2006年08月31日

村田漢方堂薬局のHPやブログを御覧になって来られる人が続いている

 

 8月に入ってからは、毎日新人さんが続いているが、その半数は村田漢方堂薬局のHPやブログを御覧になって来られる人である。県内や隣県からと言う人も増えている。お問合せは相変わらず最も多いのは関東であるが、直接来られる人は明らかに近隣からが増えている。

 とても嬉しいことにヒゲジジイがお気楽やお気軽を最も嫌っていることを知っての上で来られるから皆さん覚悟が出来上がって来られるようだ(笑)

 だから、スムーズに全神経を集中して御相談に乗れることが多い。多くは来られる前にお電話やメールでお問合せがあって、いかにお気軽ではないか、あるいはお気楽ではないか、いかに深刻に悩んでの上であるかを表明されての上であるから、事がスムーズに運ぶのである。

 前触れもなく突然やって来られる人は、半数以上は無駄足となっている。大概は及び腰だから、薬局の外観や内部の雰囲気で、互いに感性が合わないことを察知して、無駄足だったことを悟られるようであった。チヤホヤしてほしかったらしい、ということだろう。

 もちろん電話でのお問合せの多くは、昔も今も変わらず、お断りせざるを得ない場合がとても多いが、本気の場合のお電話は直ぐに察知できるということだ。受け付けの女性薬剤師も三十数年のベテランである。

 ともあれ、皆さん近隣の場合でも、車などで少なくとも1〜3時間はかかる距離だから、地元近辺などで既に漢方薬局や病院などで漢方の服用経験のある人がほとんどである。
 漢方薬を地元や遠方などで何度か頑張られた人が多いのだが、半数の人が最初の相談から直ぐに一ヶ月や二ヶ月分をまとめて購入させられていた。これではピントが合うのに相当かかるのではないかと怪訝である。

 そもそも漢方薬のピント合わせというものは、昔の砲撃術と同じで、三発目で命中するのが名医で、一発で合うのは多くはまぐれだから名医とは言えない、というような話を読んだことがあるが、さもありなんと思うものである。
 初期には7〜10日分毎で反応を確かめながら、慎重にも慎重を期してピントを合わせるのが保守本流であると信じている。
 まぐれ当たりを狙うような初回から一か月分や二か月分をまとめて売りつけるというのは信じられない暴挙である、とさえ思っている。

 現実に本日来られた人の場合は、胃障害を生じてしまい、多くの漢方薬が無駄になっている。一度は申告して方剤の配合内容を変更してもらったが、おぞましいことに、その時もまとめて一ヵ月分、数種類の漢方製剤の配合が混合して出されていた。そしてこの配合でも胃障害を生じて、多くの漢方薬が無駄になっていた。
 だからこそ、わざわざ製品をばらして混合し、分包するような過剰な演出をされる暇があったら、10日分ごとに時間をかけて慎重にピントの微調整をしてあげる気にはならないのだろうか、と他人事ながら不思議でしようがないのである。

 一か月分や二か月分をまとめて販売するのは、ほどほどのピントが合ってからのことでしょうが、と言いたいですよ。

 いずれにせよ、一回や二回ではしっかりピントが合わないことが多いのだから、まとめて30日分や60日分を買うのは間違っていると断言してもいいほどだ。

 ヒゲジジイの場合、初回でドンぴしゃりと合っているよと確実な自信がある場合でも、慎重を期して少なくとも初回だけは10日分しか販売しない原則を貫いている。

posted by ヒゲジジイ at 02:11| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年08月30日

らしくないと言われ続ける我が廃屋「村田漢方堂薬局」

IMGj_2299.JPG 

 新築の当初から漢方薬局らしくないと言われ続けて数十年。それでも設計者だけはその道(スポーツ)の一流人の弟さんである。
 つまり、設計者の兄上は当時、超有名人であったがそれと村田漢方堂薬局の設計上の「らしさ」とは、やっぱり無関係だった。

 昨今はHPを御覧になって、意を決して来られる人が、少しずつ増えているが、明らかにその半数近くの人は、らしくない廃屋寸前の我が村田漢方堂薬局の外観と内装に気落ちして、あきらかにガッカリされるようだ。
 先日は若い親子連れは、その雰囲気を味わっただけでササと退散してくれたので、お断りする無駄な労力が省略できて良かったと心底思ったものである。

 つまり、外観と内装だけで愕然とするような人は、既にそれだけで御相談に乗る気になれない。実質を見抜けない輩とは倶に天を戴くつもりはない。
強がりを言わせてもらえば、十年前のあの時、建て替えないでよかったとツクヅク思うのであった。
 ますます廃屋に近づくに連れ、いよいよもって遊び半分の御相談客が激減した。
 その代わりに薬草園を広く持てたし、広島県にも研究所が建てられた。おまけに長年、漢方書籍類や中医学書籍類を買いまくって、一般書籍類も合わせると、すでに6万冊を超えている。
 四軒の家に分散しても、すでにどの家にも書籍があふれかえっている。書庫にはその過半数を保存しているのだが、残りの一般家屋の三軒は、今にも外にあふれ出そうである。そう、書籍の「氾濫」という言葉は、我が廃屋にこそふさわしい言葉である。

 そうなのだ!薬局を建て替えるくらいなら、もう一つ書庫を建てるべきなのだひらめき実際にその計画のほうが実現しそうな勢いである。でなけりゃ、既に横になって寝る空間が消滅寸前なのである。

 昨今は、各地の漢方専門クリニックや漢方薬局で、既に漢方薬の服用経験がある人ばかりが、遠方から長州の我が廃屋目指してやって来られるのである。これまで通われていた立派なクリニックや漢方薬局に比べ、村田漢方堂薬局のあまりの貧相な外観と内装に、多くの人がショックを受けたに違いない。
 あからさまに言い続けた関西人の男性もいる。●●●は口が悪い。本当のことを言い過ぎる。言われても事実だから仕方がない。
 
 昨夜もインチンコウトウを省略すると、途端に体調を崩した関東の美人のおばちゃんから電話がかかった折にも我が廃屋のみすぼらしさのことで、「初めて漢方を試みる時だったら、相談せずに帰ったかもよ」と言われてしまった。
 「ただ、これまでが外観の立派なところばかり通って治らなかったから、外見じゃあない、中身だよと思ったから、我慢できたよ」と、喜んでいいやら、あるいは悲しむべきか、複雑な表現をしてくれるおばさんであった。

 建て替えて立派な漢方薬局にしなくて良かったと思うもう一つ大きな理由がある。手の込んだ風格のある漢方薬局を計画していたから、完成した暁には、それこそヒゲジジイの最も嫌う物見遊山のお気楽やお気軽客が殺到して、それこそ不愉快な思いの連続で、大事な大事な常連さんに今以上の迷惑をかけ通したことだろうと想像され、クワバラクワバラと思うのであった。

 以上をまとめて漱石枕流という。でもやっぱり、本音でそう思ってますよモバQ

参考サイト:画像中心の村田漢方堂薬局の周辺風景


posted by ヒゲジジイ at 01:00| 山口 🌁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年08月29日

やっぱりインチンコウトウは必要だった!

 昨日の続き。このブログを見られる前に、次のようなメールが入って来た。

村田先生。
早速なのですが、インチンコウトウを服用せずと言うことにしてから2日目より多少のフラツキが出てしまいました。
現在までも続いており・・・(中略)・・・

 フラツキは以前ほどのキツさではありませんので、8割治まっていたのが6割に落ちてしまったかな?という程度です。

追伸

先生!!!
 メールをお送りしてからブログを拝見し、慌てて追伸メールを書いております。

うううっ。
返す言葉もなく・・・。
舌の状態(苔)はなんか又厚くなっているようで、でも黄色はやはりコーヒーなどの色が付いただけかとも思われますし。
・・・(後略)

編集後記 :上記の二つのメールの後、直ぐに電話がかかってきたexclamation 年内には再度、下関へ直接来られるとのことで、いんちんこうとうを他薬(柴胡加竜骨牡蠣湯と牛黄製剤)とともにお送りすることになった。
 多分これで8割緩解状態に直ぐに戻ることと思われる。

posted by ヒゲジジイ at 01:53| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月28日

インチンコウトウを一時中止することになった関東勢2名

 昨今は保存食品や保存料がふりかけられた食品を口にすることが多いせいか、多くの人が中医学で言う「肝胆湿熱」を保有しているように思われる。だから、村田漢方堂薬局に訪れる人の多くにいんちんこうとうが刺身のツマのようにもてなされる。

 また、この肝胆湿熱は重濁粘膩でなかなか完全には除去しにくいのが通例だから、体調が良くなっても舌の黄膩苔は完全には除去出来ないのが通例である。
 と、長年思っていたら最近、立て続けに2名の人から、黄膩苔が完全に消失したとの自己申告があったのでいんちんこうとうを即座に中止してもらったばかりである。しかもお二人とも以前HPを見て一泊二日や二泊三日で直接来訪された関東勢ばかりである。

 お一人は脾胃に虚寒があっての肝胆湿熱が並存するという比較的珍しい例であったからうなずけなくもないが、もう一人の場合、ヘラで苔を削ぎ落としていたくらいの人であるから、ちょっと信じられない申告であった。

 苔が厚いからといってヘラで削ぎ落とす行為は、東洋医学的には間違った行為であり、体内の異変を素直に反映する鏡のようなものだから、自然にまかせておくべきである。このような人為的な侵襲行為を加えるのは、あまりにも不自然だから、案の定、後者の例では舌上がひどく損傷して夜も眠れないようなヒリヒリと疼痛を伴う事態となった。
 このために、何とかしてもらえないかとお電話が入り、急ぎササヘルスをお送りしつつ、二度とヘラで削ぎ落とすことのないよう、厳重に注意する始末であった。

 その後の御本人の経過報告によれば、出没を繰り返していた黄膩苔はマダラ模様となり、地図状舌が持続していたが、そのうち黄膩苔も完全に消えてしまったということであるので、やや首を傾げながらも、この人の場合も一時、いんちんこうとうを中止することになったというわけである。

 ともあれ、脇役のいんちんこうとうではあったが、長州の黄膩苔と違って、関東の黄膩苔はとてもヤワな存在のようであるから、以後はそのつもりで対処しなければならないようだ!?

posted by ヒゲジジイ at 02:27| 山口 ☁| 時代的な傾向や使用頻度が増加中の漢方薬方剤 | 更新情報をチェックする

2006年08月27日

直接来られる前に、無駄足とならないために!

 先日のアトピー性皮膚炎の子供さんのこともあるので、予告ナシに直接来られた場合、無駄足となってもいけないので、村田漢方堂薬局の方針を示したサイト(http://kannpo.seesaa.net/)から、本来の漢方薬とは?を全文引用する。

 この案内文は、漢方薬専門・漢方相談/村田漢方堂薬局サイトに掲載している御案内文漢方と漢方薬の御案内の元版ではあるが、もともとHP用に書いたものではなく、従来から長年の間、中途半端な覚悟で来訪された人にお渡しするパンフレットとして活用して来たものである。

 つまり、下記のパンフレットをお渡しして、お帰り願ったというわけである。(いったんお帰り頂いた後、一大決心をして再来された確率は、ホンの1割程度に過ぎない。

 なお、文中に「根本療法」という言葉が出てくるが、真の意味では常にこのブログで繰り返し述べているように言葉の綾というもので、真実は8割の体質改善という意味である。
 さらにまた、この8割というのも言葉の綾であり且つレトリックというものである。
 このへんの深意を理解される人だけが来られるべきである。
 実際の所、完璧な体質改善が行えるのであれば、人間様は永久に死なないことになるのだから。



本来の漢方薬とは?

 漢方とは中国から伝来した医術であり、漢方薬は漢方で用いる草根木皮や動物類を原料とした医薬ということです。

 その本場中国における現代の中医学理論は、陰陽五行学説という中国の古代哲学を基礎に、長期間の年月を経て発展して来たものです。
 現代では西洋医学よりも科学的かつ合理的な側面(構造主義科学理論)を持つようになっており、まだまだ発展していく無限の可能性を秘めた医学・薬学であることが認識されるようになってきました。

 現代の中国式漢方「中医漢方薬学」では、中医学・中薬学と日本の漢方医学を合体させており、日本で独自に成長した漢方医学(日本漢方)よりもはるかに優れた理論とそれに基づく漢方製剤の組合せにより、大変優れた効能を発揮し、根本療法が出来る特徴をもっています。
 同じ病名であっても、その人その人によって「薬の組合せ(配合)」が異なるのが普通のことで、個人個人の体質的な特殊性を重視しています。


    漢方薬の上手な使い方は?

 高等動物である人間の病気は、一見単純なように見えても病気の原因や成り立ちはかなり複雑なことが多いものです。それでも現代の中国式漢方(中医漢方薬学)の方法で分析していくと、その病気の原因と成り立ちを解明しながら根本療法を行うことが出来ます。
 病気の根本療法を漢方薬で行うには、その人にピッタリ合った漢方製剤の組合せ(配合)をしなくてはなりません。人間の身体は、四季折々の変化でも微妙に影響され、実際に日毎に変化しているものです。ですから、同じ漢方製剤の組合せ(配合)ばかりで続けるとは限りません。

 病気の程度と内容によっては、時に応じて漢方製剤の組合せ(配合)を変化させる必要がありますので、直接ご本人が来られる人ほど、綿密な中医漢方薬学療法が出来る訳です。特に初めての方の場合は、たとえ遠方の方でも、直接御本人が来られて相談されることが大切です。2回目からは便利な通信販売の方法があります。(但し、特にはじめの2〜3回は、直接御本人が来れらるのが理想的です。)


  漢方の病気に対する考え方は?

 中国式漢方(中医漢方薬学)では、どのような病気も究極的には五臓六腑のアンバランスによって生じるものと考えています。一人の身体の中で起こる病気は、その人の生まれ持った体質的な素因とも大いに関係がありますので、現在出ている病気の症状だけでなく、過去の病歴やその他のちょっとした症状も参考にします。また、その人の性格や生活環境、職場の環境、ストレス状況までを考慮します。

 ですから現在の病気の解決の為には、これらのことを総合することによってはじめて、その人の体質と病状に合った漢方薬の組合せ(配合)が出来るという訳です。


      漢方薬の使い始めは?

 難病、慢性病の場合でも、はじめの頃の数回は、7〜15日分ずつ多くは10日前後)で漢方薬の反応を見ながら、その人の体質と病状に合った理想的な漢方製剤の組合せ(配合)を早く見つける方法をとります。カメラのピントを合わせていくのと同じようなことです。この理由から、はじめの頃の数回は直接御本人が来られる人ほど有利な訳です。


    何種類の漢方薬が必要か?

 中医漢方薬学では、病気を解決する漢方薬の組合せの法則として、

 @内外の病因を除去する漢方薬。
 A五臓六腑の機能を調整する漢方薬。
 B体内に流通する気・血・水(津液)の疏通や補充を行う漢方薬。

という三方面の漢方薬を配合することが鉄則となっています。

 一般的な病気では、この三方面の働きを2〜3種類くらいの漢方製剤でまかなえることが多いのですが、成人病や難病では内外の病因が複雑化しており、五臓六腑の機能失調の状況と体内を流通する気・血・水の盈虚通滞という異常な状況が複雑化していることが多いため、3種類以上の漢方製剤が必要となることがあります。
 もしも、この必要不可欠な配合を無理に節約すると、治せる病気も治せないことになります。

    どのくらいの期間服用するのか?

 もちろん病気の程度と内容によりまちまちですが、服用する人の考え方によっても左右されます。ほどほど治れば良いと考える人から、徹底的に続けて他の病気の予防まで兼ねたいという人まで。

 とりわけ重要なことは、複雑な病気や体質の方では、定期的に直接やって来られることにより、前述の@ABの条件を満たす必要不可欠な漢方製剤の組合せ(配合)を行う努力がなされているか、にも関係してきます。さらには、1日に3回、規則正しく服用されているか、でも違ってきます。


    漢方薬は煎じ薬が一番か?

 漢方薬は、一般的には煎じ薬が一番ですが、もともと煎じないで服用する伝統的な丸薬の漢方薬も多く、煎じ薬だけが漢方薬という訳ではありません。本場中国の中国医学専門病院でも、現在は煎じないで服用できる漢方薬が半数を占めています。また、現在の日本の国内状況では、煎じ薬を主体にした漢方薬は、大変な欠点もあるようです。その欠点をあげてみますと、

 ●日本国内の漢方原料の流通状況や薬務行政の制約上、中国で行われる様な全く完全自由な配合が出来る訳ではない。
 ●この為、むしろ煎じる必要のない丸薬・錠剤・細粒剤・顆粒剤・粉末薬などで製造された漢方製剤を用い、中医漢方薬学の法則に従って臨機応変に配合した方が、融通がきく場合が多い。
 ●毎日煎じるには、時間と手間がかかって続けにくく、味もまずくて服用しにくい場合がある。

 以上の日本の国内事情などから、煎じ薬だけが理想的とは限らず、むしろ顆粒剤や細粒剤(味も良くかなり服用しやすい)や錠剤などで、臨機応変に配合した方が、却って正確な中医漢方薬学療法が出来る場合が多い訳です。
 但し、これにも例外があって、どうしても煎じ薬でないと不可能な場合もあります。


       漢方薬の副作用は?

 漢方薬は正しく使う限りは何十年続けても、副作用は全くありません。むしろ健康の為には良いことばかりです。
 但し、漢方薬でも明らかな逆療法を行えば、一時的な不快症状が出ることがあります。たとえば、下痢症の人が間違って下剤効果のある漢方薬を服用すれば、ますます下痢がひどくなりますが、これは副作用と言うより、デタラメ療法です。


   難病、慢性病克服のコツは?

 漢方薬を使用して難病・慢性病を克服、解決しようとされる場合、病気に対する考え方のしっかりした中国流の分析的な方法、中医漢方薬学によって配合された漢方製剤を、しばらくは根気よく続けなければなりません。
 その為、漢方薬を服用される方も、ほどほどの忍耐と努力が必要です。

適切な漢方薬の組み合わせが決ってからは、もしも直接来られない時は、お電話で御注文して頂くだけで、翌日には御自宅で漢方薬を受け取れる、大変便利な通信販売の方法があります。

 毎日きちんと漢方薬を1日3回、まじめに服用し続けるのは面倒で、どうしても忘れてしようがないという方の場合、あっさりと割り切って、朝と晩の2回だけの服用に決めても大丈夫な場合もあります。治るまでに普通よりは期間がかかることが多いのですが、前記@ABの条件を満たす「漢方製剤の組合せ(配合)」を安易に省略するようなことがなければ、大丈夫なことが多い訳です。
 但し、こじれている場合や難病・重病の場合はこのような訳には行かず、1日3回の服用は必要です。
posted by ヒゲジジイ at 11:08| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年08月25日

昨年はHPを見て来られた人に、漢方薬で一ヶ月で治してほしいとか、一年で治してほしいという首を傾げる注文が目立ったが・・・

 そのときはチョット驚きましたね〜〜〜。「人間の身体は自動車とはチガウヨ、アンタ!」という気分でしたよ。
 もちろん、ケンモホロロに近いお返事で、お帰り頂きましたよ。西洋医学治療で困難だった疾患が、一ヶ月や一年で治るものですか!

 こじれた病や体質病など、いつも言っているように8割改善したらよいほうだと思わなくっちゃ〜〜話にならない。そんなにポンポン漢方薬で、短期間に各種疾患が根治していたら、人間様は永久に死なないことになりますよ。風邪やインフルエンザを治すのとは訳が違う。

 漢方薬といえども、そうそう便利には出来ておりません。但し、各種急性疾患などのときに、漢方薬の即効を味わわれた人だけは良くご存知で、多くの意外な疾患で西洋医学よりもシャープで副作用を出さない。

 ところが、半健康や美容的な方面での漢方薬の利用では、数年がかりの覚悟でやらないと、なかなか目に見えた効果が出ない場合が多いものです。明らかな苦痛や症状が強く出現している疾患とは訳が違う。
 明らかな苦痛や症状の場合は、うまく行けば短期間で消失することも比較的多いが、この場合でも、慢性化している場合であれば、本当の意味で体質改善がなされるのは数年がかりになることも珍しくはない。

 世の中そうそう安易にお手軽で便利にはデキテナイということです。

 おまけに真の「漢方と漢方薬」というものは、まるで幾何学の難問を解くような推理力と洞察力を必要とする作業と来ているのだから、やってるほうも時々逃亡を企てたくなるようなシンドイ仕事なんですよ。

 だから、相変わらず懲りずに逆質問ばかりされる人がおられるが、いつまでも当方の推理力を曇らせていることに気付かれない。何度たしなめても止めない人がいるけど、ご自分が一番損をしていることが、まだ分からないらしい。もうちょっとで難問が解けそうな段階に差し掛かっているのに、あまりに一方的に質問攻めにあうので重要な確認が出来ず、帰られた後に気がついて、ワザワザ電話をかけて確認し、同時に再度強く、質問する立場が逆転しているからいつもチグハグになっていることを認識してもらったばかりである。(それでも多分性格上、質問攻撃を止められないことだろう。)

 また一方では、重篤化しかかった蕁麻疹の人のように、漢方薬で即効を得ると、早速、飲んではいけないアルコールを直ぐに再開して、咽喉(のど)もと過ぎれば直ぐに熱さを忘れる御仁もいる。喘息発作が起こらなくなったと思ったら直ぐにタバコを再開しても一年以上、今のところ再発しないで済んでいる男性もいる。
 いずれの男性にも「自己責任だぞっ!」と引導は渡しているが、いずれも頭を掻きながら悪事?を止められずにいる。
 かといってヒゲ薬剤師は、それ以上、強くは注意しない。御自分の事ではあるし、自覚あってやってる嗜好品類であるから、人生の意味を考えれば、肉体の完璧な健康ばかりに留意し過ぎても、心の健康というものがあるのだ。自覚あってやる不要な嗜好品の楽しみも、ご本人にとっては別の意味の大きな価値があったりするものだ。哲学のケムリと言うではないか!

 ところで、先ほど子供さんのアトピーで隣県から一家四人で直接来られた人があったが、来られる前にお電話なりメールでなりお問合せされておれば、遠くから無駄足にならずに済んだものをとややお気の毒であった。
 お断りした理由は、これまで二ヶ月ステロイドを使わない病院に行っていたが、大分良くなったといいながら、子供さんは赤黒い身体の全身をひどく痒がっている。ステロイドはもう一年以上使用していないという。そこまでヒドイ状態でステロイドを一時的にでも使用しないのはやや問題であること、今後もステロイドを使用しないつもりなら、当方では扱えないことを告げると、直ぐに諦めて帰られた。
 もちろん小生の性格上、ご両親が当方での漢方使用経験がない場合の子供さんは正直言って扱いにくい、きっとご両親が当方のアドバイスに素直に従えないだろうから、という本音を漏らすと、そこだけは大いに同意と見えたのであった。

 痒みの強いアトピー性皮膚炎に、臨機応変に一時的にでもステロイド軟膏を使用するくらいの融通性が欠如しておれば、将来が思いやられる。現実には当方の漢方薬を本気で始められた人は、ステロイド軟膏の副作用問題をほぼ完全にクリアしつつ、必要最小限使用してもらうことがあっても、次第に塗布する量も回数も激減し、運が良い人は漢方薬を服用後、一ヶ月もしないうちに殆ど使用する必要がなくなる人もいる。
 しかしなが、ステロイド軟膏も必要最小限の正しい使用方法を遵守すれば決して恐い薬ではなく、その間に漢方薬で比較的スムーズな体質改善が行えるので8割の治癒、つまり緩解状態に導くことはそれほど困難ではない。more>>

posted by ヒゲジジイ at 00:51| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年08月24日

転移ガン(原発:肝臓)に対する漢方薬について、遠方のご家族からの御質問は最もお返事が困難

ご質問者の性別 : 女性
     年齢 : 30歳〜39歳
ご住所:関東方面
お問い合わせ内容 : ●●県×××市在住の70歳の父。
 7月に検査。肝臓に4センチの腫瘍と小さいのが2つ。癌が骨に転移、腰椎の神経を圧迫。
 足にしびれがきたので、急に来週圧迫を取り除く手術をすることに。●●大医学部付属病院です。
 手術の後、放射線治療を行う予定です。
 良い治療法、漢方薬があれば教えて下さい。よろしくお願いします。

ブログ上のみでのコメント: このような重大な疾患に対して、しかもご質問者がご本人ではなく、遠方にご在住のご家族からの御質問というのは、申し訳ない事ながら迂闊にお答えは出来ない。

 こういう重大な疾患で、しかも骨転移などがある段階では、漢方薬を利用されるにしても、あくまで「クオリティー・オブ・ライフの向上」を目指すことに尽きる。

 ところで問題は、御相談者は遠方だが、ご病人さんは当方に比較的近い場所だけに、もしもこの遠方のご家族の奨めで、御本人の意思とは裏腹に、当方で直接的な御相談という事態になった場合、御本人やその他のご家族等のお考えとも齟齬する事態が往々にして生じるのである。

 だから、申し訳ない事ながら、お返事メールはお送りしなかった。きっとこのブログを御覧の方だと思うから、これを御覧になって当方の深意を汲み取って欲しい。
 こういうケースの御相談は、慎重に慎重を期してお返事したとしても、万が一にも当方が御本人様や複数のご家族との板挟みにあわないとも限らないということである。

 そこまで深く考えてしまうのが、遠方のご家族からの上記のような超重大疾患の御質問なのである。
posted by ヒゲジジイ at 01:46| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月23日

生脈散(しょうみゃくさん)のお勉強

飛んでるで〜
飛んでるで〜 posted by (C)ヒゲジジイ

 昨日の熱中症の漢方薬の附録として、漢方処方「生脈散」についてのお勉強です。
 以下は「中医方剤与治法」(四川科学技術出版社)より引用(翻訳はヒゲジジイ)。
 引用の前の注釈として述べておきたいことは、本書では心気衰竭に対する効能を置き忘れ、心肺気陰両虚の病機とすべきところを肺に限定した解釈となっているので全面的ではないが、一つの解釈方法としてはとても理解しやすい参考書であるということです。(但し、【応用】の項では西洋医学的分析において心臓に対する優れた効能の報告がなされている。)          
  

生脉散(『内外傷弁惑論』)

 【薬物構成】 人参 麦門冬 五味子

 【用法】 水煎服用。現在では注射剤もある。

 【主治】
 @暑熱での発汗過多により気津を消耗・損傷し,手足がだるい・息切れ・物を言うのがおっくう・眩暈・意識が薄らぐ・口乾・口渇・脉象は虚数。
 A咳嗽が遷延して肺虚となり乾咳・痰が少ない・息切れ・自汗・舌が乾燥・脉は虚。

 【分析】 暑は陽邪で昇散の性質があり,人体を侵犯すると腠理を開いて多汗を生じさせる。

 『素問』挙痛論に「ネッすればすなわち腠理開き,栄衛通じ,汗大いに泄す。ゆえに気は泄するなり」とあるが,暑熱が人体を傷害すると腠理が開泄して多汗を生じることを述べたものである。
 
 発汗過多を生じると津気両傷という結果を引き起こすことになる。
 肺は気を主りまた水津の散布を主るので,津気両傷とは肺の気陰両傷のことなのである。
 気が消耗すると手足がだるい・息切れ・物を言うのがおっくう・眩暈・意識がぼんやりするなどを生じ,津傷すると口乾・口渇を生じる。
 咳嗽が遷延して肺虚となり津気が消耗・損傷する場合も,症状にやや違いがあっても病機は同一である。

 【病機】 肺気傷耗・津液虧損

 【治法】 補気生津法

 【方意】 人参は甘温で,大補肺気・生津止渇する。麦門冬は甘寒で柔らかく潤いがあり,潤肺滋陰する。五味子は酸温で,斂肺生津して耗散した気を収斂する。麦門冬と五味子は人参を助けて気陰を救い,これら三味によって益気生津の効を発揮し,気液が補われると諸症が解消する。

 【応用】 本方は気津が消耗・損傷した場合に優れた効果がある。
 暑熱によって生じた気虚津傷の証では,方中の人参は西洋参を用いるとよい。

 臨床上,本方はまた気陰両虚の心臓疾患で,動悸・呼吸困難・活動時に症状が強まる・倦怠感・眩暈・焦燥感・不眠・舌質は紅・舌苔は少・脉は細数などの症候が現われる場合を治す。

 報告によれば,本方の注射液を静脈点滴や筋肉注射として用いると,脱水・虚脱や各種心臓性ショックの治療に良好な効果がある。薬理的研究によると,本方には強心作用があり,心筋のグリコーゲンとリボ核酸の含有料を増加させ,虚血心筋の同化作用を改善するため,虚血性心筋が収縮するためのエネルギー源と筋繊維タンパク(アクチン)となり,ミオジンを合成する物質基礎となる。
 また,心筋の酸素と化学的エネルギーの消費量を低下させ,心筋の酸素欠乏に対する耐性を高め,心臓の生存時間を延長し,心臓性ショックにおける生存率を顕著に高める。このような心筋の収縮力を増強する特徴により,収縮が敏捷となって搏出量が増加し,冠状動脈の拡張に有利となり,冠状動脈における血流量が増加し,益気して心陽を通じさせ,気が行(めぐ)ると血も行(めぐ)る効果を発揮する。

 【加減方】
 (1)五味麦門冬湯
 人参・麦門冬・五味子・石膏・甘草。
 本方に石膏・甘草を加えたもの。生脉湯証にして内熱が残り激しい口渇があって水分を要求する場合,熱病で下した後に余熱が残って津液が既に虧損し脉は虚数・口乾・汗が出る・あるいは咳逆などの症候に適応する。

 (2)加減生脉散
 沙参・麦門冬・五味子・牡丹皮・細生地黄。
 水煎して2回に分けて温服。
 太陰の伏暑で,舌質は赤・口渇・多汗を治す。酸甘化陰〔酸味・甘味の薬物により陰を生む〕・養陰清熱作用にすぐれ,沙参のかわりに人参を用いると,熱病後の心不全で舌質が絳・舌苔は少・脉は虚数・夜間に症状が増悪する場合にも有効となる。



お庭の仲間達
お庭の仲間達 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 00:56| 山口 ☁| 時代的な傾向や使用頻度が増加中の漢方薬方剤 | 更新情報をチェックする

2006年08月22日

熱中症の漢方薬

 暑いですね!熱中症ですか?
 予防には適度な温度のクーラー(エアコン)が不可欠ですね。
 また、水分補給は当然としても、この暑さは40〜50年前の日本の夏とは比較にならない。
 当時は30度をわずかにでも超えようものなら「猛暑」とされ、昨今のように滅多なことで35度を超すような夏はなかったと思いますよ。日本の夏も熱帯地方になったようで、昔の夏とは同じじゃない。
 当時は扇風機があれば足りたが、昨今はエアコンがなければ、とてもじゃないが熱中症になる危険性が大きい。

 熱中症になったら、漢方ではどうするか?
 ヒゲジジイなら先ず第一に牛黄製剤に生脈散製剤を使うだろう。但し、日本の生脈散製剤は朝鮮人参が使用されているのでやや残念。日本では食品扱いされる涼性の西洋人参のほうが、熱中症の場合には適切である。
 でも、牛黄を併用するなら朝鮮人参の温性を相殺することはある程度は可能であるから、結論として牛黄製剤に生脈散製剤にプラスアルファーで西洋人参。(欲を言えば麝香製剤も適量加えるともっと効果的)。
 手っ取り早くは、これで回復するでしょう。
 軽症・重症に関わらず身体を冷却することは必須。

 但し、重症者は逸早く西洋医学医療を受けるべきですよ!

 実は常連さんたちの多くは毎年、牛黄製剤や麝香製剤でこの地獄のような夏を乗り切っているのだった。

posted by ヒゲジジイ at 14:20| 山口 ☀| 熱中症や冷房病 | 更新情報をチェックする

2006年08月21日

自費の漢方でも病気によっては月額経費が1万円前後

 

自費の漢方薬は月額換算すれば3万円を超えるていることを書いていたら、以前もそうだったが、今回も、そんなに高いと数ヶ月なら続いても、それが長期となると二の足を踏んでしまうという慨嘆するメールが入っている。

 どうしてそうなるかと言えば、やはり当方のホームページを見て、しかも遠方から来られるくらいの人は、既に地元で有名な先生方の漢方薬を服用されていたり、しかも数軒以上の漢方薬局やクリニックに通い詰めた挙句、地元近辺の漢方薬では殆ど無効だった人たちばかりだから、単純な漢方薬では太刀打ちできないからであろう。
 そういう有名な先生方で服用されていた漢方薬の価格を訊けば、多くは当方でかかる経費の2〜3倍はかかっていたので、当方での10日毎の1〜2万円の経費は、これまでよりも安いので良かったと喜んでもらえていることのほうが、実際には多い。

 上記のように、既に都会地などで比較的高額な漢方薬を試みられて治らなかった人たちにとっては、当方の漢方で次第に軽快して行っているのだから、しかも以前よりも安いということで、脱落する人は少ない。(一回ポッキリの人もおられたが、比較的単純な方剤の配合であったので、地元で簡単に手に入り、後の相談は不要と考えたに違いない。)

 ところで、あらゆる病気の漢方薬に、それだけの経費がかかる訳でもないのは当然のことで、たとえば、
重症化しかかった蕁麻疹の人などは、茵ちん蒿湯エキス剤と、後にイオン化カルシウムを加えた程度だから、それでも月額換算したら、1万円前後の世界である。

 比較的得意分野の関節リウマチにしても、一番シンプルなパターンに嵌ってくれれば、やはり月額1万数千円で済んでいるし、関節リウマチではこのタイプが半数弱を占めている。
 その他、単純性の坐骨神経痛や膝関節痛なども同程度の経費である。

 ところが、最初から複数の病気が複合している人が大変多く、またそうでなくともあの症状にもこの病気にも効く漢方薬が欲しいということになりがちだから、直ぐに軽く月額3万円を超えてしまうのが現実なのである。

 さらには牛黄製剤や麝香製剤を必要とする常連さんたちでは、特に牛黄製剤の最も高級品を使用されている常連さんなどは他の漢方薬とあわせて月額10万円前後かかっている人はザラにあって、その方達が村田漢方堂薬局を支えているという現実がある。だから、一度来られた人ならご存じのように、新人さんにはあのように十分な時間を取って御相談を受けることが出来るのである。

posted by ヒゲジジイ at 01:49| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月19日

目の下のクマ

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
お問い合わせ内容 : 困っていることは、「目の下に隈ができる」ことです。
 十分な睡眠をとっても、朝起きて1時間もすれば、隈ができます。夜になると、真っ黒になりかなり酷い状態になります。

 蒸しタオルなどで蒸らすとその時だけは良くなります。

 このような症状は、漢方薬で改善できますでしょうか?教えてください、よろしくお願いします。
 この情報だけでは足りないと思いますので、必要なことがありましたら聞いてください。


お返事メール:拝復
 中医学的には少なくともおけつが絡んでおり、それが血虚血オであったり、気虚血オであったりと、おけつの問題一つにしても、
http://blog.livedoor.jp/cyosyu1/archives/50581046.html
http://murata-kanpo.ftw.jp/u20727.html
 というように複雑多変ですので、本当に治されたいお気持ちがあれば、何年がかりで体質を変えるつもりでやらないと、8割略治は無理なのではないかと思います。

 体質改善に完全ということはなく、何でも8割と思ったほうが無難です。

 体質改善というのはソウソウは簡単に行えるわけではなく、
 たとえば小生の薬局で20代の頃から脂漏性体質で目の下にクマもあり、体質改善をして欲しいと来られた小生と同年代の男性がおられ、体質的には荊芥連翹湯が適応していたので、この処方を中心に茵?蒿湯やイオン化カルシウムなどを併用してもらって20〜25年?くらいだったか続け、続けていると体調も良いので、漢方薬が完全に習慣となっていたようですが、イメージとしては8割改善を維持していたという感じでした。
 その後は膝関節の病気などで常連さんとして三十数年間、折々に漢方薬を利用されていますが、目の下のクマなどが完全に体質化してしまっている場合は、8割程度の軽快、それも数年越しに漢方薬を継続して初めて実現したことで、ですからかなりな根気と努力を要するものだと思います。

 実のところ、小生の薬局では貴方のような半健康に伴う美容的な問題を扱うことは、近年激減しております。根気が続かない人が多いので、よほどの覚悟を表明されない限りはすべてお断りしているからです。

 ところで遠近の問題はともかく、当方のHPを見て直接来局され熱心に相談されて漢方を頑張る!と最初は勇んでいても、ちょっと統計を取ってみたら、美容的なものから難病まで含めて、半数近くの人は数ヶ月も頑張れないで脱落しているのですよ!(数ヶ月で治った人は例外ですが・・・・)数ヶ月も頑張れないようなら、最初ッから来ないで欲しいと思っているのですが・・・・

 幸か不幸か貴方も関東方面、実に関東方面からのお問合せは頻繁ですが、貴方がもしも本当に体質改善したいという根気がおありでしたら、地元の漢方専門薬局などでも十分に体質改善をしてもらえるはずですので、漢方に賭けて頑張られる気力と意欲が本当におありかどうか、それだけが問題だと言えるかもしれません。

 (たとえば、地元で見つけられないからといって、下関までワザワザやって来ても、結局は根気の無い人は、直ぐに脱落するので、どこへ行っても元の木阿弥というのが落ちなのです。)

 以上、簡単ながらお返事まで。
                            頓首


村田漢方堂薬局 村田恭介


編集後記:半数近くの人が脱落するというのはチョット大袈裟で、実際にはもっと真面目な人が多い。
 実際には早めに止める人の半数は一回ポッキリなのだ。

 ピントが既に殆ど合っていても継続服用して僅かずつ回復するのを気長に待ち耐えることが出来ない人や、せっかくもうちょっとでピントが合いそうという時に止める人など、結局はよくよく考えれば経費的な面が一番大きなネックになっているように思えてならない。
 10日毎に様子を見るといっても、ピントを合わせていく段階で次第に方剤も種類が増え、一ヶ月分に換算すれば3万円を超えるくらいはザラのようで、したがってピントをあわせる段階でも10日分が一万円を超えるようになっていることも珍しくない。

 最初からピントが合わせやすく一部の方剤が最初から確実な場合は早目から20日分や一ヶ月分になるケースもあるが、そういう人は却って真面目で継続する人が多い。

 もう一方剤を加えればこれでしっかりピントが合いそうだという時に中断されるのは惜しい限りだが、数ヶ月以内に脱落する人の多くは、不可避な経費の問題が最も大きな理由かもしれない、きっとそうだろうという結論のように思われる。
 それゆえ、ついつい方剤の追加を遠慮してしまうケースがあるが、この辺がいつもジレンマに陥るところである。
posted by ヒゲジジイ at 14:55| 山口 ☔| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

成長(特に身長)を助長する漢方薬

性別 : 男性
年齢 : 10歳〜19歳
御職業 : 学生
漢方と漢方薬の真実より⇒ご意見やご質問をどうぞ : 中国、韓国の地域には成長(特に身長)を助長する漢方薬があるときいたことがあります。教えてくれた台湾の方はすでに他界され、それ以上の詳しい情報がわかりません。

 成長時期の今、是非情報が知りたいと思います。


お返事メール:拝復

 御質問のそのような具体的な漢方薬の製品は存じません。

 ただ、漢方と漢方薬の性質上、その人その人の体質に応じた適切な方剤を見つけるのが本筋であり、その薬に適応しない人が必ずいるものです。

 身長などの成長が遅延している場合の漢方的な原因は腎虚・腎精不足や穀精不足などが関連していることが多いので(それ以外にも個人によって様々な要素が関連しますが)、その人その人の体質によって、六味丸や海馬補腎丸などとともに補中益気湯や補中益気丸を併用するケースなど、様々な体質が考えられます。
 それも、あくまで個人個人の体質に応じて適切な漢方処方を組み合わせるべきですから、皆に効くような特効薬的なものを求めるのは、些か疑問に思う次第です。

 以上、お役に立てずに恐縮ですが、世の中、そうそう単純には行かないものだと思いますので、このようなお返事をお送りした次第です。
                            頓首
posted by ヒゲジジイ at 12:27| 山口 ☔| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

腰椎変形すべり症による、坐骨神経痛の漢方薬

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
ご意見やご質問をどうぞ : ホームページを読ませていただきました。初めてアクセスさせていただきます。

 私は、昨年5月より腰椎変形すべり症による、坐骨神経痛を患っております。整形外科にかかりMRI検査による確認もし、椎間板ヘルニアもみうけられておりますが、症状としてはすべり症による坐骨神経痛だけが出ている状況です。半年程ロキソニン・メチコバール・プロレナール・ムコスタを飲み、牽引と暖めのリハビリの結果、今は、朝の痛み(息子の弁当作りと朝食の準備の時に椅子に座ってしまう痛み)と長い時間(20分以上)立ちっぱなしでいる時の痛み(しゃがみたくなる程腰のまわりと臀部がつるように痛みだし、1度しゃがむと、しばらくはよくなる痛み)が主なものになりました。

 7月からは、ヒーリングオフィスに通って体操を習い、ロキソニンも痛いときだけにして毎日出来るだけがんばっているのですが、左足中指にあった感覚障害が少しよくなってきた程度でなかなかすぐには効果が出ていないという状況です。
 昨年は、走ることも出来なかったことを思えばずいぶんよくなってきたと考えればよいと思うのですが、この大変な体操を(10種類以上あり、そのうち3種類は3セットを1日5セット)続けることが時間的にもなかなか困難な生活を送っている現状があります。
 腰椎変形すべり症からくる坐骨神経痛に効く漢方薬がありますでしょうか?

 以前、尿道管結石を患った際、病院からは痛み止めしかいただけなかった時、漢方薬がよく効き、お産んよりひどい転がるような痛みが楽になり、1週間で結石が出ました。漢方薬がすごいものであるということを実感しておりますが、すべってしまった骨による病気が根本的によくなるのか、漢方薬が臀部のつりや、立っていられなくなる痛みを緩和してくれるものなのか教えていただけると幸いです。
 お忙しいと存じますが、よろしくお願いいたします。


お返事メール:拝復

 腰痛関係では、どんな立派な病名がついていようとも、過去三十数年間の経験から言えば、かなり得意分野のような気がしています。
 その人の体質に合ったものを漢方理論の法則に従って忠実に適切な組み合わせを工夫することで、過去の経験で言う限りは、素晴らしい成績であったと自負しているほどです。
 もちろん、皆さんが簡単に短期間でピントの合った漢方薬が見つかったわけではなく、しっかりした配合が決まるまでには、相当に苦労した人もあるにはありましたが、あらゆる治療方法で無効だったりして、行き場を失っている人が多かっただけに、ピントがしっかり合うまで我慢して頑張られた人が多かったという面もあるかもしれませんが。

 ところが、手術以外に方法がないと言われた何人もの腰痛関連疾患(様々な西洋医学的な病名をもらっておられましたが)を意外に短期間でピントが合い、あとは漢方薬を真面目に続けるだけ、といったケースも大変多かったと思います。
 体格の立派な警察官でさえ拳銃が腰にぶら下げられないほど重症化して、手術前の入院時に病院を抜け出して、当方の漢方薬で手術を免れ、あっさり短期間で治り、それっきり服薬を中止していたら、10年ぶりに再発して、現在またやって来られているというケースもあります。
 
 頂いたメールにもご自身が尿管結石の折に、漢方薬の優れた効果を経験されているように、世間で思われる以上に、漢方と漢方薬は素晴らしい威力を発揮するものです。

 但し、問題はいかに適切な漢方薬を得るかが問題で、簡単に適切な方剤が見つかることもあれば、意外になかなか良い配合が見つからず、考察と工夫を凝らしてはじめて、ようやくピントが合うということがあるなど、ケース・バイ・ケースで、多少の偶然的な運も関係するかもしれませんが、ピントがシッカリ合うまで、10日〜15日くらいの単位で様子をみながら微調整すれば、遅かれ早かれ現象的には殆ど無症状となることと存じます。

 たとえ検査上はどうであれ、苦痛がほぼ完全に解消すれば、治ったも同然なわけですから、しばしば手術を嫌って様々な腰痛関連の患者さん達が当方に訪れていますが、ほんの一二回で諦めるような根気のない人でない限りは、高確率で、殆ど全員がかなり満足の行く状態に漕ぎ着けている例が殆どでした。

 現在も予防で服用されている人や、休んでいる人など様々ですが、西洋医学的にどのような診断を受けようとも、やる気でやれば、漢方と漢方薬で遅かれ早かれ改善できる確率は大変高いものと愚考します。

 貴女の症状よりも遙かに重症な人が何人も漢方薬で改善して行った例は、ザラにあるということです。

 要はご本人の漢方に賭ける情熱と、それに対応してくれる漢方の専門家を見つけることが大切です。(関東方面は日本の人口の1割なのに、相変わらず関東からのお問合せが最も多いようです。)

 なお、重要なことは直接通える範囲の場所で専門家を見つけるべきです。上述した当方での好成績も、皆さん苦しい中をピントが合うまで直接通い詰めた人たちばかりなのです。
 2〜3回目でピントが合った人は幸いで、時に一発で合った人など様々ですが、時に難航することもあるので、通える範囲のほうが断然有利だということです。
 
 以上、腰痛関連は、意外に漢方と漢方薬の得意分野であるということを述べましたが、どのような分野の疾患でアレ、服用者の根気と専門家の方の腕(技術と知識および経験)があれば、かなりなことが可能なのが漢方と漢方薬の世界ではないかと愚考しています。
                         頓首

村田漢方堂薬局 ヒゲ薬剤師


折り返しのご挨拶:拝啓 村田漢方堂薬局 ヒゲ薬剤師さま
お忙しいにもかかわらず、こんなにすぐにお返事をいただき本当に有難うございました。感激しております。漢方薬の素晴らしさは、経験しておりましたが、腰痛関係に得意な分野であったというお話を伺い地獄にほとけ・・・という気持ちです。たまたま私の読んだ腰痛関連の著名な整形外科の先生方の書かれた書籍のどこにも漢方薬の効果について書かれてはいなかったことが残念です。もしかしたら・・・とインターネットで検索した甲斐がありました。ヒゲ先生は「重要なことは直接通える範囲の場所で専門家を見つけるべき」と仰いました。私の様に、ヒゲ先生の事を心から信頼できる方であるとブログから感じとる方が日本中数え切れないほどいるのだと思います。先生のような方が、関東の何処に居られるのか、どうやって探せばよいのかわからない方たちが、先生の所に相談を寄せるのだと思います。私もわからないなりに、それでも先生のことが載っている日本の名医の本など、かたっぱしから探してみようと思います。でも、どうしても見つからなかったら、意を決して伺います。その時は、是非よろしくお願いいたします。蛇足ですが、薬草園の写真を見てびっくりしたこ・・・(残念ながらこれ以降が文字化けしてしまった!某社のWebメールでシバシバ経験しているので、その後無難なgooメールに変更)

posted by ヒゲジジイ at 01:01| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月18日

メール相談に対するお返事メールをお送りしても、何のご挨拶も無い確率が半数近く!

