2006年08月16日

休み中でも考察分析中の「不随意運動」を主症状とする病人さん達に対する漢方薬

 旅行中も帰宅してからも頭から離れないのは、パーキンソン病を含めた「不随意運動」を主症状とする人たちに対する漢方薬の配合のことである。
 それでも、この連休中のお陰で、それぞれにかなり方針が立ってきたので、あとは服用中の人達が10日毎の細かい弁証論治に忍耐力を持って継続できるかどうかにかかわっている。
 昨年暮れからの人を含めると新しい人が現在複数(3名)おられる。
 お一人は数ヶ月間殆ど症状が消失しているものの、症状に対する不安感が残っているので現在中医学で言う本治法の方剤を検討中で、これによって再発の不安を解消しなければならない。

 パーキンソン病を含めた「不随意運動」、具体的には震顫などとなるが、大雑把に言って「内風(ないふう)」が生じている現象だから、少なくとも標治の薬物は、日本国内で繁用されるものに限って言えば、「平肝ソク風薬」として天麻・釣藤鈎・地竜などとともに高級なものでは牛黄・レイヨウカクなどのいずれかが必要不可欠であり、またそれを補助する潜陽薬の竜骨・牡蠣などが、本治にまたがって考察されなければならない。

 本治については、内風(不随意運動など)がどうして生じたかを綿密に考察する必要があり、単純な肝腎陰虚であれば六味丸系列の方剤を基礎として上述の標治薬の配合を考えればよいが、これに痰濁が絡んで風痰上擾を呈していたり、「血オ」が絡んでいたり、舌苔が黄膩の湿熱がべったり絡まったりと一見複雑な様相を呈していることもある。

 要するに内風を生じる原因も様々で肝腎陰虚によるものばかりでなく血虚生風など実に様々な要因から生風するので、比較的難治な不随意運動を伴う各種疾患は、往々にして漢方薬局に相談に見える人が多い。
 最終的には、服用者がどれほど根気があるかにかかっており、一時の即効だけを考えるなら、熄風の標治薬物の地竜や牛黄類などを集中的に・・・・・・などと考えるのも、やや邪道のように思えるので、しばらくは効果が見えないようでも、綿密・詳細な手間隙かけた相談によって地道にやって行くのが、急がば回れということである。

 とこのようにゴタゴタ休み中にも考えてしまう仕事中毒患者になっている自分に気がついて、いよいよ気が滅入って仕舞うのだった。
posted by ヒゲジジイ at 11:14| 山口 | 時代的な傾向や使用頻度が増加中の漢方薬方剤 | 更新情報をチェックする