昨日のお問合せにもやや関連することだが、様々な難治性疾患のご相談が比較的多いのが、真の意味での漢方専門薬局ではないかと思っている。
しかしながら難病指定を受けるような疾患は、もちろん漢方と漢方薬によってもたやすい事ではなく、適切な西洋医学治療に協力する形でバックアップということも多い。
そのためには主治医の同意が望ましいことは言うまでもないことだが、「漢方は信じない」の一言によって一蹴されたことも稀ではない。
当方の地元ではほとんどそういうことは無くなったので、主治医の同意の問題で困惑することも激減しているが、現実問題としては患者さん御自身の漢方に対する賭けに似た情熱を持ってもらわないことには、最初のピントが合うまでに7〜10日ごとに通い詰めてもらうことが出来ない。
すぐにピントが合うとは限らないからだ。
経費の問題も、とても大切なことだが、往々にして難治性疾患に対しては、一定レベルの出費は止むを得ない結果となっているのが現実である。
だから、ヒゲ爺のところでは、経費的な問題で無理がありそうな場合は、申し訳ない事ながら、お断りせざるを得ない結果となっている。
それでなくとも、しっかりとぴんとの合った漢方処方の配合を早く見つけるために弁証論治の方に全神経を集中しておかなければ、一筋縄ではいかない難治性疾患である。
たとえ経費をかけたとて、しっかりしたピントがあわないことには、そして折々の変化に応じた臨機応変の配合変化を行わないことには、少しでも緩解を得るどころか、進行を止めることさえ出来ない。
だからいつも書いているように、あらゆる医療関連は「賭け」の要素がどうしてもつきまとうのである。確実性はどこにもない。
この確実性のないところに、少しでも確率を上げるにはどうしたらよいか?
日々の研鑽と強烈な集中力ということになるだろう。集中力がなければ優れた分析力も生まれない。中医学は科学である。理詰めの医学・薬学である。イメージ力も相当に必要であるから、メールやお電話などのご相談だけでは、滅多なことでは適切な方剤が選択できるはずもない。
ネットサーフィンしていたら、とても立派な漢方薬局の理念を述べておられるので、こういう同業者ならご紹介する価値があるかもしれないとメモッている端から、ネット販売を手広くやっているページが膨大なのを知って愕然とした。
書いていることは立派でも、やっていることの主体は医薬品のお誘い販売に他ならないのだった。
耳にやさしく、目に美しいサイトも、ふたを開ければお誘い販売というだけのことだった。
ところでヒゲ爺の本質は、ふたを開ければとても臆病で、好い加減な販売ができないから、必ずご本人に来局してもらい、どの程度の情熱あって漢方に賭けられるつもりか、病院での治療もしっかり受けているのか等、とても慎重なのである。
だからお気楽な人には警戒し、漢方にも絶対はないことが承諾できない人には御遠慮頂くばかりだから、すべてのお問合せの9割以上はお断りしている現実がある。
それでも仕事が尽きず倒産せずに済んでいるのは、多くの常連さんという大の漢方フアンがいて、村田漢方堂薬局の経営を支えてくれているからだった。
(実のところ、こんなに神経を使う仕事には折々にウンザリしているから、トウヘンボク爺の漢方薬が是非どうしても飲みたいと言ってくれる奇特な人だけを相手に仕事しているだけだった。) ← 寅さんが生きていたら「それを言っちゃ〜ぁ〜オシマイヨっ!」と言われていることだろうね。
2006年07月24日
難治性疾患に対する漢方処方
posted by ヒゲジジイ at 02:33| 山口 ☔| 繊細でデリケートなヒゲジジイ
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