2006年08月28日

インチンコウトウを一時中止することになった関東勢2名

 昨今は保存食品や保存料がふりかけられた食品を口にすることが多いせいか、多くの人が中医学で言う「肝胆湿熱」を保有しているように思われる。だから、村田漢方堂薬局に訪れる人の多くにいんちんこうとうが刺身のツマのようにもてなされる。

 また、この肝胆湿熱は重濁粘膩でなかなか完全には除去しにくいのが通例だから、体調が良くなっても舌の黄膩苔は完全には除去出来ないのが通例である。
 と、長年思っていたら最近、立て続けに2名の人から、黄膩苔が完全に消失したとの自己申告があったのでいんちんこうとうを即座に中止してもらったばかりである。しかもお二人とも以前HPを見て一泊二日や二泊三日で直接来訪された関東勢ばかりである。

 お一人は脾胃に虚寒があっての肝胆湿熱が並存するという比較的珍しい例であったからうなずけなくもないが、もう一人の場合、ヘラで苔を削ぎ落としていたくらいの人であるから、ちょっと信じられない申告であった。

 苔が厚いからといってヘラで削ぎ落とす行為は、東洋医学的には間違った行為であり、体内の異変を素直に反映する鏡のようなものだから、自然にまかせておくべきである。このような人為的な侵襲行為を加えるのは、あまりにも不自然だから、案の定、後者の例では舌上がひどく損傷して夜も眠れないようなヒリヒリと疼痛を伴う事態となった。
 このために、何とかしてもらえないかとお電話が入り、急ぎササヘルスをお送りしつつ、二度とヘラで削ぎ落とすことのないよう、厳重に注意する始末であった。

 その後の御本人の経過報告によれば、出没を繰り返していた黄膩苔はマダラ模様となり、地図状舌が持続していたが、そのうち黄膩苔も完全に消えてしまったということであるので、やや首を傾げながらも、この人の場合も一時、いんちんこうとうを中止することになったというわけである。

 ともあれ、脇役のいんちんこうとうではあったが、長州の黄膩苔と違って、関東の黄膩苔はとてもヤワな存在のようであるから、以後はそのつもりで対処しなければならないようだ!?

posted by ヒゲジジイ at 02:27| 山口 ☁| 時代的な傾向や使用頻度が増加中の漢方薬方剤 | 更新情報をチェックする