  近頃ますます日本人のマナーが地に落ちているのは、一般世間のみならずネット界も同様のようですね。

 これまで、様々なサイトやブログでメール相談を受けて来て、真面目なご相談であればなるべくお答えできる範囲でお返事してきたものの、意に沿わない返事だったのか、その後、何のご挨拶も無い例が半数近くで、正確に数えると半数を上回るかもしれない。

 ブログに利用させてもらっている関係上、もしかすると「相談してやってるんだよ〜〜〜っ」という考えかもしれないな〜〜と、些か僻みっぽくもなるが、まぁ〜〜これが現代日本社会の現状を象徴するマナーの喪失、ジコチューだらけの世の中になっているって〜〜ことでしょう。

 もっとも、こちらだって余りにも愚問の場合は、お返事すら出さないことも稀にはありますがね。
 
 でもね〜〜、半数なんですよ〜〜、音沙汰ないのが。
 ウソでもいいから一言「ありがとう」くらい、メールを送るのはタダなんだから、そのくらいあっても良いんじゃないかと思いますけどね。その中には医療関係の有資格者も混じっているんだから、これじゃ〜〜ね、日本の医療は・・・・・と思ったりもしますよ。

 とりわけ、ブログの
 漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱
 では殆ど全滅に近いようですよ。
posted by ヒゲジジイ at 01:52| 山口 ☔| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年08月16日

休み中でも考察分析中の「不随意運動」を主症状とする病人さん達に対する漢方薬

 旅行中も帰宅してからも頭から離れないのは、パーキンソン病を含めた「不随意運動」を主症状とする人たちに対する漢方薬の配合のことである。
 それでも、この連休中のお陰で、それぞれにかなり方針が立ってきたので、あとは服用中の人達が10日毎の細かい弁証論治に忍耐力を持って継続できるかどうかにかかわっている。
 昨年暮れからの人を含めると新しい人が現在複数(3名)おられる。
 お一人は数ヶ月間殆ど症状が消失しているものの、症状に対する不安感が残っているので現在中医学で言う本治法の方剤を検討中で、これによって再発の不安を解消しなければならない。

 パーキンソン病を含めた「不随意運動」、具体的には震顫などとなるが、大雑把に言って「内風(ないふう)」が生じている現象だから、少なくとも標治の薬物は、日本国内で繁用されるものに限って言えば、「平肝ソク風薬」として天麻・釣藤鈎・地竜などとともに高級なものでは牛黄・レイヨウカクなどのいずれかが必要不可欠であり、またそれを補助する潜陽薬の竜骨・牡蠣などが、本治にまたがって考察されなければならない。

 本治については、内風(不随意運動など)がどうして生じたかを綿密に考察する必要があり、単純な肝腎陰虚であれば六味丸系列の方剤を基礎として上述の標治薬の配合を考えればよいが、これに痰濁が絡んで風痰上擾を呈していたり、「血オ」が絡んでいたり、舌苔が黄膩の湿熱がべったり絡まったりと一見複雑な様相を呈していることもある。

 要するに内風を生じる原因も様々で肝腎陰虚によるものばかりでなく血虚生風など実に様々な要因から生風するので、比較的難治な不随意運動を伴う各種疾患は、往々にして漢方薬局に相談に見える人が多い。
 最終的には、服用者がどれほど根気があるかにかかっており、一時の即効だけを考えるなら、熄風の標治薬物の地竜や牛黄類などを集中的に・・・・・・などと考えるのも、やや邪道のように思えるので、しばらくは効果が見えないようでも、綿密・詳細な手間隙かけた相談によって地道にやって行くのが、急がば回れということである。

 とこのようにゴタゴタ休み中にも考えてしまう仕事中毒患者になっている自分に気がついて、いよいよ気が滅入って仕舞うのだった。
posted by ヒゲジジイ at 11:14| 山口 | 時代的な傾向や使用頻度が増加中の漢方薬方剤 | 更新情報をチェックする

2006年08月15日

2006年08月13日

遠方の人には数種類、近隣の人には一種類のみの漢方薬

 昨日の続きです。

 既に述べたように、今月は実質10日の間に、HPを見て来られた人が遠近合わせてかなり多かったので、もうちょっと、その概括をしてみたいというわけ。

 遠来の人には、すべて二泊三日か、少なくとも一泊二日の行程で来られているので、二日あるいは三日連続、たっぷりと時間をかけて御相談できるので、かなり把握できる部分が多く、かなりな方針が定まるので、多くは数種類の漢方処方を選出できている。
 近隣(山口県や福岡県・広島県)の人の場合は、今月に限って言えば、一方剤しかお出ししていない。従来からこのようなことも多く、本気度を測る意味でも、あえて一種類しか選出していないことが多い。

 とりわけHPを見て来られる人の中には、かなり遠方である人ほど、一大決心で来られている傾向が強いので、数日間に渡る御相談は、お互いに相当な体力を消耗していることと思われるが、それだけ真剣なだけに、適切な漢方薬のアドバイスも、少なくとも半分以上の方針が立ってしまうように思われる。
 残りの問題は、10日毎の電話やメールでの頻繁なやりとりで、遅かれ早かれ8割は解決されるはずであり、そうでなければならない。

 ところが同じHPを見て来られる人でも近隣の場合は、もちろんとても真剣な方がほとんどだと思いたいが、過去にも一回ぽっきりの場合もあったので、基本中の基本方剤しか渡さないようにしている。
 近隣なのだから、次回また直接やって来られるかどうかで気合が分かるし、一度ぽっきりで止めるならやめるで、10日分数千円もしない経費を使っただけだから、互いに割り切って忘れることが出来ることだろう、という配慮からである。

 当然のことならが、真剣・真面目で本気であればという絶対的な条件付ながら、来るものは拒まず、去るものは追わないが、あまり忙しく混雑するのは絶対にイヤだから、わずか10日間くらいで、さっさと諦める人には構ってはおれませんよ。

 ヒゲジジイだって悩みがあって、わがままが言える歯医者さんと、こちらが思わず当り散らすことがあっても、我慢して教えてくれるWebデレクター〜〜なんて言ったりしたら、随分手前勝手な奴だな〜〜〜とバレバレだけど、人間というのは(というよりもヒゲ爺こそというべきか?)考えることはエゴイスチックなんですよ、ヤッパシ。  
posted by ヒゲジジイ at 02:02| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年08月12日

今月は村田漢方堂薬局のHPを見て来られた新人さんが目立ちましたよ

 今月は新人さんが多く、それも村田漢方堂薬局のHPを御覧になって、なかでも「ネット通販はありません!」のキャッチコピーが気に入って来られた人が目立ちましたね。
 しかも、ガジガジに緊張されて来られた方も多く、「お気軽な御相談」を嫌うヒゲ爺に相当に恐い?イメージを持たれていたのかもしれません。

 でも、最初はそれくらいの決意と信念で来られるくらいでないと、なかなかお互いに苦労の要る漢方相談はスムーズにいかないと思います。

 同じ新人さんでも、人に紹介されて来られた人の中には、こちらが質問を出す前に、逆にヒゲ薬剤師に質問ばかりして、なかなか仕事にならない人もおられる。ご紹介者の手前かなり我慢していますが、こちらに考える時間と質問する暇を与えない。「好い加減にして、考える時間がもらえませんかね〜〜っ」と皮肉の一言も通用しない。分かりましたと言いながら、また質問攻めに合う。なぜこちらが尋問されねばならないのか?
 疲労困憊です。

 ところで、今月多かったHPを御覧になって来られた方は、遠方ばかりでなく近郊(山口県や福岡県)の方にしても、比較的目だったのが、疾患の違いはアレ、ベースに四逆散証が潜んでいる人がとても目立ちました。

