2006年04月01日

二十代男性のネフローゼ症候群の御相談

お問い合わせ内容 : はじめまして。●●と申します。

私は、5歳でネフローゼ症候群を発症し、現在も再発を繰り返しています。

高校入学頃に腎生検を受け、微少変化型と診断されました。

 それから、2年だけネオーラル薬を使いました。

*()内はだいたいの再発頻度です。

5歳(1年〜2年ごと)〜[中学〜高校〜専門学校](2〜3年ごと)就職後、去年の夏より7月、11月、3月と再発を繰り返しています。

また、高校入学時より再発時でも入院せずに治療を行っています。

再発時の自覚症状としては、尿量が減ります。

ただ、学生時代と違うのは再発しても突然+3+4などになる事はなく、緩やかに時間をかけて蛋白量が増える。
むくみ、だるさなどはない。があげられます。

小学校の頃は、サイレイトウを飲んでいました。効果はあまりなかったように感じます。

現在の状況としては、今日からプレドニン朝25mm 夜25mmガスター朝1錠 夜1錠 を服用しています。

さすがに西洋医学では、限界を感じてきました。

また、再発の規模は小さくなっているものの頻度が早くなっている事で、非常に参っております。

 そこで、いろいろと漢方の事を調べているうちに村田先生の事を知りました。なんとか、健康な体になりたいです。助けてください。お願いいたします。


お返事メール:そちらの地方からの御問合せばかりが多いのですが、大都会でもあるので、きっと探せば本格的な漢方相談を行って下さるクリニックや漢方薬局がありそうにも思うのですが、お近くには漢方専門のクリニックあるいは薬局はありませんか?

ネフローゼ症候群は、多かれ少なかれ免疫系の問題も絡んで意外に複雑多変なものですが、漢方といっても中医学・中薬学理論にもとづいた理詰めの考察で根気よく適切な漢方薬を合わせていけば、多くの場合は緩解できるものと思います。

しかしながら、患者さんも漢方をお出しする側も、共に根気と努力の要る作業で、忍耐強い冷静さと適切な判断が要求されるのは、あらゆる慢性疾患に言えることです。

あてずっぽうのことをやっていても徒労に終わることが多いので、合理的に科学的な目で冷静に対処する必要があります。

西洋医学などの実証科学だけが科学理論というわけではなく、中国古代の哲学、陰陽五行学説を基礎として現実にマッチした理論体系を構築した中医基礎理論は、それなりに優れた結果が伴うものであるだけに、一つの立派な構造主義科学理論であることに間違いありません。

こんなところで科学理論の講義をしてもしようがありませんが、いつも当方のサイトやブログで再三書いていますように、なるべくお近くで綿密な御相談に乗って下さる中医学と日本漢方の両者を一定レベル習得された先生を見つけられることです。

何年がかりの長丁場になることはほぼ確実でしょうが、うまくコントロールできれは完全緩解に近い状態に持ち込めることが多いものです。

但し、現在の状況が、たとえばクレアチニン・BUN(尿素窒素)などに、どの程度の異常が出ているか、と言う問題、それに主治医が漢方治療の併用を認めてくれるか、という問題。

漢方を否定するようなお医者さんは、まさかいないとは思いますが・・・・・・。

以上、まとまりのないお返事になりましたが、これまで同類の御問合せから推測されることは、それじゃ〜〜どこで漢方相談をしたらよいのか、ということに結局は行き着くのではないかということかもしれませんね。

当方には、具体的にはアドバイスすることは不可能です。

以前、クリニックを御紹介して失敗した経験で、懲りてしまいました。

電話帳やネットで調べて、軒並み電話して、その応答内容で推測するしか方法がないかもしれません。

蛇足ながら、たとえば村田漢方堂薬局のような感じの悪い薬局では、若い人の電話となると逆に受けるほうが警戒心から (というのもヒヤカシのお気楽な相談を最も嫌うからですが・・・・・) やや不愉快な応対をされるかも知れません。

以上、お返事まで。
posted by ヒゲジジイ at 15:47| 山口 | 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

前回のメール交換の内容の反省! 購入された健康食品の問題を指摘する以前に注意すべきだったこと:ハードな勤務を止めることが一番のクスリかもしれませんよ、ということだった!

前回投稿分の往復メールの内容、漢方処方や不適切かもしれない健康食品の問題以前に指摘して差し上げるべきだったこと。

それは、彼女のハードな勤務内容を改善するなり、仕事を辞めるなりすることが最善の治療となる可能性が高いのじゃないか、ということだ。

日本人は働きすぎだと言われるが、本当にそう思う。

かく言うヒゲ薬剤師だって、今夜中の二時十五分だというのに、本業外でもこのようなブログを続けているんだから!

