2005年10月08日

「めんげん」「好転反応」についての御質問

お問い合わせ内容 : はじめまして。 

「めんげん作用」というのは中医学には無い日本独特の観念であるとどこかのサイトで見た記憶があるのですが本当でしょうか。

健康食品等ではさらに「好転反応」と言い換えられて、摂取で体に異常が出た場合「それは好転反応だ。今止めたらもっとひどい事になるぞ。」と摂取の続行を迫るのに使われているとも聞いた事があります。

「めんげん作用」が実在しても、それは漢方医でないと判断できないのではないかとも思いますが。


お返事メール拝復

とても鋭いご指摘と、ご質問であり、大変嬉しく思います。

ご指摘の通り、中医学では、「めんげん」の話は、聞いたことも、読んだこともありません。

「めんげん」のいわれや歴史は、他サイトでも説明があると思いますので、小生の個人的な見解を述べさせて頂きます。

日本漢方では、素晴らしいことのように言われますが、小生は、健康食品などでいわれる「好転反応」の多くは、あるいは、ほとんどは、副作用だと思っています。

漢方薬(漢方処方)で生じるといわれる「めんげん」も、実際にあるにはあるらしいのですが、小生の薬局では、服用後に明らかな不快反応が出れば、それは合わなかったものとして、中止してもらうことになるでしょう。

但し、軽度の不快感の場合は、先入観や薬に対する単なる不安から、ということもあるので、まず、量を減らして様子を見てもらいます。

いずれにせよ、三十数年間の経験からは、不快反応がでた場合、それがめんげんか、あるいは副作用か、判断できるものではありません。

但し、日本古方派では、古人も言い、現代でも、とてもよいことのように賞賛される雰囲気すらありますので、実際には、「めんげん」という好転反応は、漢方処方については、存在するのでしょう。
その場合は、多くは、はじめから薬用量が多かった時に生じ易いようです。

ただ、先にも述べましたように、副作用かめんげんかは、たとえ専門家でも区別は付きにくいと思います。
結果論でなければ、実際の所は分らないということです。

ですから、小生の薬局では、最初は比較的少なめから様子を見て次第に用量を増やすやり方をしています。

なお、健康食品などで言われる「好転反応」は、多くの場合が、副作用で、体質に合っていない反応のようですし、これは、漢方薬の場合も同様ではないかと思います。

販売する側の手前味噌だと、断定しても良いくらいです。

特に健康食品は、素人が素人に販売しているケースが多いだけにやや不安です。

とりとめのないお返事になってしまいましたが、以上、個人的な見解を述べさせて頂きました。
                                         頓首


【参考文献】
  1. 瞑眩(めんげん)や好転反応に対する疑義

  2. 本物の瞑眩の実例⇒ 漢方薬による瞑眩(めんげん)⇒好転反応は超稀にはあるっ!
posted by ヒゲジジイ at 09:13| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

中国の某中医学院に留学中の女性からの御質問

お問い合わせ内容 :

初めまして。
体の具合が悪くて相談・・と言ったメールではないのですが…。

私は今、中国に留学しています。××中医学院といいます。

こちらへ来て2年経ちました。

中医を学んでみたいと思ったのは「病気」でなく「病人」を診るそんな人になれたらな、なんて言う気持ちからでした。

こちらへ来て私が学んだ内容なんてほんと僅かの僅かの薄っぺらいもので…来年の卒業を控え、そして友人達がみんな就職して(気にすることではないのかもしれませんが)急に焦りを覚えました。

日本へ夏休みなどの休みのたび帰国しているんですが「漢方薬=サプリ」感覚で売られている、扱われている現実にちょっと驚いてます。卒業後の道に今とても不安を抱いています。

たまたまインターネットで「中医」を検索したら先生のページにたどり着き本当に驚きました!
こんなにも中医に長けている日本人の先生がいるんだ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!
不安というのは自分のしたいことがビシッと定まらないためアレもコレもと貪欲になって、どういう道を作っていけばいいのか、「?」な状態そして私の歳で(24歳)ずっと親を頼りにしてしまっているのに申し訳なく感じ働きたい!

でも今の私に中医を活かして働けるほどの力は無い・・・(働き口もない??)そこで日本では中医は今、どういったところで活躍しているのか知りたくてネット検索したんです。

もしも先生さえよろしければこの冬休み、見学させて頂けないでしょうか?

先生のお話も伺ってみたいなと思ってます図々しいお願いですが。

心にある事をそのまま綴ってしまったので読みにくい部分が多々ありますが…。

お許しください。


お返事メール

拝復

メール拝見しました。

まず、大事な就職問題の、要点をかいつまんで書きます。
ご存知かどうか、日本では、医薬品である漢方薬を取り扱えるのは、医師か薬剤師のみです。
(例外的に、薬種商という資格もありますが、これは、5年くらいの一定期間薬局などで勤務した人のみ、受験資格が得られ、県単位?試験に合格した人のみ、薬店を開けます)

ですから、貴女がもしも薬剤師であれば、文句なしに日本では、簡単に就職先は見つかるでしょう。
もしも、薬剤師等の資格が無い場合は、一番良いのは、これから薬学部に入学することです。
日本では、薬学部も6年制になりましたが、日本で他の大学を出ていれば3年生からの編入試験で入れる場合もあるのかもしれません?

いずにせよ、日本では、健康食品やサプリメントに対しては、かなり杜撰な行政ですが、こと医薬品に関しては、取扱者の資格を、大変ウルサク問われるのが、日本の現状です。(当然だと思いますが)

中医学を2年学ばれたそうですが、私は日本漢方は簡単にマスターしたものの、併行して中医学を早くから相当に力を入れて独学で学んでいたのに、まともに中医学的弁証論治で、複雑な疾患に対処できるようになるまで10年間もかかりました。

中医学は、大変素晴らしいのですが、一定レベル以上の疾患に効果的な配合が出来るようになるには、中医学の教科書レベルを応用する融通性の訓練を経なければ、いつまでもありきたりな病気にしか、処方を組めないもののように思います。

ともあれ、私の薬局では、少数精鋭主義でやっており、病院で治る病気や、一般薬局でもまかなえる人、病院に行くのがイヤでこられた人、マナーの悪い人、これらすべてをお断りしている漢方薬局です。


大変ワガママな薬局ですが、逆に難病をかかえる患者さんたちとは和気藹々で仕事ができる環境となっています。

以上、大分、余計なことも書きましたが、日本で中医学の知識を活かし、仕事に持とうとすれば、やはり最低、薬学部を卒業する必要があると思います。

なお、見学されるような立派な薬局ではありませんが、薬局が開いている時間に、30〜1時間くらいで宜しければ、平日の火曜日から金曜日の間なら、いつでも構いません。

但し、月曜日と土曜日は、忙しくて殺気立っております(笑)ので、月と土だけは避けてくださいませ。

なお、ネットでは、トウヘンボクなブログを沢山やっていますので、ご参考までに。
漢方と漢方薬の真実

このサイトに貼ってあるバナーのブログや、一部共通しますが、

ブログ比較

ここのブログの多くが、同じ人間です。

以上、お返事まで。
                               頓首
posted by ヒゲジジイ at 01:02| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする