アトピー性皮膚炎の漢方薬の御相談の続き:村田様
漢方薬はなかなか難しいものですね。
以前、補中益気湯を1ヶ月位飲んでいたところ、おへその周辺が差し込むように痛くなったことがありましたし、人参が入った煎じ薬を飲んでいたとは、飲んでしばらくすると汗が全身から吹き出てきました。いずれも夏です。
秋以降は消風散を飲んでいて、生理前はとてもよく効くのですが、生理が終わって2.3日すると、却って痒くなって飲めなくなったりします。
そういったことは快い症状ではないので、漢方薬を飲むことによって生じているのなら、先生に言って何か手を打ってもらえばよいのですが、こちらの話し方が悪いのか、なかなか話が上手く通じなかったりします。
三物黄ごん湯などはやはり夏でしたが、冷えて冷えて。
猪苓湯は「却って浮腫む気がします。」と言っても「そんなにおしっこでないの?」
と不思議がられてしまいました。
そういった症状が一次的なものなのか、薬があってないからなのか素人には判断できませんし、不快な症状が続くとそれがストレスになって、自律神経がおかしくなったのではないかと思います。
加味逍遥散は半年以上飲んでいたのですが、ここ3日ばかり飲むのをやめたら、寝汗はまだかきますが、寝汗とともにあった動悸とほてりがなくなりました。
それだけでも、夜寝ている間に数回あって、その度に目が覚めていたので、目が覚める回数が減り、半年ぶりに安眠できるようになりました。
動悸とほてりも更年期の症状だからと言われていたのですが、寝ている間だけで、昼間は肩や腰や足が冷えて、寒くて仕方ないのです。
アトピーの薬は身体を冷やすものが多いと聞いていますが、そのせいなのか、夏に冷えた分が今も影響しているのか、もともとが冷え性で汗っかきですが。
冷えとかお血とか治さないとアトピーも治らないよ、と言われているのですが、じゃあどうすれば治るのかって悩みます。
言われるままに半身浴もしているし、5本指の靴下も重ねばきしているし、洗剤は使わず、食べるものにも気をつかい。
保険が効くからと医師免許を持った医者に行ったのが間違いだったのでしょうか。
中医薬の専門の薬局で相談した方が、効果的だったのでしょうか。
ずっと以前、20才台の頃、中医薬の薬剤師さんに漢方薬を処方してもらい、とてもよく効いたことがありました。そのお薬は対症薬だそうで「体質改善もしないとだめだよ。」と言われていたのですが、その頃はその薬がよく効いていたので、体質改善はおざなりになってしまいました。
その時は即効で効いたので、漢方薬は時間が掛かるということはないと思っています。
効く薬は即効くと思います。
こちらは●●●の◎◎市というところですが、この近くで村田先生のおすすめの先生はいらっしゃいませんか。
先生のところまで行けたらとは思いますが、子どもが3人(・・、・・、・・)いて1週間滞在するのは無理だと思いますし、夏休みなら可能かと思いますが、今すぐはどうしたらよいのか、本当に悩みます。
厚かましいお願いかと存じますが、ご存知でしたら御教え願います。
どうぞよろしくお願いします。
ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
漢方はなかなか難しいどころか、とっても難しいものですよ。
そうだからこそ一定レベルの知識と経験のある人が、慎重に綿密にやっていけば、多くの場合、最終的にはかなりピッタリの方剤が選択できるもので、アトピーのみならず全身症状も同時にかなり改善されるものです。
ただ、時にはとてもピントが合わせにくい体質の人、つまりとても複雑な要素が錯綜している方もあり、四季折々に方剤を変化させないといけないデリケートな体質の人があったりで、世の中、あるいは人様々です。
貴女の体質は案外複雑で錯綜した体質かもしれませんので、中医学も日本漢方も一定レベル習得した先生でなければ難しいかもしれません。
どこがいいだろうかという御質問ですが、これまでもここはいいかも?と思ってご紹介しても、案に相違したというケースばかりで、もうご紹介する自信がありません。
お近くで勉強熱心な先生がおられたら(漢方薬局の方がそれだけでメシを食っているだけに)、その先生を育ててあげるくらいのつもりで、適切な漢方薬が見つかるまで、根気よく通い詰めるのも一つの方法だと思います。
当方でも、毎年一人から三人くらいは、なかなかピントが合わずに難航して、そのうち親しくなって体質のみならず性格や趣味などが分るくらいになった頃に、ようやくトンデモナイ発想が浮かんで、突然ズバリ的中しだしたという経験は毎年のようにあるのです。
ただ自費の漢方ですから、最初はなるべく少ない配合で見ていても、結局は複雑な配合が必要となってやや高価な経費を強いられる場合もあれば、意外に単純な漢方処方の組み合わせでよかったりと様々で、簡単にピントが合う人が9割以上とはいっても、毎年ごく少数の人には、当方でも難航し続けるケースがあるわけです。
それでもお互いに根気さえあればどんなに長くても一年以内に安定した方針が定まるもので、そんなに難航した人に限って、漢方の大フアンになって、アラユル病気を漢方で対処されるようになった常連さんが沢山おられると言う事実は、とても不思議でならないほどですよ。
ということで、アドバイスの結論としては、なるべくお近くで漢方薬の勉強に熱心な先生を見つけられ、その先生を育てるつもりで賭けてみるのが一番かと愚考しますよ、ということです。
ともあれ、こんな言い方は適切でないかもしれませんが、アトピーなんてありきたりな病気なんですから、当方でも最近は近くの新しいアトピーの人が連続して、もちろん全員病院治療で治らない人達ばかりですが、一定期間は病院から出されていたステロイド軟膏を必要最小限使用してもらいながら、みなさん順調に軽快して行っていますよ。
文明の力であるステロイドも正しく使えば、漢方薬とも相俟って案外に順調に緩解していくものと思います。
(昨今では、アトピー性皮膚炎に関しては、案外やさしい病気かもと思い上がったりしている所です。)
以上、余分な感想まで付け加えて(笑)・・・お返事まで。
頓首
追記:ステロイドを必要最小限使用すべき根拠となる文献
アトピー性皮膚炎の漢方治療 東洋学術出版社
2006年04月23日
21日の続き:アトピー性皮膚炎の漢方薬の御相談
posted by ヒゲジジイ at 00:34| 山口 ☔| 漢方と漢方薬関連の御質問
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