去の拙論を編集したものだから、一般の人には難しすぎるだろう。
それよりも、ブログと違ってホームページ制作には、ほどほどの知識と技術が不可欠なので、ガキンコども(笑)に負けたくない一心から、その技術を磨くべく新たなサイトをこしらえているというのが本音で、漢方薬やチヌ釣りと同様、HP制作上においても、プロ級の腕になるまで止められないのである。(5年以上はかかりそう!?)
幸か不幸か、HP上に載せるコンテンツは、どうしても専門分野に偏ってしまうのは止むを得まい。まとまりがないのが欠点だが、経験の豊富さでは、やはり本業に勝るものはないのだから。
2006年09月16日
季節の変わり目に体調を崩す人が多いので・・・
春先は、木の芽立ちと言って皆が良く知る現象で、中医学的にもしっかりした根拠のある話である。
その点、そろそろ憂愁の声が聞こえ始める秋口は、健康な人には感傷的でロマンチックかもしれないけれど、持病を持つ人には意外に辛い季節である。
一年中で一番救急車が多い季節ではないかと睨んでいるが、どうだろう?
村田漢方堂薬局の新人さんたちも、遠近に関わらず、せっかく良くなりかけていたのに、ややぶり返し気味だと嘆く人達が、同時期に続いている。
常連さんでも、遠近それぞれに体調を崩している人もいる。
常連さんの場合は、御自分の弱さの自覚がある人から心得たもので、臨機応変の漢方薬を使い慣れている。何せ、漢方の常備薬を様々備蓄しているのだから。
新人さんたちにも、せっかく8割がた治った状態が数ヶ月続いていたのに、6〜7割緩解にやや後退して落胆している人もいる。でも、6割以上は治っているのだからと、ご自分を納得させておられるようだ。
もちろん季節の変わり目をものともせず、順調に緩解していく人も多いけれど、皆がみなそんなに理想どおりの道を辿るわけではないので、不屈の忍耐を持って、頑張るしかないだろう。
この季節の変わり目が体調を崩しやすい証拠に、半年以上も服薬を怠っているので、連絡もなく高価な配合だったからか、とうとう止めてしまわれたなと思い込んでいた人が、10日分だけでいいから直ぐに送って欲しい。身体がしんどくてしようがないからと突然電話がかかって来た方が昨日もいた。
それだけ即効性のある牛黄製剤や麝香製剤を組み合わせた方で、西洋医学ではまったく治療法の無くなった人だけに、本当は10日分といわず、しっかりと真面目に服用して欲しいのが本音であるが、止むを得ない。
過去に何人も当方の漢方薬で8割緩解どころか、根治した人も多い疾患だけに、惜しい限りだが、この方の場合は半年も続けないうちに、身体がすっきり楽になったところで中断していたのだった。
案の定、季節の変わり目は、モロに応えてしまったようだ。
この方の場合などは、真面目に服用すれば一ヵ月分10万円弱もかかってしまう経費ではあるが、現代社会では、同じ病気の場合、多くは同じパターンの漢方薬類の組み合わせで軽快し、重篤化してない限りは漢方薬で根治した人が過去に何人もいる。
たとえ重篤化している人でも、緩解状態に導けた人も多く、現実にも現在しっかり服用されている男性は、一年目で明らかに改善して命の危険から脱出し、それから3年以上経った現在も、奥様のしっかりしたサポートにより、緩解状態を維持して多忙な社長業に専念して、村田漢方堂薬局の漢方薬を抱えてシバシバ中国に出張を繰り返す元気を取り戻している。
そしてこの秋口も、ますます元気ですと数日前にご報告と高価な連用中の漢方薬の補充の注文があったばかりだ。
人間様は生きている限りは様々な病気がつきものではある。
この方のように漢方の威力を目の当たりにされた場合は、ご家族や身内の重大な疾患まで当方にご相談され、運よく皆さん同様な結果が得られているので嬉しい限りである。(病院で何年治療してもピロリ菌が除去できず、このために胃に生じた低悪性リンパ腫の手術前に、当方の漢方薬類でピロリ菌が即効的に除去できたお陰で、リンパ腫も完全に消滅したのだった。しかも40日間で!)
運が良い人はどこまでも運がいいもので、その運というのはこちらの頭の冴え如何に関わる部分が大きいだけに、皆がみな、そうそう簡単に解決できるわけではないので、辛いところである。
なかなかピントが合わずに10日毎にお互い苦労している人がいるかと思えば、一回で方針が完全に固まって、数年間はかかるだろうけど、時間の問題だからと高をくくれる時もある。
その方も一ヶ月強で5割改善したと言われながらまだまだ辛そうだが、将来にわたって波を打ちながらも、いずれ最終的な好結果が得られる自信があるのだった。
西洋医学で治らなかった場合でも、漢方と漢方薬には無限の可能性と発展性・将来性があるものだと断言できるのは、構造主義科学としての中医基礎理論が数千年もかかって構築されたものだけに、一般の人が想像される以上に見事で素晴らしいものだからである。
これに日本漢方の基本方剤を大切にする精神を合体させたものが誰かさんが提唱し続けている「中医漢方薬学」なのである。
2006年09月15日
黄斑円孔
年齢 : 50歳〜59歳
簡単なご住所 : 東海地方
お問い合わせ内容 : ご相談申し上げます。
今年2月に大学病院で右目が黄斑円孔と診断され、3月に手術をしました。
半年経過した現在、網膜の剥がれ、1mm弱の孔は元の状態に戻りつつありますが、視界のゆがみ、物が小さく見える等の症状は改善されておらず、視力はマイナス1.15です。
医師からは手術前に「とても厄介な病気で症状等の改善、視力も元の状態には戻らない」と言われていました。私自身は手術は成功と考えておりますが、この辺が西洋医学の限界かなとも思っております。
そのため後は何とか自身で少しでも良い方向にいけばと考え、日常の規則正しい生活は勿論のこと、ルテイン・ブルーベリー等のサプリメントを摂っています。
そんな折、友人がサイトで村田漢方堂さんのHPを見つけ、教えて頂き、メールをしている次第です。希望があることを願い、お返事お待ちします。宜しく御願い致します。
お返事メール:拝復
地元の常連さんにも、貴方とほとんどソックリの病気の方がおられます。
現在70代の男性ですが、60代後半の5年以上前だったか・・・・・
その方も、県外の眼科では評判の良い大学病院で手術したのですが、不運にも?穴はまったく塞ぐことも出来ず、物がゆがんで見える症状も、何もかにも改善は見られず、そこでもともと、当方の常連さんでもあったので、御相談に見えたのでした。
そこで、しばらくは熱心に続けておられましたが、服用していたら何となく良いようだと言われて、2年間は続けていましたが、その後、社長業の激務から呼吸器系の疾患や帯状疱疹など、高齢者特有の症状に見舞われししまい、いつの間にか、黄斑円孔に関連する眼科症状改善のために続けていた漢方薬類がおろそかになってしまいました。
ただし、急性疾患も含めて、あらゆる病気を漢方中心で治されたい方ですので、その都度、呼吸器系疾患も帯状疱疹も、当方の漢方薬で改善しながら、同時に免疫力を維持するためのオリジナル(三点セット)などを続けるうち、いつの間にか、目のことは気にならなくなったそうです。(この方の親戚・身内は各科の医師が沢山おられるのに、いつも主軸は当方の漢方薬です。)
視界のゆかみも変わらずあるのですが、慣れっこになったようです。眼科の定期健診でも円孔は相変わらずあり、ただし、まったく進行の兆しがないということで、最近では、眼の悩みよりも、激務による急性感染症(風邪など)の予防と呼吸器疾患の再発予防を兼ねた体質改善の複雑な配合に専念している情況です。
そのまま眼科系統の漢方薬を続けていたらどうなっていたか不明ですが、その常連さんの「黄斑円孔」のことは、この御質問のメールを頂くまで、すっかり忘れていたほどです。
月に2度はやって来られる常連さんですので、あらためて質問してみることにします。
以上のように、アラユル疾患にタッチできる立場にいる超常連さんであるがゆえに長期観察できる立場だから、上記のようなややのんびりした話になってしまうのですが、
黄斑円孔の疾患に限らず、多くの眼科疾患による手術後の後遺症の改善のために、地元でもしばしば依頼されて、漢方薬をお出ししてきましたが、どのようなケースにおいても、完璧なことは無理だと思いますが、多かれ少なかれ改善効果が得られていることは間違いありません。
蛇足ながら、いつも心臓がドキドキするので、あまり扱いたくはないのですが、手術不能な黄斑変性症などでもかなりな改善効果があり、いずれも失明を免れ、視力がぐんぐん改善した人も多く、いまのところ無効例はゼロであるなど、漢方と漢方薬関連では、正確な弁証論治と臨機応変の融通性があれば、多くの場合、一定レベルの成果が得られるものと思います。
もちろん、病気によっては、なかなか根治は望めるものではなく、いつも書いている8割改善どころか、5割改善したら「御の字」という場合もあります。
貴方の場合も、当方の常連さんと同様、5割の改善が得られれば最高と考えても良いのかもしれません。
そのためには、必ず7〜15日毎に通える範囲の場所で、いい先生(いい先生というのは、相談に時間をかけてくれて、その都度確認しながら、微調整を考えてくれる人。一か月分を最初から出すような所は、まず信用できないように思います。)
そちらは幸い都会近辺ですので、探せば必ず研究熱心な先生にめぐり合えると思います。
一定レベル以上の病気の場合、専門家の知識と経験の問題ばかりでなく、お互いの信頼関係とたゆまぬ努力、および一定レベルの経費の問題等、それらの要因がうまく合致したときにはじめて、良好な結果が得られているように思います。
以上、簡単ながらお返事まで。(仕事のアキ時間に書き殴ってしまいましたので、誤字脱字はご容赦下さいませ!)
頓首
村田漢方堂薬局 ヒゲ薬剤師
折り返しお礼のメール:早速のお返事ありがとうございます。
少し希望が持てそうです。
病院や医師にとっては、ごくありふれた病気でも本人にとっては一大事、まだ30年は生きようと思っていましたので、考えると絶望的にもなりそうでした。
市内でお店を探してはみますが、場合によってはお伺いしようとも思っております。その時はお電話で予約を取ってから参りますので、宜しくお願い
いたします。
ご多忙のところ、ありがとうございました。
折り返し一つの方法を伝授:拝復
漢方薬によって、スムーズな即効が得られる内容でもありませんし、数年以上の気長い服用が必要なものですから、わざわざ下関にまで来られる必要はないと思います。
ワザワザ来られても、うまくいって五割の改善といったところかもしれませんし。
そちらでまず出来そうなヒントだけ述べておきますので、お近くの専門薬局を訪問されて、杞菊地黄丸が適応する体質かどうかを相談して見られることです。
専門家に直接会って相談すれば、通常なら30分もすれば、適、不適の判別がつくはずですので。
もしもこの方剤が適応する体質でしたら、気長く続ければ、これだけでも多少の改善効果が得られるかもしれません。適応する人は、同時に様々な老化現象の改善効果が得られることが多いのです。
この方剤一つでも、体質に合っているようでしたら、得るものは少なくないかもしれません。
以上、簡単ながら追記としてお返事申し上げます。
頓首
村田漢方堂薬局 無
2006年09月14日
難病系統でも僅かな方剤の組み合わせや、まれには一方剤でかなり緩解することすらある!
肺がん手術後に、もともと気管支拡張症もあったので、常に酸素ボンベが必要な生活になっていた人が、数ヶ月もしないうちに殆ど不要になるほど回復したケースや、治らないと思っていた耳鳴りが、変形性膝関節炎の治療薬(もちろん漢方薬)によって、膝関節炎が治るのに並行して、耳鳴りも8割ではなく、殆ど根治してしまった人もいる。
最近も難病指定の疾患で、とても真面目な性格な方のようで、そのお陰か当方の壊れかけたアンテナが敏感に反応して、一方剤毎に反応もよく、二方剤の併用で、将来はかなりな線(5〜8割程度)まで緩解するのではないかという期待が持てる雰囲気である。
また、頑固な蓄膿症が珍しいことに、ほとんど一つの方剤を一年半の常用で8割以上は緩解してしまった年配の男性もいる。
関節リウマチはしばしば扱う疾患だが、半数近くの人は僅か二種類の漢方薬の併用だけで、病気の8割以上緩解に持ち込めている。
また、軽症の鬱病で来られる人の半数近くは一方剤だけでみるみる元気になっていかれている。
一般的な坐骨神経痛や膝関節炎も同様であり、ありきたりな疾患では、手間隙かけてご相談しても、あっさり一方剤のみでぴったり合ったりするから、二回目に来られたときは、お互いに余り話すこともなく、「それじゃ、同じ薬をしっかり続けて下さい。あとは根気だけですよ」ということになる。
このように、自費の漢方薬といっても、月額1万円でも沢山のお釣りが出たり、多くても2万円以内で済んでいるひとも意外に多い。
全体の3〜4割近くの人が以上に該当するのかもしれない。案外そうだろう。
但し、免疫がらみの疾患や抵抗力が減退している人など、体質改善をかなり強力に行う必要がある人には、どうしても例の某「三点セット」をベースにする必要があるので、やや経費が嵩んでしまう人も多い。
この「三点セット」をベースにしている人はとても多く、HPやブログを御覧になって来られた人の半数は使用されている。
その使用方法を説明するのが、ついつい面倒になるほど使い方に詳しい説明が必要なものである。
ヒゲ薬剤師の考案したものは、
http://murata-kanpo.ftw.jp/u15207.html
このように自慢したくなるものもあるけど、これとはまったく別に月刊健康雑誌「安心」にまで写真入で紹介された素晴らしい?「三点セット」ではあるが、もはやHPやブログなどで具体的に書きたくない。
直接来られた人にだけ伝授している大切な宝物である。
蛇足ながら、漢方薬の別種の素晴らしさをツイデに書いておくと、古くからの常連さんや、比較的新しい人でも、ヒゲ薬剤師の愛用する牛黄製剤や麝香製剤で心臓・脳血管などを水際で防ぎつつ体力を養う目的で、ハードな仕事をこなす人達や、ご高齢の常連さんたちも、これらの高貴薬に嵌ってしまっている人がとても多い。
中年に差し掛かる頃から、断然愛用者が増えるのだが、牛黄製剤も種類が多いので、人によって使い分けが必要なばかりでなく、同一人物が時に応じて使い分ける方法などを伝授したりもする。
これに嵌ると中年以降は人生の支えとして大きな役割を果たすことになる。会社経営者や大学教授などに愛用者がとても多いが、ハードな仕事をこなす医師もいる。
気の毒?なことに関東から来られた中年の超美人おばさんもどうやら嵌ってしまったらしい。
「嵌る」なんて、ちょっと不謹慎な表現みたいだが、かなりなところ重大な疾患の予防兼疲労回復効果は抜群なのである。
もっともこれに嵌っているのはヒゲジジイで、今日こうして何とか仕事が続けられるのも、これら高貴薬のお陰なのだから、皮肉なものである。
健康を買うのは、時に確かに莫大?な経費がかかることもあるが、それだけ結果が伴えば、長いお付き合いの常連さんに恵まれて、新しい御相談者にたっぷりと時間を取ることができるのである。
やはり相変わらず電話やメールのお問合せ、あるいは直接来局される物見遊山や時間がないと言われる不謹慎な人達を含めて、9割近くはお断りする日々を送っていますがね。
どうやら日本人の一割くらいしか、ヒゲ薬剤師とは相性が合わないのかもしれませんね。
でも、いったん御相談に乗るからには、全身全霊で打ち込むから、結局は大量の高貴薬類の補給が必要となるわけですよ。
面白いことに、HPやブログをしっかり御覧になって、覚悟を決めてこられた人たちは、ほとんどの人が肩透かしに会った気分のようで、文面で見るほど恐いジジイでもないので、ほっと安心するみたいだ。
そりゃ〜〜そうです。真剣・真面目な人には、ヒゲジジイとて大いに敬意を表して、何とか病気が治ってもらいたいものだと集中力が増すというものです。
やや厳しいのは、いつも述べているお気楽やお気軽、それに最低限のマナーが守れない人は、お断りの毎日を送っているというだけのことです。
もちろん、昨今、目だってしょうがない「時間がない」と言って、そわそわ時計ばかり見る倒錯した言動を取られる不謹慎なひとも、最低限のマナーが守れない範疇に入ります。
2006年09月13日
地元の実力のある漢方専門医を御紹介して欲しいというメールはしばしばだが・・・
遠方の人からのお問合せが多いので、通える範囲のところで専門家を見つけるようにアドバイスすれば、きまってその方の近くの漢方医を紹介してくれというメールが折り返し帰ってくることが多い。
大概は、漢方薬局を望まず、漢方専門医を紹介してくれという方が多い。 保険のきく漢方専門でいいところはないだろうかという御質問をされる方すらある!
これらのお返事は、すでにこのブログでも繰り返し書いたことなので、もはやあまり繰り返し書きたくない部分である。
それが分かればこちらだって苦労はしませんや、というところで、保険はきかないところだから、同じ保険がきかない漢方の場合は、むしろ漢方薬局の漢方より経費はかかるかもしれないが、ここなら大丈夫だろうと思ってご紹介したところが、残念ながら・・・ということばかりが続くので、迂闊に御紹介できないし、ましてや極端な遠方となると、こちらには皆目見当もつかないのだから、ご自分達で地元を探す以外にはないだろう。
遠隔地の方でも、東京でもいいから紹介して欲しいと望まれる人も多いが、それが分かれば苦労はないし、下関くんだりまで関東地方から来られる人が一番多いという不思議な現象は、雲散霧消するはずである。
ということで、御紹介するのはコリゴリしているので、その依頼だけはしないでほしい。親切心を出してご紹介したあげくに、駄目だったじゃないか〜〜と詰め寄られて困り果てた経験もあるのだから、見ず知らずの遠方の人に、お気楽に御紹介してくれなどと依頼されても困るのである。
蛇足ながら、お問合せでは遠近にかかわらず、ご家族によるご心配によるものがとても多く、地元近辺でもかなりご両親からのお問合せがあるが、いつも問題になるのは、御本人自身が本気かどうか、漢方薬に賭けてみるという熱意と情熱があるかどうか、ということなのである。
2006年09月12日
脳腫瘍治療後の後遺症に対する漢方薬の御相談
性別 : 男
年齢 : 50歳〜59歳
簡単なご住所 : 北海道
お問い合わせ内容 : すみませんが私の子供の病気のことについてご相談させてください。
私の子供は現在大学3年生ですが 高校2年生の時脳腫瘍を患い 札幌の大学病院で手術を行ないました。腫瘍の場所は小脳の近くで手術後放射線治療と抗がん剤の投与を行ないました。
現在は以前から比べれば少しは良くなりましたが腫瘍のできた場所が悪かったのか 発音がすらすらと出来ず又歩き方もふわふわした状態で左右にゆれて歩くような感じです。目は白内障と診断されましたが 今のところ手術は不要と診断されましたがちょっと暗い所では視力は極端に落ちるみたいです。
全てが良くならないまでも漢方薬の力を借りて症状が軽減できないものかとご相談申し上げます。
宜しくお願いします。
お返事メール:拝復
漢方薬でかなり改善する可能性は高いように思われます。
中医学的な考え方を簡単に説明すれば、
あくまで中医学的に五臓六腑のバランスの乱れを把握して、
その五臓六腑の機能失調の状況や、
体内に流通する気・血・津液・精の盈虚通滞(量的に過剰か不足か、流通が過剰が停滞かなど)の情況を把握した上で、
五臓六腑の機能を調整する漢方薬および体内に流通する気・血・水(津液)・精の疎通あるいは補充を行う漢方薬によって、かなり改善する可能性はあり得るわけです。
敢えてこのような一般の人にとってはやや理解しにくい要点を述べましたのは、漢方と漢方薬の世界は構造化された理論と法則によって、どのような困難な病状に思える場合でも、中医学理論の常と変を知って対応すれば、期待される結果が多かれ少なかれ得られるであろうという期待が大いに持てる過去の膨大な実績と成果があるわけです。
現実に当方では、ご子息のケースと異なるものの、根治不能な血液ガンや転移ガンの人達が、あくまでクオリテー・オブ・ライフの向上目的で綿密な漢方相談と配合により、10年以上バリバリの現役で社会生活を送っておられる方が複数おられます。
もっとくだけて言えば、漢方と漢方薬の常と変を知って臨機応変の漢方処方の運用により、きっと8割程度の改善は得られるのではないかと思われます。
それには、かならずお近くで10日毎くらいにピントがシッカリ合うまで通える範囲のところで、相当高度な知識と経験をお持ちの専門家を見つけるのが最善ですが、次善の策としては、その専門家を育成するくらいのつもりで勉強熱心な先生を見つけて、喰らい付いてでも通い詰めれば、可能性は高いものと思われます。
ただし、トテモ重要なことですが、ご本人が本気で漢方に賭けてみるという熱意と情熱と根気が無ければ、可能性は大変低いことになると思います。
以上、簡単ながらお返事まで。
頓首
2006年09月11日
生理前のイライラに効く漢方薬
村田漢方堂薬局のHPを御覧になったという高校生の生理前のイライラに効く漢方薬はないだろうかという親御さんからのお問合せの電話である。
例によって、御本人が本気で漢方を服用する意志があるのかどうか、多少遠方でも直接来られないことには確実なことは言えないので、その程度の問題なら、そちらの地元の漢方薬局で十分間に合うはずだからと、経費を気にされるようなので、このようにお伝えしてお電話を終えた。(応対は女性薬剤師)。
実際の所、よくある女性の生理前のイライラや落ち込み等は、漢方では比較的得意分野であるから、漢方入門当初の十数年間は、それこそお気軽に相談にやって来られる多くの人に、面白いほど奏効する適切な漢方処方を販売し続けたものだ。誰もが知る「加味逍遙散」や山梔子・牡丹皮を去った「逍遙散」などが代表的で、近頃は「加味逍遙散」のほうは医療用漢方にもあるから、あえて当方まで来られる必要もない。
