2006年01月26日

×××薬局さんのように村田漢方堂薬局のHPには実際の経験例は書かれないのですか、とのお問い合わせに対するお答え

かなり遠方の方からのお電話でのお問い合わせで、実際の経験例をHPにはかかれないのですか、×××薬局さんでは詳しく書かれていますが、との御質問があった。

応対に出た女性薬剤師は、専門誌のこととばっかり思い込んでいて、まさかHP上のこととは思わなかったらしく、以前は書いていましたが、最近は書いてないようですよ、とややピント外れのお返事をしていたようだ。

そのお電話が終わって気がついたらしく、な〜〜んだ、HPに書いてないかという質問だったんだ〜〜と言っていた。

当方に直接来られるか、経験例を詳細に出されているところに行かれるか迷われている風だったとのことだったが、女性薬剤師のお返事は、あまりに遠方だから地元で探されたらどうですか、お答えしていた。

ところで、その経験例なるものであるが、専門誌になら30才頃まで、だから25年前頃までは、漢方の素晴らしさに我ながら感激することばかりで、東亜医学協会に連載で『漢方経験雑記』という題で、ずっと連載させてもらっていたことがある。

その後は、専門的な考察に次第に熱中しはじめて、ウチダ和漢薬の月刊『和漢薬』誌や東洋学術出版社の『中医臨床』誌に書くことが多くなっていた。

また、やはり30才頃までは、小太郎製薬の『漢方研究』誌にもよく書いていた記憶がある。

経験例を次第に書かなくなったのは、若い頃に書き飽きてしまい、また経験が豊富になるにつれ、御相談内容も次第に難病系統ばかりが増えてくると、それぞれが特殊な疾患の方ばかりだから、ありきたりの血の道症やメニエール氏症候群などとは異なり、どなたの事かは決して判別できないように記載するのは当然だが、それでもその特殊性のために、何だかもしも偶然でもその方が目にされたら、あまりいい気持ちがしないだろうと想像すると、ますます経験例を書く気がしなくなってきた。

とはいえ、書くことがどうしても必要な場合は、類似した数名を一人にまとめたやや架空の人物像を創造して書くようにしている。

風邪とインフルエンザ専門の

漢方と漢方薬は風邪・流感(インフルエンザ)に本当に有効か?

のように、誰もが罹る疾患の場合は気が楽なもので、色んな実例を出したところで、何の気がかりもないように思われる。

それに、特殊な疾患の御相談例で、漢方が有効だった例を書き連ねれば際限がない訳だが、これをあまりに自慢げにやりすぎると、極端にお問い合わせが殺到されても困る。

のみならず、皆がみなそう簡単に適切な漢方薬方剤がすぐに合わせられるとは限らないのだから、あまり過信されても困る。

三十数年間の経験だから、出せばきりがないのは当然で、それに期待されて「殺到」された場合は、この繊細可憐な神経が参ってしまう。

それほど漢方の弁証論治という作業は骨の折れる、神経を消耗する仕事だから、やわな小生にはもう少し若かった頃のバイタリティーの欠如した昨今、不必要な過労は避けたいのであった。

第一、HPやブログを始めたのは、業者の説得力のある上手な勧誘に乗って始めたものの、もともと書くのに何の苦痛も感じないほうだから、中年になってボケ予防にちょうどよいのと、日本の漢方の様々な問題点を少しでも良い方向に持っていけないものかという専門誌執筆時代からの延長につながる作業にもなった。

ということで、あまり自慢げに経験例を書く気にならない理由を述べた。

特殊でない風邪やインフルエンザレベルのものなら、はっきりした目的もあるだけに、上記のブログでバンバン書いていくつもりである。
posted by ヒゲジジイ at 01:48| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする