2006年07月29日

円形脱毛症 (過去に紫斑病歴あり)

漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記のお問合せフォームより、関東地区からのお問合せ

ご意見やご質問をどうぞ : 10歳になる甥ですが、5年ほど前に紫斑病で入院経験があります。
 それからしばらくして円形脱毛症にかかり体調によって生えたり抜けたりで現在は頭部の3分の1ほど抜けてしまうような状態です。
 病院には行っていますが、よくなりません。
 あまりハツラツさもなく、性格も気難しいかんじです。
 漢方ですこしでも治療の可能性があるでしょうか。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復

 紫斑病の原因疾患にもよりますが、頂いた短い文面でもかなり想像がつく部分がありそうです。
 結論から言って、日本漢方でよく行われる柴胡桂枝湯に牡蠣を加える方法、円形脱毛症には柴胡と牡蠣の組み合わせがよく使われますが、確かにとても有効のように思われます。

 紫斑病も含めて、パターン認識の漢方、病名漢方、口訣的漢方、つまり日本漢方でこれまで長年行われてきた方法のパターンの一つに当てはまるかもしれませんよ。

 つまり、柴胡桂枝湯に牡蠣を加えた方剤。

 製剤では、胃痛に使用される柴胡桂枝湯加牡蠣小茴香製剤でも間に合うかもしれません。

 この方法で、円形脱毛症のみならず紫斑病にも効果を発揮する可能性がある、ということです。気難しい性格にも改善効果が得られる可能性もあります。

 以上は、あくまでお送り頂いたメールからの単なる推測に過ぎませんので、地元の漢方経験の豊富な医師または漢方専門薬局の薬剤師に、直接出向いて御相談すべきです。

 このお返事メールを受け取ったからと言って、安易に指名買いをしてはなりません。
 必ず経験豊富な漢方の専門家に直接御相談されて、指示やアドバイスを仰ぐべきです。
 経験豊富な先生なら、きっと解決してもらえることと存じます。
 
 以上、簡単ながらお返事まで。
                            頓首
posted by ヒゲジジイ at 11:51| 山口 ☀| 円形脱毛症や薄毛 | 更新情報をチェックする

2006年07月28日

スタチン系製剤の有用性と危険性の狭間で

 さきほど、昨年来の関東の常連さんから次のようなメールが届いた。

 今、ブログを拝見していてお伝えしたい事がありメールいたしました。コレステロール値300超の方のスタチン系の服用相談を拝見して。

 27日にいつもの定期健診(コレステロール値)に行ってきたのですが。
以前よりお話しておりますように スタチン系の薬を薦められている私は今回も「アーまたお断りするのが気が重い!」と診察室に入り・・・。

 ところが担当医師のお話は
「昨日、厚生労働省よりの通達で スタチン系の薬で5人の方が劇症肝炎で死亡された。これを重く受け止め、この2〜3日の内にも各医療機関及び報道機関に発表する」との事だそうです。

 私も服用については一時延期となったわけですが。
 でもその担当医も仰っていましたが 全国に750万人の服用者がおりやはり服用したほうがあきらかに良いだろうと思われる患者さんはいる。と。

 村田先生のアドバイスとおり 効果があり、又ご本人も手ごたえがあるのであれば、そしてさすがに300を超えているのであれば、服用は継続したほうがいいのでしょうね。

 では。取り急ぎご連絡まで。


参考文献:
下げたらアカン!コレステロールと血圧
2006年02月03日 スタチン製剤の服用を強く奨められる初期ガン摘出後の患者さん ←トンデモナイ間違いではないだろうか!



posted by ヒゲジジイ at 12:33| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

余興に昨日27日の検索キーワード

 ちょっと余興に、昨日の「アクセス解析」の一部を掲載してみよう。
 昨日は訪問者がやや少なかったが、このシーザーブログさんでは、編集室内部に様々な便利な機能が備わっていて面白い。


比率 アクセス数
合計 40
1 漢方         22.5% 9
2 漢方薬        7.5% 3
3 薬事法違反      5.0% 2
4 浅黒い        5.0% 2
5 パンダマーク     2.5% 1
6 研究史        2.5% 1
7 汗を止める漢方薬   2.5% 1
8 村田         2.5% 1
9 処方         2.5% 1
10 十味敗毒湯     2.5% 1
11 インターネット   2.5% 1
12 服用期間      2.5% 1
13 甲状腺腫      2.5% 1
14 ツムラ25     2.5% 1
15 浅い作品      2.5% 1
16 水銀        2.5% 1
17 排卵痛       2.5% 1
18 西洋人参      2.5% 1
19 人参        2.5% 1
20 購入        2.5% 1
21 薬事法       2.5% 1
22 ガン        2.5% 1
23 開示        2.5% 1
24 目のクマ      2.5% 1
25 良性        2.5% 1
26 ホクロ       2.5% 1
27 評判        2.5% 1
28 腹水        2.5% 1

 以上によって、検索によって訪れた人が40人。その他の人は、きっと「お気に入り」から訪問してくれているに違いない?!

