2005年10月15日

男性医師からの西洋医学治療における風邪治療のパターン化における味気なさの嘆きのお便り

お問い合わせ内容: こんばんは。

時々貴サイトおよび、ブログ類を読まさせて頂いています。

医師をしている●●と申します。

 確かに、西洋医学風の治療法は面白くないです。

「鼻水、鼻づまり」 → とりあえずPL「鼻や痰が色つき」→ とりあえず抗生剤 (第三セフェムが多い、小さい病院なら1種類しか無く自動的に薬名は決まってしまう)「鼻、痰が粘っこい」→ とりあえずムコダイン「咳が出る」    → とりあえずメジコン「のどが痛い」   → とりあえずロキソニン、トローチも?あとイソジン。

「熱が出る」    → これもロキソニン「まだ鼻が黄色いです」→「抗生剤変えましょう。

(そんな抗生剤ばかり飲んでもなあ、職業上出さずにはいられないか)」「どうしたら早く直りますか?」 →「まあ2,3日はかかりますよ。

よく水分とって寝といて下さい。」と、パターン化されていてアレルギーや他の薬を飲んでない人なら、コンピューターにやってもらったほうが正確です。

 漢方ならこまかい症状によって薬が違うのに、西洋医学はパターン化されている。

治るかどうかは確率の問題。

 西洋医学の抗がん剤でさえ、みんな同じ処方ではダメなことに気づいてオーダーメイド(正確にはテーラーメイドらしい)医療をめざしているのに。

まさか漢方でランダマイズド・コントロールド・トライアルをしているとは知りませんでした。

中医学に従い細かい症状(?)ごとに効果を検討して、やっぱり中医学は正しかった、と確認するつもりならともかく。

ご質問というよりも、嘆きのメールとなってしまいました。

夜も遅いので、お休みなさいませ。


お返事メール:

拝復

そこまで気がつかれた先生方ばかりであれば、嬉しいのですが、きっとご存知のように、多くの医療関係者は、たとえ医療用の漢方があっても、中医学理論はおろか、漢方医学理論さえ無視した、西洋医学化、つまり単純化された「病名漢方」的な研究ばかりに目が向いているようです。

本来、西洋医学が普遍性を目指す医学・薬学であり、中医学も漢方医学もともに、個別性を重視する医学・薬学です。

それぞれの特徴および特長を活かした中西医結合を目指すべきなのに、漢方薬そのものを、先生のお嘆きの西洋医学式のパターンの一角に組み込むレベルの使用方法や研究方向ばかりが盛んです。

このまま行けば、日本漢方は、漢方とは名ばかりの、西洋医学化漢方に堕するばかりだと、残念に思います。

以上、当方のお答え、というよりも、先生と同じような、嘆きの言葉に終始してしまいました。

今後とも、中医学に注目されますよう、お願い申し上げます。
                                      頓首