 この四逆散は漢方処方としてはとてもシンプルな配合で四味の生薬から構成されているだけに、方意(方剤の意味)を把握するのがとても難しく、漢方入門から10年間は、いかに勉強しても意味不明の方剤だった。
 日本流(日本古方派漢方)時代にはどうしても納得がいかなかった方剤ですが、中医学理論がようやく理解できるようになった時点で、悟りを開いたように方意を体得できた方剤ですよ。
 それだけに四逆散が適応する人の見分けはかなり素早いと思っています。

 ハッキリしない時も、漢方薬の中でも安全そのものの四逆散ですから、試験的に奨めてその効き目次第で、次のアドバイスの方針を考える時もあるくらい得意な方剤です。

 但し、この四逆散は「散」と名が付いているだけに、煎じ薬や煎じたエキスが良いばかりとは言えず、粉末にしたものや、粉末とエキスを混合したものや、各社様々に工夫と努力がなされているので、それぞれの特徴に沿って使い分けてもらう場合が多いのが、神経質(笑)で繊細なヒゲジジイの流儀です。

 ともあれ、今月の新人さんの半数以上に四逆散を出しているのだから、いかにストレスの多い時代か、ということが分かりますよね。
 もちろんこの方剤だけで、すべてが解決出来る訳ではない。今後の微調整で、更に必要な方剤があるのは最初からお互いに分かっている人達ばかりですからね。

 ところで、本日土曜日は珍しくヒマ。昨日までで嵐は過ぎ去ったのでした。

 なお、誤解や思い違いされては困るので、ネット通販具体的な漢方薬類を陳列・掲載したお誘い販売)と通信販売の違いについて重要なことなので追記しておきたい。

「ネット通販はありません!」と村田漢方堂薬局サイトには書かれているが、全く通信販売はしないのかとの御質問は無数(笑)にあるので、まとめてお答え

 上記をクリックして頂いたら分かるように、必ず最低一度は直接御来局頂いて直接の対面相談により納得された上で、その後は遠方過ぎるので何度も来局は不可能など理由から、利便性を考慮した上で電話相談やメール相談に切り替えて、宅配便を利用した通信販売は当然のことながら行っている訳です。
 そのかわりに、一度来られた方はよくご存知のように、新人さんにはあらゆることを犠牲にしてでも十分な時間を取って何時間にも渡って綿密詳細な御相談を行っている訳ですよ。
 しかも、どちらが根負けするか(笑)と言うほど、かなり徹底的なご相談ですから、いつも多少とも犠牲となって申し訳ないのは、実質的に村田漢方堂薬局を支えて下さっている長年の常連さんたちなのです。新人さんがおられると、常連さんたちは過去のご自分達の新人時代を思い出されてか、遠慮して下さる。
 けれども、実質その貴重な時間をたっぷり提供してくれているのは、実に長年の常連さん達なのですよ。

 だからこそ、お気軽やお気楽なご相談なら受けたくない、ありがた迷惑で、そんなお気軽な相談を受けるぐらいなら、最も大事な長年の常連さん達と和気藹々の四方山話を兼ねた健康相談のお相手をしていた方が、はるかに有益だということですよ。
 常連さんというのは、それだけ十分に漢方と漢方薬理論の複雑さと、それ相応の価値を理解して頂いている方達だけに、こちらも疲れないし新たな病気の問題が生じた場合も、素早く適切なアドバイスが行えるし、新人さんに対する疲労度と異なって、却って疲労が取れるくらいなのです。

 お気軽やお気楽になれるのは、ほどほどの常連さんになってからのことですよ。それまでは真剣勝負で漢方相談を行わないことには、何の問題解決(病気の解決)にもなりませんよ。
posted by ヒゲジジイ at 11:28| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年08月11日

神経型ベーチェット病による複視

男性
年齢 : 30歳〜39歳
お問い合わせ内容 : ベーチェット病と診断され、5年ほど経った今年3月前、神経型ベーチェット病が発病しました。

 主に眼症状が現れ、複視の状態です。

 医者では慣れるしかないという判断ですが、漢方である程度は改善できる症例はありますか?可能性はありますか?


お返事メール: 拝復

 「可能性」という表現であれば、複視の改善は漢方によってあり得ます。難病指定とは言え、基礎疾患がかなり特定されている場合は、中医学に堪能な医師で、しかも眼科を専門とされる医師が最も理想です。
 中医学には「中医眼科学」があるくらいですから・・・・。

 但し、日本は中国と違って、眼科専門医師で中医学に堪能という先生は稀かもしれません?
 次善の策としては、そちらは都会地だけに、捜せばきっと中医学に堪能な医師あるいは漢方薬局の薬剤師がおられることと思いますので、そちらの地元で10日毎に通い詰めるつもりで、綿密・詳細な弁証論治を行ってもらい、根気と忍耐・不屈の精神で頑張れば、可能性があるということであり、絶対に改善できるという保障があるわけではありません。

 眼科的に詳細な診断も大いに参考にするのが中医眼科学の鉄則でもありますので、正しい診断を常に参考にしつつ、慎重で繊細な配慮によって適切な漢方薬の配合を工夫して下さる先生にめぐり合わないことには・・・・、まずそれが第一関門です。

 やはり賭けになる部分があると思いますが、漢方と漢方薬の世界では、西洋医学で困難な疾患や自覚症状が、適切な漢方薬によって緩解するケースは、それこそ日常茶飯事でもありますので、漢方に賭けてみる価値は大いにあると思います。
 たとえば、万一目的の複視に対する効果が不十分であっても、基礎疾患がかなり緩解するなど、多くの場合はお互いに苦労し甲斐があるもののように思います。

 もしも漢方にしばらく賭けてみようと思われた場合は、ベーチェットおよび眼科症状には微妙な部分がありますので、必ずお近くの通える範囲で、たっぷりと時間をかけて下さる先生のところを選ぶ必要があると思います。
 
 以上、簡単ながらお返事まで。
                                                              頓首

posted by ヒゲジジイ at 12:59| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月08日

もともと食事療法にはあまりウルサクない漢方薬局ではあるが・・・

 先週のこと、猛暑の金曜日、こんなに暑いと真昼間にやってくる人もいないだろうとスタッフ一同(と言うほど大人数だったケ〜〜?)、三々五々に昼寝気分だったところへ常連さんがやって来られた。
 よくぞこんな日に来られましたね〜〜!とスタッフ一同驚きの声を発すると、
「イエイエ、暑いからこそクーラーのよく効いてる村田漢方堂薬局に来るのよ!暑くって家にいられないもの」
 ナルホド。

 ということで四方山話から始まって、長年服用する漢方薬も、臨機応変の使用方法もかなりマスターしたものの、もう一歩が治らないところがある云々とて。
 様々な病気が漢方薬で克服できたものの、消化器系統の虚弱性がもう一歩ということで、あれこれ聞いているうちに、これだけ長年のお付き合いなのに、とんでもないことを発見して驚いた。

 ミゾオチが痞えるなど調子が悪くなると必ず好きな乳製品のみ(主にチーズ)で過ごし、調子が悪い時用の漢方薬(大柴胡湯主体)がシッカリ効くのに数日かかる。

 調子が悪いといってはチーズ、調子が良い時にはあらゆる乳製品主体の生活だと言う青天の霹靂の食生活をここに到って知ることとなった!

 だからシバシバ下痢気味となり、潜在的に膵臓が弱そうだと思っていたが、消化器系統の弱い貴女が、しかも草食動物の日本人である貴女が、オー何という食習慣を続けていることか!? とスタッフ一同、ひっくり返って絶句するばかり。
 気を取り直して、いかにこれまでの食生活が間違っているかを説明し、滅多なことで食事療法をウルサク言わないヒゲジジイが、懇々と説得すること一時間。
 
 これは実に良いことを伺いました!直接出向いた甲斐がありましたよ!と感激して帰宅される常連さんであった。

 親しくなりすぎて、却って重大なことを見逃していたようだ!
posted by ヒゲジジイ at 23:32| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする