お問い合わせ内容 : 78歳の母が本年初頭より突然ひどいもの忘れをするようになり、急遽、二月にもの忘れ専門外来を受診、CT、MRI、脳の血流検査、詳しい問診テスト等を経て、ごく初期のアルツハイマー型痴呆症と診断されました。
現在アリセプト5ミリとイチョウの葉エキスを服用しています。
初診からやがて二ヶ月たとうとしていますが、その間にももの忘れは急速に進み、3分前に言ったことを記憶していないこともしばしばです。
今のところまだ、簡単な買い物や家事はこなせていますが、最初病気の自覚がなく、もの忘れ外来受診を嫌がった母も、今では自分自身のもの忘れの激しさにすっかり戸惑い気味です。
母は155センチ40キロ、血圧65−105。40代で子宮筋腫による
子宮全摘、甲状腺ガン、極軽い狭心症を患った以外は全く健康です。
自身、健康には大変気を使ってきたようです。
若い頃より痩せており、食も声も細く、性格は頑固で、やや理屈っぽく、まじめで臆病、何事も気に病むタイプで、人付合いがよいほうではありませ
ん。
また早期覚醒があるようで10年以上も、ほぼ毎日ミンザリンを服用しているようですが、それでも早朝2時頃には一旦目覚め、後はうつらうつらしているようです。
また、何時からかは、はっきりしませんが、しょっちゅう大きなため息をつき、父の前では疲れた疲れたを連発しているそうです。
よくよく考えれば、病気はずっと以前に発症し、今、目に見える段階まで進行してきたのかもしれません。数年前にものの味がしなくなったと言っていたことを思い出します。
そのときは亜鉛の不足かと疑われましたが、結局そのままになってしまいました。
もの忘れ外来でいただいている薬は今後も服用を続けると思いますが、漢方薬の併用で、体質を改善して、病気の進行速度を少しでもゆるやかにできな
いものかと考えております。本人は昔、甘草の入っている漢方薬を服用して血圧が上昇したことがあるといっていますが、さだかではありません。
本来、本人をつれて相談に上がるのがスジと思いますが、なにぶん高齢者なので、むずかしいところです。◎◎でも信頼できる漢方の先生がどこにいらっしゃるのかわからないのが実情です。
このような質問が当コーナーに適しているのかどうかわかりません。もし適していなければお許し下さい。
ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
年齢を考えますと、いかにブレーキをかけて、少しでも進行を遅らせ、あわよくば僅かでも回復するのが望ましいところですが、残念ながら当方では、ご高齢になってはじめて当方の漢方薬をお出しするというケースが、僅少です。
ご高齢になってはじめて漢方薬をお出ししているケースとしては、進行癌などでご本人様やご家族のたっての願いから、現在の症状を緩和して少しでも元気に、ということで漢方を利用される高齢者が少数おられる程度です。
ところが、五十代の頃から当方の漢方薬をはじめられて、現在80歳を越えているご高齢者は、かなりな人数おられます。
五十代くらいから病院で治らない各種の慢性病や難病で漢方を始められた多くの方が80を越える高齢になられても、皆さん同年代の人よりも元気で、ボケなどの老化現象も来たすことなく過ごされている方が、たくさん常連さんとしておられます。
このことから考えますと、漢方薬を長期に続けておられる方は、身体はもとより脳の老化なども生じにくいように見えます。
アルツハイマー関連の漢方薬は、日本国内でも、加味温胆湯や当帰芍薬散、あるいは釣藤散その他さまざまに言われていますが、あくまで弁証論治にもとづいて適切な漢方薬方剤を合わせるべきです。
これらの方剤は、漢方専門薬局やクリニックであれば、簡単に手に入るものですから、お近くの専門のところに訪問されて、適切な1〜2方剤を選んでもらって様子をみて見られては如何でしょうか?
メールを頂いて、気がついたのですが、日本国中にアルツハイマーでお困りの方はとても多いのに、当方の薬局では、意外に直接漢方薬をお出ししたというケースが、三十数年間もこの仕事をしていても、本当に僅少であるということでした。
考えて見れば、当方の方針が、どのようなご病気であれ、ご本人様自身が漢方薬を積極的に求めるのでない限り、(ほんの一部の例外を除いて)ほとんどすべてお断りしているからのようでした。
以上、まったくお役に立てずに申し訳ありません。
頓首
折り返し頂いたメール:村田様
メール、拝見させていただきました。
痴呆は40代50代からゆっくりと始まり、10年20年かけてゆっくり進行、最後は加速していくもののようです。始まりからゆっくり進行している段階で漢方を服用させ、老化を遅らせる措置を取るべきだったと今更ながら悔やまれます。
教えていただいた漢方薬は病院の先生にだしていただけるかどうか相談し、
不可能ならば漢方薬局で相談して服用させてみたいと思います。
高齢の父に代わり、母の病院探し、通院の付き添い等は、私が主となり関わっています。
両親の至近距離に住み、しかも自営業で比較的時間に余裕のある私でさえ、今回のことでは自分でも気づかぬうちに疲労したようで、私の方が最近注意
散漫になったり、もの忘れをしたりしています。
私も母の子ですからそろそろ脳の老化対策を始めた方がよい時期かもしれません。
最後に、一面識もない私に対し、丁寧にご返信くださり、心より御礼申し上げます。
4日
2006年04月04日
アルツハイマーの漢方薬
posted by ヒゲジジイ at 00:00| 山口 | 漢方と漢方薬関連の御質問
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