漢方専門薬局でなくても置いているかもしれない。ところが、簡単なお電話だけでは簡単にアドバイス出来ないことが多いのは、典型的な加味逍遙散タイプばかりとは限らず、直接詳細に相談すれば、激しい生理痛が伴っていて内膜症・チョコレート嚢胞の問題が合併するなり、お気軽に相談できるほどの内容ではなかった場合も多々存在するから、及び腰の可能性の高いお電話での相談は皆お断りするのである。
もしも単に、生理前のイライラがひといとか、精神的な落ち込みがひどいというレベルで、裏に隠れた問題がそれほどでもなければ、加味逍遙散や八味逍遙散あるいは四逆散などのいずれかが適切な場合が多く、経費も大したことはない。
漢方の難しさというのは、たとえば本日実際に遭遇した例を挙げると、頭鳴・耳鳴りの重症者に釣藤散製剤と耳鳴丸の併用10日で、運よく頭鳴は完全に消失し、耳鳴りも僅かに軽快したのだが、変形性脊椎症による腰痛と膝関節炎も同時に治してほしいという追加要求されるのである。
その理由が、当方の漢方で病院で治らなかった変形性膝関節炎を治してもらったら、同時に耳鳴りも治ったので、膝も一緒に治してもらうようにと、御紹介者にアドバイスされたというのである。
確かに一理あることで、一人の身体で起こる病態は、予想外のところでつながりがあることが意外に多いので、常に全体を眺めながら綿密な弁証論治を行わなければ、万全とは言えないのである。
ところが、万全にやればどうしても経費が嵩むので、耳鳴りから順番にして、それが治る都度、次は膝、次は腰という風にやって欲しいという西洋医学的な要求を出された場合は困ってしまうことも多いのである。
一見正統に見えるこの要求は、腰痛が腎虚から来るものであれば、すでに耳鳴丸の中に入っており、膝関節炎がボウイオウギトウ証であるばあいは、湿邪の停滞と耳鳴りが連動していることは実際にあり得ることなので、順番にやるよか、バランスよくすべてを組み入れて初めてすべてが緩解することもある。
すなわち、バラバラに西洋医学的に、これが頭鳴や耳鳴りの漢方薬、これが腰の漢方薬、これが膝の漢方薬として、順番にやっていくことではあまりうまく事が運ばず、結局はすべてがカバーできるように同時にバランスよく配合するのが唯一正解であったりするから、漢方と漢方薬の世界は奥が深く難しいものなのである。
これらの見分けは、やはり基礎理論を含めた豊富な知識のみならず、長年の実践的な経験を積まなければなかなか分析力と判断力がつかないものである。
あらゆる方向から、様々な可能性、すなわち五臓六腑、四肢百骸の連係情況を把握できる能力がなければ、適切な選薬をアドバイスすることは到底できない。
だから、詳細綿密なご相談によって、理想的には10日毎に可能性の高い部分から試してもらって、より適切な配合に近づけなければならないのである。
といっても、生理前の不調や、変形性膝関節炎、あるいは腰痛などありきたりな疾患ではその9割以上の人は、一発でピントが合ってしまうものなのである。
ところが、他にも様々な疾患が合併してしまい、こじらせて病院治療で思わしくなく、また各地の漢方薬を試みても治らずに困って来られることが多いので、当然ピンと合わせにしばらくかかることは止むを得ないことだろう。
ヒゲ薬剤師は自他ともに認めるイヤミジジイだから、西洋医学でも他の漢方薬の専門家でも治らなかった人達を8割緩解に導くお手伝いをして、お互いに苦労しながらも期待通りの結果が出ることにのみ、大いに快感を覚える。
だから、どこでも同じ結論に至るであろう加味逍遙散証や、単なる膀胱炎の猪苓湯証などは、村田漢方堂薬局で相談されるまでもない。
とは言え、一見大したことない症状でも、どこに行っても治らなかったと困惑して悩みぬき、村田漢方堂薬局のイヤミジジイのところに賭けてみようという奇特な方だけが来られれば良いと思っている。
歳とともに次第に体力・気力が衰え、人の運命というのは分からないもので、エラッソウにこうやって嘯いているヒゲジジイ本人こそ、いつまで吠え続けていられるか分かったものではない。
だから自分に向いた仕事、本気で賭けてくれる人、最低限のマナーを身に着けている人、クレーマーとは程遠い人、お互いに人のイタミが分かり合える人でなければ、壊れかけたコンピュータが作動してくれない。
御相談に乗る気には絶対になれない事例集の御案内
たとえば昨日も実際にあった出来事で、毎日のように受ける珍しくもない電話の受け答えだが、昨今、最低限のマナーすら忘れてしまった日本人が、あまりにも多過ぎるので、お断りの事例集ブログ
漢方と漢方薬の将来のためにを御紹介しておきたい。
もちろん、当方の常連さんにしても、昨今、HPやブログを御覧になって遠近様々なところから来られる人達も、皆さん我が愛する奥ゆかしい「日本精神」を体現された方達ばかりである。
(日本精神とは何ぞや? 謙譲の美徳、これなり。)
一人ガラが悪いのは、ヒゲジジイのみ。
と、唐突に思い出したことだが、ある日、関東と関西からそれぞれ二泊三日と一泊二日の予定で来られたお二人が、偶然同じホテルに宿泊されていたこともあった。今後もそのようなことが大いにあり得ることだろう。
本題に戻って、
電話でのお問合せに、最低限のマナーすら守れない人々より、
休日の日曜日にもお問合せのお電話は多いが、昨今、最低限のマナーすら守れない人がとても多い。
「今日はお休みですが・・・」というこちらの言葉に、すかさず切り返す言葉が「お休みならお訊きしてはいけませんか!?」という不快な語調である。
病気に困っておられる立場のご家族なら、特権的な特別な地位とでも言われるのだろうか?
こちらとて前日までのハードな仕事でへとへとの身体を回復させている休息日である。
実際の所、お電話でのお問合せで、先のように最低限のマナーが守れない方とは、あとあとのトラブルを警戒して、御相談を受け付けない方針を徹底している。
これが他の人達のように「お休みのところ申し訳ありません。ちょっとお訊ねして宜しいでしょうか?」
と言われるのであれば、頭脳が停止中のアンテナを無理に揺り起こしてでも、親身にお話を聞く位のことはマナーとしても、人情としても大いに受け入れられるものである。
ところが、しょっぱなから切り口上でやられたのでは、不快感が先にたって、奥ゆかしさが売り物だったこの日本国も、地に落ちるだけ落ちたものだと、せっかくの日曜日も些か台無しにされた気分に陥るのである。
2006年09月10日
ヤリガイのある仕事ばかりでなく、稀には歯痒い使命感から強引にやってしまう仕事もあるのだった
先週のように予告ナシにやって来られる遠来の人や何とか通える範囲なので10日毎に通ってこられる県内の人や県外の人、いずれも真剣・真面目で、難病指定を受けるような病ばかりでなく、単なる風邪のコジレや不妊症まで、あるいは病院で治らない慢性化した蕁麻疹や神経痛、あるいはリウマチなど、いずれも真剣・真面目で物見遊山とは程遠い人たちばかりだから、実際の所は、どんなに疲れても、とてもヤリガイのある仕事である。
最近、特にヒゲジジイが疲れやすくなっている原因は、10年以上、通うべき歯科医院に行かずに自己治療と漢方薬で無理にもたせているからに他ならない。
歯医者さんに行けない理由は、ヒゲジジイにも人には言えない(もう言ってるけど)持病があって、平成元年頃に、夜釣りの帰り道に猛スピードで漕いでいた自転車が、鉄柱にもろに激突して頭部打撲し、一時失神したほどの外傷を受けたが、病院で検査や治療もせずに、漢方薬類の自己治療でなおした。
その数年後にも家の駐車場で、おでこを激しく打っている。
これらの頭部打撲以降、あの歯科医院での中途半端な仰向けで静止するのが、とても辛いのである。あの姿勢に限り、じっとしておれなくなる。あるいは昔、野球やボクシングの練習をやりすぎたためか、右肩がひどく落ちて、明らかな頚椎のズレが素人目にも分かる頚椎症も絡んでいるかもしれない。
日頃の生活にはまったく支障がないのに、あの歯科医院での姿勢だけは、耐えられない。あらゆる面で度胸の良い方だと自画自賛するものであるが、ここ二十年近く、歯科医院での治療だけは、耐えられないのである。
抜歯すべき状態の歯をかかえたまま、漢方薬でごまかしているのが多分、影響しているのだろうと愚妻に指摘されて、もしかするとそうかも知れないと考えている。
と、話が自分の弱点を告白することになったが、さらに本業の漢方相談の不得意分野を言えば、真正の鬱病は比較的得意だが、リストカットの人たちにはどうも相性が会わないのか、根掘り葉掘りの探偵的なヒゲジジイの質問には腹を立てられて、仕舞いには脅迫めいた居直りをされたこともあるので、不得意分野と諦めて、リストカットされる人の御相談は、どんな理由があろうともお断りすることにしている。
もちろん及び腰のご相談は、全面的にお断りしているのはいつも述べている通りだが、例外的に過去にご縁のあった人の御相談の場合、あまりにも漢方薬では簡単な問題と分かりきっているような内容であれば、多少とも命に関わる問題でもあればなおさら、もどかしく歯がゆくなって、多少強引に叱ったりイヤミを言ってまでも、お節介をしてしまうこともある。
その実例が、漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱:「シャックリの漢方薬:呉茱○茰湯(ゴシュユトウ)証の状況証拠?」の後日談