自分のことは、どうせ老兵、ただ消え行くのみだから放っておくとしても、若い御相談者は、そのハード勤務が身体に応えているのは確かだ。

きっとこのブログも見られているはずだから、その勤務内容の改善なども是非考えて欲しい。

過重労働による身体のヒズミを治すのは、休息に勝るものはないと思いますよ!
posted by ヒゲジジイ at 02:18| 山口 | 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

漢方薬をサプリメントと同類に思っていた女性からの返信メール

返信メール:村田漢方堂薬局 村田恭介先生

お忙しい所早速ご返信していただき、ありがとうございます。

「◎◎◎◎」は、一応コンセプトとしては「漢方・中医学」に基づいた処方をすると書いてはあります。

相談員の女性に、先ほどメールでお送りしたような症状と、舌の状態を見せ、処方していただきました。

冷え性でも、赤みを持った湿疹がある場合は、荊芥連翹湯が良いと言われました。

万が一「めんげん」があるかもしれないとも、言われました。

今回処方した漢方薬は20日分なので、それがなくなる日にまた面談です。

相談員の女性は大体一緒のようです。

村田先生の仰るように、10日前後通いつめる必要性があるのは、10日前後である程度の変化が見込めるためでしょうか?

ちなみにそこでは荊芥連翹湯と一緒に、「×××」という高額なエキスも購入しました。
主な成分:霊芝エキス、クマ笹エキス、・・・エキス、・・エキス、・・エキス、リンゴ、果汁、還元麦芽糖 ……で \26,000 です。

この成分の効き目はまだ実感できていませんが‥。

今後も村田先生のサイトで、漢方に対する理解を深めていきたいと思います。

近年のめまぐるしく変わる健康ブームに踊らされて、目新しいあれこれに手を着ける以前に、じっくり腰を据えて体質改善していきたいものです。

宜しくお願いします。


これに対するヒゲ薬剤師のコメントメール:拝復

冷え性でも、たとえば舌質に赤味が強い場合は芯からの冷え性ではなく、血行不良のために冷える部分があるだけで、こんな場合はうかつに「強く温める漢方薬」は使えない場合があるなど、自覚症状だけでは決められない場合も多いものです。

それだけに「×××」などのような健康食品中の霊芝などは、キノコとしては価値あるものですが、赤味の強い湿疹であればよいとは限らず、逆効果となる場合が多いものです。

霊芝は温性の性質で、これが少し逆効果になることだって考えられる。

貴方のような湿疹を持っている状態で、このような高価な健康食品を出される意図がまったく不明です。

儲け主義ととられても仕方がないかもしれません。

成分中の熊笹などは無難でしょうが、熱性の湿疹であれば霊芝がよいとは限らない、ということです。

こういう配合を最初からされていると、荊芥連翹湯などの漢方処方の反応の良し悪しの判断が出来なくなり、中医学の弁証論治も何もあったものではありません。

ちょっ信じられないことで、同じ健康食品を使われるなら、まだニガリなどのほうがはるかにマシですよ(笑)

ところで、10日分にはとても意味があって、小生の長年の経験では、多くの場合、どのような病気であっても、7日から15日くらいまで、理想的には10日前後で反応を見れば、多少とも効果がみられるもので、まったく効果がない場合は、すかさず修正して、その繰り返しで、10日毎に確認しながら「小細工」をするのが一番早道だと考えるからです。

小細工というと聞こえが悪いですが、この小細工こそが漢方や中医学の妙味なのです。

以上、忌憚のない感想を述べました。

同じ健康食品を出されるにしても、しっかりした根拠のあるものを出してくれるところに変えたほうがよいかもしれませんね。

さきほども述べたニガリなどは、良質なものを使えばミネラル不足を補えるし、イオン化カルシウムなども便秘しない程度に少量補給するなど、健康食品にも合理的なものもあるのですよ。

でも、赤い湿疹が出ている人に、霊芝の含まれた健康食品とは、ちょっとネということです。

頓首

追伸

めんげん(めんけん)についての見解をすでに述べていますので、下記をご参照下さい。

http://murata-kanpo.seesaa.net/article/7867542.html


注記:上記「×××」という健康食品中に含まれる「霊芝」は中国の漢方薬製剤原料の原典ともいえる「神農本草経」に上薬として記載された優れたものであるが、残念ながら日本では健康食品扱いとなっている。
 また「クマ笹」については「本草綱目」に中草薬、つまり漢方の薬草として記載されている。日本では医薬品の製造許可を得て販売している製薬メーカーが一部にあるが、許可を得ない限りはすべて健康食品扱いであるから薬効はうたえない。
 「×××」にはこれ等以外にも漢方とは無縁の食品が複数含まれており、明らかに「いわゆる健康食品」であることがわかる。
posted by ヒゲジジイ at 01:26| 山口 | 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする