4月23日の21日の続き:アトピー性皮膚炎の漢方薬の御相談 の続き
お問合せ:村田先生
先日はアトピーの漢方薬に関してご相談に乗っていただきありがとうございました。
いただきましたアドバイスを生かすべく、近隣の漢方薬局を探したりしておりますが、ピンとくる薬局が見つからず、以前通っていた漢方医のところへ塗り薬と痒み止めを貰うために未だに通っているという感じです。
漢方薬は十味敗毒湯と竜胆しゃ肝湯を1日2回エキス剤で服用しています。
5月になって漢方医に行ったときに、漢方薬も処方してもらったのですが、なんとなく今飲んでいる薬のほうがそのときの処方より、効いているような気がして上記の薬を飲んでいます。
その処方は十味敗毒湯1+猪苓湯1+三物黄ごん湯1/2を1日2回というものです。
今の症状は、一目見てアトピーとわかる容貌です。特に脚の内腿と腕の内側に痒疹がたくさんできていて、そこがじくじくして痒いというのが主な症状で、竜胆しゃ肝湯は下半身に良いということで、飲んでいるうちに脚の痒疹がだんだん小さくなって来ています。
上半身に効いているかどうかは判りません。特に首の後ろ側がひどく、夜寝るときにはじくじくしてきます。
3月位から悪化していて、湿疹が全身に及んでいます。
ブログに書かれていた先生のアトピーに関する論文を読ませていだだきました。
素人には難しく、斜め読みの、自分に都合の良い解釈ですが、温清飲に関することはまさにそうだ、と深くうなずいてしまいました。
表面は乾いていても、皮膚の下は浮腫んでいたりして、その水が行き場が無くて逆流してくるんじゃないかと感じます。
それで、熱くもないのに汗をたくさんかいたりします。
それを止めるために、防巳黄ぎ湯や桂枝加黄ぎ湯を処方されたときもあったのですが、飲んですぐは皮膚が乾いて、調子が良いのですが、その水の行くところがなくて皮膚の下に溜まっていて、それを尿として排出するだけの腎臓の機能がないのか、そのうちに再び汗がたくさん出るようになったりします。
じくじくすることはとても気持ちが悪くて、私にとっては一番避けたい事です。
それで、尿が増える処方が、自分にあった処方と思う傾向はあると思います。
私が今まで処方されて、尿が増えたものは消風散と竜胆しゃ肝湯、当帰四逆加ごしゅゆ生姜湯等です。
猪苓湯は尿が増えたと実感したことはありませんが、他の漢方薬との組み合わせもあるのでしょうか。
五苓散は時には増えて、時には変化なしでした。
それで、今回の先生の論文を読んで、自分は竜胆しゃ肝湯を飲み続けてもよいのではないかと思ったのですが、当帰と地黄を抜いたものとなると煎じ薬が良いということでしょうか。
それから胃強というのは胃が強いということでしょうか。
アトピーの人は大食いが多いといいますが、私も胃は強い方で、健啖家だと思います。
食べすぎがアトピーの原因ともいうので、少し食欲を抑えるお薬を飲んだ方がよいのではないかと思う位で...。
私の一方的な思い込みかもしれませんが、先生なら私のアトピーを治していただけるのではないかと、今回痛切に思いました。が、いかがなものでしょうか?
一度も・・もしないで処方してくださいというのは無理だと承知しております。
すぐにそちらへ伺うことも多分できないので1ヶ月が2ヶ月か先になると思いますが、
みていただけますでしょうか?
どうかよろしくお願いします。
ヒゲ薬剤師のお返事:拝復
ブログに再録した拙論は、当時ステロイドの乱用によるリバウンドなどで、炎症症状の激しい人ばかりを扱っていた関係で、強力な消炎作用のある黄連解毒湯を中心にした考察でしたので、やや偏っています。
かなり中医学的に正統なやり方は、その後に書いた、
http://www.kanpoyaku.info/hihaibyou.html
こそが、かなり中医学の正統的なやり方です。
しかしながら、ここ5年以上はもっと改良を加えた中西医結合的な方法で、個別性のみならず普遍的に、I型アレルギーに高確率で有効な方法を土台に、弁証論治に基づく方剤を加えることでやっていますので、進化し続けているつもりです。
ところで、竜胆瀉肝湯があっているようでしたら、その方剤は基本としてしばらくは続けるべきでしょう。また、地黄や当帰を除去せずに様子をみてもいいと思います。
http://www.kanpoyaku.info/hihaibyou.html
こちらのほうの拙論には、当帰や地黄入りの方剤も必要に応じて使用していますよ。
むしろ問題は去風薬の配合された十味敗毒湯が合っていないのかも知れませんが、どう思われますか?貴女の実感としては?
去風薬の配合問題は、十数年前にも拙論があるので、近々にはブログにでも再録しておきたいと思います。(全面的に正しいとは言えないかもしれませんが、かなり一理あることを述べています。)
貴方はとても観察力がおありですので、あとは舌の状態で、かなり判断がつくかもしれませんよ。
ところで、当方でも、もっぱら下半身のアトピーが重度であった30前の女性に、同じ竜胆瀉肝湯でも「一貫堂の竜胆瀉肝湯」に猪苓湯や地竜(みみず)あるいは茵チン蒿湯など適宜加えるなどして八割がた略治している人もおられます。
もしも舌に黄膩苔などがあれば、竜胆瀉肝湯・茵チン蒿湯・猪苓湯、このへんで合いそうにも思いますが、なにせ少ない情報での推理ですから、決してアテにはなりませんよ。
猪苓湯にしても組み合わせる相棒次第で、効果は大きく左右されます。
どうも、貴方には十味敗毒湯が怪しい(というのも、ゆえあって小生の大嫌いな方剤ですが、カンジタにはシバシバ効果を発揮します、アトピーに使用するのは問題の多い方剤だと思います。)
これ等の方法でも無理であれば、やっぱり直接来られないと、いいアドバイスは無理かもしれません。
やはりあとは舌の状態です。
頓首
2006年05月14日
アトピー性皮膚炎の漢方薬(再度の御質問)
posted by ヒゲジジイ at 20:14| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問
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