これだけのことをしても、感謝の一言もないケースだってあるのだが、及び腰の相談でも、話を訊けば、漢方の他には治療方法がないだろうと思うと、無視することが出来なくなるのである。
だから、入院中の患者さん、とりわけ末期のガン患者さんなどで生じやすいシャックリの問題では、柿の蔕や芍薬甘草湯が有効とは限らないので、点滴などによる寒邪犯胃、あるいは肝寒犯胃に適応するゴシュユトウこそ、医療用漢方で大いに使用されるべきであるから、老婆心ながら追記しておいたところである。
医療用漢方レベルでも十分にシャックリ程度は、証に応じてゴシュユトウなどの、やや特殊な方剤で止めることが可能なのである。
三十数年間の仕事で、入院中の末期患者さんのシャックリが止まらないのに、医師に柿の蔕を買ってくるように言われた御家族が、結局は柿の蔕では止まらずに、懇願されて渡したゴシュユトウで、一発でシャックリを止めたケースは、相当な数にのぼる。
しかしながら、あれだけ医療用漢方がテレビ宣伝される時代なのだから、シャックリの漢方薬の一つにゴシュユトウがあることくらい知っていてもらいたものだ。
そうすればこちらとて、イチイチ怪訝がられるのを我慢してまでゴシュユトウを販売する必要がなくなるのだから。
ともあれ、電話でのお問合せに、最低限のマナーすら守れない人々のようなケースは、ったく問題外ですよ。
このような最低限のマナーすら守れない人の御相談に乗るつもりはまったくありませんね。このような方達が、どのような遠方から来られようとも、断じてお断りしますからね。
2006年09月09日
予告ナシに訪れる新人さんたちのお陰で、ヒゲジジイの牛黄製剤と麝香製剤の消費量が増え続ける悲劇
昨今は村田漢方堂薬局のHPやブログを御覧になって来られる新人さんたちに、お問合せがないまま予告ナシに訪れる人が増えている。
しかしながら、ヒゲジジイの口頭試問?に腹を立てて直ぐに退散されるのは、当方のHPやブログを上っ面にしか御覧になってない証拠で、しかも近隣の人に多い。
隣県程度では、やはり物見遊山で来られる人も多いので、一発退場ということもあり得る。
ところが確信犯?の方達は、近県でアレ、県内であれ、あるいは本州の東の端からであれ、心構えが違う。
直ぐにピントが合うとは限らないし、今後10日毎の細かなピンと合わせに付き合えるか、本気で来られたのか、最初の口頭試問をするまでもなく、顔つきが違うのである。
それらの多くの人の共通した言葉は、メールや電話でお問合せしたら、きっと地元で専門家を探せと、ワンパターンの決まり文句が帰って来るにきまっている。だから、突然押しかける以外に方法がないではないかと、やや居直られてしまうこともあったりして・・・。
新人さんには、とりわけ遠路はるばるの方達には、10日毎に通うことができず、二泊三日の後には、すべてメールや電話での相談に移行するので、できるだけ徹底的に時間を取って連日続く訳だから、やわなヒゲジジイの心身の消耗は激しく、哲学の煙を求めて奥に引っ込むフリをして、高価な牛黄製剤や麝香製剤を、中医学的に許される範囲の分量をたっぷりと補給しなければ、肉体も精神も持たないのである。
これは、まったくの冗談ではなく、無い頭を振り絞りに振りしぼり尽くしての綿密詳細な漢方相談であるから、折々に疲労困憊となっている。これら漢方製剤の中でも超特急の高級品を使い続けているから、何とかぶっ倒れずに集中力を途切らさず、ご相談者のほうも疲労困憊になるほど頑張れるのである。
でも、ときどき無い頭を絞りにシボリ過ぎてしまい、突然がっくりときて薬局内で高貴薬をガバガバっと服用せざるを得ないこともある。目撃した人も多いと思うけど、あれはかなりバテている時なのだった。
こちらの体力と集中力を維持するために、人一倍高価な漢方薬を消費し続ける宿命にあるということなのだろう。
いつか薬局内で、ぶっ倒れることがあるかもしれない。