 さらにどの検索エンジンを使用して訪問されたかのデータも付いている。


比率 アクセス数
合計 18
1 google       61.1% 11
2 yahoo_japan     27.8% 5
3 goo        11.1% 2

合計数が先ほどのものと一致しないが、この辺の事情は不明。判定できなかったのかもしれないが???

posted by ヒゲジジイ at 01:24| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年07月24日

難治性疾患に対する漢方処方

 昨日のお問合せにもやや関連することだが、様々な難治性疾患のご相談が比較的多いのが、真の意味での漢方専門薬局ではないかと思っている。

 しかしながら難病指定を受けるような疾患は、もちろん漢方と漢方薬によってもたやすい事ではなく、適切な西洋医学治療に協力する形でバックアップということも多い。
 そのためには主治医の同意が望ましいことは言うまでもないことだが、「漢方は信じない」の一言によって一蹴されたことも稀ではない。

 当方の地元ではほとんどそういうことは無くなったので、主治医の同意の問題で困惑することも激減しているが、現実問題としては患者さん御自身の漢方に対する賭けに似た情熱を持ってもらわないことには、最初のピントが合うまでに7〜10日ごとに通い詰めてもらうことが出来ない。
 すぐにピントが合うとは限らないからだ。

 経費の問題も、とても大切なことだが、往々にして難治性疾患に対しては、一定レベルの出費は止むを得ない結果となっているのが現実である。

 だから、ヒゲ爺のところでは、経費的な問題で無理がありそうな場合は、申し訳ない事ながら、お断りせざるを得ない結果となっている。
 それでなくとも、しっかりとぴんとの合った漢方処方の配合を早く見つけるために弁証論治の方に全神経を集中しておかなければ、一筋縄ではいかない難治性疾患である。

 たとえ経費をかけたとて、しっかりしたピントがあわないことには、そして折々の変化に応じた臨機応変の配合変化を行わないことには、少しでも緩解を得るどころか、進行を止めることさえ出来ない。

 だからいつも書いているように、あらゆる医療関連は「賭け」の要素がどうしてもつきまとうのである。確実性はどこにもない。

 この確実性のないところに、少しでも確率を上げるにはどうしたらよいか?
 日々の研鑽と強烈な集中力ということになるだろう。集中力がなければ優れた分析力も生まれない。中医学は科学である。理詰めの医学・薬学である。イメージ力も相当に必要であるから、メールやお電話などのご相談だけでは、滅多なことでは適切な方剤が選択できるはずもない。

 ネットサーフィンしていたら、とても立派な漢方薬局の理念を述べておられるので、こういう同業者ならご紹介する価値があるかもしれないとメモッている端から、ネット販売を手広くやっているページが膨大なのを知って愕然とした。
 書いていることは立派でも、やっていることの主体は医薬品のお誘い販売に他ならないのだった。
 耳にやさしく、目に美しいサイトも、ふたを開ければお誘い販売というだけのことだった。

 ところでヒゲ爺の本質は、ふたを開ければとても臆病で、好い加減な販売ができないから、必ずご本人に来局してもらい、どの程度の情熱あって漢方に賭けられるつもりか、病院での治療もしっかり受けているのか等、とても慎重なのである。
 だからお気楽な人には警戒し、漢方にも絶対はないことが承諾できない人には御遠慮頂くばかりだから、すべてのお問合せの9割以上はお断りしている現実がある。

 それでも仕事が尽きず倒産せずに済んでいるのは、多くの常連さんという大の漢方フアンがいて、村田漢方堂薬局の経営を支えてくれているからだった。
 (実のところ、こんなに神経を使う仕事には折々にウンザリしているから、トウヘンボク爺の漢方薬が是非どうしても飲みたいと言ってくれる奇特な人だけを相手に仕事しているだけだった。)
  寅さんが生きていたら「それを言っちゃ〜ぁ〜オシマイヨっ!」と言われていることだろうね。 
posted by ヒゲジジイ at 02:33| 山口 ☔| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年07月23日

漢方処方を開示しない秘密主義の漢方薬局問題と自費の漢方薬の値段の問題など

お問い合わせ内容 : 私(男性、年齢45才、身長164cm、体重43kg、血圧100/60mmHg、●●在住)は、子供の頃から慢性副鼻腔炎を患っていますが、さしたる治療もすることなく過ごしていましたが、30代半ばに、風邪をこじらせて肺炎となり入院した際に、気管支拡張症であること、また、びまん性汎細気管支炎であると診断されました。

 それ以来、近くの内科医院でエリスロマイシン(200mgx3)、テオドール(100mgx3)、ソロムコ(15mgx3)の投薬をかれこれ、10年近く受けております。もともと、子供の頃から、風邪をこじらせやすい体質で、今でも、2〜3ヶ月に1回くらいは、微熱を出しては、上述の内科医院で、エリスロマイシンではない抗生物質(メイアクト、フロモックス、クラビットなど)を3〜5日間分処方してもらい対処しています。

 最近、耳の聞こえが悪くなったので、耳鼻科に見てもらったら、副鼻腔炎から来る滲出性中耳炎といわれ、週2回程度の通院加療(鼻汁吸引除去と薬液噴霧吸引)と抗生物質(フロモックス)及びダーゼンの投薬処方を受けています。
 しかし、2ヶ月近く通院・投薬治療を受けているのに、副鼻腔炎の症状はなかなか治まっていません。また、私は、結婚しておりますが、子宝に恵まれず、泌尿器科で検査してもらったところ、精子の数が極めて少ないうえに、精子そのものの活動性も極めて悪いとのことでした。

 すなわち、副鼻腔炎、気管支拡張症(びまん性汎細気管支炎)、男性不妊症の3拍子そろった副鼻腔-気管支症候群(immotile cilia症候群)患者です。この頃では、階段の上り下りに、息切れを感じる度合いが強くなり、また、咳や痰もこみ上げてくる頻度や量が多くなったように感じます。
 すなわち、気管支拡張症は徐々に確実に進行しているように思います。エリスロマイシンがなかったら、もっと進行が早かったのかもしれませんが、何か、エリスロマイシンと併用できて、確実に病状進行を食い止める漢方薬処方にめぐり合えないものかと模索しています。

 そこで、今の私の悩みを聞いて下さい。
1) 私が、最近、漢方薬を調合していただいた薬局では患者に処方内容を開示してくださいません。効いている気がしているだけに、私には、それが大いに不満です。もし、処方を明らかにしていただければ、かかりつけの内科医や耳鼻科医に、漢方処方の長期的な投薬効果を医学的に確認してもらうこともでき、日本医療の進歩にも貢献するのではないでしょうか?
 そもそも、副鼻腔-気管支症候群患者にとって、耳鼻科と呼吸器内科とが分かれているのこと自体が不便です。その上、漢方薬局までもが秘密主義ともなるとやるせません。

2) もっとも切実なことですが、漢方薬の薬代が、1ヶ月に5〜6万円もかかります。せめて、その1/4〜1/2程度の費用で処方を受けられないでしょうか?


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復

 副鼻腔炎に気管支関連の疾患や耳管関連の疾患が合併すること等、往々にしてみられることですので、決して珍しいケースではありません。

 もちろん体質と症状にあった漢方薬を適切に配合し、また季節や折々に、臨機応変の配合変化を行いつつ、長期に渡って連用し続ければ、もののたとえとして8割は改善できるものです。

 文面を拝見すれば、さいわいそちらの漢方薬局で出されたものが効いている様に思われるとのことですが、処方名等を開示されないというのは、言いにくいことながらこの秘密主義は、明らかに薬事法違反なのです。

 薬剤師が運営する漢方薬局で直接対面相談販売することは、当然合法的なものですが、医薬品でもある漢方薬の処方内容等は、かならず開示しておく「義務」があります。

 その点では些か信用できない薬剤師さんだと言わざるを得ないでしょう。

 ところで、価格面ではこの自由な資本主義経済国である日本においては自由価格な訳ですから、何とも申し上げにくい問題です。
 たとえ、極めて良心的な価格設定を行っているところでも、合併する症候群を考慮すれば、単一処方だけでは、たとえ一時的に効果があっても焼け石に水程度のようにも思えます。
 言い換えれば、少なくとも複数の漢方処方を組み合さざるを得ず、のみならず、多少とも高度なテクニックを要する病状だと存じます。

 たとえば辛夷清肺湯あるいは清肺湯などの単一方剤だけで治るとかの単純なレベルを通り越しており、複数の方剤が必要であり、しかも時に応じて配合変化の必要があるであろうということです。
 それには、おそらく日本漢方レベルの没理論的なパターン認識漢方では限界があるかもしれず、弁証論治の高度な知識と経験が必要だと思われます。

 それにともなう経費も、やや類似した患者さんを当方でも過去・現在の経験から類推しても、月額に換算すれば3万円から、人によっては5万くらいかかっている人も珍しくありません。
 自費の漢方で、しかも複数の方剤や補助的な製品類の併用などが伴えば、月額にすれば、止むを得ない金額かもしれません。

 但し、単一方剤だけで月額5〜6万円もするとしたら、かなり高価なもので、相当な技術料が含まれているものと思われます。大都会の医師の経営する自費のクリニック等では、単一方剤でも、そのくらいはかかると関東地区から来られている患者さんの情報もありますが、薬代以外にも高価な技術料が含まれているということなのでしょう。

 結局は、経費の削減だけを考えれば保険漢方をご利用されるのが一番だという方向に向かいそうですが、今、通われている漢方薬局さんに談判し、処方を開示してもらい、その処方名を持って、お近くの保険漢方を扱われる病院や診療所を御訪問されるべきかと存じます。

 ここでも「但し」、同一方剤が保険適用になっているかどうかは、大変難しい問題で、運がよければ、一部の方剤は共通したものが使われているのかもしれませんし、ソウでない場合もあるかと存じます。
 言いえれば、保険漢方内での処方で、貴方の諸症状の改善がどの程度まで可能かは今後、保険漢方を処方して下さる医師の漢方知識と経験に大いに左右されることでしょし、相当に知識と経験豊富な先生にめぐり合っても、結局は、保険のきかない処方類の併用が必要にならざるを得ないことも十分に想像されることです。
 でも、まずは保険漢方を試みてみるのが、経費的には最善なことでしょう。

 ところで、当方の薬局などでは、ここ最近の新患さんの場合、ほとんど多くの人が保険漢方も何度か試みたものの、満足が得られず(効かなかったということですが)結局、ほどほど経費のかかる自費の漢方を求めて来られているという現実があります。

 つまり、我々のような漢方専門薬局においては、西洋医学治療のみならず、保険漢方もほどほどやり尽くしたというような段階でなければ、腰をすえて経費のかかる自費の漢方を何年にも渡って継続しようという気にはならない時代のように思えますし、また逆に当方にしても、それほど苦労された挙句でなければ、自費の漢方に賭ける気にはならないだろうと思っていますので、そこまで苦労された人でなければ、歓迎しない傾向があります。

 病院で治るものなら、それに越したことはないのですから!

 以上、散漫なお返事になりましたが、適切な漢方薬の配合が得られれば、長期に渡って連用し、折々に臨機応変の配合変化を行ったとすれば、何年も、あるいは一生涯漢方を続けるつもりでやれば、(必要適切な西洋医学治療も併用するとして)数年後には8割程度は回復し、そのレベルを維持する為にも、多かれ少なかれ、一生涯に渡って漢方を継続すれば、比較的健康な生活が送れるであろう、と思われます。

 以上、お返事まで。
                                   頓首


参考:びまん性汎細気管支炎 (一万人に一人くらいの特定疾患)
 気管支が枝分れして肺胞に入る手前の呼吸細気管支の慢性炎症疾患であり、咳嗽・喀痰に多かれ少なかれ呼吸困難を伴いやすく、特定疾患に認定されている慢性の呼吸器疾患。


編集後記:返信メールをお送りした後、考えて見れば、これだけの合併症と細菌感染が持続している場合は、漢方薬類も相当な種類と分量を要する可能性は高く、自費の漢方による経費的な問題では、やはり5〜6万円も月額要するのは止むを得ないだろうと思われる。
 実際には、経費のこと以上にもっともっと大事な問題は、相当に知恵と技術を要する適切な漢方薬の配合と臨機応変の配合変化および西洋医学治療との上手な連携であろう。

 文面における「確実に病状進行を食い止める漢方薬処方にめぐり合えないものかと模索しています」と述べられているお気持ちは尤もだが、めぐり合えるような固定した処方とは限らないように思われるのである。

 つまり、常に臨機応変の比較的複雑な配合を要することはほぼ間違いないので、単一の方剤を捜すのは相当困難なように思えるのである。
posted by ヒゲジジイ at 00:31| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年07月22日

中医学派の収集癖

 実はこれ中医学派の病気?の続編。
 月額290円で借りているgooブログアドバンス。あのブログはほとんど画像も無制限に近い、
画像の容量が、なんと1T(テラ=1024GB)!
残容量を気にすることなく、思いっきり写真&動画付きブログを行うことができます。
と宣伝文句にあるほどだから、借りがいのあるブログだが、その続きを今回は本ブログにした。
 同様に前置きとして
 1990年1月号(新年号 通刊440号)の『和漢薬』誌に「新年偶感」と題して、コント風の毒舌を吐きまくっているのが見つかった。
 主として医師や薬剤師しか目を通さない漢方と漢方薬の専門誌というものは、新年にちなんでユーモアを交えた毒舌を楽しみにしてくれる人もあって、書くほうも楽しかったものだが、これをブログに再録するとなると、専門外の一般の人々の目に触れることになるから、文字通りに受け取って誤解されても困るのだが、このユーモアとともにある程度は真理を穿った毒舌を真に受け過ぎるほうにも問題があるだろうと、割り切ってここに再録することにした。
ということだから、そのおつもりでっ!



    中医学派の蒐集癖

 中医学を行うには多種類の中草薬を揃えておかなければならない。毎日毎日、メーカーさんに電話して、あれはないか、これはないかと常に探索と調査を怠ってはならない。実に中医学の第一歩は中草薬の買い漁りである。

 以上のことは根本的に間違っている。中医学の特徴の一つは、その土地(中国国内それぞれの省のこと)で手に入る限られた種類の原料でも、有効な処方をかなり自由に組み立てることが出来るということである。
 そのことを敷衍すれば、たとえインスタント漢方のみの扱いでも、それ程不足を感じる必要はない。
 だから日本で中医学の基礎理論が根付けば、おのずから日本独自の≪中医漢方薬学≫へと発展すること請け合いである。

 蒐集すべきものは中草薬ではなく、中医学書であるべきだ。漢方が盛んになったと言われる我が国の研究書出版面における貧困さは目を覆うばかりである。
 経済大国といわれる日本において、この出版物の貧困さはそのまま学問の貧困さを証明するようなものである。

 ところが流石に本場中国では、まさに汗牛充棟。毎年発行されるハイレベルの中医学書は出版の洪水だと表現しても決してもオーバーではない。毎月の出版点数だけを計算しても日本の一年分を遥かに凌駕する。
 内容のレベルの比較においては言わずもがなであろう。

 現在小生が最も愛読し学習中の「中医病機治法学」(四川科学技術出版社)などは日本の中医学研究家に示唆することは大きく、「寒温統一論」(上海科学技術出版社)、「中医病理」(広東科技出版者)、「歴代名方精編」(淅江科学技術出版社)など、愛読書をあげれば際限がないが、小冊子ながらお気に入りの「臓腑経絡学説」(天津科学技術出版社)は基礎理論の重要な部分が要領よく解説され大変理解しやすい。
 これらの学習の成果として≪傷寒論≫に対する認識を深めたつもりであるが、それは後半で述べたい。

 現在日本で翻訳されている中医学書にも大変優れたものがあるが、まだまだ不十分である。
 中医学の学習を更に深めるには中医学書の原書を蒐集することから始めるべきである。
posted by ヒゲジジイ at 00:22| 山口 ☁| 漢方薬や中医学の学習方法および懐かしい拙論 | 更新情報をチェックする

2006年07月19日

2006年07月17日

村田漢方堂薬局の周辺風景

 画像を適当に放り込んだだけだが、将来ゆっくり時間をかけて、もっと充実させるつもりではあるが、さしあたってはこの程度で、遠方から来局される人達に、村田漢方堂薬局を中心にした下関近郊のイメージを持ってもらうために、という口実で、作って見たサイトの報告というわけ。

 こんなやっつけ仕事は、顰蹙を買うだけかもしれないが、この程度なら簡単に作れてデジカメ撮影の練習にもなるから、年寄り仕事にはちょうど良い。

村田漢方堂薬局の周辺風景

 画像中心のサイトの骨格だけが出来た程度であることに違いはない。
posted by ヒゲジジイ at 13:27| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年07月14日

帯状疱疹を繰り返す体質の改善が漢方で可能だろうか?

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
御職業 : 〇〇〇〇〇看護師
お問い合わせ内容 : こんにちは、はじめまして私は 帯状疱疹をくりかえします。
 医学的には検査しても、どこも悪いところは無いのですが、思えば海外出張の後とか、プロジェクトの後とかで 肉体より精神的に緊張するような仕事の後、必ず春〜夏に、数年おきに帯状疱疹をくりかえしてしまいます。

 初期にすぐに帯状疱疹の抗ウイルス剤を服用するため、ひどくはなりませんが、今回は6月21日に出て、治療後、東洋医学の免疫療法を受けてみました。
 体調はとてもよくなったのでよかったのですが、そこで内臓の冷えがあるといわれ、体を冷やさないようにといわれ、半身浴を自分でもよくやって体を温めていました。
 気分は良くなって、元気なのですが、まずアルコールがまったく飲めなくなり、すいかやトマト、ピーマンなど、普段食べたくないようなものが食べたくなり、体に熱がこもった感が抜けなくなりました。

 そのうち寒気がしてひどい風邪を引いてしまいました。解熱した後、実は今日なのですが、また帯状疱疹が出てしまったのです。ただ、体調は悪くなく、元気で、よく休んだので疲れているとは思えません。

 私に合った免疫を強化する東洋医学の漢方治療というものはあるのでしょうか?

 私は今どのようにするのが一番よろしいのでしょうか、是非アドバイスおねがいいたします。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復

 帯状疱疹だけの問題で言えば、漢方医学にせよ中医学にせよ、意外に容易な疾患のようです。ウイルスを完全排除出来るかどうかまでは断定できませんが日本人の体質上、どうも多くは五苓散系列の方剤に板藍根(ばんらんこん)を併用する程度でも、急速に消滅するケースを、とても多くの例で経験しています。

 中には西洋医学における抗ウイルス剤が、めまいなどの副作用で連用できない例でも、即効的に効いている例ばかりです。

 安易な病名漢方やエビデンス漢方には批判的な立場ではあるのですが、このような例外もあって、帯状疱疹にはかなり病名漢方が通用するようです。

 つまり、五苓散系列の方剤(茵蔯五苓散の場合などもある)に板藍根で、帯状疱疹に対処するという病名漢方です。

 ところで、頂いた文面を拝見して、とても気になったのが「温め療法」です。

>内臓の冷えがあるといわれ、体を冷やさないようにといわれ、
>半身浴を自分でもよくやって体を温めていました。

という点です。

 昨今、温め療法がブームになっているようですが、この温暖化の時代、しかも飽食の時代といわれるほど栄養豊かな時代、暖房設備も充実した昨今、皆がみな温め療法に走るのは、大いに問題です。過ぎたる及ばざるが如し、という喩え以上の問題を含んでいます。

 当方には折々に関東地方で既に東洋医学的治療、多くは漢方の専門の医師や薬剤師のところ治らなかった人達が直接来られるケースがあるのですが、その多くの人が、貴女様と同じように、身体が冷えているからということで、同様に温め療法を強く奨められた人が多かったのですが、そのゆえか、漢方処方のピントのズレもともなって、かえって炎症性疾患を悪化させているケースも多いのです。

 極論すれば、六臓六腑の経絡ごとに、六臓六腑の臓腑ごとに、寒熱はそれぞれに異なるものですから、温めてよい経絡と、温めるとまずい経絡もあったりと、人間様の身体はそう簡単に一筋縄ではゆかないものだと愚考します。

 つまり、昨今流行の温め療法では、温めてもらったら困る経絡や臓腑に熱化をうながし、むしろ弊害が出てくるケースも多いということです。

 あまりにも短絡的な昨今の「温め療法」ブームは、まったく噴飯物だと思っています。
 とりわけ肺は嬌臓(きょうぞう)です。デリケートで繊細な肺臓ですので、温めすぎた為に肺系統の弊害が出ているケースをよく目撃します。

 また、昨今は外食する人が多いせいか、たとえ脾胃に虚寒があっても、肝胆に湿熱が宿っている人も意外に多いのです。

 貴女の場合も、

>すいかやトマト、ピーマンなど、普段食べたくないようなものが
>食べたくなり、体に熱がこもった感が抜けなくなりました。

 とあるように、六臓六腑すべてが一時的に熱化して、とてもアンバランスな状態を招いたように思えます。同時に肺系統に関連した肺衛(肺の衛り)の機能が低下して、風邪を引いてしまったと考えられます。

 ですから、即刻、温め療法は中止すべきです!

 地元でも治りかけていた慢性気管支炎や肺炎を、この温め療法類で却って悪化させた人や、転移ガンを持つ男性が、医療用の十全大補湯とともに温め療法にこだわったために、ヒドイ鼻出血を生じた例など、漢方処方における温補剤による弊害や、ブームの温め療法による害悪を沢山目撃する毎日です。

 漢方医学には、昔から「補剤の生殺し」というようなコトワザがあるほどです!

 世の中、健康に対するあまりにも短絡的な療法が出没極まりないのですから、常にやや批判的な態度で接し、頭から信じると、トンデモナイことになることもあり得ると思います。

 東洋医学でも漢方治療はあるのでしょうか、との御質問ですが、もちろん体質改善はほどほど期間がかかるにせよ、漢方と漢方薬の得意分野でもありますので、知識と経験の豊富な、しかもブームに便乗しないしっかりとした見識のある専門家にご相談されれば、それほど困難なことではないと存じます。

 帯状疱疹を繰り返す人は、昨今はお年寄りばかりではなく、40代くらいから相当に増えているようですが、正確な弁証論治にもとづいた適切な漢方薬を適宜組み合わせれば、比較的容易なことと存じます。

 但し、六臓六腑それぞれの個性に応じた体質改善が必要ですので、単に一処方だけで改善することは、なかなか困難なもののようです。どうしても複数の方剤が必要になることと存じます。

 まずは信用のおけそうな専門家を見つけられることだと存じます。それにはいつも書いていることですが、最低一度は直接出向かれることで、安易にメール相談や電話相談だけで、漢方処方を決めるべきではないと存じます。

 ともあれ、とても有益な御質問を頂いて、感謝しております。

 以上、取り急ぎお返事申し上げます。
                                                                頓首

六臓六腑に対する注記: 漢方医学や中医学では五臓六腑と言いながらも、実際には十二経脈という経絡の主体があってそれに連なる六臓六腑的な考えを明らかにとっているから、あえて六臓六腑と表現してみたかった。ヒゲ爺がボケて間違ったのではなく、故意にアテツケタと言った方が正確です。
 ところで六腑の五つまではいえても、六つ目を言える人は少ないでしょうexclamation&question 膜原と腠理から構成される「三焦(さんしょう)」というものがあるのです。
 また、この腑としての三焦に対応する臓みたいなものが「心包絡(しんぽうらく)」なんですよexclamation
 だから、故意に六臓六腑と言ってみたかった訳です。



折り返しお礼のメール:
早速、ご誠実で詳細なお返事を頂き本当にありがとうございます。

 帯状疱疹については 望みがありそうで 希望がもてます。
 〇〇でよい先生を探して、診ていただこうとおもいます。
(名医に紹介されていた〇〇の・・・・・医院の先生を 一度お尋ねしてみようかな・・・と 今思っております。)
 本当なら、そちらに伺いして、先生にお薬のご相談をさせていただきたいのですが・・・伺うことができずほんとうに残念です。

 そして まず仰せの通り、温め療法は中止いたします。

 代謝を高める=温めるではないのですね。

 思えば、まさに 風邪を引く前も どうも体内に熱がこもっているのに なぜか外側は寒い状態でした。
 結局、アンバランスを生じさせ、炎症を促進させたということなのですね。
 冷やす食べ物が 欲しくなったことも、納得、 まさに自然の摂理なのですね。

 そういえば、自分でも気道が重苦しいので、自然に胸骨部に冷やすためのシートを貼って休んでいました。
 冷えが気持ちよくて、翌朝には呼吸も風邪もずいぶんよくなっていました。

 私は漢方は以前に、排卵痛で悩み、ケイシブクリョウガン(ツムラ25番)を飲んだとたん、嘘のようにぴたりと痛みがなくなったという経験があります。 (血が停滞しやすいのでしょうか)

 ストレス社会で日々生活しているので、なかなか自分で 自分の体の声を察知する力は、なくなって行くような気がします。 
 また漢方の力も借りながら、気長に体の調子を建て直すことができたらと思っております。

 ご相談に乗っていただき本当に感謝いたします。
 ほんとうに どうもありがとうございました。

 これからも HPを楽しみに拝読させていただきます。
 また何かありましたら ぜひご相談させていただければとおもいます。


2006年07月13日

鼻汁がよく出るようになる漢方薬はありますか?

性別 : 男性
年齢 : 70歳〜79歳
ご職業 : 無職
お問い合わせ内容 : 鼻汁がよく出るようになる漢方薬はありますか。常時使って問題のないものです。
 「理由」若いころ、蓄膿の手術を受け、近年鼻がつまり困っているので。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
 先ほどお返事したところ、文字化けしてしまいましたので、あらためて別便にてお返事申し上げます。

 頂いた文面はあまりに短く、推測に推測を重ねる以外にしようがありませんが、「鼻汁が出るようになる漢方薬」という表現をされるからには、鼻腔内が乾燥気味で、そのために鼻づまりを生じているような状態なのでしょうか?

もしもこの推測が当たっているなら、蓄膿症を繰り返している人に往々にしてみられる症状でもありますが、ややご高齢による体液欠乏も多かれ少なかれ絡んでいることと推察します。

 このような場合、多くは辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)を中心にした方剤で軽快することが多いものですが、中医学的には肺陰虚に肺熱を伴った症候がみられる場合に適応する方剤です。

 正確なところは、お近くの漢方専門の医師か薬剤師に直接ご相談してみなければなりません。

 当方の地元近辺でも、80歳を越えた常連さんの中に、風邪を引いた後に必ず副鼻腔炎症状が勃発するので、この辛夷清肺湯を一ヶ月も服用すれば無症状になるものの、数年に一度はこの方剤が必要になる人もあれば、過去、頑固な蓄膿症で、手術を繰り返した人などでは、長期の連用を必要としている人もかなり多いという現実があります。

 多くは、体質に合った他の方剤(六味丸系列など)との併用を必要としているケースが多いのですが、辛夷清肺湯にしても六味丸系列の方剤にしても、胃弱の人には使用しにくい方剤類です。

 以上、僅かな文面での推測ですので、不正確なお返事にならざるを得ませんので、メール相談や電話相談だけで決めず、直接お近くの専門家に御相談下さい。

 以上、簡単ながら、お返事まで。

                             頓首
posted by ヒゲジジイ at 10:33| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年07月12日

一時的にスタッフがいない時に来局者があるとどうなるか?

 スタッフがたまたま交替で食事に行って、ヒゲ爺一人の薬局になった間に、たまたま来局者があるとどうなるか?

 本日の昼、ここ数年、風邪関連の漢方薬の使い方をようやくマスターした程度の一家の奥様、製品の辛夷清肺湯製剤の補充に来られた訳だが、このヒゲ爺は、弁証論治の細かな指示がウルサイ割には、どこに漢方製剤を保管しているか、不明である。

 いつも女性薬剤師(といっても愚妻のようですが・・・)がいないとレッジを打つのさえ冷や汗タラタラ、繊細なチヌ釣り等、滅法器用なところがある反面、やりたくないレッジや製品の手渡し等、薬局内では滅多なことで動かない。動くことがあるとしたら哲学のケムリの時だけである。

 それなのに、辛夷清肺湯製剤を捜さなければならない始末。すると、準常連さんになりかかっているその奥様、あそこの硝子ケースからいつも出してもらってますよ、とヒゲ爺に指示。
 ようやく発見して、レジを打って何も包装しないまま手渡すと、お客の方が保管場所を教えるなんて前代未聞だとノタモウテ、笑い転げる品のよい女性客であった。

 だから、言ってやりましたよ、

「ここの薬局は女性スタッフがいない時は、彼女が戻るまで静かに待つか、急ぐ場合は置いてる場所を常連さんの方が教えるシキタリとなって万年。それをまだ知らないとはもぐりでッせェ〜〜〜っ。」

「常連さんの中には、先生はしないでいいっ! レジはイラワナイデっ! ケタを間違えられたら大変だから、奥さんが戻るまで待ちますから、お願いだから打たないでっ、と懇願する人もいるくらいなんだから〜〜^」

 と自慢しておきましたがね。
posted by ヒゲジジイ at 21:56| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年07月09日

多くの漢方処方中の人参は党参(とうじん)を用いるのが正解かも?!

 傷寒論や金匱要略における漢方処方中で配合される人参は、実はウコギ科のオタネニンジンではなく、キキョウ科のヒカゲノツルニンジンなどの党参(とうじん)であったことを論証した本を二十年前に読みながら、どこへ紛失したか、このことを専門誌に書きたくても根拠を示す書籍が見当たらないので、書くに書けなかったが、数日前、偶然書庫で見つけたので、ここ数日、ブログ類に公開しているところだが、ブログの中では二番目に人気の高い本ブログに掲載しないのは勿体無いので下記に再録する。
 吉林参(ウコギ科のオタネニンジン)は、唐の太宗の時代に薛仁貴を派遣した遼東征伐において発見したものである。

 張仲景の傷寒・金匱が著されたのは東漢であるから、歴史の時間的な前後関係から考えると、仲景の言う人参は、実際には現在の党参(キキョウ科ヒカゲノツルニンジンなど)に該当するのである。
 それゆえ脾虚による心下痞には党参を用いて、独参湯証の場合にこそ(党参では効果が乏しいので)ウコギ科の人参を用いるのである。

 このような内容が、1980年に王占璽氏が著した「中薬処方的応用」(科学技術文献出版社重慶分社発行)に書かれている。

 専門家にとっては青天の霹靂の説なのだが、真偽のほどは如何?

 確かに実際的な面でも大いに説得力のある説で、たとえば小柴胡湯や補中益気湯など、朝鮮人参が配合された漢方処方類というのは、人参の峻補に過ぎる面を感じるケースが少なくないのである。
 党参に比べて人参の方が温補に過ぎ、また補水作用が強すぎて、時に体質によっては浮腫を誘発する場合もあり、さらには高血圧を助長する場合がある。
 それほどウコギ科の人参というのは作用が比較的強いのである。
 だから弁証論治を誤ると、アトピー性皮膚炎などの皮膚病を増悪させるケースも稀ではない。
 
 その点では、党参は暖め過ぎず、補水作用も強くない、高血圧を誘発する恐れも全く無い。まるでヒゲ薬剤師のように温和で地味な効果だが、安心して使用できるものである。
 ところが悲しいことに、日本で党参が配合された漢方製剤は数えるほど少なく、イスクラの補中益気丸や天王補心丹、帰脾錠、十全大補丸、星火健胃錠などに限られている。      
 なかなか世の中、思うようにならないものですねっexclamation

 とは言え、村田漢方堂薬局では人参が配合された漢方処方を販売することは、世間様に比べてかなり少ないようだから、まっ、イイカって〜〜〜とこですけどね。

 蛇足ながら、って^^〜〜言いながら長くなるけど、当時はとても研究熱心だったヒゲ薬剤師は、ウチダ和漢薬さんに頼んで党参の最高品質の潞党参を香港から空輸で何とexclamation100Kgほど輸入してもらって吟味しつつ、「漢方の臨床」誌や「漢方研究」誌に拙論を発表したものである。

 同時に各種の党参の見本、川党参などを取り寄せてもらって、それをきっかけに日本市場にも党参が流通するきっかけを作った経験があるが、黄耆にしてもウチダさんに綿黄耆を輸入するように仕向けたのもヒゲ薬剤師である。当時は原料生薬においては、強い発言力を発揮していたものですよ。

 のみならず、今じゃ〜既に活血化瘀で有名な丹参 (たんじん)をウチダ和漢薬さんでスムーズに流通するきっかけを作った業績がもっとも大きいかも知れない。

 こんな過去の思い出話しや自慢話しを書くようになっちゃ〜〜おしまいですね。老化現象がイヨイヨ加速しているに違いないダッシュ(走り出すさま)モバQ
posted by ヒゲジジイ at 19:30| 山口 ☁| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2006年07月06日

「頑張る」という言葉の微妙さ・難しさ・デリケートさについて

 日本人は昔から「頑張る」と言う言葉が大好きだ。日本人は古来、一所懸命頑張ってきた国民だと思う。
 だからその反動だろう、今頃は「頑張らなくっていいよ」という発言がやけに耳に付く。
 良し悪しは別として、ヒゲ爺のように本質的にサボり人間には、「頑張る」というこの言葉は折々に必要だ。

 翻って戦後も戦後、平成の御世に入ってからは、サボり人間ばかりが目立つ日本国である。昨日投稿した話題の中心人物、藤田氏のように一握りのエリートは別にして、あまりにも頑張らない人が多すぎるように思う。
 そういう時代の風潮に追い討ちをかけるかのように「頑張らなくていいよ」と言われれば、人並みはずれたグウタラヒゲ爺は、じゃ〜〜〜サボろうじゃないのっと居直って、薬局を閉じたままチヌ釣に現(ウツツ)を抜かしかねないのである。

 自分のことはさておき、ガンは今や二三人に一人は罹患するありきたりな疾患となっている。その半数近くは根治しており、根治出来ない人でも直ぐに死亡するケースは稀有である。
 後者においては現実問題として、頑張らないより頑張ったほうがよりよい経過が持続しているケースが多い。
 転移ガンや進行がんであっても、闘わないより適切な戦略を立てて、ほどほどには立ち向かって頑張ったほうが経過も良いことが多いし、精神的にも安定が得られていることが多いように思われる。

 だから、あんまり「頑張るな、頑張らなくていいよ」と言うのも、すべてケース・バイ・ケースということである。
posted by ヒゲジジイ at 12:51| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年07月05日

今、各種マスコミで注目される藤田憲一氏のスキルス胃癌の闘病記録だが・・・

 藤田氏がスキルス胃癌の再発で、余命三ヶ月と宣告されたが、その予告期間を過ぎてもまだまだ精力的に頑張られている姿を、最近テレビで拝見することが多くなった。

 テレビで取り上げられる以前に、幻冬社から「末期ガンになったIT社長からの手紙」という藤田氏の闘病と共に仕事にも頑張る姿を描いた自伝的書籍が、6月初旬に発行されていた。

 三十代という若さにとっては実に残酷極まりないガンである。頑張る姿を応援する意味も兼ねて、ヒゲ爺の感想文として、

私に影響を与えた良書・悪書・珍書・奇書・希書

 に取り上げている。

 村田漢方堂薬局にも同様に、大学教授や中小企業の経営者、あるいは日本の伝統文化を次世代に伝えることを職業とする先生など、まだまだ上げれば際限がないほど、藤田氏と同様に転移ガンや進行ガン、あるいは末期がんを抱えながらも闘病と仕事を両立させている市井の人々も沢山いる。

 彼ら彼女らはマスコミに取り上げられることもないし、取り上げられるのは真っ平御免蒙るだろうが、彼ら彼女らと藤田氏の違いは、やはり何と言っても彼の年齢の若さだろうか?

 とは言え、日本全国では藤田氏と大同小異の状況でもめげることなく藤田氏と同様に頑張りぬいている人々はたくさんおられるのは間違いない事実なのである。

 つまり藤田憲一氏が特別だと言う訳ではなく、人間、遅かれ早かれ「闘病」しなければならない時期がやってくるのだから、こうして書籍やテレビなどで報告されることは貴重な参考事例として、学ぶべきこと多いはずだ。


追記:これを書き終えた後、テレビを見ていたら突然番組を中断して、王監督が胃癌で手術する為に入院するとの記者会見を開いていた。
posted by ヒゲジジイ at 22:32| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2006年07月03日

漢方専門薬局なのに煎じ薬を殆ど販売しない二つの理由⇒中医漢方薬学

 専門家の間では中医学をマスターすればするほど、煎じ薬でないと実際の中医学的な適切な漢方薬は作れないというのが通り相場である。
 ヒゲ薬剤師の発想では、まったく逆であった。

 漢方入門当初は吉益東洞流の日本漢方を信奉して10年以上、その時は煎じ薬でなければ漢方ではないと思い込んでいたほどだ。
 ところが逆に、キメ細かな中医学理論を修得すればするほど、逆にインスタント漢方でも、十分に通用することを知ることとなった。
 
 そんなことはどの本にも書いてないが、中医学における中薬学を学べば学ぶほど、面白いことが分かってきたのである。
 中国は広いから、各省ごとで漢方製剤原料である生薬を現地調達しなければならないので、効能の目的が一致すれば、代用生薬が使用されることが多い。要は、弁証論治にもとづく効能本位で、あらゆる生薬を有機的に応用するのが中医学の基本でもあり融通性に富んだところでもある。

 それならば、漢方処方においても同様なことが言えるではないかとの発想から、基本方剤をとても大切にする漢方医学、日本漢方の精神を受け継ぐとともに、これに中医学理論を導入し「中医漢方薬学」と名付けて、煎薬を使用せずに、エキス製剤を中心に組み合わせて応用すれば良いことを随分前に発見したのだった。

 煎じ薬を滅多に出さない理由のもう一つの大きな理由が、当時、盛んに手作り煎じ薬を製造販売していた頃は、連日、猛烈な漢方薬の粉塵に見舞われ、常に鼻声の毎日。「風邪でも引かれましたか?」とシバシバ来訪者に怪訝がられたものである。

 当時、地元の建築会社の社長さんから歯科用の集塵機にいいのがあるから導入するように何度も強く説得されたものであるが、とうとう導入する前に、煎じ薬の製造を殆ど止めてしまったひらめき

 こんなことを一生続けていたら、そのうち塵肺になるのは必定だと、タバコのことは棚に上げて、中医漢方薬学を実践すること二十数年、現在に到るということである。

 ところで、さきほどGoogleで「漢方薬学」を調べて見たら、ひげ爺の発明した「中医漢方薬学」のオンパレードなのに、ビックリ仰天exclamation&question

夏目漱石の「三四郎」←広田先生の哲学の煙が有名です。それにあこがれた若き日のヒゲ薬剤師であった! 

 漱石の「三四郎」。書中の偉大なる暗闇、哲学の煙を吐く広田先生にあこがれた若き日のヒゲ薬剤師なのであった。
posted by ヒゲジジイ at 18:49| 山口 🌁| 徹底したポリシー | 更新情報をチェックする